「これがそうだな?」
ゼイゼイと肩で息をしながら問うカゲリ、
ボサボサ頭の17歳、身長は160と低め
「派手だねぇこの荷車」
余裕のシグレ、カゲリとは13歳からの
付き合い、こっちは茶髪で片目が隠れたイイ男、
体格は同じくらい
二人は寒冷群島の大きな洞窟にいる、
凍った地面と冷たい風が吹き抜ける水辺
「寒いな、なんでこんな洞窟に
逃げ込んだんだ?」
舌打ちしながら太刀を研ぐ、
バギィという小型の跳竜の群れを片付けた、
20頭程が辺りに転がる
「そんなこと本人しか解らないさぁ?
帰ろうぜぇ」
双剣を背負い震えるシグレ
依頼内容は行商人の荷車奪還、
モンスターに追われる内に迷って洞窟に
逃げ込み、体一つで逃げたらしい
団子屋の素材が届かず困っていた
…………
「依頼完了したぞ?」
任務報告するカゲリ
カムラの里
湖の中にある島で、短いが立派な橋と
大きな門で陸地と繋がる、規模は小さい
里ながらも良質な砂鉄が地域に多く、
製鉄技術を独自に発展させた
その取り引きにより裕福であり、
その象徴の大きなタタラ場を構える
「ありがと!シグレさん!カゲリさん!」
ぴょんぴょん跳ねる団子屋のヨモギ、
この里の団子屋の看板娘、
まだ12~15歳位の子供だが、これでも
行商人やハンター相手に立派に仕事をしている、
誰に対しても愛想が良くて可愛いので
里の男の子に大人気
「あれぇ、ヨモギ、髪飾り変えたぁ?」
「えへへ、わかるぅ~?」
…真面目なカゲリにとって内心ムカつく
と同時に羨ましいシグレの特技、
女性の変化にすぐ気が付く事
そもそも同じ17歳、同じ男なのに
…この差はなんだ?
何でコイツは女と簡単に
コミュニケーション出来るんだろう
「シグレさんは今日もカッコいいよっ!」
オーバーアクションでヨモギが褒める…
いやシグレさん『は』って何?
シグレさん『も』じゃないのか?
俺は…蚊帳の外
シグレは俺と同じで背も低めなのに
顔が良いのだ…いつもニコニコして
可愛らしい顔(童顔?)をしている、
ジャニーズ要素があるくせに性格は
芸人寄りのキャラ、
ニヤケ顔でフザケた事ばかりするために、
『残念なイケメン』で通っている
俺は…普通…あんなに意味なく笑うものか?
「あら、そちらの依頼は終わりましたのね?」
「ヒノエ様?!」
ビックリして振り返るカゲリ
「あーヒノエ姉さんだぁ」
ニヘラと笑うシグレ
「では二人とも、里長の元へ参りますよ?」
この里の美人姉妹の姉の方、ヒノエ様、
美人な上に物腰が柔らかく仕草も色気がある、
里のクエスト管理を任され事務的な仕事を
するが、里の危機となれば弓を持ち前線にも
出る強者
里の男はヒノエ様派、妹のミノト様派、
両方派に大体分けられる
桜が舞う中に長い黒髪がなびく、
まるで一枚の絵のような立ち姿
「今日から貴方達は正式にハンターと
なりますからね?」
ニコッと笑うヒノエ
その笑顔にガチガチに固まるカゲリと
「ヒノエ姉さんは、いつも美人だねぇ」
いつも通りのシグレ
里の中央、大きなタタラ場の前へ、
今日から正式に狩人、ハンターとなれる
「里長、お連れしましたわ」
……………
「やっぱりオサイズチが最初の獲物か」
翔虫で森の中を飛ぶ
大社跡と呼ばれる狩場、森と起伏に富んだ地形、崖、水辺、滝、迷路のような岩場、
そこに昔の大小様々な社がある
「フクズクって便利だなぁ、位置が解るって」
同じく飛ぶシグレ
二人とも今日からハンターと認められ、
サポートのフクロウ的な鳥、
フクズクが付けられた
「なぁカゲリィ、ヒノエ姉さんに惚れてる
からってガチガチになる事ないぜぇ?」
「なっ?!え?!うわぁ!!」
タイミングを誤り地面に着地したカゲリ
「やったな!シグレ!」
翔虫でぶら下がりながら
「お前は分かりやす過ぎるんだぁw」
「ったく…」
太刀を抜く、ジャグラスという大きな
トカゲが辺りに5匹ほど居る
「少し肩慣らししておくか」
カゲリは踏み込み一頭目を大上段から
斬り伏せる、脇を見つつ囲まれないように
一撃入れる度に動き続ける
一頭のジャグラスが逃げようと反対側を向くと
「はい残念!」
シグレが双剣で斬りつける
囲むつもりだったジャグラスは
逆に挟撃される形に
とりあえず全部倒して剥ぎ取る
「シグレ、お前が余計なこと言うから
余計な仕事が増えたぞ」
睨むと
「あ、ヒノエ姉さん!」
カゲリの後ろを指差すシグレ
「えっ!!!」
カゲリは振り返る、そこには森があるだけ…
「にゃははは!」
「待て!シグレ!!」
コイツはいつもいつも!
…………
「ほら居たぞオサイズチ」
「あぁ…」
「いつまで怒ってんだよぅ?」
「むぅぅ…」
藪の中から覗くと5匹の部下を連れた
オサイズチが居る、人間の大人よりも大きく、
長い尻尾の先に大きな鉤爪(角?)が生えた
二足歩行のトカゲ、しかし体表は鱗ではなく
茶色と白の体毛の部分が多い
「んじゃお先ぃ!」
シグレは一直線に走り軽くオサイズチを踏むと
「食らえぇ!空舞!!」
ジャンプして連続して斬り付ける!
…はずだった
ベチャッ…
シグレは躓いて転んでいる
辺りの空気が数秒停止したような錯覚が…
オサイズチ達も突然目の前で転んだ人間に
『なんだコイツ?』的な空気…
「出来ないならやるなよ!!」
慌てて飛び出し斬り掛かるカゲリ、
オサイズチに一太刀入れる
「あっれー?出来そうな気がしたんだけどなぁ」
イズチに斬り掛かる
「振り回し来るぞ!」
「あいよぉ!」
前進しながら尻尾を三回振り回す、
空を斬りながら尻尾の鉤爪が弧を画く
二人は回避成功
「すげぇ音だよぅ!」
ヒュンヒュンいってる
「シグレ!叩きつけだ!」
オサイズチは少し溜めた後、空中で前転!
尻尾を叩き付ける!
「ほら隙だらけだぁ!」
シグレは飛び掛かるが、オサイズチの部下の
イズチも同じ様に小さい尻尾を叩き付ける
「シグレ!」
「心配すんなよぅ、かすり傷だ」
二人ともアオアシラ一式、
雑魚のダメージは少ない
…………
「お前無謀だぞ、なんであそこで
飛び掛かるんだ?部下の攻撃解ってたろ?」
「チャンスにはキッチリ攻撃入れないとな~」
カゲリは出来るだけダメージを食らわない
様にするタイプなのに対し、
シグレは食らうダメージを考慮しつつ
ゴリ押すタイプ
「大体お前が出来ない技出そうとするから!」
「技はマネから生まれるんだぜぇ?
お前だって居合抜刀できねぇよぉ?」
無事に狩ったオサイズチの前で言い合う二人
「フザケすぎなんだよ!」
「真面目すぎなんだよ~w」
カゲリが更に言おうとすると
「…おぉ?」
「なんだ?」
カゲリも見上げる
シグレのフクズク、丸目(まるめ)が空中で
身を翻す
「何か来たみたいだな」
「新手か、見に行こうぜぇ?」
それは狩場の一番奥、滝の上の水場に居た
「あれってたしかさぁ…」
「フルフルだ」
塔の陰から覗く
「カゲリぃ、オカシイぜ?ココに来るっけ?」
白くブヨブヨした毛も鱗も無い表皮、
ついでに目も無い小型飛竜、辺りの匂いを
嗅ぎながら歩く
「とにかく逃げよう」
オサイズチで狩猟は終えている、長居は無用だ
「えぇ?少し戦わねぇ?」
口を尖らせる
「ダメだ、俺達はまだアオアシラ
狩れる程度だぞ?」
「お前慎重だなぁ」
「標的狩り終わってんのに、
三落ちとか冗談じゃない」
「つまんねぇのぉ」
……………
「はい、狩猟完了です」
里のタタラ場の向かい、
建物の軒下の縁台がヒノエ様の仕事場、
ここで里からの依頼(ほとんどお使い)を
取り纏め、主に駆け出し用のクエストとして
ハンターへ紹介する
「ヒノエ様、気になる事が」
緊張する
「なんですか?」
そんなに真っ直ぐ見られると…テレるカゲリ
「なんかさぁフルフルが出たんだよぅ」
緊張感0のシグレ
「あら?フルフルって大社跡に…」
首を傾げるヒノエ、と、
「里長と集会所の方へ報告しておきますね?」
ニコリと笑う
この笑顔を間近で見られるだけで幸せなカゲリ
……………
「ふぅ、今日はもう帰ろう」
クエストも村の依頼も色々あるもんだ
「カゲリぃ、風呂貸して?」
ニヤニヤ
「自分の家で入れよ」
何で俺ん家で…
「え~水汲み面倒じゃんw」
ニヘラと笑う
「俺だって面倒だ!ちゃんと
風呂掃除してないのかよ!」
「そんな意地悪言うかぁ?
親友の為に風呂くらい…」
「お前が一番面倒臭いわ!!」
ライズってNPCにも名前があって、
ある程度キャラの設定されてるために、
かえって自由度が少ない
難しい