「どうであったフドウ?」
「まぁ、軽く脅しておいたぜ?」
小声で話すゴコクとフドウ
「狙いは影ゲコ?」
「いや、よく解らねぇから軽く睨んだけどよ、
やっぱり小娘だなぁw」
あの程度でガクブルとはな
しかしフドウには自覚が無いだけ、
本気になったら恐いのだ、
ヤクシが居るため自分は優しいと思っている
ギルドに帰って来たが暗い七海
「あの様子なら変な気は起こさないゲコw
もしかしたらお前を狙った、かもしれんと
ヒヤヒヤしたゲコw」
「?、何で俺なんだ?」
フドウは、あくまでも影とカムラを守った
つもり、ゴコクに期待されていることは
知らない
「どうしたよ?暗いな?」
ハネナガ達が七海を中心に輪を作る
「え?あー、アタシ弱いなぁって…」
笑顔を作るが、前より不自然
「?、フドウさんと狩りに行ったんだろ?」
「当たり前じゃね?」
「最強レベルだぜ?」
「ベテランと変わらないよな?」
これだ、アタシの認識が甘かった、
若手が言う『強さ』とその先にある
『強さ』が別次元だった
「何か七海さん変だな」
「ちょっと影ィ?」
七海を気にする影を怒る天音
「もしかしたらフドウさんと何かあった
んじゃないか?」
「影の気にする事じゃないじゃない?」
でも確かに変だな、あれだけ邪魔してきた
のに…って暗いな
フドウさんとくっついてくれたら良かったのに
「で?今日もジンオウガやる?」
「あぁ、でも夜まで待たないか?」
「………光ってるの見たいんだ…」
「だ、ダメか?」
「……良いけど…そこからは私の指示聞く?」
真剣な顔
「あぁ、もちろん」
いや、普段からそうじゃね?
「じゃ晩御飯何作る?食べてから行こ?」
二人は必要な道具を買って、ウツシにも
コツを聞く
「うん?ジンオウガをわざわざ帯電
させたいのかい?」
「だったら三回目辺りのチャージの時に
落とし穴かな」
「光ってるのを見たい?」
「あぁ、照君の話で…」
丁寧に教えてくれる、けど解った、
ウツシ教官がモテない理由、
話がしつこいんだ、いや、生徒の事を考えて
るのは解るんだけどね
「チャージ?って言ってたな」
団子を食べながらブラブラする
「ジンオウガって自分で電気起こして
ないんだってさ」
空いてる手を繋ぐ、自然に出来る様に
なったが、まだ少しテレる
「そうなのか?」
なんと発電器官が無いらしい
「だから雷光虫を呼んで帯電して、んーと、
強くなるっぽいよ?」
「凄いな、虫で…」
周りにあるもの全部使う、ハンターと
変わらないな
「ん?そうか、俺達が戦った状態って弱いのか」
「そうだよ?強くなるの黙って見過ごす?w」
なんだか昼にこうしているのも久しぶり
…強くなっていくなぁ
…前は同じ様に歩いてたけど
…気付いてないなぁ
…影が三歩で歩くところを私は四歩に
なってること
「ん?少し歩くの早かったか?」
「!、!!!」
気付いた!
しっかりと腕を組む
「?、どうした?」
「何でもー!」
嬉しくてしょうがない
「あれ?」
「どうした天音?」
いつもの場所を見ると七海がヒノエと
話している、そこへ行くと
「貴女が政略結婚目当てで来たのは皆が
知ってる事よ?」
座ったままニコニコ話すヒノエ
「はい…」
アタシのやってた事なんて、所詮
『ごっこ遊び』だった…
「どうしたんですか?」
「姉さん、何かあった?」
「ほら、正直に言いなさい」
「あ、あの、ごめんなさい」
天音に頭を下げる七海
「?」
何が?
「フドウさんに言われたみたいなのよねw」
カムラに偵察に来る人間は多い、しかし
最低限の警戒だけで追い出す事はしない
(セキエンや風月が良い例)
しかし今回ばかりは一応夫婦である影に
近付いた、花梨は既にカムラの住人である
ため自由だが、七海はそうは行かない、
だからフドウは怒った…
そしてフドウから言われたのだ
「ヒノエ様、すまねぇけど七海のフォロー
してやってくれ、あんな小娘に
…つい怒っちまった」
「あらぁ、じゃあウサ団子で
手を打ちましょうw」
というわけだ
「本当は影君に気があるフリしてた
だけなのよね?w」
「そうなのおっ?!」
驚く天音
「えええっっ!!?」
っとリアクションしたい影だが、
天音が怒りそうで抑える
あぶないあぶない
「相変わらず鈍い娘ねぇ、本気で奪うなら、
影君に防具なしで腕組んでるわよ?w」
清々しい顔でエグい事を…
このモデル体型で…
幼さなど微塵も無く…
更に立派な二つの柔らかい例のアレが直に…
ゴクリ…
イカンイカン…
無表情になるんだ俺!
「あ、あのー、少しは影って良いなーとは
思ってたんだよ?」
「いきなり有力な人に近付いたら
疑われるからよねw」
全部見抜いているヒノエ
ホッ…
自信を失うところだ…
「影!」
睨む
ビクッ!
いやその、全く興味がなかったか?
と問われたらねぇ
俺だって男ですよ?
天音に比べて大きい例のアレには期待
してしまう自分も居るわけですよ?
色々な想像が出来るじゃないですか
「今『残念』とか思ったでしょ!!」
胸ぐらを掴む
「思ってない!思ってないって!」
今解った、世の中の男が嫁に勝てない理由、
女は鋭いんだな
「天音、面白いけどそこまでにしなさいw」
七海に向き直ると
「影君と天音の邪魔をしないなら居ても
構わないし、政略結婚でも
良いんじゃないかしら?カムラとニシノが
争いになりにくいもの」
一歩踏み込む
「でもね?自分の意志はどうなの?
誰でも良いの?」
真剣なヒノエ
「アタシ…………」
考える七海
「アタシ恋って分からないんだ…」
「「「ええっ?!」」」
三人共に驚く
まさか19で人を好きになった事が無い?
「だから報酬さえ貰えたら良かった
ハズなんだ…」
何だか別人のように暗い顔
「言い寄ってくる人居なかったの?…」
ヒノエは困り顔
慈海の孫だからか?
原因は慈海の教育によるもの、女としての
幸せよりも損得勘定で考えるように
してしまった
「誰か気になる人は居ないの?」
「気になるー…てのが何だか分からない
んだけど、カッコ良いかなーってのなら…」
「それは誰?」
「あの…フドウって人…かな」
手をもじもじさせる
「「「!!!」」」
「ふ、フドウさんのどの辺が?!」
「小太りだし髭も適当だし!」
オッサンだよ?!
「あらぁ、フドウさん?」
これは困ったわねぇ、いずれギルドマスター
になって貰いたいのに
早速噂になる
ギルド
取り囲まれる七海
「フドウさんのどこだよ?!」
「どこがカッコイイんだよ!」
「腹が出たオッサンだぜ!」
「オメェらが考えてる事が良く解ったぜ
バカヤローども!!」
凄い騒ぎとなる
若手にとっては羨ましくも腹立たしくもある
考えてみてほしい
年下、19歳、現代で言えば元陸上部辺りの
健康的な長身美人、しかも胸には
大きな夢が二つ…
そんな娘が入社直後に30過ぎのオッサンに
持っていかれた、
しかも、しかもだ、
七海の方からとくれば当然
「フドウさん!何言ったんだ!」
「どうしてモテんだよ!」
「こんなアレなオッサンが!」
「オメェら!!一回黙れ!!」
しかし誰も口には出さない、こんな状態
でも気を使っている、
フドウの頭がアレな事を
小声で
「なぁ、フドウさんの頭の事…」
「皆触れないようにしてるよね」
「誰がバラすんだろw」
「ヤクシさんとか?w」
コソコソ話す影と天音
「あ、あのさ…」
七海の言葉に全員が一斉に黙る
「何か…カッコイイなって思っただけでさ、
そ、そう思ってる自分に気が付いたらさ、
な、何て言うの?…こ、こんな感じ初めてで…」
真っ赤でうつむき、手をモジモジさせる
そう、世間一般ではそれを恋というが、
七海には分からないらしい
「何でこんなオッサンに…」
「どこを見習えば…」
「腹か?腹なのか?」
頭を抱える若手達
「だからどの辺がカッコ良いんだ?」
ハネナガが聞くが
「え…その…」
顔を両手で隠し
「見たら解るじゃん…」
(いや、見て解らねぇから聞いてんだが?)
「完全に恋だな…」
「乙女フィルターってやつか…」
「欠点がみえなくなるってやつだな」
「そういえば二人で狩りに行ったよな?!」
「まさかその時?!」
「無理矢理かよ!見損なったぜフドウさん!!」
「何もしてネェ!!俺が一番驚いてんだぞ
バカヤローども!!」
「七海よ」
ゴコクが来た
「フドウが好きならそれで良い、
しかしお前は自分の意志でカムラに来た
訳じゃないゲコ」
うなづく七海
「そっちを片付けるゲコ、この意味解るな?」
真剣な顔
「…はい」
七海も真剣な顔になる
「あー、スパイの事か?」
「!」
ハネナガの言葉にギョッとする七海
「他の里のヤツだしなぁ」
「ま、当然だわな」
「セキエンと風月よりは考えてたなw」
「いや、あの二人は何も考えて無かったぜw」
「フクズクは囮だってなw」
「なんだー、全部バレてんじゃん…」
「七海よ、良ければ内容を話すゲコ」
慈海に言われた事を話す七海
一つ、政略結婚目当てであること
二つ、有力者をニシノ引き抜くこと
「アタシ裏方として育てられたけどさ、
こんなこと話したらもう終わりだねー」
苦笑いの七海
「なぁに、どうせ慈海殿の思惑の内ゲコ、
政略結婚についてはカムラとしても歓迎ゲコw」
「引き抜きについてはどうなんです?」
「最悪フドウさんがニシノに行く事に
なったりしてw」
影と天音が口を挟む
「ふむ…それはなぁ」
困るゴコク
口に出して良いものか?
次期ギルドマスターに据えるつもりを…
「話の最中か?入るぞ?」
里長がギルドに入る、
皆が道を開ける
「七海よ、お前はどうしたい?
有力者を引き抜きたいか?」
「アタシが…どうしたいか…?」
「ここなら慈海殿の目も届くまい?
好きに決められる」
「好きに…」
首を傾げる
「引き抜きは容認しかねる、
だがお前の意志はどうなのだ?」
アタシの意志…
「うむ…ヒノエの睨んだ通りか…」
腕組みする里長
「…なるほどゲコ」
うなづきながら
「躾も行き過ぎると自我を無くしてしまう
からのぉ、恐らく長い間訓練漬けだったな?」
「!、それじゃあ今まで全部演技だったのか?」
「嘘だろ!それって出来るモノなのか!」
ざわつくギルド
「教育も行き過ぎるとな、何が自分か
分からなくなるらしいゲコ」
フドウの背中を叩くと
「お前が怒ってやった事で、自分を
取り戻したようゲコw」
ニヤリと笑う
皆が不思議そうにしているが
「皆、分からないか?」
里長の言葉に注目する
「七海の表情が変わっただろう?」
言われてみれば
明るくて笑っていた七海は…
言い方は悪いが暗くなった
「こちらが本当の顔のようだな」
いや、前の方が好感が持てた
皆が黙る、色々な思いがあるが
「まさか…そうか…表情さえも
教えられた事だったのか…」
フドウが七海を見る
「…常に笑って、質問には答えて…
そうすれば、どこに行っても怪しまれずに
組織に潜れるって…」
うつ向く
他にも歩き方とか体のラインの強調の仕方、
話し方、仕草、目線の置き方、
男性への触れ方、食器の持ち方、
暗号の出し方、セクハラには冗談で答える…
等々
「そんなにかよ…」
「何か逆に可哀想だぜ…」
「今まで自分を押さえつけてたのか…?」
「いや、自分を出すってのが分からないんじゃ…」
「自由が無かったのか…」
「そこにフドウが現れたのだ」
里長がフドウの肩に手を置く
「俺ですか?」
「七海は殻から生まれたばかりの
雛鳥のようなものだ」
里長はニヤリと笑うと
「お前の色に染めるのもアリだろうw」
そう言うと出て行く
「……………?」
え?なんだ?どういう意味?
数秒遅れてフドウが真っ赤になる
「あ?どういう意味だったんだ?!今の!!」
「七海はお前に任せると言ったゲコw」
予想通りサンブレイクの体験版が来ましたので、
書いてた部分を更新していきます。