「風月!いけるか?!」
「飛ぶと面倒だ!」
リオレウスが上空からブレスを吐く
「回避っ!」
叫びながら転がる影、風月も転がるが
「熱っつ!!」
溶岩洞、
左右を溶岩に挟まれた一本道で戦う二人
「大丈夫か!?」
「地面で髪が焦げたぞ!」
回避の方向まで考えなきゃならない
「やりづらい!!」
「まったく面倒だ!!」
…………
「どう?感触は?」
隣のエリアで待機していた天音
「うむ、決して戦えない相手ではないな」
強がって余裕がある振りをする風月、
長い髪が…
「天音、ここって本当の敵は地形じゃないか?」
汗を拭う影、段差で何度も落ちて疲れた
「そう!大社跡の方が楽なのよ!」
ちゃんと理解してる!
「じゃあ次は私も参加するよ?」
…………
「討伐成功ですね」
ミノトがサインする
「ほっほぉ!リオレウスを共同撃破か、なら
今日から影も中堅として働くゲコ!」
「中堅…実感ないですね…」
ソロではないし、天音がほとんど攻撃
してるし、何より閃光玉を大量に…
「む、実感?影は出世が速すぎるからか?」
「風月?、俺早いのか?」
「早いだろう?俺はハンター四年目だ、
影はまだ半年経ってないのだろう?」
「思い返してみるゲコ」
ウツシ教官に基礎教わって…
正式にハンターになってから…
合わせても半年と少し?
「早い…?」
兄貴は13からハンターやって…
四年でヤツカダキ…
「あ、早いのか!!」
「今更気付いたゲコ?」
首を傾げるゴコク
「何の話?」
天音が団子を持って来た…
ってクエスト前も食ってたような
「影の出世の話だ、早いだろう?」
「あー、あれ?そっか、
正式にハンター初めてから…」
ゴコクに向き直ると
「もしかして歴代最速とかですか?」
「いやいや、最速はウツシがおるゲコ」
さすが教官
「リオレウスまで教官はどのくらいですか?」
「そうじゃなぁ…」
過去の記憶をたどるゴコク、
何年(何十年?w)前なんだろうか
「…基礎を含めても一月位ゲコ」
「ぬを!さすが先生!」
「速すぎるわ」
「やっぱり天才って言われたんだろうな…」
フザケてるように見えても…
俺はまだまだ
「風月ぅっっ!!」
花梨が集会所に飛び込んで来る
「何でお前が先に卒業なんだ!!」
相変わらず風月にだけは口が悪い
「フン、仕方なかろう、俺は基礎無しでも
ハンターをやっていたしな」
子供の威嚇で動じるハズもない
威張る風月
「しかも影様と一緒にぃぃ!」
怒りながら悔し涙を浮かべる花梨、
その頭を後ろから撫でるウツシ
「花梨、君は今アオアシラが目標だよ?
それに体をしっかり造る事も必要だよ?」
「うぐうぅぅ…」
「花梨ちゃん、風月さんは前から
組んでるのよ?w」
笑顔の天音、しかし内心は
(悔しいか?悔しいだろうw)
「なぁなぁ花梨ちゃん、卒業したら
僕と組まないか?」
「そうそう、俺達は色々教えられるぜ?」
「影よりも俺達のほうがハンター長いんだぜ?」
神部達、旧ミノト派が団子を持って来る
「花梨は影様と組みたいですっ!!」
ムカムカしている
(おのれ影!!花梨ちゃんまで!!)
(ううむ、影は自分に鈍感ゲコ、自分が
照以上の存在になりつつあるのにのぉ)
もしも天音が居なかったら里中の
女子にモテたはず
まぁそれはともかく
「タイシも基礎やっとるし、そろそろ
ヨモギとイオリもどうじゃろうウツシよ?」
「そうですね、先に武器を使ってしまい、
移動方法さえ…」
話し込む二人
「風月、今日はこれからどうする?」
「む?レウスは狩れたが道具が減ったのでな」
ウツシが横から
「じゃあ風月、一緒に採取に行くかい?」
「先生のお誘い、ありがたくお受けします」
…………
「花梨ってすげぇな!」
見習いのタイシ
「ホントに言った所にある!」
アオキノコを採るヨモギ
「何か法則とかあるとか?」
イオリも含めて三人が採取する、
武器防具は無い
「道の真ん中はモンスターとか人が
歩くから素材が無いの」
大社跡、
花梨がリーダーになって教えながら歩き、
最後尾をモンスターに警戒しながら歩く
ウツシと風月
「だから崖の下とか日陰、エリアの端っこ、
見逃しやすい所に素材が多いんだよ?」
地面を指差すと
「逆に道の真ん中に何か生えてる場合は、
最近モンスターも人も来てない場合なの」
「おお!!」
感心する三人
「僕が教える事が無いや」
「採取に関しては先生より上ですか?」
「生きるタメに必死で見付けてきたからね、
感覚的に分かっているレベルだよ」
「むぅ、まぁあれだけでは足りないでしょうな」
「?、風月?」
「?、なんです先生?」
「アレって何だい?」
「盗んだモノですが?」
「?、君は花梨を叩いてきたんだよね?」
「そうですが?」
…………
ハモンの工房
「良い値段で売れるしなぁ」
「だけど防具のタメには残しておかないと」
「影よ、レウス装備を作ってみたらどうだ?」
さすがにアシラ装備に限界を感じて
ハモンに相談する二人、余った鉱石を
売って資金にして…
「レウス装備…」
「良いんじゃない?」
「うん…」
前に比べて一回のクエストの報酬が上がってるし
正直高いけど
「うん、お願いします」
「分かった、明日の夜までに作っておく」
相変わらず表情が少ないが、
決して機嫌が悪い訳ではないハモン
世の中には天音のように感情が顔に
出やすい人と、
ハモンさんのように出にくい人がいる
(さらに里長の様に周囲の状況に合わせ
感情を変える人がいる、が、影にはまだ
理解出来ない)
俺はどう見られてるんだろ?
どのタイプが正解なんだろ?
兄貴は感情出てるタイプだよなぁ
まだ無意識に照と自分を比べてしまう影
「影君、見ていきませんか?」
向かいから声を掛けてくるカゲロウ
……この人は例外…
自分の表情を隠そうとしてるとか?
一通り終えて集会所に戻ると雰囲気がおかしい
全員が花梨を凝視している
「………」
黙っている花梨、その手には皿に団子が三本
問題は差し出した団子の相手
それは風月
なんだコレ?
思わず天音を見ると首を振る
花梨派の人達は歯軋りをするように
凝視してるし…
小声で
「…フドウさん…なんですかアレ?」
こっちも小声で
「俺も分からねぇ、影、お前聞いて来いw」
「イヤですよw」
アレは何かしらの地雷では?
花梨が
「借りを作ったままだと気分悪い」
皿を突き出す
「フン、俺は貸しだと思っていない」
拒否する風月
少女が背の高いイケメンと揉めているが、
花梨がなぜ恨んでいる風月に?
ほぼ全員が影を見てくる
『お前が聞けよ』
無言の圧力が凄い
えぇー?(汗)……仕方ない
「花梨?どうして風月に団子を?」
「影様、…その…風月は花梨を叩いて…
庇ってくれていたらしいのです」
「???」
全員の思考が止まる、
えーと、何言ってんだ?
叩いて庇う???
「僕が説明するよ」
ウツシが戻って来た
「風月は確かにコソ泥の花梨を叩いていたんだ」
「折檻しろと言われましたから」
椅子をウツシに勧めて
「だけど叩くだけで食べ物を取り返した
事は一度も無かったそうなんだ」
「取り返せとは言われませんでした」
憮然としている風月
…え?泥棒を追いかけてるのに
取り返して無い?
「風月、なんでだ?」
思わず影が聞くが
「?だから取り返せとは言われておらんぞ?」
…そうだ、風月はこういうヤツだ
叩けと言われたから叩いていたんだ、
その先の捕まえるとか取り返す
発想が無いんだ…
いや…そうして庇っていた?
「それにな」
呆れた様に話す風月
「腹が減っているから干物を取るのだ、
取り上げたら飢えて死んでしまうかも
しれんだろう?」
「あぁ、少しは見逃してやったってそれか」
納得する影と天音
こっ…この男にっ!『気を使う』などという
高尚な感覚があったのかっ!!
ゴコクをはじめ全員が内心驚く
………なるほど、風月なりの優しさでは
あった訳だ
それを花梨は知ったのか
「だから…借りを…」
うつむく花梨
「分からんヤツだ」
拒否する風月
「俺が叩いた代わりにお前は
喰えたのだろう、貸し借りなどなかろう」
ピンと来た天音
「ねぇ風月さん、もしかして露店の
焼き魚の店から…」
「む?花梨はその店からも盗っていたぞ?」
「ならあのオジサンに返せば
良いんじゃない?」
「あ、それ良いかもな」
影が言うと
「影様、それが良いのですか?」
団子を置くと
「ニシノの里は許せません」
「花梨、許せないのは花梨の里を見捨てた
ニシノの『偉い人』だろ?風月や他の
人達まで恨む事はないだろ?」
考える花梨
花梨派は胸を撫で下ろす、風月に
気がある訳ではないようだ
「勝手に盗って食べたら店の人は困っただろ?」
膝を曲げて話す影
「代金を払わないと…ダメ…」
うつむく花梨
キチンと躾をされているため、自分の罪と
罪悪感を理解している
「ではニシノへ行って代金を支払います、が…」
花梨は駆け出しのために金はほとんど
持っていない
「それならウサ団子を持って行くゲコ、
後はキチンと『ごめんなさい』と言うゲコ」
「じゃあ…風月、団子あげない」
「うむ、それで良い」
少し笑顔の風月
花梨が風月を見る目は前ほどキツく
無くなったようだ
え?…むしろ見つめあってね?
花梨の立場だったら惚れるぞコレ?
え?なにこのイケメン?
腹立つんですけど?
風月は素直で真面目ではある、しかし
必ずしも命令に従っている訳ではない、
自分の思考がそのまま行動になっている
天然で自分勝手に動くクセに妙に
カッコイイのだ、
健康的に日焼けした長身、長髪イケメン、
強さもそこそこ、行動はヒーロー的
これで金持ちならモテる属性フルコンボ
それを言葉1つでそれら全てをブチ壊している
花梨派が風月を睨む、悔しくて歯軋りしながら…
しかし神部だけは表情が分からない
(なるほど、こういう時表情が
分からないって便利なのか)
妙に納得する影