あれから数日
「カンカンカン!カンカンカン!」
夕刻、里に鐘の音が響く
全住人が全ての作業を止めてタタラ場
前に走る、用意してあった篝火が灯される
日が落ちると幻想的な柔らかい光になる
皆集まり固唾を飲む、
この時が来た…最近の里の様子から今度の
夜行は大きいモノになる…
里長がいつもの場所から
「たった今文が届いた!今より砦へ遠征する!」
宣言すると前の通りへ
そして里長を含めた全員がタタラ場に
向かい片膝を着く
…手を合わせ祈る
「ゴゴ…ン」
タタラ場は火が落とされ扉が閉められる、と
ヒノエとミノトが扉の前へ
手には鈴と扇子、榊の枝と弊紙、髪は纏めて
金色の飾り、そして蝶の様に舞い始める
笛、太鼓が合わせ、ゆったりとした動き
「シャン!」
鈴が鳴る
「シャン!」
篝火に照らされ静かに、厳かに
五穀豊穣、平穏無事、そして勝利、
願いを込めて舞う二人
このタタラ場は里にとっての象徴、鉄という
収入を生み出す場所、カムラの里の命
ここは神聖な場所であり建物自体が御神体、
つまりは社
そしてヒノエ、ミノトは社であるタタラ場に
仕える巫女、そのために普段の身なりも
巫女衣装に近い
禍の群れる場所、禍群と呼ばれたこの
土地名を、同じカムラで意味を変える
そのためにこの神楽を作り
里の名前になったのだろう
「シャン!!」
鈴が鋭い音を立て始め渦の様に廻る、
篝火の火の粉が弾ける
舞いは段々と激しいモノとなり、
ヒノエは弓を、ミノトは十字槍を持ち踊る
反閇を踏み四方を祓う、地を衝くと最後に
力強く足を踏み鳴らしミノトは天を衝く!
と、ヒノエは天に向かい弓を鳴らす!
「どおおおぉーん!!」
大きな太鼓が鳴らされると二人はこちらに
向かい一礼する
「「参りましょう!!」」
「行くぞおおおぉー!!」
里長が大太刀を振り上げ号令を掛ける
里長を先頭に老若男女、里のほぼ全員、
全戦力で砦へ向かう
…………
「なんだよコレ!!」
春香が愚痴を漏らす、片足で地団駄を踏む様に
配置がこの前とは逆なのだ
里長とベテランが先頭に立ち、若い者は関門、
つまり第3の柵より後ろに配置された
「フドウ達も前だしよ!!」
パーティーも無くして年齢で分けられた
「春香、落ち着け」
若手のハンター神部(カンベ)
片手剣にラングロ装備
顔が見えない
「だけどよぉ!」
神部に食って掛かる
「分かるだろ?この配置の意味」
「分かってるよ、でもよ…」
4年前の百竜夜行でもこの配置はあった
その時は死人が出るほどの襲来だった
この配置の意味は
『若い者を守り避難を考慮』したモノ
「アタシだって強くなったんだぞ!
ちくしょう!」
守られる立場でいる自分が許せない
柵を拳で殴る
「里の明日を考えての配置だ、従うしか
ないだろう…それに一番の大物は多分…
ヌシだろうしな」
装備のせいで顔は見えないが
落ち着いている神部
「ヌシっ?!」
「マジか!?」
他のハンターがうろたえる
「最近の里長達考えたら当然かもな…」
「じゃあ先に来るモンスターも
普通じゃないよな…」
不安になるハネナガ、数年前もそうだった
「影…大丈夫かなぁ?」
時雨が柵越しに見る、
影の背中は遠くに見える
影は第2柵と第3柵の間、中間エリアの
『島』に居る、最初のエリアの島と違い
大きく、また昇降機が4つある
影に出された指示は先頭エリアの警戒と援護
「飛ぶヤツ来てくれよ…」
祈る影
地上型だけでは通常の援護しか出来ない
「ブオォーッ!」
物見の法螺貝!来る!
第1柵を飛び越えるモンスター
「いきなりコレかよ!!」
影は声を上げる
飛び越え着地したのはディアブロスと
ティガレックス!!
明らかにこの前とレベルが違う!
やばい!空のモンスターが居ない!…けど!
バリスタを撃つ!
俺は狙える距離!
「セイハク!弾だ!」
階下に叫ぶ
「ギャアアアアカカカッ!!」
「やかましいわ!」
「おらぁっ!!」
ベテランのヤクシパーティーがディアに
殴り掛かる
「なんだぁ?!二匹だけかぁ?!」
「後続はどおした?!」
「上も見とけ!」
見回す
「目の前に集中するゲコ!!」
「援護は影だ!上は気にするな!!」
里長の指揮で戦うベテランの剣士とガンナー
約50人、そしてバリスタ7基と影の1基
「来たっ!」
思わず独り言を言う影、
狙いを定めて
「落ちろ!!」
「ビダァーーーーン!!!」
ティガの上に落ちるレウス
「いょっしゃ来たぁ!!」
「やっちまえ!!」
群がるベテラン、恐ろしく高い士気で戦う
このレベルのモンスターは落下やその激突
程度では大したダメージにならない
平然と起き上がるティガが咆哮!
「ガアアアアーーッ!!!」
立ち上がるレウス、尻尾を振り回す
後方、若い春香達
「おい、今の咆哮…」
「やべぇって、ティガだろ今の…」
「いきなりレベルが違い過ぎだろ…」
「さっきはディアブロスだしよ…」
「なんだぁ?ソロで両方狩れるの
アタシだけかぁ?」
キョロキョロする、春香は22才でもトップ
クラス、春香が強すぎるだけ
「僕も…何とか…なるかなー…」
神部は冷や汗、素顔が見えなくて良かった
ベテランが前に居る安心感、しかし
裏を返せば、ベテランが突破されたら
終わりでもある
「ジンオウガ!」
「おいバリスタ連中!気を付けなぁ!!」
「ガンナー!!頭狙え!!」
「任せろ!!」
ゲンジが貫通弾を速射する
「何かやりづらいな…」
影は援護するがミハバとナカゴは前に居る
連携が取れない
昇降機の音、隣にハモンが上がる
「ハモンさん?!補給の指示は?!」
「今はヒノエとミノトでたりている!
ワシだけ遊んでる訳には行かん!!」
……………
「あ、影の隣にハモンさんが上がって来た」
時雨が柵に登る
「マジかよ、あの人まで出るのかよ…」
ハネナガは落ち着かない
「なぁ、ウツシ教官はドコに居るんだ?」
「先頭だろ?もちろん」
「何か索敵に出てるって話だぜ?」
「まだ第2柵は無事なんだろ?」
「まだ無事だぜぃ」
3柵の上から見る時雨
…………
キャンプ
「疲れたら無理せずに休んで下さいね」
弾丸を数十発纏めて紐で縛ったモノを渡す
ヒノエ、両手で抱える、結構重い
「任せろニャ!カムラの
お陰で食べて行けるニャ!」
頭に乗せて弾丸を運ぶ猫族のセンリ達、
地下道を走る
「セイハク、コミツ、先頭エリアは他の人に
任せて、あなた達は何よりも安全を考えてね」
ミノトも同じように
「影のあんちゃんがバカバカ撃つから
他行けねぇよ!」
受け取り走る
「ハモンお爺ちゃんまでいるんだもん!」
「オロミドロ!しかも二匹だぁ!!」
「めんどくせぇ!」
「またティガ来やがった!」
ゲンジ達ベテランパーティーでも3頭に
挟まれると動き辛い
オロミドロの体当たり!
「おい!バリスタやられたぞ!」
右岸の2基がほぼ同時にバラバラに
「ミハバぁ!!」
ハモンが叫ぶ、と、
「師匠!大丈夫です!!」
建屋の中を通り中間エリアの右岸へ来たミハバ
「セイハク!!右岸にミハバが来た!
向こうも弾送れ!」
「子供使いが荒いよ影あんちゃん!!」
「タマミツネ!!」
「水に気を付けろ!」
「オロミドロが逃げたぞ!!」
「よしタマミツネに集中!!」
ヤクシ達が殴りに行く
「おらぁバリスタ!!足止めしろ!!」
「ティガ!咆哮来るぞ!」
「ガード!!」
「またジンオウガだぁ!」
「ビダァァン!!」
「うおおっ!!レウス降ってきたぜ!!」
「ぶち殺せぇ!!」
「影が居るからブレスが降って
来なくて楽だぜ!」
ふむ、順調ゲコ…
「里長!!休みなされぃ!!」
しかし
「ドガアァン!!」
音の方へ全員が向く、第1の柵を破壊して
現れた大物
「またディアブロスだ!!」
「デケェ!」
「大物だ!!」
尻尾を振り回す、攻撃範囲が段違い
「いってぇなコラァ!!」
「じゃまだ!デカブツ!!」「アッブねぇ!」
「ガード出来る者はディアブロスに行くゲコ!」
「ガンナーは貫通弾で狙え!!」
里長はタマミツネに斬り着けながら叫ぶ
「タマミツネも体が長くて面倒くせぇのに!」
「やべぇ!疲れてきた!」
「くそっ!水食らっちまった!!」
ディアブロスは突進!巨大な二本の角で
ベテラン達を攻撃、島に衝突!
「止まったぁ!」
「今だぁ!!」
一斉に斬りかかる
が
信じられない光景を見る
「メキメキ…ドガアァン!!」
振り上げる角で島を破壊!
砕けるバリスタ!
「建屋ごとかよ!!」
「おい!射手は無事か?!」
運搬のアイルーと射手の里守りは走って
逃げる!何とか無事だった!
建屋部分は木材と鉄板を組み合わせ、
関門に次ぐ強度を誇る、
並みのモンスターでは破壊出来ないはず
出来るのはヌシと呼ばれる一部の
モンスターくらいなのに
「いかん!中間部の連中を!」
里長の声に
「中間部!前方へ来るゲコ!」
「出番だぜ!!」
「任せな!!」
フドウ達約30人も前方へ
「若ぇ連中はさがってろ!!」
ゲンジやヤクシ達に怒鳴られるが
「先輩達は少し休んで下さいよ!」
参加する30代
バリスタ3基と…柵一枚…それ位はいつもの
事だが、建屋を破壊するとは
…コイツは出番が来たゲコ
「ゴコク殿!出し惜しみは…」
「あのディアブロスに使うゲコ!!」
…………
「マガイマガドとやらは居ない様だね…」
ウツシは夜行の最後尾を観察する、
大きな木の天辺
「あのヌシだけのようで」
ニンジャソードとカムラ一式の部下、トウジ
「我々も砦へ急ぎましょう」
こちらもカムラ一式で女性のヒナミ
「師匠!」
アヤメが飛んで来る
「一頭じゃありません!!」
「何だって?!」
禍群はあんまりだ
公式でもあんまりだ