数日後
「竜宮砦の話、聞いてなかったな」
「雰囲気が凄い不思議でさ」
撃竜槍やデカイ大砲、立派な廃墟が見えた
話をする
「何で行こうと思ったんだ?」
それが不思議なんだが
「大社跡ってさ、何を奉ってたのか…
もしかしたらイブヒコなんじゃない?でね、
イブヒコが行くから竜宮砦には兵器が
あるんじゃないかって」
そういう考えもあるか
「…で…何で俺ん家のアレ(回転扉)お前が
知ってんだ?」
俺は知らなかったのに
「そんなの一人しか居ないでしょ?」
ヒノエの方を見る
あの人は本当に底が見えない
団子屋で話していると
「影、行こうぜ」
ハンマーを持つセキエンと
「歩くだけでも重心を変えねば…」
ブツブツ言いながら歩く風月、
こちらもハンマー
…………
「見たかよ?」
ハネナガが神部に聞く
「何を?」
「影達がヤクシさんの指導受けたらしいぜ?」
「だからハンマー持って行ったのか…
まさか言われた事を本気でやってるのか?!」
「あの指導を本気で守られたらよ…」
「僕達より強くなってしまう…」
……………
「ご、5周…」
川原に倒れる
「むう、影に勝てんか…」
腰を抑える風月
「オロロロロ…」
三人とも川原で休む
「影よ、あの御仁が大怪我するとは思えん、
何があったのだ?」
「そう言えばそうだ、ティガを狩るって
言うより破壊してたぞ?」
影は話す、ヌシとラージャンの大乱戦
「なるほど…カムラの強さとは夜行を退ける
事によるものか…」
「俺…何秒立ってられるかな…」
そうか、百竜夜行はカムラの弱点、
災害と言えるけど…
鍛えられてるって見方もあるか
呼吸が落ち着いた
「セキエン、やれるか?」
ヨロヨロ立つ影
「あぁ、もう慣れた」
ペッと唾を吐く、口の中が酸っぱい
「ハンマー…使い慣れんな…」
「仕方ない、ヤクシさんの命令だし」
ハンマーを引きずる様に歩き出す
三人ともフラフラで森の中へ入ると
「くそぉ!当たらない!」
全部振り遅れる影
「ダメだ!力溜めながらじゃ息が切れる!」
「先読みせねば!」
振り下ろす風月、しかしハズレ、
今度は持ち上げようとするが
「ぬぅうおお!上がらん!!」
疲れて動けない
「腕だけじゃ無理だ!膝も使え!」
影が叫ぶが
「うおっ!」
振り回したハンマーに振り回される
「影!考え無しに振ると腰ヤルぞ!」
ぜぇぜぇ言うセキエン
イズチ5頭に翻弄される三人
……………
「なるほどなぁ、知ってるわけだぜ…」
ヤクシが話し掛ける
タタラ場前、舞の練習をしている天音と
指導しているヒノエ
「?」
天音は分からない
「なんの事でしょう?」
笑顔のヒノエ
「天音と素手で少し組手してみたがよ、
片足軸に最小限で動きやがった、中堅でも
中々身に付かねぇだろ?」
「武道の動きの話ですね?」
笑顔のまま
「考えてみりゃ奉納の舞の後半は弓と槍の
型でもあるからなぁ」
頭を掻くと
「さらに重い鉄槍で負荷掛けてる訳だ、
足捌きが素人じゃねぇハズだぜ」
見た目もタイプも全く違うが同じ
スパルタ型の二人
「はっはっは!!お前達の指導を素直に
続ければ強者になれるからな」
里長が笑う
「お前って…俺に叩き込んだの
アンタだろ里長」
苦笑い
「私って鍛えられてたんですか?!」
十字槍と盾を普通に持つ天音、交互に
ヒノエとヤクシを見る
「今頃気付いたのか?!最近それ持って
半日踊ってたろ?頭は三馬鹿並みなのかよ…」
「双剣が強くなってる気がしないんですが?」
「あぁ、それならクエスト行ってみろや」
……………
「何か久しぶりに四人だな」
「セキエンさん、吐かなくなった?」
「フン、毎日吐いているぞ?」
「言うなよ恥ずかしい!」
今日はレイアを狩りに来た、
武器はハンマーではない
「なっ!何だこれは!」
「何!?風月さん!」
「抜刀斬りをしてみろ!」
言われて皆でレイアに斬り掛かる
「何だこれ?!」
体が軽い、一瞬で尻尾の旋回範囲の内側へ
斬り込む影
「凄い!剣が無いみたいに軽い!」
紙一重で避けながら斬りつける天音
「ぬおっ!またか!」
片手剣で抜刀斬りすると速い上に、
いつもより一歩奥まで余裕で飛べる
「おらぁっ!」
頭に抜刀斬りを当てた後
「ふんりゃあっ!」
苦もなく斬り上げ
「大剣が軽いぜ!!」
明らかに速度が上がったセキエン
「レイアとはこんなに遅かったか?!」
「違う風月!俺達が早くなってるんだ!」
「影!居合抜刀出来るんじゃない?!」
そうか!
「ちぇぇい!」
簡単にタイミングが計れる
横倒しになったレイア
「乱舞も早くなってる!」
尻尾を斬り落とす
「なんだかよ!」
笑うセキエン
「うむ!弱いぞ!」
風月も笑う
「前より隙だらけに見えるよ!」
空舞する天音
「俺達が強くなったんだ!」
…………
10分程で狩り終えギルドに帰還
「ヤクシ殿に指導された事を数日繰り
返しただけで」
「こんなに強くなるんだな」
自分の手をマジマジ見るセキエン
「もっと続けよう、天音もやるか?」
「ハンマー…どうだろ?」
聞き耳を立てるハネナガ達
『ヤバい!!』
若手が皆ハンマーを持ってクエストへ
「ゴコク様、何企んでんだ?」
「フドウ、懐かしいと思わんゲコ?」
「吐きながら1ヶ月はやったなぁw」
無精髭を掻く
「春香なんぞはw」
笑うゴコク
「泣きながら走ってたw」
「じゃがそれを乗り越えたお前達は、
ベテランにも引けを取らんゲコ」
「確かになぁ、けどよ、ヤクシさんは教える
才能って言うとな」
「ヤクシはアメと鞭で言えば、鞭しかないゲコ」
「みんな脱落してっからな」
「お前達と春香はアメかw?」
「バレてんのかよw」
ベリオロスの時に道具を渡した事だ
「だけど良いのかよ?」
「何がゲコ?」
「他の里のヤツ鍛えちまって」
険しい顔になる
「うむ、そこはヒノエとミノトから一言あってな」
……………
「それはトガシとニシノのハンターを
強くする、つまりは他の里の戦力を上げると
言えるゲコ」
蝋燭の光の中、ギルドの二階
「僕も反対です、優位を失う危険があります、
バランスを考えましょう」
ウツシも反対する
「ヒノエ、ミノト、
考え無しには言わんだろう?何をもって
そのような考えになった?」
腕組みして聞く里長
「先ずはヤクシさんの鍛え方で成功しようが
失敗しようが」
「カムラの強さ、逞しさ、恐ろしさを伝える
語り部になりましょう」
「つまりは威嚇、威圧、更なる優位を保つ、
そう言いたいのだな?」
「はい、それが次期里長となればトガシには
効果絶大かと」
ニコッと笑うヒノエ
「それにあの二人には影君と天音に
仲間意識が出来ています」
ミノトは澄ました顔で
「うむ、その関係性が長く続けば…」
「将来的に里の争いにはなりにくいですね」
「試す価値はありそうゲコ」
…………
「って事ゲコ」
「へっ、若いってのは羨ましいねぇ、
裏切りなんて考えもしねぇ…
いや、考えられるタイプじゃねぇからか!」
「馬鹿は馬鹿で良いゲコ、
真っ直ぐ強くなれば良いゲコ」
…………
「いっちばーん!!」
ハンマーを背負ってるのに天音が早かった、
しかも笑顔が出る余裕がある
「な…なんで…」
倒れる影、ショックだ、天音に勝てない
まだ全然天音に追い付いてない
「我らも…いつもより…速いだろうに」
同じく倒れる風月
「き…今日は…吐かなかったぞ……
オロロロロロ…」
だいぶ遅れてセキエンが倒れる
「天音、何で速いんだ?」
「んーと…私なりの考えなんだけどね」
重い物持ってる時って両足で立ってる方が
安定するよね?
三人とも頷く
走る時はどうしても片足なの、だから不安定
また頷く
ただでさえ片足なのに、泥とか砂利の上で
普通に走ると負担が大きいの
「だから歩幅を抑えて回転を速くした方が
良いと思うの、遅くても疲れが少ないし」
小さい歩幅で砂利の上を走る、って言うか
滑る様に動く天音
「モンスターに追い付いても疲れて戦えない、
なんて事になったら意味無いでしょ?」
「むう、泥の中など全力で蹴って歩幅を
大きくしているが」
「装備無しならそれで良いと思うよ?」
「そうか!それが装備の練度か!
そのためにヤクシさんやらせたんだ!」
「あの人全部教えてくれれば早いのになぁ」
立ち上がれないセキエン
「影、セキエン、試してみたい事があるのだが」
「ふははは!やはり俺は早いのだ!」
色黒のガリマッチョが疾走する
「すげぇ早いな風月!」
ちょっと背の低い筋肉質
「うおー!待ってくれー!」
色白のちょいポチャ
インナー一枚で競争すると圧倒的に風月が早い
砂利も泥も気にならない、装備が無いと
足が埋まらない
しかし絵面的には屋外で、パンツ一枚で
笑いながら走る三人の高校生?
「何で男って馬鹿な事始めるのよ…」
……………
「裸で走るのは止めよう」
「む?なぜだ、影」
「あぁ、俺解るぞ?せっかく鍛えたのに
鈍る気がするよな」
「あのさ、その前にさ、私の前で装備脱ぐの
止めて貰える?」
睨む、しかもあの流れだと天音もインナーで
走る感じだった
「あれ、お前見慣れてるって」
「影はいいのよ!セキエンさんと
風月さんの話!他の人は見たくないもん!」
ギルドで話しているが
え?それはどういう意味?
影は見慣れてる?
実は全員聞き耳を立てている
「天音…」
困った顔のミノト
「なに?ミノト姉さん?」
「口の利き方に気を付けなさい」
「私何か言った?」
「いえ…解らないなら…良いです…」
首を振る
『おのれ影ィ!!』
闘魂を込めた目で見ているハネナガと神部、
ハンマーを持ってクエストへ
「ふむ、良い傾向ゲコ」
「こちらは上手く行ってるようだな」
「おぉ里長、全体のレベルが上がり始めたゲコ」
「一番下が走り始めれば、追い付かれまいと
全体が走りますからなぁ」
「影自身は天音に追い付きたいと必死ゲコ、
ヒノエはここまでタイミングを計って
天音の事をばらしたゲコ?」
「解りませんなぁ、ヒノエの考えは
誰も読めません」
笑う
「期を見て潮を見る…
習い覚えたモノではなく…感覚でしょうな」