「ギルド行きたくねぇ…」
暗い顔の影
「聞いたぜ!wシゴかれてんだってな!w」
「竜宮…砦?とかいうのはどうだったんだ?」
「いつもは設備の勉強だけどな、天音がいた
お陰でな!wソレだけで気分が違ったぜ!w」
「何で楽しそうなんだミハバ?」
微妙な表情だ…笑ってるような怒ってるような
「お前が辛そうなのがな!w
リアジュウバクハツシロ!w」
「…何語だソレ?」
「気にするなw」
少し歩き
「ハモンさんお帰りなさい、あの…
ミハバの様子が…」
「ん、それはな…」
竜宮砦のキャンプで天音が料理を作ってな、
影より先に手料理食ったと自慢しようと
思った様だが
「ん?料理?影はもう食べたよ?
当たり前じゃん、影に食べさせるために
教わったんだよ?」
と言われてからあの状態だ
「うわぁ…」
「…そっとしておいてやれ…」
「俺はヒノエ様一筋だチクショー!!」
「カンカンカンカン!!」
金槌の音が聞こえる、
うん、放って置こう
ギルドに行くと
「あ、影、ただいま」
時雨の姿の天音と
「君がそうか…」
誰だ?見慣れない四人
カムラシリーズに似た装備を着た三人と、
リーダーっぽいカガチ装備の男
「天音、この人は?」
「ニシノの里の風月(フウゲツ)さん」
カガチ装備の男を見る
竜宮砦の帰りの時に隣を並走する舟があり、
一緒に来たとのこと
「改めて礼を言いたい」
影に頭を下げる
「え?なにが?」
天音が男連れて帰ってきた、
それで頭が一杯だった
「ほら、影のお兄ちゃんが助けた舟の…」
「その時助けられた中に俺の父親がいたんだ、
この時雨が教えてくれた、弟がいたとはな…
それにしても…」
「?」
「君がカムラの新たな力か」
連れもヒソヒソと話している
ニシノの風月、歳は19で180を越える細身、
色黒で長髪を一本に纏めている、たまに
任務で来るウツシに憧れ諜報の真似事を
するらしいが…
顔が…カッコイイ…腹立つ…
「先生と呼ぶのはどうかな?」
ウツシは困り顔
「いえ、先生と呼ばせて頂きます」
なぜウツシに憧れたのかと言えば
『なんかカッコ良いから』
要するに子供で『残念』なヤツらしい
「なぜこの里に?」
腕組みすると
「最近の襲撃でヌシとかいう化け物を2頭も
退けたと聞く、しかも若い男が
指揮を取ったとも」
行商人によって噂は広がる
「その男に是非とも会って見たかった」
…………
「お前は風月じゃないか!」
「誰かと思えばトガシのボンボンか」
「うるせぇ!顔だけで残念なヤツが!」
「顔も悪いより良いだろう?」
セキエンとフウゲツは旧知の仲だったらしい
「おまたせ」
巫女衣装に戻った天音が来た
ギルドに花が咲いた様
「ん、じゃあ今日は…」
どのクエスト…
「誰だ?この美人は?」
説明すると風月が天音に寄る
「なぜ男のフリを?カムラに来た途端に
しゃべり方まで変わったぞ?」
「遠出だから用心のためだよ?」
親しげに会話する風月に腹が立つ影、
ハッキリいえば美男美女でお似合いなのだ
「しかも美しいとは…」
更に寄ろうとすると、天音はひょいっと
後ろに下がり
「残念だけど私は…」
影の後ろに
「フン、恩人の身内だがコレは話が別だ!
貴様に決闘を…」
「やめとけ!」
セキエンに止められる風月
「離せセキエン!」
「おうコラァ、黙って聞いてりゃあ…
うちの影にケンカ売ってんのか?」
春香が来る
「すいません姐さん!コイツ何も分かってなくて!」
セキエンが直立で詫びるが
「ほう、春香…
確かカムラの若手最強の女だな、俺は
ニシノの若手でも少しは名が知れている、
手合わせ願おうか」
「バカ!止めろって!」
「フン、外に出ようか」
…………
ヨモギの団子屋
「えーと風月はソロで狩れるモンスターは?」
影は苦笑いしながら、
年上だけど呼び捨てで良いや
「レイアだ…」
顔の右半分が不細工になった風月
「クエスト…無理そうね」
天音も苦笑い
ゴコクに四人で採取に行くように言われた
「バカだな、春香姐さんに挑むとはよ」
セキエンは呆れる
「セキエン、知ってたなら止め」
「止めただろ!!」
「春香さんに挑むなんて勇気あるねぇ!」
団子を持って来たヨモギ
「はい!うちのお団子食べればすぐに治るよ?」
(ヨモギ、いくらなんでも言い過ぎだろ)
(ヨモギって商売上手よね)
(うお!この子供、腕もスゲェが口もスゲェ)
「おぉ!それは是非とも頂こう!」
遠慮なく食べる風月
なるほど残念だ
風月の連れに話を聞くと
『ニシノの若手では強い方だが人に騙され
安く、一人にすると何をするか分からない』
タイプらしい、
要するに連れの三人は『監視役』
「ほう、影はレイアをソロか、
俺と同じくらいか」
風月の顔から腫れが引いている、バカって凄い
「あの女はどの位強いんだ?」
「カムラでも最強クラスだぞ?」
「ベテランと比べてもトップクラスよ?」
「俺なんか見ただけで心が折れたぞ…」
ため息のセキエン
「どういう事だ?」
「ヤツカダキの頭千切って持って来たぞ…」
セキエンの言葉に青くなる風月と三人、
確か火を吐く蜘蛛の化け物じゃ…
「ほ、ほう、な、中々やるではないか」
………………
ニンジャソードで確実にアオアシラを
斬りつける風月、なるほど言うだけある、
踏み込みが素早く一撃離脱する、早さだけ
なら天音に匹敵するかもしれない、
盾を持たないのはスピード重視だろう
「攻撃と離脱を同時に出来ねば食らうぞ」
「うるせぇ!お前の攻撃は軽すぎんだ!」
「風月さん!セキエンさん!
足が止まってる!」
「二人とも動け!」
珍しく影が怒鳴るが仲良く尻餅に巻き込まれる
天音は考える、二人とも決して腕が悪い訳
ではない、集中力が無いようだ
その点だけなら影の方が上ではある
影も思う、セキエンはそもそも足が遅い、
ガード出来る武器の方が合ってるだろう
……………
ギルドへ帰ると
「どうだった?風月」
風月の連れ達が話している
「まだ駆け出しと言う割には影は確かに強い、
やはりカムラは全体のレベルが高いぞ、
団子屋の子供でさえ………」
なるほど、連れの三人はカムラの戦力を
計っていたようだ
(風月ってバカなフリしてるだけか?)
(なるほどカムラの内偵してたのか)
(こりゃ弱味なんか見せられねぇ)
ギルド中が聞き耳を立てる
「しかも団子の回復力と来たら…」
(あれ?…やっぱりバカだ)
「あらぁ、やっと帰って来た!」
ヒノエに出迎えられる
「ヒノエ様、どうしました?」
「んー、やっぱりねぇ…」
少し困った顔で
「せっかく他の里の若手が来たのは
良いけど…影君って一番影が薄いのよ」
笑顔でスゴイ刺さる事を言う
影は見る
巫女装備で可愛い髪型、美人の天音
髪こそオールバックにしているが丸顔で太い、
全体的にお坊ちゃんなセキエン、そして
次期里長で多分金持ち
見た目だけなら達人の雰囲気の風月、
しかもカッコイイ
皆濃いキャラクター
俺だけ無個性か?
「天音、影君の髪どう思う?」
「正直…ちょっとは揃えたほうが…」
ボサボサ頭を触る
「そうなのか?じゃあ…」
一緒に髪を触る影
「という事で切ってあげましょうw」
「ヒノエ姉さん止めて!だったら私がやる!」
「出来るのか?天音?」
料理が出来るから器用?
「姉さんに任せたら面白くされちゃう!!」
外に走って行く
(面白くってなんだ?)
「あらあら、残念w」
ヒノエ様は俺の髪型どうする気だったんだろう…
とりあえず髪型を考える、
中途半端に長さはあるから…
「影、ハサミ持って来たけど…」
「あぁ、ありが!」
「天音に聞いたぜぇ?」
「春香さん!!?」
……………
「だっひゃっひゃっひゃ!!」
「ぶふわぁっ!!」
「…………」
「やっぱりこうじゃねぇとなぁ!」
春香は気に入ってるようだがギルドで
笑われる影
短髪で真っ赤、つまり春香とおそろいにされた
「春香!お…弟できたなぁ!」
爆笑のフドウ
「こ!コレくらいの方が目立って良いかもな!」
「春香にオモチャにされたか!」
ハネナガと神部も笑いを堪えている
「ほっほぉ、良い色になったゲコ、
影、天音、二階に来るゲコ」
座敷には里長、ヒノエ、ゴコクがいる、
さっきまでの空気と違い緊張感がある
「さて、影はまだ若いが知って貰いたい
事があるゲコ」
ただ事ではない雰囲気に緊張する二人
「影君、天音、突然セキエンさんと
風月さんが来た事、どう思ってるかしら?」
「どう…?」
「どう思う…やっぱり何か調べに来てるの?」
「うむ、天音、その通りだ」
眉間にシワが寄る里長
「何を調べているか解るゲコ?」
二人で首を傾げる
「まずは各里の力関係を教えておこう」
里長が説明する
カムラは良い鉄に恵まれ裕福ではある、
しかし輸送の手段は少ない、陸路で行けば
トガシの里、水路で行けばニシノの里がある、
極端な話をすれば関所でも造られたら
鉄の輸送手段が無い
「このカムラ自体が辺境だから立場的には
決して強くはないのよ」
「それに大きな弱点を抱えているゲコ」
「弱点?」
不思議そうな影
「百竜夜行が起こることゲコ」
「うむ、このカムラが弱れば支配しようと
考える者が出てくるだろう」
「そんな…」
あの二人に裏がある…?
「今の所は良好な関係ゲコ、問題はその
良好な関係を維持している、この里の
重要人物ゲコ」
「重要人物?」
誰?
「ウツシさんの隊よ?周辺の里に
諜報に行くでしょ?」
「セキエンまでは良かったが風月はウツシを
慕っているからな、放っておくとウツシに
張り付いて動向が筒抜けになってしまう」
過去にニシノの里へ行った時、風月に
張り付かれたそうだ
「そこでお前の存在ゲコ」
影に笑いかけるゴコク
「俺?」
「うむ、まず各里が知りたがっているのは
百竜夜行におけるお前の力だ、夜行という
驚異を防ぐ力は衰えて来ていた」
「ワシも里長も歳ゲコ、いつまで
指揮出来るか分からんゲコ」
「そこに全体指揮が出来る若者が出て来た訳だ」
影に顔を向ける里長
風月が言った『新たな力』
「その次はカムラを継ぐ者、
つまり最有力なウツシゲコ」
「だけどウツシさんは探られたく無いのよ?
そこで影君を目立つ様にしたの」
笑うヒノエ
「そうか、私達は囮になるんだ」
天音が納得する
「その通りゲコ、影よ、セキエンと風月を
常にパーティーに入れるゲコ」
「そうすれば監視している『連れ』の目が
分散して、カムラの内情を知られにくい」
「そのために目立つ様にしたのよ?
居なくなったら髪を戻しましょうか」
クスクス笑う
「本来なら春香に組ませる所だが、
すっかり春香に怯えてしまったゲコw」
「セキエンと風月は深い考えなんて
無いですよね?」
そんな感じはしない
「…そうか!あの二人も囮…」
ピンときた天音
頷く三人
「恐らくそのために目立つ行動を取ったゲコ
…いや、取らされたゲコ?」
天井から顔を出すウツシ
「僕の見た限りでは風月は普段通りです、
天然でトラブルを起こす人材ですから
目眩ましには最適です」
引っ込む
「何だか化かし合いですね」
ため息の天音
「このカムラを活かす、それを考えれば良い」
「お前達は普通にしていれば良いゲコ、
後はワシらの仕事ゲコ」
フカシギの話なんて覚えて無かった、
里長の姪って何だよ、
忘れてたよ。