神楽舞   作:天海つづみ

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生きて帰る

「なんだよ…アイツ来ねぇな…」

イライラしている春香

 

あれから数日、ギルドが何とか稼働を

始め若手のパーティーが数組で動いている

 

里に接近し過ぎたモンスターだけ集中的に狩る

 

「なぁ!?セキエンはよ!?」

影と天音、そして春香がテラス席にいる、

ドン!とテーブルを叩く春香、眉間にシワが…

 

 

「れ!連絡ないし分かりません!」

冷や汗でこう答えるしかない影、

自分だったら恐くて来れないよなぁ

「フクズク飛ばして貰ったらどうですか?」

苦笑いの天音

 

「春香、イライラしねぇで仕事しろ」

まだ狩りには出られないフドウが諫める

 

「ちっ!…こっちからトガシに乗り込むしか…」

「やめろ春香!大問題になる!」

 

ブレーキ役がフドウさんしか居ない

ゴコク様はまだ立てない、まだまだ掛かる様だ

 

「失礼する」

一礼しながら入る風月

 

「風月!そのカッコは?」

立ち上がる影

風月が装備をつけているって事は

 

「うむ、また一緒に狩りをしたいし、

ウツシ先生にも会いたいしな」

 

「そっかぁ!じゃあ…ミノト姉さん!

何かある?」

春香の不機嫌から逃げる口実が出来た二人

 

 ……………

 

 

 

 

大社跡 キャンプ 採取

「実は狩りに来た訳ではないのだ、

二人に話をしたくてな」

 

「え?どうしたんだ?」

 風月が話?

「風月さんが相談?」

 そんな事出来るんだw

 

「うむ、実はセキエンがニシノに来てな、

俺の家に居るのだ」

 

「え?!なぜ?」

 

「セキエンの話によるとだな」

 

 

 

 …………

 

 

 

 トガシ 里長の屋敷

「親父殿…ただいま戻りました」

 暗いセキエン

 

「おうセキエン、カムラの反応は

どうだった?もっと米は必要そうか?」

 

「食糧の備蓄もしている様で緊急性は

無いようです」

 

「そうか…まぁ急ぐ事もあるまい…?」

まるで幽霊の様なセキエンに違和感

 

襖を開けると弟が出て来る

「兄上、その包みはなんです?」

 

 

 

 …………

 

 

「と言うことでオニギリの話となり…」

 

「風月…順番に話すのは助かるんだけどな」

 苦笑い

「だから…何でニシノに行ったの?」

 こっちも苦笑い

 話を要約出来ないだろうか

 

「うむ、つまりな」

風月の話を要約すると

里に帰ったセキエンはオニギリの事を

聞かれ、春香さんに手渡された事を告げた、

 

カムラの若手最強であり、いずれは最強の

ベテランになって行くだろう春香さん

 

トガシの里長は考えた、春香さんを嫁に

貰えばカムラの弱体化とトガシの強化、

一挙両得 一石二鳥

 

セキエンに春香さんを『連れて来い』と

里から送り出した

 

セキエンは知っての通り春香が恐い

 

カムラにも来られずトガシにも戻れず

ニシノへ行った

 

「あまり長く居られると邪魔でなw」

要するにセキエンを匿ってるとニシノの

立場が悪くなるのだろう

 

「かといって当人同士の問題だよなぁ」

俺に出来る事なんて

 

「違うよ影、カムラとトガシ間の問題になるよ?」

 

「里長の耳には入れとくか…」

 

「あとゴコク様ね」

 

「よろしく頼む」

 

 

 …………

 

 

 

「うむ、春香が嫁に行くのは喜ばしいw」

「むしろ貰い手が見付かって良かったゲコw」

まだ付き合うかどうかの段階なのに

嬉しそうな二人

 

ギルドの二階、すんなりと話が進む

「あの、春香さんはカムラの大事な戦力では?」

 

クスクス笑いながらヒノエが

「春香を過大評価し過ぎよ?確かに

個人的な力はあるけどね」

 

「そうだ、お前も居るし」

「他の連中も成長してるゲコ」

 

「セキエンさん自身恐がってるし…

どうなるんだろ?」

天音は思い出す、二人のファーストコンタクト、

ヤツカダキの頭を担いだ大女

 

「うむ、そこはセキエン次第だな」

「断る勇気があるとは…思えんゲコ」

 

「面白くなりそうねぇ」

両手を頬に当てて明らかに楽しんでいるヒノエ

 

この感じ…外堀が勝手に埋まって行く感じ…

俺は天音だったから良かったが…

 

 セキエン…

 なんだろう…

 この『友を戦場へ送り出す』感じは

 そして友を心配するのと同時に

 

 面白がっている自分も居るw

 

 …………

 

 

 

 

 次の日

「失礼します…」

 まるで元気が無いセキエンが来た

 

「うおお!主役の登場だぜぇ!」

「良く来た!お前は男だぜぇ!」

ハネナガや神部、フドウ達が

バシバシ肩や背中を叩く

 

「うむ、敬意を持つべき男だ」

後から風月も入って来た、何とか連れて

来た様だ

 

ギルド中が囃し立てる中、

もう一人の主役が近付く

 

「よ、良く来たな、

ちょっとあっちで待っててくれ」

春香が横を向きながらテラス席を指差す

やはり照れている

 

皆に促され座ると春香は二階へ、

何かを持って来るのか?

 

「なぁ…影…俺どうしたら…」

青い顔を向けるセキエン、

ぽっちゃりがゲッソリに見える

 

「断るならハッキリ言ったほうが…」

コソコソ耳打ちする影、

カムラの里長まで乗り気なんて言ったら…

 

「まぁ恐いよな?だったら自信を持って言えよ?」

フドウ達にも察してもらえた

 

 

「それしか無い…よな…」

恐い…けど…

今までモテた事が無かった、だけど遂に

到来した『モテ期』

体型もあってトガシでもモテなかった俺に、

空想の産物と思っていたモテ期が来たんだ

 

 姐さんは嫌だ!

 

 言うぞ!断るんだ!

 

 俺は昨日の俺を越える!

 断って強い男になる!!

 

 

 

 

「トン」

 階段から音がする

 

 

「トン」

 全員が見上げる

 

 

「トン」

その余りの迫力に絶句する一同

 

春香はレウス装備からミツネ装備に変えて来た

そう、まるで花嫁衣装のアレである

 

「トン」

角隠しを被る春香、そもそも春香は顔は

普通レベルである、

しかし体が…筋骨隆々でゴコクとフドウを

同時に担げる程、

ただでさえデカいのに頭の装備で2メートル近い

 

「トン」

 

纏う空気が里長とか、どこぞの鬼◯隊の

岩の人とか、『お前』を『うぬ』とか言う

北斗◯拳のソレ

 

そんな体格に更に白を基調とした膨張色

 

花嫁衣装とは清廉と純潔、慎ましさの

表れであるはず、

決して恐怖を助長するものではない

 

 

 

 ないと思っていた

 

 

 

暗黒面に落ちた、どこぞの真っ黒な

ジェ◯イの騎士のテーマが流れそう

 

 

 

 こっ、恐ええっ!!

 (一同)

 

全員が無言で道を開ける…冷やかしもヤジもない

 

 なぜか

 『ゴゴゴゴゴ…』

 と効果音まで聞こえて来る

 

 テラス席まで来ると

「…どう…だ?」

 照れている春香

 

「………」

小刻みに震えるセキエン、

まるで怯えたブンブジナ

 

 一同固唾を飲んで見る

 ナニコレ?何で一触即発の雰囲気なの?

 

「どうだ?」

顔を上げる春香

 

「おいセキエン、何とか言え」

フドウが言う、春香がイライラし始めて

いるのを察した

 

 

「テメェ…」

「ヒッッ!!」

春香が近付くとセキエンは小動物の様に

飛び上がり後退り

 

「アタシがココまでやってんだぞ!

何か言う事ねぇのかよ!」

壁に追い詰めたセキエンに

「ドン!!」

 

 

 

 壁ドン

それは二次元のイケメンに許された行為、

現実だと事案になる…

 

 通常は男がやる…

 花嫁衣装の女が?

 えーと…

 

情報量とツッコミ所が多過ぎて

ギャラリーが思考停止しているなか

 

「もうミノト、もっと早く知らせて

欲しかったわw」

ヒノエが入って来て足を止めた

「あら?…んー?」

首を傾げて

 

 天音に小声で

「…脅迫現場?」

 

 いや、告白現場のハズ

 

 

 

「きっ!」

 ?、セキエン?

 

「きっ!!」

 言えるのか?がんばれ!!セキエン!!

 

「キレイです!姐さん!!」

 

 

 

 

 そう言ったセキエンを誰が責められようか

 

 

 

「そ、そうか?へへ…」

顔を隠し身をくねらせ照れる春香、

その姿は女らしいが2メートル越えではなぁ

 

 

 ………

 

 

 

 

「大丈夫かなセキエンさん」

 影の打ち込みを捌く天音

 

 タタラ場前で訓練

 

「自分次第だよなぁ、ちぇぇい!!」

「よっ!!」

「ガシッ!」

 木刀が削れる

 

「天音は早いな、次は俺がやる」

盾も持つ風月、あの防衛戦から何か

考えが変わったらしい

 

 セキエンは春香に

「今日からアタシとペアだ」

 と言われクエストへ

 (断れないわなぁ)

 

一応フドウさんから作戦を与えられた、

それは『弱くなれ』

情けない姿を見せて春香さんの評価を

落とせ、って事である

上手く行けば良いが…

 

 

 

ギルドに戻ると丁度クエストから帰った

セキエンと春香

 開口一番

「コイツダメだ!」

 

 おぉ!フドウさんの作戦大成功!!

 

「ビシュテンゴ程度で何にも出来ねぇよ、

情けネェ」

よし!良かったなセキエン!

 

しかし

 

「アタシが支えてやらねぇとダメだコイツw」

笑いながらセキエンの頭を撫でる

 

 セキエンはフドウを見ると

 アイコンタクトで

『違うじゃん!話が違うじゃん!!』

 

 フドウは拝み手で

『すまねぇ!www』

 

「団子屋行くぞ」

 春香に手を引かれ出ていくセキエン

 

 

 

 全員が無言で見送る

 

 

 

「フドウさん、何か逆効果じゃないですか?」

 

「あぁ、予想外だったぜ影…なぁ?

ラージャンに攻撃されるのと求愛されるの

どっちが恐い?w」

 

「ひっでぇwww!!」

「そんな風に思ってたのかよw!」

「モノの例えだw」

 ギルド中が大笑い

「うむ、様子を見に行こう」

 風月を先頭に若手も出ていく

 

 

「なぁ天音」

「ん?」

 二人でテラス席へ

「やっぱり…あの二人みたいな行動って…

カッコイイよな」

 

「また照さん思い出したの?」

 

「ん、俺も…やっぱり」

英雄になりたい自分もいる

 

「うん、私もカッコイイと思うし、女なら…ね」

 

「なぁ、何でカッコ良く見えるんだろう?」

 

「んー、損得なしで命を掛けるから

カッコイイんじゃないかな」

 

「じゃあ…」

 

「待って、影はダメだよ?」

 キッと見つめる

 

「何で?」

 

「たしかにカッコイイけどさ、

私は生きて帰って来る方が大事だと思うよ?」

 

「生きて…か…」

 

「うん、そりゃあヒーローに比べたら

地味だし人によってはカッコ悪いかも

しれないよ?

けどいつ死ぬか分からない人とは…さ」

 

「そうだよな」

 天音を悲しませる…か

 

「それに…影は十分カッコイイんだからね?」

 

「そうなのか?」

 

「私が居なかったら里中の娘が寄って

来たと思う、だって指揮してるんだもん」

 

「そ、そうか?」

 里中の娘…

 

「…ムカつく!」

 

 自分で言って怒るなよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




捕捉、春香のモデル
ハンターハ◯ターのビ◯ケ
(ゴツイ正体の方)
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