神楽舞   作:天海つづみ

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兆候

 

 

 

がっかりする一同

 

「ハゲてるやん…」

「ハゲてますやん…」

「何でだよ…?」

「な、なぁ七海、平気なのか?

フドウさんの頭」

 

「?、ですから質問の意味が分かりません」

 

「…え…あのさ、イヤじゃ無いのか?…この先…」

(今でこの段階だよ?その内天辺まで…)

まるで必死で弁解するように、身振り手振り

をしながらハネナガは言う

 

口には出さないが後数年には

砂原になるかもしれない

 

 

「…それが…どうかしました?」

相変わらず不思議そうな七海

 

そして座り込み呆然と七海を見上げるフドウ、

こんな反応するとはフドウ自身も

思わなかった

 

二人を残し離れていくハンター達

 

「フッ……」

「あぁ…」

「もう何をおいてもフドウさんに

勝てる気がしねぇよ…」

「何でフラれないんだ?」

「俺らって…何なん?」

「何で…何でよ…」

「コレハユメダ…オレハマダネテルンダ…

キットオキタラ…」

テラス席に戻り項垂れる若手と中年達

 

賭け金ともう一つ、男として負けた気がする

 

 

「こりゃ本物みてぇだなぁw」

「蓼食う虫も好きずきっていうからなw」

ヤクシやゲンジ達は眺める

 

165の身長、小太り無精髭、

ぶっちゃけファンタジー系のドワーフ

そこに新しい要素が加わり

『三大非モテ』になった

 

なのに七海に拒絶の反応は見られない

 

「何であの人がモテんだよ…」

「野獣じゃん?美女と野獣じゃん?」

「あぁ…呑むか」

「もう呑まなきゃやってられん」

 

「昼から呑むな!準備待機ゲコ!!w」

パンパンになった財布を抱えるゴコク

 

 

 

 …………

 

 

 

「うわぁ、見たかったw」

元気が出た影

それで二人で団子屋に居た訳だ、

平気で目立つ場所に

 

「皆俺がフラれると思ってたらしいぜ?w」

得意顔、確かにちょっと腹が立つ

 

「でも泣き出しそうだったって

ヒナミさんが言ってたよぉ?w」

 

「言うなよ!…まぁ、俺自信が一番驚いたぜw」

 

「ふむ、人間は中身とは言っても

先ずは外見だからな」

ロンディーネは上から下までフドウを見ると

「髭を整える事から始めてみてはどうだろう?」

 

「俺は身形に気を使わねぇしなぁ」

自分を解っているフドウ

 

「清潔感は必須だよ?何より連れが

恥をかく、七海と言うのはこの前の

背が高い女性だろう?」

影と天音に振る、頷くと

「あの女性に恥ずかしい思いをさせたいか?」

 

「そうか…そうだな!髭くらい剃るか」

納得する

 

話しているうちにニシノを過ぎてしまった

 

「どうする?すぐに海に出てしまうぞ?」

 

「引き返すのも勿体ねぇなぁ、

ついでに竜宮砦見てみるか?」

 

「でもイブヒコ居るって言ってたよね…」

 

「俺は竜宮砦見たこと無いからな」

「大丈夫なのか分かりませんよ?」

アレが暴れたら三人で…無理無理

 

「トウジの話じゃ全然動かないらしいからな…」

話している内に海に出てしまい

 

「リュウグウトリデ?とはあの島だろう?

ニシノでは忌み島と呼ばれていたぞ?」

ロンディーネが指差す

 

穏やかな海に浮かぶ島

 

聞いていた話ではイブシマキヒコは

動かないらしい

 

「じゃあロンディーネさん、お願いできますか?」

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 影達が船で出た直後

 ギルド

 

「七海、お前は行かなくて良いゲコ?」

昨日の大勝でホクホクのゴコク

 

「はい、クエスト行かない時は

お料理やお裁縫の勉強がしたいので」

 

「天音は行ってしまったゲコ」

 

「でもミノトさんがおられますし、

教えていただきます」

 

「そうか…」

女らしい勉強がしたいか…

七海は勤勉な娘かもしれんな

 

花嫁修業、良いかも知れん、

これでフドウが身を固めれば、

ワシも安心してギルドマスターの指導を…

「しかしミノトは機嫌が分かりにくいからなぁ」

 

「?」

 

「無表情でも怒っている訳ではないから

安心するゲコ」

 

「?、あの、どういう意味ですか?」

首を傾げる

 

「?、じゃからミノトは機嫌が

分かりにくいゲコ」

 

「え?…いつも笑ってますが…?」

 

「…………いつもゲコ?」

ゴコクも首を傾げる

 

「はい、双子で良く笑うので、

最初は見分けがつきませんでしたが?」

 

ヒノエとミノトの見分けがつかない… 

何だ?この違和感は?

ミノトのカウンターへ行くゴコク

「どうしましたゴコク様?」

見上げるミノト、確かに口元には笑みが…

 

 

 

 

「………ミノト…ヌシは…いつから笑ってるゲコ?」

なんだ?この違和感は?

 

 

何か…何か大事な事を見落としてないか?

 

 

 

 

 ………

 

 

 

「あらためて見ると長ぇな…」

キャンプ、背伸びしながら見るフドウ

尻尾の先まで含めたら50メートル越える巨体

 

イブシマキヒコが寝転んでいる

「何してるんだろう、アレ」

「トウジさんの話だともうすぐ

寿命じゃないか?って言ってたよ?」

 

寿命…なぁ…死にかけてんのにカムラの

砦を全壊させるのか?

「ここって…もしかしてアレの墓場だったり…」

考える影

 

「ほう、アレが例の」

ロンディーネもキャンプに入る

船が大きく座礁の危険があるため距離を

置いて停泊、そこから小舟で来た四人

 

 

 

 ……………

 

 

 

二人が接近を知らせる『装置』とするならば…

前に里長と話した事を思い出す

 

 

 ヒノエはいつも笑っている…

 

 

 イブシマキヒコが来た時は…

 

 

 いつも以上に楽しそうな…

 

 

ミノトは…無表情こそが魅力だと

神部達が話していた事がある

 

 

笑っている…

 

いつだ?何時から笑っている?

 

ミノトの初対面の印象は『無表情』になるはず…

 

「誰かウツシを呼ぶゲコ!」

 

 

 

 

タタラ場前へ集まる里長、ゴコク、ウツシ

 

「ミノトちゃんが笑っている?」

考えるウツシ

「そう言えばそうですね」

あれ?いつからだ?

 

「ワシらは違和感に気付かなかったゲコ」

 

「接近を知らせる装置とするなら…

近くに居る…と言うことに」

 苦い顔の里長

 

「先人達の名付けた『禍群』の意味を

考えたなら…これが…」

 こちらも苦い顔のゴコク

 

「この里はヤツらの通り道…か?」

タタラ場を見る里長、

見えているのは50年前の惨状

「50年前は…目障りだった…と言った所か…」

 

「とにかくミノトちゃんが変化してるのは

事実、問題は…位置です」

 

「うむ、何処に居て何処に行くか…

それによってどんな危機が起こるかだ」

今度は空を見回す、天気が悪くなってきた

 

「あら、何のお話ですか?」

ヒノエが階段を上がって来た

 

「ヒノエよ、ミノトがいつから

笑っているか解るか?」

 

「あの娘が笑う?…あら?雨?」

急に曇り雨が降り始める、と

 

「里長!ゴコク様!」

神部やハネナガ、七海が走って来る

 

「どうした?!」

 

「ミノトさんがおかしいです!」

「目が光ってるぜ!?」

「なんかツイヨ、ツイヨって!!」

 

「何だって?!」

あの時のヒノエと同じ!

ウツシが振り返った瞬間!

 

「ゴアァァァーッ!!!」

その咆哮に全員が真上を見る、

雲間から金色の何か

 

「ヤツがそうか!!」

身構える里長

「あれがナルハタタヒメ!!」

同じくウツシ

 

黒い雲から金色の体が現れた、

身をくねらせ上下を関係無く泳ぐように

 

 

住人達が一斉に外に出る!

「何だ今の?!」

「何だあれ!?」

「でけぇぞ!」

「え?モンスター?!」

 

 

「避難させないと!」

「待つゲコヒノエ…通り過ぎるだけのようゲコ…」

 

通過すると、すぐに雨も止んだ

 

「むう…何処へ行くのだ?」

太刀を納める里長

 

「!、そうだミノトちゃん!!」

ウツシが飛んでいく

 

「里長…どうやらワシらは兆候を

見逃していたゲコ…」

 

「迂闊だった…先代達の知恵…

思いを継承してきたつもりが…」

 

「後悔するのは後ゲコ!あの方向…

ヤツは下流に!」

 

「まさか…竜宮砦…!」

顔を上げる里長

「下流には影達が乗った

ロンディーネ殿の船が!」

 

 

 …………

 

 

 

 ギルド

 

「………?」

 

「ミノトちゃん?」

恐る恐るウツシが聞く、

ギルドの中で立ち尽くすミノト

 

「…?、失礼しました、少しボーッと

していたようです…?」

振り返ると…いつもの無表情

 

「驚いたぜ」

「突然歩きだしたんだぜ?」

「何だ?ツイヨツイヨって?」

 

 

「?、私がそう言いましたか?」

 

 

「風月はおるゲコ?!」

飛び込んで来る一同

 

「む?居るが?」

立ち上がる

 

「緊急事態ゲコ!」

「直ぐに下流へ向かい影達を探すのだ!」

 

「影を?」

 

「七海はニシノへフクズクを飛ばすゲコ!」

 

「はい!内容は?!」

 

「慈海殿に『貸しを作れる』と書け!」

 里長の号令が掛かる

 

 

 

 

 

 

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