「面白かったなw」
「照れてたねw」
天音に手伝って貰い弁当を作った七海、
ギルドでフドウに食べさせる事に成功した
「あ、あの、コレ…」
ギルドのテラス席、うつむき、
オドオドしながら差し出す七海
周りには冷やかされたが
拒む事も無く黙って受け取り食べるフドウ、
それを黙って見ている七海
朝っぱらから緊張感みなぎる状態
誰一人声を上げないし…
「ごっそさん…旨かった」
そう言うと立ち上がるフドウ
「…」
悲しそうな七海
何かリアクションがあっても良いのに、
他に何も言わない
「…ダメだわ、我慢出来ない」
天音が
「フドウさん、七海さんは一生懸命
作ったんだよ?それだけなの?」
「あ、あー、その…なんだ…」
顎を掻くと離れて行く
「もう!信じられない!」
「いいの…」
「良くないわよ!」
キレイに食べ終わった竹篭の器を見るハネナガ
正直羨ましいが
「おい、これって梅干しの種じゃねーか?」
?、それが?
「フドウさん梅干し大嫌いだぜ?」
「フキの煮物も嫌いだぞ?」
「ってか漬物もほとんど食えないんだぜ?」
それって…
「……………」
赤くなる七海
全部食べてくれた
「…フドウさんらしいやw」
苦笑いの影
「ゴメン七海さん、私知らなかった」
こっちも苦笑いの天音
弁当を片付けて
「…いいのよ」
満足そうな七海、
フドウの優しさは伝わっている
二人は少しだけヒノエの気持ちが解った
不器用な男女
初々しくてチョッカイを出したくなる訳だ
「ハッキリ言えないのよね男って」
「良く分かってるなw」
「四年も男やってたしw」
笑いながら溶岩洞に到着…と
「影様!」
飛び出て来る猫花梨
ちっ!
心の中で舌打ちする天音
まだこっちが居たよ…
「あれ?採取の途中だったのか?」
「はい、ニシノへ持っていく
ダンゴ代にしませんと」
「ここのモンスター強いだろ?」
「はい、雑魚と戦う事もダメだと
言われましたw」
あぁ、普通なら溶岩洞は許可しないからなぁ
でもおかしい、
普通クエストは重複しない、
なぜ花梨の採取と俺達のクエストが?
「ミノト様のミスか?」
「恐らく…花梨に時間イッパイ
くれたんだとおもいます」
詳しく聞くと、花梨はまだまだピッケルが
扱えなくて鉱石を掘れない、
だから落ちている鉱石を拾うしかない
隈無く歩き回れるように限界まで時間を
伸ばして貰えた様だ
話す二人を見る天音
あれ…背が伸びて来てる…
子供から…女になっていく…
「影!行くよ!」
なんかムカつく!
「おう!じゃあ花梨、気を付けて帰るんだぞ?」
「はい!」
翔虫で飛んで行く
「虫の扱い上手いよな」
「んー、でももうすぐ並みになっちゃうわよ」
「?、何で?」
「体重軽かったから虫の消耗が少なかった
らしいのよ、大きくなったら…」
「そうか、お前に追いかけっこで勝ってたのは」
「そういうこと」
…………
「すげぇっ!!」
思わず声を上げる、飛んでいる
リオレウスの尻尾を蹴り、駆け上がって
空舞した天音
「出来たぁ!!」
尻尾からレウスの背中を斬り上がり、
頭までキッチリ入れた
「ビダァン!!」
地面に墜落するレウス、ジタバタもがく
その横にヒラリと着地する天音、
無駄な動きが無く流麗
「おおらぁ!!」
兜割りを頭に当てると吹き飛ぶ甲殻
「グガルルル…」
よろけながら立ち上がる、
と飛んで行ってしまった
「あんなこと出来るんだな!」
「上手く出来たよ、尻尾が近くだったしw」
研ぎながら
「もしかしたら太刀も届くか?」
「でも一回斬れる程度かもよ?」
「双剣ってすげぇな…」
空中に対応出来るなら閃光玉の消費が少ない
「やりたいなら教えてあげるよー?」
ニヤリ
「う…考えとく」
天音が師匠になるのはどうだろう
「…なぁ?リオレウス何度目だ?」
「私は今回で六頭目だよ?」
「やっぱり慣れなんだよな」
「それが一番大事だしw」
何とか倒し里へ帰ると
「ちょっと、いくらなんでも…」
「ダメですか?」
ヨモギと花梨が話している
「どうしたんだ?」
「影様」
ニシノへ謝罪に行くためにダンゴを買おう
としているのだが
「いくらなんでもウサ団子100本は
多すぎるし、時間掛かるよ?」
困り顔のヨモギ
シラタマとキナコも落ち着かない、
いくら毎日餅を衝いても一度に100本は…
想像する…100本?
重くね?
「なぁ花梨、どうやって運ぶんだ?」
「風月に運ばせようと…」
いや、どうやって?こんなデカイダンゴを?
というか風月との仲は改善した訳じゃないのか?
ほんとに風月にだけはキツイよな
「ねぇ影、一つ思い付いたんだけどさ」
「?、なにを?」
「上手く行ったら…」
…………
「ありがとうございます」
お礼を言う猫花梨
「なぁに、お安い御用だ」
相変わらずビシッとしたロンディーネ
天音の思い付きはロンディーネの船に
乗せて貰う事、
里長に話すとロンディーネに相談して
貰えた、すると二つ返事で引き受けてくれた
手漕ぎの舟とは段違いの速度で進む帆船、
まさか本当に乗せて貰えるとは
「すっげぇ速い!!」
喜ぶ影
「うむ、高さも全然違うな!」
船の造りに感心する風月
いつもの舟に比べたら天と地ほどの差がある
「遠くまで見えるー!」
望遠鏡を貸してもらった天音
「………」
そして緊張している七海、
話を聞いてついでに乗る事にした、
慈海に報告とケジメをつけるためだ
「花梨殿、その格好は猫族を模しているな?」
「影様が着けてくれたんです」
耳を触る
ロンディーネは此方を見ると
「ハッハッハッ!なるほど、影殿は
自分の性癖を隠さないと見えるな!」
毅然としたいつもの口調で
「ち!違いますよ!頼まれただけなんですw」
あぶない、また誤解される
「花梨、嫌なら取っても良いんだぞ?」
何で外すの?という顔で
「花梨はコレ気に入ってますよ?なぜか
神部さん達が色々お世話してくれるんですよ?」
…それって絶対下心あるよね?
『あっち』の方の
天音が
「花梨ちゃん、あのね?神部さんには…
距離を置く…っていうか…」
説明しづらい、花梨にどうやって説明したら…
「なぜですか?この前は装備一式まで
花梨にプレゼントしてくれましたよ?」
まさかオロミドロ一式?
「ウツシ殿にまだ使うには早いと言われて、
仕舞ってあります」
「神部殿がか?!」
風月が声を上げる
「…なるほど、童女趣味の者が居るのか」
ストレートだなロンディーネさん
「花梨殿、そういった輩には愛嬌を
振り撒いておけば、無限に搾取することが…」
子供に何て事教えるんだこの人w
「………あの」
久しぶりに七海が口を開く
「私も…その…耳を着けたらフドウさんに…」
「大丈夫!そんなことしなくても!
ちゃんと伝わってるから!」
苦笑いの天音
長身、細身、モデル体型、
しなやかな動き、大きなアレ…
そこに猫耳と尻尾か…
ほほぅ、これはまた…
「影っ!」
「ギクッ!」
「今何か考えたでしょ!」
想像するくらい良いじゃん
…………
ニシノの里
「ごめんなさい、これお詫びです」
頭を下げる猫花梨
「このお嬢ちゃんがあのコソ泥なのかよ!」
驚く露店のオジサンや、その他の住人達
汚い浮浪児が…こんなに可愛らしく
大風呂敷の大皿に大量のウサ団子
「…………」
影達は顔を見合わせる、
ニシノの人達の反応が薄い、
ダメか?
「…こっちこそすまなかったな」
オジサンは頭を掻く
「こんな子供にここまでさせるとはな…」
「俺達も大人気無かったな…」
「団子は有り難く貰っておこうぜ?」
「ありがとよ、お嬢ちゃん!」
「カムラの名物だって?」
「食おうぜ?」
集まってくる
「うまいよ嬢ちゃん!」
「おい!一人で一本食うな!」
「一つにしろ一つに!」
「ちょっ!俺にもくれよ!」
「お前は何か盗られたのかよ!」
ワイワイと食べるオジサン達、
皆笑顔で花梨に笑い掛ける
伝わった!!
「うぐ…うぶぅ…うぶぇ…グスッ」
辛かった四年の思い
「花梨ちゃん、良かったね」
天音が抱き締める、天音にしがみつき泣く花梨
「良かったな花梨」
頭を撫でる影
「うむ、この件は落着したな」
腕組みする風月、振り返ると
「あとは…」
「…うん」
顔を上げる七海
自分の在り方にケジメを付ける
………
慈海の屋敷
「手紙の報告の通り、好きな人が出来ました」
正座で頭を下げる七海
影達は外で待機、風月だけが後ろに控える
老人達は面食らう、
この前は無礼で馴れ馴れしく遠慮が無かった、
今は礼儀正しく清楚な態度、まるで別人
「そうか…それで任務はどうするのだ?」
表情が変わらない慈海
「あの、任務…任務より…その…」
少し震える七海、怖いのだ
任務に背く処分だけではない、
言葉一つ、
あと一歩で過去の自分と決別してしまう、
今まで学び、鍛えられたニシノの
七海が消えてしまう
本当にそれで良いのか揺れている
「その好きになった者の名は?」
「はい…フドウと」
「うむ、まだ30辺りでありながら
最強レベルと聞いておる」
満足そうに頷く慈海
上手く運んでいる事に安心する老人達
「…で?いつ頃ニシノに連れて来れる?」
「…………」
「どうした?」
「……それは…」
任務に背いてはいない、しかし…
裏切る事になるだろうか
考える七海
どうする…当たり障りの無い答えなら、
またニシノに(過去の自分に)戻れるだろう
だけど今は…
全部捨ててフドウに…
一歩
たった一言が重い
静まり返る
「?、フドウ殿の意見もあるのでは?」
風月が沈黙を破る
「風月、お前は黙っておれ、七海?どうなのだ?」
感情無く聞く慈海
「私は…」
震えている
どうする?
どうする?
選択は天秤に!
どちらがニシノに有利になるか考えろ!
最後に勝つ方を選べ!
過去の自分に言われる
だけど!
「これからは…あの…自分で決めたいです」
震えながら土下座する七海
もう…戻れない…
「それでは何のためにカムラへ行かせたか…」
「任務を放り出すのか!」
「七海よ、どうした?」
「お前らしくもない!」
騒ぎ出す老人達
お前らしくもない?
私らしさとは何だ?
カムラで言われた自分の意志とは?
今それが…分かった
暗くて臆病で震えながら土下座してる
コレがアタシだ
本当のアタシだ
「なるほど、本当に恋をしてしまった
…そうじゃな?」
慈海は淡々と言う
「はい…」
「良いだろう」
「慈海殿!」
「それでは目的が!」
「目的の半分は達成出来るかも知れんしな、
ワシらは急ぎ過ぎたかも知れんな」
ニンマリ笑うと
「七海よ、お前の行動はニシノにとって、
今の所は損にはなっていない…続行せよ」
立ち上がり七海の目の前に座ると
「ここまでは里を預かる者としての意見、
今からはお前のじいちゃんとしての意見じゃ」
顔を上げる七海
「惚れたなら逃がすなw絶対に捕まえろw」
サンブレイクやってると
こっちの更新が遅い遅い