神楽舞   作:天海つづみ

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ただの繋ぎの話


信仰

 

翌朝

 

「はっはっは!それは良い機会になったな!」

 セキエンの経緯を聞いた里長は大笑い

 

「実はトガシの里長から手紙が来ていたゲコ」

 ギルドで二人の話を聞く

 

トガシの里長、カイエンの手紙によれば息子の

セキエンがハンターとして成長した、それは

良いが天狗になってしまい『俺って強くね?』

のチュウニビョウ状態に、もしもそちらに

行ったら灸を据えてやってくれ、とのこと

 

「何でアタシらがナメられんだぁ?」

 春香が不機嫌

 

「大きな夜行の前には周辺の里に避難民の

受け入れを要請するゲコ、だからたまに

こんな輩が現れるゲコ」

 

 一同納得する

 

「失礼します…」

セキエン達が頭を下げながらギルドに入って来た

 

「てめぇ!いい度胸だなぁコラァ!!」

 春香が人を押し退けズカズカ近付く

 

「ひいぃぃっ!!」

 後退る三人

 

「春香!止めるゲコ!!」

 怯えるセキエン達に

「何用ゲコ?」

 

「はい、今日からここで鍛えて

いただきたいと…」

 頭を下げる、すっかり態度が変わっている

 

「あ?お?おおぅ、そう言う事なら良いぜ!」

 笑う春香、セキエンの頭をポンポン

 

「お早うございます」

「あれ?昨日の…セキエンさんだったわね」

 影と天音が入って来ると

 

「昨日はすまなかった」

二人に歩み寄り謝るセキエン、太りぎみで

身長の割りに大きく見える

「強いな、中堅くらいか?」

 影に聞くとギルド中が爆笑する

 

「コイツ駆け出しだぜぇ!?」

「一番下っぱだ!」

「まだまだひょっ子だぁ!!」

 ゲラゲラ笑う

 

「え?そんな事無いよな?」

 焦りながら聞くセキエン

「ハンターになって一年位か?」

 

「2ヶ月位だ…けど…?」

 状況が飲み込めない影

 

「!!!」

 その三人の表情に、また爆笑するギルド

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「客人の登録は済んだゲコ?」

「はい、滞りなく」

「して?どこ行ったゲコ?」

 

「ヤツらなら団子屋で固まってたぜw?」

「ヨモギの芸は初見だとなぁw」

 

 

「うむ、して影は?」

「ソロでリオレイアをやる気です、

天音も付いて行きました」

 

 …………

 

 

「何で来んだよ?」

「何よ悪いの?」

 

久しぶりの二人きり、まだ照れがある影と

元々遠慮の無い天音

「なぁ…今って…化粧してるか?」

 顔を見れない

 

「!、気付いたんだぁ!ミノト姉さんに

してもらったんだよ?」

視界に入るように回り込む

「何?照れちゃった?今どんな気持ちw?」

笑いながら

 

「お、俺が狩ってる間は何やるんだ?」

 照れて真上を見る

 

「ちょっと色々調べて見たいのよ、

じゃあ別行動で」

 天音は翔虫で飛ぶ

 

この大社跡は名前の通り鳥居があり、

様々な小さい社が至るところにある、

明らかに人の住んでいた形跡も残っている

 

(この前のイブ…ヒコ ?とやらを、

もしかしたら昔の人は崇めたのかなぁ)

 

 いくつかの小さい社を見ながら登る

(もう調べ尽くされてるよね)

 

高い場所にある家に着く、

なぜかこの家だけは損傷も少なくて綺麗

なのでウツシ達が利用している、

大きな山門の向かいにある

 

縁側に座り考える

カムラの里にとってはタタラ場が神様、

でもここに居た人々は別の何かが神様…?

それがナントカヒコ?

 

「誰かいるのかい?」

 障子を開けるウツシ

「教官?!いたんですか?!」

 

ここはウツシ達諜報の休憩所、ほとんどの

人間は知らないがウツシの下働きをしていた

天音は掃除を担当していた

 

「ちゃんと掃除してますね…」

 中はもちろん和室

 

「天音もハンターになったから交代で

掃除してるよ」

 

 天音は考えていたことを話す、八畳の部屋

「天音、その辺りに興味があるなら一度

竜宮砦に行って見ると良いよ?」

 

「竜宮…?初めて聞きますが?」

 

「そもそもバリスタや撃龍槍は竜宮砦にあった

モノを真似して作ったんだよ」

 

「そうだったんだ!

ハモンさんの考えたモノかと」

 

「天音…僕の言いたい意味を

理解出来てないね?」

 笑っている

 

「?」

 首を傾げる

 

「それだけの『兵器』を『備えた』理由は?」

 

「あ…そうか、それほどの何かが来る場所…」

 イブヒコ?

 

「恐らくその通り、地面に大砲やバリスタが

埋まってたり、登れないほど高い場所に

大きな大砲があるよ?」

 

「もしかしたらイブヒコを退治するため…」

 

 大きな門を見ながら

「それは分からないけどね、

まぁイブシマキヒコはともかく、僕はこの

大社跡と言われる場所全部が社、つまり

神域じゃないかと思ってる」

 

 

 ……………

 

 

「くそっ!」

 足場が悪い!足元が水では戦いにくい

 

「グゥオァ!」

尻尾の旋回!四人なら居合抜刀出来たのに、

ソロだとコレほど出来ないとは

 

「おちつけ…焦るな…」

自分に言い聞かせる

コイツをソロで倒せば天音に並ぶ、

大事にやろう

 

三連ブレス、を読んで横から頭に一撃入れる

 

 

 

 …………

 

 

 

「こんなの見たことあるかい?」

 ウツシは錆びた剣の様なモノを見せる

 

「何ですかソレ?」

 

「色々な地域と場所にあってね、ここの縁側

にも一本刺さってたんだ、昔の人の手掛かりに

なりそうなモノだよ」

 

「すごい!コレからイブヒコの手掛かりとかも

解りますか?」

受け取るとマジマジと見る、

経年劣化した剣に古い字が書いてある

 

「これだけでは断片的で何も分からないから、

もっと見つけられたら良いんだけどね」

相変わらずモンスターの名前を覚えない娘だ…

 

「皆で探せば早そうですよ?」

 

「なぜか見付かり難い所にあるんだ」

 苦笑い

「高い木の枝に刺さってたのは誰かの

悪意を感じたよw」

 

「師匠」

 アヤメが飛んでくる

「あら天音、いらっしゃい」

 

「あ、お邪魔してます」

 正座したまま頭を下げる

 

「天音のこと私達にまで秘密にする事

無いのにねぇ、時雨と付き合い長いのにさ」

 二人で笑う

 

「ヒノエちゃんとミノトちゃんとの

約束だからね」

 

「師匠ぉ?天音連れ込むなんて

影に殴られますよぉ?w」

 

「何を言ってんだい?僕はヒノエちゃんと

ミノトちゃん一筋だよ?」

 

「それは一筋とは言いません」

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 サマーソルトで飛び上がるレイア、

地面には紫の毒

 

(アブねぇ…)

これだけは食らっちゃだめだ

突進を避けて後ろから斬り掛かる

 

こっちを向くとブレス!

(あっ!今の居合抜刀出来たじゃん!勿体ねぇ!)

以前と違い恐いとは思わない、体も動く、

俺はやれると自分に言い聞かせる

 

 高台から天音が見下ろす

「影はやっぱり鈍いなぁ」

 あれだけ神部の戦い方を見たはずなのに

「しょうがない…ヒント位なら…」

 

 廃墟の陰で研ぐ影、と、

「影」

 天音が崖から降りて来る

 

「天音、どうした?」

 

「苦戦してる?」

 

「まだ道具もあるし心配無いぞ?それにな、

さっき気付いたんだ」

 

「何に?」

 

「神部さんのマネすればリスクが減る」

 

「ふぅん…じゃ私は行くね♪」

 ちゃんと気付いた♪

 倒すだけなら大技なんて使わなくてもイイ♪

 

「何か嬉しそうだな?」

 

「そお?」

 影が追い付く♪

 認めて貰える♪

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 

「はい、リオレイア完了です」

 ミノトがスタンプを押す

 

「良くやったゲコ、これに慢心せずに

精進するゲコ」

 ゴコクも笑う

 

「レイアをソロか…」

 

「どうした?セキエン?」

 

「それだけの腕があるのに、

何でアシラ装備なんだ?」

 連れも頷く

 

「そろそろ防具作っても良いんじゃない?」

天音が肩の毛の部分を触る、

たしかにボロボロだ

「ゴコク様、私竜宮砦へ行ってみたいんですが」

 

「そうか、ハモン達も行くから付いて

行くと良いゲコ」

 

「じゃあ…」

 

「影は残って強くなるのよ?

私より強くないとカッコつかないでしょ?」

 

「…え?」

俺は一緒に行かないのか?腹立つ、

心配してんのに

 

「なぁにぃ?他の男に取られないか心配ぃ?w」

 ニヤニヤ

「安心しなさいよ!」

 いたずらっぽく笑う

 

その様子にギルド中の独身男がムカついている

(美人で性格良くて笑顔が可愛く…

そんな彼女に何年も一筋に思われて…

こんなベタな展開…羨ましい…)

 

 全員同じ考えになる

 

 『影をシゴく!』

 

 

 次の日

「お早う」

 

「…あぁおは…!」

 

「ビックリした?」

 土間にニヤニヤした時雨がいる

 

「逆に驚くわ!どうしてその格好なんだ?!」

 

「私目立つからさ、用心しろってハモンさんが」

 

「そうか…」

 

「何?安心した?安心したの?w

今どんな気持ち?w」

 

 コイツ俺が照れてるの解っててやってるよな

「ギルドいくぞ」

 

「うわ、もっとリアクションあっても良くない?」

 

「…………」

 

「何とか言えよぅw」

 

「ブハッ!!」

 

 ………

 

 

 

「ひいいっ!」

「バカ!そっちに逃げるな!」

神部に怒鳴られるセキエンに

飛び掛かるナルガクルガ

 

「おらっ!行け影!」

「は!はい!」

 ハネナガに怒鳴られる影

 

ゴコクに「セキエンと組んで見ろ」と言われ、

出発しようとしたら二人に

「お前強くなれって天音に言われたよなぁ?」

ニヤニヤ

「だったら僕達と行ってみないか?」

兜の下で笑う

 と半ば強制的に連れて来られた

 

 隣のエリアで回復と研ぎ

 今日はナルガクルガ討伐

「お前ソロでどこまでヤレんだ?」

 ハネナガがセキエンに聞く

 

「…フルフルです…」

 申し訳なさそうに

 

「レイアはソロで狩ってないのか?」

 なのにその装備?

 

「いや…仲間と狩っただけで…

他の里に行くからナメられないように…」

見栄を張ったのか、チュウニビョウめ…

 

「二人とも勘弁してやれ、

調子に乗ってただけだろう」

 表情が分からない神部

 

「あのぅ、春香って人は何歳であの強さを?」

遠慮がちに聞くセキエン、あの出会いが衝撃

だったようでスッカリ大人しくなった

…気持ちは分かる

 

「あいつはたしか今22だ、

いよいよラージャンをソロでヤル気らしいぜ?」

 歯に挟まった肉の筋を取りながら答える

 

「全然満足しない女だからな、

ヤツカダキの頭で弱点の研究する位だ」

 兜をずらしながら器用に食べる

 

「そのために?春香さんは確かソロで

普通に狩れますよね?」

 

「だからよ、そこで終わらねぇんだ」

「更に短時間で狩るための研究をするんだ、

僕達も見習わなければ」

 

「カムラって…満足しないって言うか

立ち止まらないって言うか…」

 

 頷く影

「ソロで狩れる様になっても夜行では…ダメか」

 

「乱戦で役に立つには更に強さが必要だからな、

休憩終わり!続きだ!」

「僕達はサポートだけだ、

二人で何とかしてみろ」

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 ギルドに帰って来たヘロヘロの影とセキエン

 二人が限界でクエストリタイア

 

「セキエン大丈夫か?」

「防具が傷だらけだぞ?」

「だめだ、俺もレイアのソロをやらないと」

 仲間に迎えられるセキエン

 

「いててて…」

 影はギルドストアで道具を見ていると

 

「おう影、まだ元気だな?クエスト付き合えやw」

 ニヤニヤ笑うフドウ達に両肩を組まれ

連れて行かれる

「ちょっ!フドウさん!」

足をバタバタ

「おぉwやっぱり元気だわw」

笑いながら出て行くのをギルド中が

ニヤニヤ見送る

 

 

「マジかよ…」

セキエンは血の気が引く、

影って1日に何回クエスト行くんだ?

 

「うむ、良い傾向ゲコ」

「影君大丈夫でしょうか…」

 ストレス発散のオモチャにされている気が…

 

 

 

 

 二日後

 

「ただいまぁ」

 時雨の姿と声

 

「おぉ天音!帰って来たか!」

 ギルド中が迎える、姿は時雨だが

 

「アマネ?お前は時雨じゃなかったのか?」

スラリと背が高い色黒の男、

切れ長の鋭い目に…首にマフラー?

 トビカガチの装備

 

 見慣れない連中だが…

 

「あれ?君は…」

「ウツシ先生、今日からここで

御厄介になります」

 

 

 

 

 

 

 

 




新しい設定、小出しにされると困るなぁ、
いっそストーリー発表してくれないだろうか
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