「やっぱりヤクシさんの訓練って凄いんだな」
ナルガを難なく倒して来た影、確かに
強くなった自分を実感出来る
「ヒノエ姉さんの教え方もね」
こっちは苦戦しながらもレウスを倒した、
明らかに腕力が上がりムダな動きが減った
「新しい技も覚えないとな」
「掛け声もねwちぇぇいw」
「笑うなよw」
久しぶりに二人だけの時間、
天音は嬉しい
時雨だった頃は毎日こうしてダベってた
「うむ、順調に行っておるゲコ」
「ゴコク様」
「もう立てるの?」
何とか杖を突き一人で立っている
「ようやく一人で歩く練習ゲコ、ベテランの
居ないなかご苦労だったゲコ」
フラつきながら若手に礼を言う
「安心して寝てて良いんだぜゴコク様」
春香が支えようとするが
「春香、お前にも苦労をかけたな」
「へへっ、今はアタシにも頼れるヤツが居るしな」
セキエンを見る
「…は…はは…」
感情無く笑うセキエン
からくり人形かよw
…………
水没林、サブキャンプ
「オサイズチ…アオアシラ…ヨツミワドウ…」
モンスターの特徴と名前を覚える花梨
「影とか他の連中ヨツワミドウって言うぞ?」
トウジが教えている
「なぜ影様はそのように?」
「間違って覚えるヤツ多いんだ、
天音なんか今でも適当に言うしな」
「間違ってもよろしいのですか?」
「ハンターはともかく俺達隠密はダメだ、
情報は『正確』じゃないと里の危機に繋がる」
「分かりました、なるべく正確に覚えます」
「ん、花梨は物覚え良いな…それに比べて…」
「ホラ!懐に入れ!」
ウツシの指示で動く風月、
ナルガの脇腹に位置取る
尻尾を振り回すと
「ぬっ!?」
反射的に横に飛ぶ、と思い切り尻尾をくらう
「中心に居た方が安全だ!」
ウツシの指示通りに出来ない風月、
反射神経が良いがモンスターの攻撃に対応
した方向へ回避出来ない
「ぬううっ!」
もう一度飛び込む風月
「風月はヘンな癖の矯正しなきゃなダメだな」
二人で見下ろす
「風月め…頭悪かったのか…」
「お前は風月恨んでるって?」
風月だけ呼び捨てするし
「はい…でも命令でやらされていた
だけかも知れません」
「お前は歳の割に考え深いな」
「考える時間はイッパイありました」
…………
「春香!お前はパーティーぬけるんだな?」
「おう!セキエン居るしな」
「フドウさん復活ですか?」
「おう影、鈍った体戻さねぇとな」
「あの…ちょっと聞きたい事が…」
ギルドの隅に行くと小声になり
「なんで春香さんがあそこまでセキエンに
ゾッコンなのか分かります?」
フドウは見ていなかったが影達から
何があったか聞いている
バリスタを二人で守った事
避難させるためイブシマキヒコに
立ち塞がった事
「春香は『守られる』ってのがなぁ」
頭を掻く
「?」
ニヤリと笑うと
「春香は守られ慣れてネェし、誉められ
慣れてネェ、女扱いしてくれるのが
嬉しかったんだろうよ」
「あぁ…」
納得する『キレイです』か
「影、お前気をつけろよ?」
「何をですか?」
「女なら誰にでも優しいのは良いけどよ、
女の嫉妬は恐いぜぇ?」
「?」
「影様!」
「花梨お帰り、訓練どうだった?」
「翔虫の扱いとか移動方法は卒業だそうで、
明日から武器の訓練です」
「凄いなぁ花梨は」
「えへへ」
照れる花梨
離れて聞いている天音の湯飲みに
ヒビが入りそう
(このバカ、今言った意味分かってネェw
まぁ面白ェから良いけどなw)
「花梨は影様と天音様のパーティーに
入りたいです」
「そのためには何か得意な武器
…って言ってもなぁ」
花梨に扱える重さ…俺は片手剣を両手で…
「天音、双剣片方貸し…」
天音から黒いオーラ…
(やっぱり面白ェwww)
「皆、見て貰いたいモノがあるゲコ」
ゴコクが巻いた紙を持って来た
皆集まる
?
テーブルに広げると
「おお!!」
「この前の!」
「スゲェ!」
広げた大きな紙、その中心に50年前の絵、
そして上にイブシマキヒコが描かれている
「あんまり暇だったから描いたゲコ」
なるほど雲も描いて百竜夜行を見下ろす構図
こうして後の時代に情報を伝達するのか
「ゴコク殿、これは何ですか?」
最前列で見る花梨、夜行の奥に顔だけ
描かれたモンスターを指差す
「マガイマガド…そうじゃな…」
懐から紙を取り出すと
「ミノト、筆をくれい」
ものの1分でサラサラ描く
「こういうヤツゲコ」
「見たことあります、体から火が
出ているヤツですね?」
「知ってるゲコ?!」
「見たことあんのか!」
「もっと居るのかよ!」
「花梨よ、どこで見たゲコ?」
「最近高い場所で良く見ます、
平地や川辺にはあまり来ません」
「そういや俺も見つけたの奥の岩場だった」
ハネナガも同意
「うむ、花梨、助かるゲコ」
ニコッとして照れる花梨、人と
関われるのが嬉しいらしい、人の役に立つ、
誉められる事が無かったからだ
「影様、天音様、この青いデッカイのは
この前のですね?」
「あぁ、イブシマキヒコって名前だ」
「…………」
「?、どうした?」
「あの…黄色いのは描かないんですか?」
屈託なく見上げる花梨
……???!
「今何と言ったゲコ?!!」
目を見開くゴコク
「花梨!どういう事だ?!」
「えっ?……?」
ビクッとする花梨
「他にも居るのかよ?!」
「何だ?!黄色?!」
「マジかよ?!」
「誰か!里長を呼ぶゲコ!!」
…………
「黄色い…同じ形のモンスターが居るのだな?」
只でさえ恐い里長の顔が更に
「…は…は…はいっ…」
雰囲気に呑まれる花梨、
カタカタ震えながら影の腕にしがみつく
のんびりとした集会所の雰囲気は無くなり
張り詰めた空気、
それが全て花梨に向かっている
周りの大人が怒ってるのが恐い
天音は察すると
「花梨ちゃん、
皆怒ってる訳じゃあないのよ?
真剣なだけだからね(怒)」
なぜ影の腕に…ピキピキ
「…それは…いつ頃見たのだ?」
「はいっ!…3ヶ月位前…かと」
「…………」
考え込む里長
「どうしたゲコ?」
「百竜夜行の頻発時期と…いや、偶然か?
…調べてみよう、ギルドは通常運営を」
「了解したゲコ」
「誰か竜宮砦へ行かせろ、
全員常に鍛えておけ!」
…………
「花梨ちゃん、何で居るの?(怒)」
笑顔の天音、顔がひきつる
大社跡の河原を歩く三人
「トウジさん達が任務で行って
しまいました、ウツシ殿は風月ばかりで
花梨に教えてくれる人が居ません」
「教えるって言ってもなぁ」
武器…持てるか?とりあえず
「花梨、とりあえずコレ背負ったまま
走ってみな?」
花梨の背中に片手剣と盾を固定する
すると難なく走れる
13と言えば天音は防具を着けて歩く
事から始めた
花梨は既に出来るようだ
「花梨!そのまま外周一回走って見ろ!」
花梨スゴいかも
「はい!」
……………
「里長、何かあるゲコ?」
二階の座敷
「ゴコク殿、恐らくは…」
里長は巻物を広げて見せる
「かつて大社跡にあった文明を脅かした
『ひゅるりと』これが風、つまり
イブシマキヒコとするならば…」
指で文章をなぞる
「文明を崩壊させた『ゴロリと』
これが同型の黄色だと…つまりは雷」
さらに別の巻物を広げる、
モンスターの特徴が文章で書かれている
「イブシマキヒコと同型、黄色、そして
『ゴロリと』の雷、ならばこの
『ナルハタタヒメ』になるかと…」
「ふむ、暫くはミノトの様子にも注意
した方が良いゲコ」
「では…」
苦い顔になる里長
「あの二人が昔からココに住んでいる理由、
『住まわされて』いる理由は知らないゲコ、
しかしヒノエがイブシマキヒコの接近を
知らせる『装置』とするなら…ミノトにも
何かあると見るべきゲコ」
「先人達はそれを知って里に住まわせた…か」
「ミノトはいつも通りゲコ、
今のところ心配ないゲコ」
…………
「うっ…うぐぅ…ひぐっ…」
泣きながら帰って来た花梨
「どうしたんだ!」
「あぶっ…あぐぅぅ…」
「花梨ちゃん、落ち着いて、何があったの?」
落ち着いた花梨に話を聞くとタマミツネに
追いかけられたそうだ
「森に逃げても良かったのに」
「だっ…だっでっ…外っ…はじれっでっ…」
また泣き出す
どうやら影と天音の言った事は絶対らしい、
臨機応変が出来ないタイプ
「ゴメンな、言葉が足りなかった…」
頭を撫でる影
ピキピキ…
私だってまだ頭ポンポンしてもらった
事無いのに!!
とにかく基本的な体力はあるらしいが、
片手剣を片手で振れる力は無いし盾で
ガードなんて全然出来そうにない、
両手で片手剣を振る花梨
「!」
「!」
「気付いたか天音?」
「うん、分かった」
足が早くて片手剣を両手…
風月と同じタイプだ…つまり
…………
「なるほど、じゃあ今の内から正確な
訓練してみよう、トウジが調査行ってるしね」
風月のように変な癖がついたら勿体ない
「お願いします」
三人で一礼する
「風月も基本の素振りまで戻したし
丁度良いよw」
笑うウツシ、結局風月は自分より速い
モンスターには何も出来ない事が分かった
「コミツちゃんみたいにスゴいと良いですが」
「?、天音?コミツがどうした?」
「あれ?影は知らなかったのかい?
コミツは天才で僕は驚いちゃってね」
「言われた事いきなり全部出来ちゃって、
教官腰抜かしたんだよw」
「あの娘はそんなにスゴいんですか…」
花梨は歳上だが体格は同じくらい
「頑張ります!」