呆然とした顔で帰って来た四人
「では各自、残弾数を報告しろ」
ゲンジ達は反省点を出し合い会議を始める
「反省?」
「どこに反省点があるの?」
「何を見せられたのだ?我らは?」
「5分掛かってないよな…」
「おう、お前ら理解出来たか?」
ニヤッと笑うヤクシに話し掛けられる、と
四人で首を振る
「だろうな、ガンナーでも相当なレベルだぜ?」
笑うと奥へ行ってしまった
団子屋で話し合う
最初に閃光玉を投げた、そこからは翼、牙を
順番に壊し怯ませ、頭に榴弾で気絶させ
斬裂弾で尻尾を斬り、回復したと思ったらまた
気絶、最後は罠を使い捕獲した
そこまでは四人共に理解出来た、
しかし狩りのやり方が解らない
ゲンジは指揮とは言っても何も指示して
いないし、お互いに合図も出した様子が無い
なのに各自が自分の役割を確実に遂行して、
ナルガに何もさせていないから回復なんて
必要なく、
攻撃が来ても予想の範囲らしく、
回避も位置取りのためだけ
どうやってんだ?
ヤクシの狩りが『ガチンコの殴り合い』なら
ゲンジの狩りは『一方的な蹂躙』
「何だ?お前ら暗いな、どうした?」
「フドウさん…」
ゲンジの話をするとフドウも見学させて
貰った事があるそうだ
「あのパーティーは間違いなくこの辺り
一帯で最強だ、けど何の参考にも
ならねぇからなぁ」
一人一人が熟練者のガンナーである上、同じ
クエストを何度も繰り返し徹底的にムダを省いた
言い方を変えれば
ソロでも狩りのムダを徹底的に削ぎ落とした
ガンナーが集まり、パーティーの狩りも
突き詰めた
「一発外したり装填のタイミング間違えた
だけで反省会だぜ?」
「組みたくない…ですね」
苦い顔の影
「俺だって組みたくねぇよ、ヤクシさんなら
理解出来るけどゲンジさんはな」
団子を齧る
「素人だからミスするって当然の話だろ?
それすら認めねぇし、狩りを『訓練』とか
『練兵』とか言うからな、誰も組まねぇよ」
「俺達はヤクシさんの方向で鍛えよう」
あれは多分ハンターの一つの到達点だ、
今の俺達じゃ無理だ
「うん、今更ガンナー出来ないしね」
真似しようにも理解なんて無理
「うむ、仲間にどうやって説明したものか…」
「狩りって色んな方法があるんだなぁ」
「ところで…なぁ?、いつまで翔虫は
禁止だと思う?」
久しぶりにソロがやりたくなった影
この三人に要領良く…などと言う考えは無くて
馬鹿正直にヤクシの教えを守っている
「む?ヤクシ殿が許可するまでだろう?」
「吐かなくなったし俺もレイアのソロやらないとな」
「あのさ、一回自分の強さ確認してみない?」
……………
ヤクシに許可を貰いソロへ行こうとしたが
「うむ、それでは近いと?」
「はい、弱いモンスターばかりですが…」
ウツシが報告している
「もしかして百竜夜行ですか?」
ウツシは一瞬『しまった!』という顔をしたが
「うん、どうやら近いみたいだよ」
セキエンと風月に聞かれたくなかった様だ
「セキエン、風月よ、これはカムラの問題ゲコ、
お主らは里へ帰るゲコ」
あくまでも笑顔のゴコク
確かに二人には関係ないが
「ちょっと待って下さい」
「うむ、仲間に聞いて来よう」
二人は連れの方へ
「何かマズイ感じですか?」
小声で聞く影
「うん、君の百竜夜行の力を見に来てる訳だし」
「見せたくないんですね?」
連れと話す二人を見る天音
「まぁ見せない方が何かと都合が良いかな」
「確実に参加してくるゲコ、事によれば影を
引き抜こうとするだろうしのぉ、
それに問題はケガでもされたら今後の関係に
ヒビが入るゲコ」
「責任回避のために説明しないといけない
ですね、僕はトガシとニシノへ
自己責任の確認を…」
「我等も是非、後学のために参加させて下さい」
セキエンの仲間が来た
「我々は若の護衛です、危険になったら退避します」
しゃべり方が全然違う、やっぱり何か
指示を受けてる
砦を守る責任は無いからいつでも逃げる訳か
「我らニシノも参加する」
「ぜひ風月を使って下さい」
「我らも危険と思えば撤退します」
「…だそうだ」
言ってる内容を理解出来てるか風月?
「うむ、しかしいつ避難するか分からない者
では任せられないゲコ、隅の方に居て貰う
事になるゲコ」
「構いません」
「ニシノもそれで」
「解ったゲコ、しかし里へは一報するゲコ」
その時
「ヤツが出た!!」
「大社跡にいたぞ!!」
ハネナガと神部がギルドに飛び込む
「何だ?どうした?」
「何慌ててんだ?」
お茶を飲ませると落ち着いた
「あのマガ?とか言うヤツが大社跡に居やがった!」
!!!
カムラのハンター全員の顔色が変わる、
恐怖ではない、里への侵入を許してしまった
事は恥であり復讐の対象なのだ
「ゴコク様!」
「どうする?!」
「俺にやらせてくれ!」
「俺がやる!!」
「うむ、戦力がわからんゲコ、つまり戦力を
計れる者…フドウ、どうゲコ?」
「願ってもねぇ…ありがとうございます」
一礼するフドウ、影は見たことがない、
フドウのこんなに怖い顔
「しかし先輩方を差し置いて俺が出るのは…」
「ゲンジやヤクシでは一方的に
殺しかねんゲコ、あくまでも『強さ』を測る
対応するゲコ、出来るだけ攻撃の手数を出させ
覚えて来るゲコ」
「解りました、春香!今日はガード出来る
武器にしろ!」
「お、おう!」
素直に言うこと聞くんだ…
イブシマキヒコの出現、
マガイマガドも出た…ならば
「全員準備待機ゲコ!」
…………
「ほらほら!遅いよ!」
「ぐっ!早いな天音は!」
天音の攻撃を捌けないセキエン
「どうした影!そんなものか!」
「盾持てよ風月!」
「木刀に盾はあるまい!」
風月に翻弄される影
タタラ場前で訓練、石段で休憩する
「影、天音、お前らって恵まれてるな」
セキエンの言葉に二人で?となる
「この年で結婚相手がい」
「そうじゃない」
風月の言葉を遮るセキエン
恵まれてる?お互いに13で親を無くして
自立するしかなかった
比べてセキエンは里長の長男で裕福だった
らしいのに?
「セキエンさんてお金持ちじゃないの?」
「俺達は13から里の手伝いで食い繋いで来たんだぜ?」
「解って無いな、俺は本音で言ってくれる
人が親父だけだった」
「ボンボンだからな、皆本気で怒れは
しなかったのだろう」
「お前らを強くするために周りは導いてるだろ?」
「そう…だね、普段の生活からして
鍛えられてるわね」
「あれ?そうだったのか?」
イジメられてる気分だったが
「皆本音でブツかってくれてるのが羨ましい
って言ってるんだ」
下を向く
「む?俺は本音で言ってるぞ?」
「お前のは悪意がある!」
「考えた事無かったな、毎日色々やらされて」
「私なんて教官の下で素材集めばっかりで」
「だからよ?悩んでる暇無かったろ?」
「いや、あるぞ?里守になったり」
「そう言えばミハバとナカゴも里守に
なったよね、何で?」
「四年前の夜行、何人も死んだからな…」
影と天音の両親も亡くなったあの戦いで、
萎縮した者は里守に、そうでない者は
ハンターになった
「そうなのか、でも周りはお前らを
強くしてるだろ?」
「考えてみれば…」
皆助言してくれるし聞けば全部説明してくれる…
ハモンさんと里長は謎かけみたいな所があるな…
ヤクシさんは…説明してくれてる?
「恵まれてるだろ?」
「私は姉さん達に保護されて」
家事をやりながら下働きして…
ヒノエ姉さんのイタズラに…
二人で首をかしげる
恵まれてる?けど…素直に喜ぶべきか?
「うむ、セキエンの意見とは違うが俺も
思う所がある」
?
「カムラの里には気分で適当な事を言う人間や
嘘を言う者が居ない、この里は常に臨戦体制に
あるからだろう」
腕組みする見た目だけならキレ者
「そうなのか?」
「普通だよね?」
「常に皆本音で話してるぞ?俺はそれが
羨ましいって言ってんだ、本気で怒って
叱ってくれる人が居ないと前の俺
(チュウニビョウ)みたいになるぞ?」
二人でヒノエを見る、いつもの場所で
ニコニコ手を振って来る
本音…気分……この人だけは読めないが…
騙されても結局自分のためになってる…か?
……………
「帰ったぜ!」
「おおフドウ!どうだったよ!?」
「首尾はどうゲコ?」
ギルドに帰ったフドウパーティー
「ヤツは?!」
春香が首を担ぐ
「多分慣れたら大した事ねぇな!」
防具に焦げ跡がある春香
「リオレウス程度だ!ラージャンには及ばねぇ!」
豪快に笑う大女
「また持って来たのかよw!」
「角と牙すげぇなw」
「空中で方向変えたりするぜ?」
「力でゴリ押すタイプじゃねぇ」
「トリッキーなタイプだったぜ!」
「フドウ!動きの注意点を報告するゲコ」
皆がワイワイ騒ぐ中
「なぁ、姐さんはどうして首狩って来るんだ?」
「そう言えば夜行の時にビシュテンゴの首
斬ってたような…」
「セキエンさん聞いて来れば?」
「やだよ、おっかねぇ…」
「うむ、心が折れる訳だな」
イスに立つと
「爆発すんだ!
それを空中で利用して飛びやがる!」
春香は笑いながら話す…
ギルドが盛り上がってて聞ける雰囲気ではない
影達はタタラ場前のヒノエの所へ
聞いてみると
「うーん、春香はねぇ、自分のルールを
作るのよ、そして固執しちゃうのよね」
四人で?となる
「つまり」
一度自分と戦いになったら最後、絶対に
自分からは退かないし敵にも退く事を認めない、
どちらかが死ぬまで諦めない
「それは危険過ぎますよね」
「ハンターとは違うんじゃ?」
「姐さんの恐さはそれか?」
「むぅ、素手でも強い訳だな」
「だから夜行でもモンスターが退くのが
気に入らないから、逃げ遅れたモンスターは
止めを刺すの」
「なんでそんなに…」
「春香さんの性格かな?」
「姐さんは凄ぇ覚悟で戦ってんだな」
「自分より強いモンスターだったらどうなるのだ」
「影君のお兄さん、照さんに憧れてた、
でも亡くなったから必死で代わりに
なろうとしたのよ?」
「………」
「だからソロは危険すぎてフドウさん達と
組ませたの、フドウさんは無理だと分かれば
即撤退、つまりハンターとしての正解を
選択出来る人だから」
「うむ、セキエンの言うことも納得出来る話だ」
「?」
「やはり若手を強くするため導いている」
「あら、風月さん鋭いわね」
ニコニコ笑う
「見ての通り百竜夜行に対応しなきゃ
ならないからよ?
この里には他人の足を引っ張るような人は
居ないわ、それは里の危機、更には自分の
危機になることを子供の内から理解するからね」
「この里は即一丸となって戦える…」
考えるセキエン
「やはり常に臨戦体制、カムラの力は個人は
もちろん、全体の力も強い訳だな」
腕組みする風月
天音だけが気付く、
普段の柔らかい話し方ではない
ヒノエは会話一つでさえこの二人に隙を
見せないし、圧力を掛けている
要約すれば
『カムラは仲間を絶対裏切らない、
やるとなれば全員が戦士になる』
と脅している…
これが大人の世界か
たまには真面目な話も書く