スカルフェイスは顔が怖い   作:サイリウム(夕宙リウム)

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会長だって怖いのだ・2

 

さて、話は戻りまして我らがシンボリルドルフ会長の場面でございます。

 

そう、会長。足がプルプルでございまする。

 

 

もう生まれたての小鹿のよう! でもでも、お顔だけはしっかり、きっぱり、くっきりと。

トレセンに向かってゆっくりと歩を進めるスカルフェイスを見つめております。

 

 

ここで元凶スカルフェイスちゃん。やっとこさ校門の前で仁王立ちをしていらっしゃる会長を視界に入れます。

 

さっきまでウキウキだった彼女。

 

会長を視界に入れたことでとあることを思い出します。

 

 

彼女をトレセンに招き入れたのは実は理事長秘書のたづなさん。最終的な許可は理事長のちみっこでござぇますが、話を持ってきたのは彼女でございます。そのたづなさん、実は初めてやってくる彼女にあることを教えておりました。

 

 

『ごめんなさい、スカルフェイスさん。本当は私が学園を案内する予定だったんですけど緊急の会議が入ってしまってあなたが来る頃に迎えに行けなさそうなんです。一応代役にシンボリルドルフさんを立てておきましたので、仲良くしてくださいね。今は生徒会長なんかやってますけどかわいい子ですし、仲良くできると思いますよ。あ、ルナちゃん、彼女の愛称なんですがそう呼んであげると喜ぶかもしれませんね。』

 

 

そう、たづなさん。教えちゃってるんです。この話をするために色々と取材なんかを行っているのですが、たづなさん悪気一切なくてこれ話してるんですよね……。今となっては会長のルナちゃん呼びは一定の市民権を得てはいますがスカルちゃんがやってきたときは話は別。会長の認めた、彼女の参謀といえるトレーナーさんにしか話したことのなかった呼び名無そうで。

 

……いまさらですけどなんでたづなさん知ってるんでしょ?

 

まぁ彼女所謂戦後の賭け事が行われていた時代で先頭を走っていたなんていう噂もございますし、反社的なものに対する寛容さとか、異様な情報取集能力とか疑問の残ることが多いですが、突っ込みすぎるとデジたん明日の朝日を迎えることが出来なくなてしまうのでお口チャック。

 

 

ま、そんなわけでスカルちゃん思うんです、『あ、たづなさんが言っていたシンボルルドルフさんだ! あ、でも生徒会長さんだよね……、丁寧に話した方がいいのかな。でもたづなさんルナちゃん呼びしてあげると喜ぶって言ってたし、そう呼んだ方がいいのかなぁ……、あ! 笑顔笑顔!』

 

 

てな感じで口裂け女フォームを維持しながら一歩、また一歩と前進を始めるわけでございます。

 

しかもこの子、根がいいのでお待たせするわけにはいかないと速度上げる、まぁ駆け足になるんですね。

 

 

会長としては恐怖倍増でございます。ちょっとづつちょっとづつ近づいている恐怖が速度を上げてきたわけですから、足の震えもその分酷くなります。ちなみにデジたんはこの辺りで会長がだめだと理解してしまい、意識をバイバイしてしまっているのでここからはご本人方に聞いた話を元にお話ししますね。

 

 

スカルちゃん、ついに会長の目の前にたどり着きました。ウマ娘にしてはかなり大きめの身長190オーバーの巨体、それが見下ろすような形でシンボリルドルフを見るわけです。

 

第一声、

 

『これからお世話になります、スカルフェイスです。』

 

 

スカルちゃん、ちゃんと挨拶できてエライ! でも笑顔が大事って思っているので口裂け度が上がっているぞ! あと緊張しているせいか声が固まっててさらに怖いぞ!

 

 

会長、これを聞きまして考えます。

 

『お世話になる』の意味を。

 

 

スカルフェイスにとっては普通の挨拶、でもでも会長にとっては看過できません。

 

 

お世話になるとは一体全体どういうことなのか、噂通りのやべー奴で、夜露死苦的なお世話になるののか!

 

でもでも会長、ここで話を大きくするわけにはいきません、まだ勘違いの可能性もございます!

 

ここはできるだけ穏便に、また間違いだった時にリカバリーできるような感じで返答しなければ!

 

 

会長の脳みそフル回転、ここで思い至った回答は………!

 

 

 

『あぁ、こちらこそよろしく。』

 

 

うん、無難! そして会長おてて伸ばして握手の構え!

 

こっちはことを大きくしてもらっては困る! おとなしくしてほしい! 後できたらなかよくしようねの握手!

 

 

 

スカルちゃん大歓喜! ここが所謂友情の握手というものではないかと勘違い!

 

嬉しくなってもっとニコニコ! おてて差し出して握手を受け入れます!

 

ここでスカルちゃん……、いらんことを考えちゃいました。

 

 

相手側がこっちの嬉しいことをしてくれたんだ、こっちもお返ししてあげないといけないね、との好意!

 

 

 

『えぇ、よろしくお願いしますね、”ルナ”ちゃん。』

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間、会長に電流が走ります。

 

なんでその名前を知っている、です。このルナちゃん。会長の幼名でございまして、彼女の親しい人ぐらいしか知らない秘密の呼び名でした、当時。

 

つまるところルナ、という呼び名を目の前の彼女が知っているわけなんてありえるはずがないんです。

 

スカルフェイスが”ルナ”なんて名前、知ってていいはずがないんです。

 

 

 

 

 

 

会長、ここで思い当ってしまいます。

 

 

……もしや、私の親しい人に何か拷問的なことをしてその名前を知ったのではないか!

わざわざその名前を使ったということは、『逆らったらどうなるか、解ってるよね、”ルナちゃん”?』ではないか!? 私が何かスカルフェイスにとって不利なことをしでかしてしまった場合、私の幼名を知っている家族、もしくは会長のトレーナーに何らかの被害が及ぶのではないか!

 

 

会長、考えちゃいました。

 

 

 

 

でも、ここで関係のない人たちに危害を加えないでくれ、なんて叫んでしまえば彼女の気分が悪くなってしまうことは確実、だって彼女は『お世話になる』としか言っていない。

 

 

『あぁ、こちらこそ。よろしくお願いする。』

 

 

会長としてはそう返すしか方法はないのでした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁもちろん完全な勘違いですしお寿司。会長のご家族には何もございませんし、会長のトレーナーはピンピンしております。スカルフェイスちゃんはたづなさんに教えてもらったことを実行しただけなので……

 

ま、誰が悪いとかない悲しい勘違いでしたね、うん。

 

 

でもまぁこの勘違いは色々と後に引く事件になっていくのですが……、ま、それはその時にお話しいたしましょう。

 

 

 

最後までご清聴ありがとうございました。

話し手は、私、アグネスデジタルが務めさせていただきました。

 

次回も足を運んでくださればこれに勝る幸福はございません。

 

では、またの機会に、ということでこの場を示させていただきまする。

 

ではでは~

 

 


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