性癖と現代風刺
「ついに…」
真剣な顔の神部
(仮面で分からないが)
「あぁ、出来ている」
相変わらず機嫌の分からないハモン
神部達数人がハモンの工房へ集まった、
数日前からオロミドロを狩猟しまくり
必要素材をかき集めた、
そう、目的はアレである
そして遂に完成したのだ
「これだ」
ハモンは完成したオロミドロの兜を見せる
「おおおっ!…お、…おぅん?」
その兜に半数程が怪訝な顔
「どうしたのだ?」
「これは…」
「なぜに…」
「いや、これはこれでアリだろう?」
「いやいや、やはり鉢金と
カチューシャタイプが至高では?」
「いやいや…」
モメている
「神部、何か違うのか?」
「はい…この兜のイメージが現在の
状態と違いすぎると」
確かに今はカムラの装備の鉢金に
カチューシャの猫耳である、
フード型に納得出来ない者が半数いる
「ハモンさん、もうちょい…」
「花梨ちゃんのイメージが…」
兜を手に取ると耳を撫でながら
「あの娘の柔らかさって言うか…なぁ…」
確かにメカメカしい
花梨のイメージとは少し…なぁ
しかし一方では
「これはこれでアリだろう?」
「このメカっぽさの良さが解らんか?」
「カッコ良さってのもアリだな…」
花梨派の中でも意見が別れる所の様だ
「ま、まぁ一旦置いておきましょう、
ちなみに他の部位などは…」
こそこそ話すラングロ仮面、
通りの行商人や住人が不審な目で見てくる
「うむ、これだ」
ハモンが後ろから出して来たのは脚の
…これは!!
「おおおおおお!!!」
手に取り眺める
「これは至高!!」
「この面積!!」
「解っていらっしゃる!!」
「流石です!ハモンさん!」
通りを気にせず大声を上げる不審者達
単純に花梨が成長期のため調整可能な
部分を増やしたら、
結果面積が減っただけだが、
神部達の反応は良好
全員が満足気である
「ふむ…お前達は単に面積が少なければ
良いのか?」
流石に困り顔のハモン
急に冷静になり
「何をおっしゃいますか」
「花梨ちゃんにそんな事させません」
「花梨ちゃんに恥ずかしい思いをさせるなど…」
「我々の本意ではありません」
首を振る
「どうもお前達の考えが良く解らんな…」
腕の装備を出すと
「うわあああ…」
「無い!これは無い!」
「ハモンさん、これは違うよ」
出てきたのは大型の手甲に爪が付いたモノ
「うむ、猫らしいはと思わんか?」
「いや猫だけど!」
「猫っぽいけど!」
「確かに猫の手かもしれませんが!」
「無いわぁ!花梨ちゃんにこの爪は無いわぁ!」
「ハモンさん、我々の花梨ちゃんに対する
イメージとは…どこかでズレています」
神部が力説する
「やっぱり年齢の差か…」
「感性が…」
「…しかし…脚は良いのだろう?」
「はい!もちろん!」
(即答)
ハモンだって男である、女性のキワドイ
装備の魅力などは当然解っている、
それに対して熱く語るバカヤロー共を
散々見てきた
しかし
『カワイイ』の概念が若者とは違うし、
範囲が広すぎる
単に面積の問題ではない
先ほどのメカっぽさが許せる派、
許せない派など、現在は多様性の時代なのだ
そしてハモンはロ○コンではない
そう、
『紳士』なるものを理解出来ないのだ
距離を置いて愛でる
決して触れてはならない
不快にさせるなんて論外
(周囲はその限りではない)
などの神部達の暗黙のルールなど知らない
「…お前達は…この先花梨を嫁にしたいとは…
思っておらんのか?」
「…嫁?」
「なぜです?」
「あの尊い花梨ちゃんを嫁にするなど…」
「畏れ多い…」
真顔で答える
カムラは少子高齢化になるかもしれない
「お前達は花梨が好きではないのか?」
「見るのが好きなのです」
「好きですが…俺なんて…」
「花梨ちゃんに告白など…」
「…むぅ、なるほど、お前達は単に
度胸が無いだけではないか」
グサッと刺さる!
その言葉一つでヨロける者までいる
(ナレーション)
一つ断っておくが、花梨は食料不足による
成長障害で10才位に見えるだけである、
実際は13才であり、この世界なら将来を
誓い合う相手が居ても決しておかしくはない、
現に影と天音は17で夫婦である、
とにかくこの話は合法であるモノとする!
「あの尊さを失う行為など…」
頭を抱える神部
「あのなお前達、花梨が誰かと付き合い
始めたらどうするのだ?」
「かっかか花梨ちゃんが付き合う?!!」
「男などに花梨ちゃんが!!」
「あの神聖な花梨ちゃんを!!」
「許せん!その男が許せん!!」
重症である、色々と
「花梨だって今の所は影になついている
子供だ、だがな」
しかめっ面になるハモン
「あの娘だって歳を取るし恋もする、
女だから当然だ、いつまでもあのままでは
ないのだぞ?」
「それは…」
「自分の中で『妄想の花梨』を作って
いないか?『現実の花梨』を見ているか?」
鋭い指摘に大人しくなる不審者達
「じいちゃん」
イオリが珍しく来た
「おお、イオリ、どうした?」
「頼んだモノ出来てる?」
「うむ、お前が使うのか?コレを」
後ろからゴソゴソと出して来る
フワフワしたもの
「か、花梨ちゃんに使って欲しくて…」
うつむき真っ赤のイオリ
「イオリ君、これは何だい?」
神部達が食い付く
「一応双剣ですが、
僕がデザインしてみました…」
丸いモフモフに見えたモノは二つに別れる、
と、小さな爪と肉球のデザイン
現れたのはキャッツネイルー
「こっ!これは!!」
「この丸み!」
「このカワイさ!!」
「イオリ君!素晴らしいぞ!!」
「解っていらっしゃる!!」
「アナタガカミカ?」
溜め息のハモン
「そうか…イオリは花梨の
気を引きたいのだな?」
「そっそそそんなこと無い」
真っ赤で慌てる、分かりやすい
神部達を見ると
「それに引き換えお前達は何だ?
見てるだけか?そんな事ではイオリに
さえ遅れを取るぞ」
「それは…」
「男らしく告白なりすれば良いだろう、
もう行け!」
…………
ギルド
「花梨ちゃん」
「何ですか?」
振り返る猫耳、それだけで溜め息が出る神部達
「花梨ちゃん、コレを受け取ってくれないか?」
出して来たのはオロミドロ一式
「もらっても良いモノか花梨には
分かりません、あとでウツシ殿に聞いてみます」
とりあえず受けとる花梨
(どうする神部)
(誰から切り出す?)
(俺は嫌だぞ?)
(俺だって恥ずかしい)
後ろを向いてコソコソしている神部達
「花梨ちゃん」
「あ、イオリさん」
イオリ君!!?
「コレを受け取って貰えるかな」
「なんですかコレ?」
「一応双剣なんだけど…重そうだね、
持ってあげる」
オロミドロ一式を抱えると
「ヨモギちゃんの店で説明するよ」
二人で出て行く
「…………」
「何で?」
「俺達って…」
「俺達って何なん?」
「何であんな自然に連れて行けるんだ?」
「誰から誘い方教わったんだ?」
呆然とする良い大人
トンビに油揚げを拐われた
「あの、みなさん」
ミノトが立ち上がると
「考えすぎなんですよ…」
「うむ、拗らせてる、とも言うゲコ」
そして神部は益々ヨモギに嫌われる