神楽舞   作:天海つづみ

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欠点

 

 昼

 

「私も弾運びしたんだよ?」

「俺もだぞ!!」

 飴屋のコミツ、オニギリ屋のセイハク

 

「俺も最初はそうだぜ?、13才で

バリスタやったから、お前らもあと少しだ」

 

 団子屋で子供と話す影、昨夜の活躍は

里中に広がり、子供達は羨望の目で見てきた

 

 そこでバリスタの話をしたところ

『バリスタが撃てるのは自分達が

弾の運搬をするからだ』

 と主張してマウントを取ろうとしてくる

 当時の俺は…こんなに生意気だったか?

 数年前の自分達を思い出す

 

「!、そうだ!」

 立ち上がる

 

「なんだよ、影さん逃げんなよ」

「もっとお話して」

 

「悪いな、用事があったんだ」

これ以上居たら何言われるか…

子供って気遣いってモノがないな

 

「なぁセイハク、水鉄砲持ってるか?」

 

 

13の頃を思い出した、そしていつも時雨に

イジられている、たまには普段は近付かない

時雨の所へ行って…やり返そうw

 

自宅を通り過ぎ吊り橋を渡るとガルクを

飼っている島へ入る

大きな木の森だが中央が開けて明るい

 

「あ、影さん」

「お、おぅ…い、イオリ…」

 ガルクの世話をしているイオリ、

ハモンさんの孫、ハモンさんは強い男に

なってほしい様だが、イオリ自身は心根が

優しくてハンターには向いていないらしい

 

っつーか時雨とイオリは髪型も同じだし

兄弟に見える、ガルクの棲み家に居ると

こうなるのか?

 

この島には30頭を越えるガルクがいて、

正直俺は…ココが恐い

 

早速寄ってきて影の匂いを嗅ぐガルク達

 

「い…イオリ、アイツ居るか?」

うわぁ…ガルクだらけ…何で寄ってくるんだよ

敵じゃない、俺は敵じゃないよ?

悪い事をした訳じゃないのに

両手を上げて歩く影

 

イオリは五頭のガルクに囲まれる様に…

立っている…何で恐くないんだ?

 

「え…えぇと時雨さんですよね…」

 なんで動揺する?

 

「見てないですよ?」

 木の陰を指差す

 

犬の石像と慰霊碑の後ろに家と言うより

大きな木箱、その前に大小の釜が転がっている

 

このでっかい木箱が時雨の家、元々時雨は

移住してきた為に家がないのだ

大きい釜は風呂にしてるはず

 

…っていうか目の前が水辺なんだから

水汲み楽だろうに…

 

 数年振りだが変わっていない風景…さて…

 

 フッフッフ、まだ寝ているようだな?

 日頃の恨み!

 

「時雨っ!起きろ!」

 仕切り布を捲り水鉄砲発射!!

 

「うわぁ!!」

 後ろに飛び退き、よろけてヘタり込む影

 

箱の中からガルクが二頭、ノソっと

出て来てブルブルする、影の匂いを嗅ぐ

 

 と、

 

「ドロボー」

 後ろに時雨が来ていた

 

「時雨っ!おっ!起きてたのか!」

 ガルクに顔をベロベロ舐められる影

「ひ、ひぃっ!!」

 恐い恐い恐い!

 

「おー?恐がってるぞぉw?」

 面白がっている時雨

 

「しっ!時雨っ!やめさせてくれ!」

 ムリムリムリデカイコワイ!

 

「イオリぃ」

 ニヤケる

 

「は、はい!」

 イオリが呼ぶと二頭が離れて行く

 

「はぁ…はぁ…」

 顔のヨダレを手甲で拭く

 すげぇ恐い

 

「まだガルクコワイかぁ?」

 

「こ!恐くねぇし!」

 

「なんだぁ?驚いてたろぉ?」

 ニヤニヤ

 

「驚いただけだし!恐くねぇし!」

 

「ふーん…」

 ガルクに向く時雨

 

「おいで!」

「やめろおぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 

「俺に寝起きドッキリしようとしたなぁ?」

 ニヤニヤ見てくる

 やるんじゃなかった

 

「おっ?!影、どうした?青い顔して?」

 影の家の前で待っているハンター

 

「ハネナガさん…」

 ガルクのよだれで顔中ベタベタ

 

「逆ドッキリで泣いてんだぁ」

「泣いてねぇし!!」

 

「お前ら仲良いなぁ、ゴコク様が呼んでるぞ?」

 

ギルドへ行ってみる、いつもは騒がしい

所なのに影が入ると喧騒が止まる

 

空気が変わったのが良く解る、

好意と敵意が入り交じっている

 

 

視線が集まっている中、

ゴコクに呼ばれ奥のテラス席に

 

「おぉ、呼び出してスマンなぁ影」

「あの、何でしょうか?」

 居心地悪い…

 

 テーブルには何やら書いてある大きな紙

「これが何か…解るゲコ?」

「これは…砦ですね?」

 

「上から見た地図だなぁ」

 横から時雨が覗きこむ

 

「さて影よ、少しワシと遊ぶゲコ」

「はい?」

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

「ほぉ、たとえば墜落した傘鳥は…」

 

「はい、ダウン中に攻撃してるハンターに

向かう確率が高いですから…」

モンスターに見立てた黒い石を動かす

 

「たとえば春香がダウン中に攻撃したなら」

 顎に手をやり考えるゴコク

 

「起き上がる前に春香さんを他のモンスター

へ向かわせます、そうすれば」

白い石を動かす

 

 

「なるほど傘鳥は春香を

追いかける様に飛ぶ…と」

 

「その通過点のモンスター、または春香さんの

頭上で後退弾を撃つと」

 

「効率よく落下で攻撃か

…これは思い付かなかったゲコ」

置いてある黒い石の上に、手に持った黒い石を

落とす、カチッと音がして転がる

 

「ほぉ…俺達はこうやって動かされた訳か」

春香パーティーのフドウ、

サブリーダーの30才位で大剣使い、

ちょっと小太り

 

「俺達にゃあ出来ねぇな」

ベテランのヤクシ

ハンマー使いでティガ一式

40才位?の荒っぽい感じ

 

「新しい戦法だな…」

こちらもベテランのゲンジ、

ライトボウガンを担ぐ40代、

ナズチ一式で達人的な雰囲気

 

 

「バリスタの経験が長いからこその戦法ね」

ウツシパーティーのアヤメ、

ナルガ一式、割と美人

 

 

 いつの間にか10人程に囲まれている

 

「ふむ、影よ、いくつか聞きたい事があるゲコ」

 

 姿勢を正す影

 

「お前の戦法は見事だ、だが幾つか欠点が

あるゲコ、それはどこかの?」

 

「はい…まず俺のやり方はバリスタと

空を飛ぶモンスターが居ないと出来ません」

 

 周囲から「なるほど」と声が上がる

 

「それと俺自身が動きを見たことがある

モンスターじゃないと、予測が出来ません」

 

「その通りゲコ、ついでに言うなら あの

バサルモスとナルガクルガの違いは何だ?」

 

「バサルモスは真っ直ぐ突破しようとしたのに、

ナルガクルガはハンターを

排除しようとしました」

 

 頷くゴコク

「そうゲコ、最初の段階でどのタイプか

見極める事が重要ゲコ」

 地図を畳むと

「さしあたり一番自分に足りないモノは何だ?」

 

 

「経験だぁ!!」

 いつの間にか春香が来ていた

「いいか?アタシも照も最初は嫌味とか

文句言われたもんだ」

ギルドを見渡すと

「だけどな、実力付けて黙らせたんだ、

フドウなんか最初はヒドかったぞ?」

 

「そりゃ礼儀も態度も出来てない馬鹿女が

好き勝手やったんだ、当たり前だろ!」

 笑うフドウ

 

「ハンターは実力が全てだ!お前の事を

面白く思ってないヤツには、ソイツ以上の

モンスター狩ってこい!」

 握りこぶしを掲げ笑う春香

 

「うむ、その通りゲコ、お前の駒になっても

良いハンターが必要じゃからな、ミノト!」

カウンターの方を向くとミノトが

クエスト帳を持ってくる

「これから指定するモンスターを狩って来るゲコ」

 

「こちらになります」

 事務的で抑揚のないミノトが紙を見せる

 

「…フルフルですか…」

 ヤバい、出来るか?

 

「もう一枚あるゲコ」

「えっ?!!」

 もう一枚には…リオレイア!

 

「ゴコク様!無理だ!コイツ死ぬぞ!」

 春香達が意見する

 

「ソロで…と言いたい所だが

時雨と一緒でいいゲコ」

 

「俺…」

 できるか?

「俺がいるぞぉ?」

 笑う時雨

 

「やってみます…」

 同時狩猟クエスト…無理だよ…

 

 

……………

 

 

 

 

 

「里長、予定通りゲコ」

 

「勝とうとするでしょうなぁ」

 ギルドの二階、座敷の部屋

 

「まぁ勝てなくても問題無いゲコ、リオレイアに

挑んだ事実だけで中堅達の見方が変わるゲコ」

 

「時雨も居ますし、

最悪死ぬ事は無いでしょうが…」

 

「死んでは困るが…強くなって貰わねば

困るゲコ、ハンターとしては素人だが、夜行に

関しては影は既に立派な戦力ゲコ…

して…ヤツは?」

 

「ウツシ」

 

「はっ!」

 天井から現れる、畳に降りると

「周辺の里にも出現した話はありません、

しかし小型モンスターの怯え方を見る限り

細かく移動しているようです」

 

「まるで予測がつきませんな」

 苦い顔の里長

 

「今の内に若手を鍛えなければなりませんね」

 ミノトが茶を盆に載せて来た

 

 (ミノトちゃん!僕のお茶は?)

 泣きそうなウツシ

 

「ウツシ、一応誰か影に付けろ、死なせるな」

 

「ではアヤメを」

 天井に消えるウツシ

 

「砦の修理はどうゲコ?」

 

「軽微でしたから今日中に」

 

「早く決着させたいゲコ、

心労で痩せてしまうわい」

 腹を撫でる

 

「この大太刀を振るうのは辛くなって

きましてな、私も戦場に立てるのは

後数回でしょう」

 

 

 

 

 

 一階

「なぁフドウ」

 

「何だ?」

 団子を齧りながら振り返る小太り

 

「アタシが影にしてやれる事って何だ?」

 少し照れる春香、頭を掻く

 

「どうした?照の弟だから可愛いってか?」

 笑うフドウ

 

「いや、アタシは照に借りがあるからさ、

何かしてやりてぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゲームの百竜夜行は面倒だけど、
話を作るなら色々広がって面白い題材

ラオシャンロン戦よりも描きやすい
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