「お早うございます影君」
ミノト様が笑う様になった
あれから数日、ヒノエ様の様子は
変化しないらしい
俺は暫くソロで狩りに出て居た、ヒノエ様が
寝ている間天音が徹夜で様子を見て、
昼は寝ているからだ
「ミノト様、天音は…」
「姉様の様子に変化が見られませんから
そろそろ来ても良いかも知れませんけど…」
「お、時雨…じゃなかった、
アマネ?の話しか?」
ハネナガが寄って来る
「僕達も見たいぞ?アマネ?に戻った時雨」
神部も来る、表情は分からないが
実は独身の男にとってワクワクが止まらない
のだ、転校生が女子だと知った馬鹿男子状態
「天音って確か、ヨモギの前の娘だよな」
フドウ達まで
「今日もフルフルですか?」
「今日こそ勝ちたいです」
話していると
「姉さん!恥ずかしい!」
「大丈夫よ、似合ってるわ」
外から声が聞こえる
ヒノエがギルドに入ろうとするが
「やっぱりムリ!」
「大丈夫よw」
ヒノエが腕を引っ張っている
「ほら、影君居るわよ…そーれっ!!」
引っ張られた反動でギルドに飛び込む天音
「…………え?…」
静まり返るギルド
現れたのはヒノエ、ミノトと同じ巫女装備、
髪はツーサイドアップの時雨…いや天音
……え?コレが時雨?!
「あ…」
硬直したまま真っ赤になる二人、
あのデート以来だし…
「何だよ!可愛いじゃねぇか!」
「こんな娘が近くに居たのかよ!」
「影!どういう事だ?!」
「影!一回殴らせろ!」
「あらあら、やっぱり良い反応w」
「姉様、私達の御古ですね?」
「ちょっと丈詰めたら丁度良かったのよw」
「影君、何か言うことは?」
「す、すっげぇ可愛いで…」
「あ、ありがと…」
二人とも真っ赤で下を向く
「ベシッ」
ハネナガが影を叩く
「ゴスッ」
神部は脇腹を小突く
「影、お前駆け出しのくせに!」
胸ぐらを掴む
「何で?何でお前がモテんのさ?」
脇腹をグリグリ
「二人とも何か言うこと無いの?
夜のデートまでしてテレる事無いでしょうw」
クスクス笑うヒノエ
!!!
「ガシッ!!」
「おぅ影、ちょっと来いやw」
フドウに頭を掴まれる
……………
フドウがパーティーに参加して
三人で大社跡へ
「疲れた…」
皆に小突かれヘロヘロの影
独身ハンター達に絡まれた
「大丈夫?」
小首を傾げる天音
その仕草だけでドキドキしてしまう、
この巫女衣装は特別なのだ…
「ねぇ、何か言ってよ」
「………」
「言えよぅ」時雨口調
「ぶふぁっw!お前ソレ反則w!!」
「もう!やっと笑った!」
仕方ないだろ、照れてんだよ
「天音、少し縮んだか?」
なんだか身長が
「踵を高くしてたからね、
ホントは影より低いよ?」
草履?
大社跡の一番奥、
滝の近くでフルフルを見つける
「天音、お前手ぇ出すな」
「何で?」
「お前…ずっと弱いフリしてたろ?
俺に合わせて」
「……うん」
百竜夜行の時、平気でレウスに攻撃してた
空舞なんて完璧に出来ている
「ソロでどこまでやれるんだ?」
「レイア…」
「…そうか」
「もしかして…怒ってる?」
「いいや…自分が情けない」
ずっと守られてた、支えられてた、嬉しいと
同時に情けない!!俺は男だ!!
「早くお前に追い付かないとな」
「お?言うねぇ、じゃ一人でやって見ろ、
骨は拾ってやる」
ニヤケる小太りで無精髭
「フドウさん!オサイズチは?」
「あ?そんなもん終わったぜ?」
通りすがりで狩ったのか!
「何が乱入して来ても俺が狩ってやる、
安心して戦え、天音…だったな、キャンプで
寝てても良いんだぞ?」
「ありがとうございます、でも
影の狩り見たいので」
ニコッと笑う
影の野郎、この娘不幸にしたらブン殴る!
……………
キャンプ
「結局居合抜刀は何回成功したんだ?」
フドウが影に聞く
「二回です…」
ついにフルフルを倒したが納得出来ない
「少ねぇな、次はもっと増やせ」
「あの、聞いていいですか?」
天音がフドウに
「何で今回一緒に…」
「お前達がイチャイチャしないように監視だ」
睨む
「「えっ?!」」
そんな二人を見ると
「冗談だ!」
笑う
「実はな、ゴコク様に頼まれてな」
「ゴコク様に?」
「なんでだろ?」
二人で首を傾げる
「天音の実力聞いてな、その力に影が頼って
甘ったれる様なら…
性根を叩き直してやれってな」
肉を齧ると
「その心配は無さそうだな、影は前よりも
強くなろうとしてる」
「ふう、何か…全部先回りされてる感じだ」
「期待されてるからじゃない?」
「はっはぁ!その通りだ!春香なんかは逆で
頼らな過ぎて危なっかしいし」
「あの、フドウさん、一度聞きたかった事が
あるんですが」
姿勢を正す影
「あ?何だ?」
「春香さんって…その…態度とか…」
「ああ、それな」
春香は感情で強さが変化しちまう、調子に
乗ってる時は強いが、気落ちすると明らかに
実力が下がる、だから調子に乗らせておく
必要があるんだ
それで俺のパーティーに入れたんだ
「え?春香さんがリーダーじゃ…」
「その方が実力出るからなw」
「あの…私も不思議な事があるんですが…」
「何だ?」
「その、ハンターとしての強さの他に…
上手く言えないんですが…」
「あぁ、俺も上手く言えねぇが、
人としての『大きさ』の話しか?」
「何か違う価値観…年功序列とも違う…
みたいなモノがある気が…」
「ほぅ、天音は賢いな、その通りだ」
例えばハンターとしての強さなら俺と春香、
ヤクシさん辺りは同じ位だ
二人は頷く
ただ先輩達は居るだけで人間関係を良くするし
問題が起こっても直ぐに解決する
???
「解らねぇよな?里の運営を円滑にするように
確実に行動出来る…そこが一番違うんだ、春香は
そんな事考えてるように見えないだろう?」
「なんだか春香さんは自分の強さしか
見てないような」
あれ?兄貴もそんな気が…
「そうだ、それが若さなんだがな、自分の
仕事さえ出来てれば良いなんて跳ねっ返ってる
内は半人前なんだ」
「人としての大きさ…『幅』かなぁ?」
「良い表現だな天音、大体がよ、
俺から見ると春香は半人前だがな?
ヤクシさんから見たら俺もヒヨッコだぜw」
「じゃあ俺なんかは…」
「卵だなw、だけどな?百竜夜行に限っては
お前は俺より上だぜ?」
「影が認めて貰えたのって、その辺ですか?」
「あぁ、全体指揮できる能力持ってるヤツは
なかなかいないぜ?」
「じゃあ影が守人やったのは」
明るくなる天音
「無駄じゃない、影は狩人と守人の両方を
理解してるんだろ」
立ち上がると
「引き上げようや、影、百竜夜行の時は
遠慮なく俺達を使え、お前の駒なら喜んで
やってやる」
……………
「ゴコク様、影は心配無い、天音より弱い事を
恥じてるぜ」
小声で
「うむ、杞憂だったか、助かったゲコ」
「ミノト様、フルフル終わりました」
「では次は…」
「おい影!俺もパーティー入れろ!」
「僕も入りたいんだが」
ハネナガと神部
「天音、どうする?」
「良いんじゃない?」
影に笑い掛ける、
その笑顔だけで若手は腹が立つ
「じゃあ明日クエスト選んで行くとして…」
神部を見る影
「あの、顔が…その…」
神部の素顔を知らない影と天音
「あぁ神部、俺も全然顔見て無いぜ?
たまには兜脱げよ」
「仕方ない…が、引くなよ?」
兜を取る
現れたのは痩せた真っ白い顔、長髪に
目の下の隈が濃い、まるで病人
「おー、久しぶりに見たぜ」
笑うハネナガ
日焼けしたハネナガとはまるで正反対
「どこか具合悪いんですか?」
口を抑えて天音が聞くが
「だから見せたくないんだ、これで普通なんだ」
またラングロ装備を被る
「天音」
「何?ミノト姉さん」
ミノトはいつもの場所から出てくると
「ほら、顔に砂が付いてる」
天音の顔を拭く
「ち、ちょっと姉さん、自分でやるから」
「ようやく女の子に戻れたんです、
身形に気を使いなさい」
まるで母親の様、感情や表情が乏しいが
その優しさは現れている
「あぁ、僕はミノトさんの為なら
怖い狩りにも行ける」
何度も頷く神部
「あれ?お前ミノトさん派かよ?」
「ハネナガさんはヒノエ様派ですか?」
「俺か?俺は今日から天音派になろうかなw」
ニヤニヤ
「僕も転向しようかな」
「ちょ!それは!」
語気を強めるが
「冗談だ冗談!」
…………
翌朝
「おはよう」
「ん、あぁ…おはよう………はあぁ?!」
「何ビックリしてんのw?」
天音にとってはいつもの行動、
土間に立っているだけ
しかし影にとっては違う
いつも一緒の腐れ縁が突然女になり、
しかも可愛い、そんな娘が朝起こしに来る…
これは…
これは伝説の…
夢に見るが絶対に起こらないと言われる…
『隣に住んでる幼馴染みの美人が
毎朝起こしてくれる』パターンでわ?
なにこのシチュ、幸せすぎじゃね?
だが気になる事がある
俺は家の鍵に無頓着だから空いてる事もある、
だけど鍵を掛けても時雨…じゃない天音は
入り込んでいる
「なぁ、いつもどこから入って来るんだ?」
装備を着ける
「…え!?」
ビックリしている
「…へー、知らないんだぁ♪」
「ちょっ!待て!」
「先に行くよ~」
慌てて身仕度して出る
「おっ?二人で仲良く狩りかよ?」
「おう、ミハバおはよう」
「………チッ」
え?今舌打ちした?
「おはよう、ミハバ」
「おはよう時雨、じゃない天音」
良い笑顔で
「なぁ、俺、嫌われてるのか?」
「羨ましいからじゃない?」
「また皆に小突かれるのか…」
「仕方ないでしょ?
こんな可愛い彼女が出来ればw」
「自分で言うかよw」
まず、隣に同級生がいたことありません