神楽舞   作:天海つづみ

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「ちょっと!離れなさいよ!」

「イイじゃーん!」

「……」

 

朝、家の前で待っていた七海、

いきなり腕を組んで来る

 

すると、負けじと天音が反対側へ

 

 両手に花ではあるが…

 

 視線が刺さる…

 

 

 つらい…

 

 

俺が『そっち』説は消えたが…

この視線は耐え難い、ミハバは白い目で

見てくるし、

カゲロウさんとヒノエ様さえ無言

 

 

 …つらい

 

 

「やぁやぁ!影さんモテるねぇ!」

ヨモギは冷やかすが

 

「ずるい!花梨も腕組みたいです!」

 

やめて!これ以上敵作りたくない!

 

「アレぇ?チビッ子、

アンタもコイツ好きなのー?」

 

「私は!…私はっ!影様のっ!!」

真っ赤になる

 

「え?それともアンタ、

コッチの趣味もあんのー?」

俺の顔をまじまじと見る

 

「ナンノコトデショウカ?」

やばい、言葉一つ間違えただけで

『そっち』や『あっち』になりそうだ

 

あれだ、こんな時は無だ、無になるんだ

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「何でアタシはダメなのよ?」

「男を探しに来たのではないのか?」

ゴコクと話す七海

 

「アタシはアイツ(影)が良いのー!」

「じゃから影には天音がな…」

「それの何が問題なのよ!」

 

何だか話が噛み合わない

 

 

「……もしかしてじゃが…妻が複数居て

当たり前とか思っとらんゲコ?」

「そうじゃないわよ?欲しいモノは

奪い取ってナンボでしょー?」

 

「それほど影が気に入ったか…」

「あれで顔が良くて背が高かったら

完璧だけどねーw」

 

 

「略奪するつもりか…」

「自由すぎるのな…」

「やっぱり他の里の育ちだ、価値観が解らねぇ」

ヒソヒソ話す若手達

 

「何で影ばっかり…」

 苦い顔のハネナガ

 

「僕も指揮が出来ればな…」

 神部も居る

 

「泥棒猫…」

 天音

 

「………(色即是空)」

 無になる…

 俺は空気だ…

 

「花梨ちゃんだけでも腹立つってのに…」

ムカムカしている天音の眉間にシワが…

花梨は命の恩人である影と天音の言う

ことは基本的に聞くが、影に関する事だけ

がコントロールできないタイプ

 

そして七海は自由過ぎて誰も抑えられそうにない

 

「天音、影が裏切ったら俺の所においでw」

「いや俺の所に…」

 

そんな言葉は意に介さず

「泥棒猫になんて絶対に盗られないんだから」

「ガシッ!!」

影の腕を掴むとクエストへ

 

 

 

「泥棒猫…か…」

神部が考え込む

 

 

 

 …………

 

 

 

「あのさぁ…」

ジト目

「待て、言いたい事は解る」

水没林のキャンプ

明らかにムカついている天音を宥める

 

「何でハッキリ言えないのよ?」

 

「い、いやお前と夫婦だって知ってれば

普通諦めるだろ?」

これ以上の説得があるか?

「天音にも俺が居るから誰も手を

出さないわけだろ?」

 

「んー(濁点)!むかつくー!」

 力一杯双剣を研ぐ

 いや、ケガしそう…

「影はモテるんだからね!気を付けてよね!」

 

 

 いや、どうしろと?

 

 

 男としては…ね?

 

 

 アレですよ?

 

 

 ある意味理想だったりしますよ?

 

 

 こんなハーレムな流れは……

 

 

 

 ねぇ…

 

 

 

その後ナルガクルガを狩ってみるが

「ホラ!そこで蹴って!上から突き刺す!」

なぜか兜割を教えられる

 

「相手良く見て!」

「タイミング遅い!」

「弱点狙わないでどうするのよ!」

 

あれ?見透かされてる?

凄い厳しいんだけど?

 

「顔がユルんでる!」

 

嘘だろ?女ってドコ見てんだ?

 

「今笑ったでしょ!」

 

 

 鬼嫁w…

 

 

 

…………

 

 

 

「やっと帰って来たー」

「影様!」

ギルドに戻った途端に二人に腕を掴まれる

 

「ちょっとチビッ子ー、邪魔しないで」

 見下ろす

「貴女こそ!影様は花梨と天音様のモノです!」

 反対側から見上げる

 

「二人とも離れなさいよ!!」

 

「?、チビッ子、この娘(天音)と自分のモノ?」

 

「はい、花梨は二番目で良いのです」

「良くないわよ!」

 影を中心に三人が…

 

「……チビッ子、意味解ってる?」

 

解るハズもない

 

ギャイギャイ言う三人から逃れると

 

「影!」

神部達に呼び止められ取り囲まれる

「なんですか?」

「これを見ろ」

神部が変なモノを持っている

黒い三角の…何だコレ?

 

「?、布??」

手渡されると竹の細い棒が不自然に丸まり、

三角の黒い布が二枚付いている

「何ですコレ?」

 

神部達は腕組みすると

「猫耳だ!」

 

 

 

「………は?」

今何て?

 

「だから猫耳だ」

 

「……えーと…」

なに言ってんだ?

確かに猫族の耳を模しているようだが…

 

「花梨ちゃんに着けてくれ」

みんな真剣な顔

 

「え?自分で頼んだ」

「俺達が頼んだら変態だろう?」

食いぎみで詰め寄るラングロ仮面

 

 じゃあ俺は何なんだ?w

 

「頼む影!」

「この通りだ!」

「団子奢る!」

「マカライトやるから!」

十人ほどに頭を下げられる

ソコまでするか?

するほどのことか?

 

「花梨」

影が呼ぶと素直に来る

「何ですか?」

普段は大人、特に男には距離を取るが

影にだけは近付く

 

「ちょっと動かないでくれ」

「はい」

これまた素直に聞く花梨

「装備取らなくても着きそうだな…」

カチューシャ状の猫耳を何とかしてみる

 

 

 『うらやましい』

花梨派にとってこの光景は…

花梨は人に触れられる距離まで絶対に

近付かないが、影とウツシ達には気を

許している

影が頭を触り捲っているのに

警戒もせずに目を瞑る

 

「コレでいいのかな…?」

やっべ!似合う!

 

「何ですかコレ?」

猫耳を触る花梨

 

無言で何度も頷く神部達

 

「影、これもだ」

黒いモフモフな尻尾まで

 

「花梨、着けてみな?」

「はい」

素直に腰の後ろに着ける、

ワイヤーが入っているため床に付かず

絶妙に曲がり揺れる

 

「尻尾ですねこれ?」

尻尾を見ようとクルクル廻る花梨

 

その姿、その可愛らしさは…

 

「おぉ……」

「完璧だ…」

「神々しい…」

「尊い…」

「後光が見える…」

「カムラの宝だ…」

「俺の理想を形にした様だ…」

感動の声を漏らす花梨派

まるで最初から体の一部であったかの

ような自然さに涙を滲ませる良い大人

 

大丈夫かこの人達?

いやね、俺も自分の中で何かに

目覚めそうだけど

知らん性癖が芽生えそうだけど

 

「ちょっと影」

天音に引っ張られる

「なにコノ世界、ヤバくないのー?」

七海にも

 

確かに

 

現代で言えば13才(体格10才)の美少女

猫耳コスプレを取り囲むオッサン達である、

若い女性には恐怖であろう

 

なぜ男は集まるとバカな事を考えるのだろう

新たな世界が広がりつつある

 

「どうであった神部?」

ギルドに入って来たハモン

「完璧です!流石ですハモンさん!

方針が決まりました!」

 

 つまり?

「ハモンさんが作ったんですか?」

「新しいモノは取り入れる、

そうせねば退化するからな」

いやハモンさんの考え方は良いと思うよ?

けどね、方向性がね?

ハモンさんは止める立場じゃないの?

 

なぜかその後神部達は、

誰もやりたがらないオロミドロの

クエストを受けて出て行った

 

ギルドとしては助かる結果になったらしい

 

「オロミドロって長いヤツだよな?」

夜行で見てる

「私はまだ行かせてもらえないから

強いハズだよ?」

 

「ニシノでも嫌われてたかもー」

 

 

 

 

「上手くやってくれたゲコw」

小声でニヤケるゴコク

「渡りに船だったなw」

同じくハモン、二人で笑い合う

 

「停滞していたクエストが一気に

処理できそうです」

クエストの書類を持つミノト

 

どうやらオロミドロのクエストは人気が

無いために、どうやってやらせるか考えていた

 

そんな時、花梨に猫耳を作ってくれと

神部から言われ、『しめた!!』となった

ゴコクとハモン、

女性用のオロミドロ一式を猫っぽい

デザインにして神部に見せたそうだ

 

「お二人共に流石ですね」

ニコッと笑うミノト

 

「こうでなければな…」

「ギルドの運営は出来んゲコ」

 

男が自分の趣味に走る時の力、人から

見れば実に下らない事に使うエネルギーは、

男である二人は良く知っている

 

 

 …………

 

 

 

「ヤツカダキですか…」

「私は構わないよ?やってみたいし」

 

「どうした影?浮かない顔ゲコ」

二人でならチャレンジしても良いと言われた

 

 

「俺…ヤツカダキだけはソロでやりたいんです」

「なぜゲコ?」

「一人じゃ私も無理だよ?多分」

 

「何て言うか、ヤツカダキが…えーと…

ヤツカダキにソロで勝てたら…

兄貴を越える?…的な?」

考えながら喋るが、

気持ちを上手く言葉に出来ない

 

「うむ、お前の中で目標になっているゲコ」

 

目標…なのか?

 

「…うん、影のやりたい事は

邪魔したくないよ?じゃあ止めよう」

ゴコクに向き直ると

「二人で許可貰えるクエストはどれですか?」

 

「そうじゃなぁ…」

 

ラージャン、ティガレックス、

ディアブロス以外なら許可が出た

 

「やってみたいクエストあるんだ」

「?」

「ジンオウガやってみないか?」

 

 

 

 

 




花梨のモデル
公式のカムラ装備の女性を
10歳辺りにして、
黒い耳と尻尾を付けた感じ
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