黒死の刃   作:みくりあ

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Q.インフィニティ君は?
A.縁壱君の血を継いで生まれてくるってことで……裕福だぞ?


エピローグ

 ────満月の夜には鬼があまり姿を晒さなくなる

 

 それはここ数十年にできた鬼殺隊や、鬼の存在を知るものの共通認識である。満月が映える夜には鬼がなにかに怯えるように挙って巣穴に隠れているのだ。鬼殺隊は月と太陽は似たようなものだからという理由で結論づけた。

 しかし、真実は似て非なるものである。人が上位者である鬼に怯えるように、鬼も上位者に怯える。生来的恐怖とも言えるそれは果たして……

 

 

 ★

 

 

 

「久しいな……縁壱」

「ご無沙汰しております。兄上」

 

 

 今宵は満月。

 立ち会うは二人の侍。

 片や暖色の着物に身を包み、無骨な刀を腰に差して佇む。見た目は死にかけの老耄。中身は人外の肉体。某名探偵も驚く。静かに微笑んでいる。

 片や精悍な顔つきをした偉丈夫。しかし六つある瞳が決定的に人ではないことを示している。紫黒の着物を身につけ、刀を二本。脇に差している。

 

 二人は血を分けた兄弟である。

 弟は鬼の始祖から化け物認定され、未だ人という種族の頂点に君臨する太陽の剣士・継国縁壱。

 兄は鬼殺隊という組織の根底を作り上げ、導き、そして自らは妻子を守る為に鬼に堕ちた最強の月鬼・継国巌勝。

 

「なぜ私がここに来るとわかった?」

「何となくです。此処には……我らの思い入れがありますから」

 

 彼らが立っているところは薄原の中。五十年ほど前は継国家が栄華を誇っていた領地の跡。裏山では彼らが斬り倒した切り株からは芽が生え、新たな命を紡いでいる。

 後継を失った継国家は喜劇かのように没落した。残っているものは何も無かった。

 彼らの選択が招いた結果であったが、後悔はしていなかった。彼らにはこの戦乱の世において、自分で自分の道を選択出来る強さがあった。

 そんなことは余り気にも止めず数年ぶりの再会に顔を綻ばせる。

 先に口を開いたのは縁壱の方であった。

 

「兄上、義姉上はまだ……」

「…………ああ、まだかなりの時間がかかる」

 

 薫と無惨の命は結びついていた。

 貧血で瀕死も瀕死。生と死の狭間で無惨の血を摂取したのがいけなかったのだ。しかし珠世が輸血しなければ薫は死んでいた。人間の血では拒否反応が起きるかもしれなかった。

 弱りきった体を再生するのに、無惨の血は最高に条件が良い。

 結果、高い適合率と引き換えに、無惨が死ねば薫も道連れにされるようになってしまった。生命の根幹に関係する以上、青い彼岸花での治療も怪しい。無惨は基本的に殺される事がないので薫が突然死することは無いだろうが、原作までに何とかしなければいけないだろう。

 治療法は時間か、若しくは……

 

 

(禰豆子の血か……)

 

 

「少なくとも私が生きているうちには無理でしょう……」

「……」

 

(血で済むのか……もしも……例えばの話だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()? 敵対は避けられん)

 

「なんとも心苦し……兄上……如何されました?」

「む……すまない。唯の考え事だ。気にするでない」

 

 巌勝は首を擡げた懸念を押し込める。四百年後に産まれてくる存在を今考えても仕方ないのだ。

 疑問符を頭の上に浮かべる縁壱。巌勝は少し申し訳なく思った。

 

「取り留めもないことだ……それで……やるのか?」

「……やめておきましょう。今日の私は体調が悪いので……」

「……そうか」

「奇縁なものです。初めは兄上が稽古に誘ってくださって、次は私が稽古をせがみ、それを繰り返して、最後の最後は兄上が誘ってくださる」

「ふっ……そうだな」

 

 他愛もない話をしながら散歩をする二人。縁壱はこの時間が好きであった。

 ふと、縁壱が踏みしめた草原から沢山の蛍が飛び立つ。風が吹き、川の水が流れる音を運んでくる。

 

「美しいですね兄上」

「ああ……」

 

(美しい……世界だ)

(ざっと百五十三匹。もう少し強く踏めば兄上はもっと感動してくれるのでは?)

 

 うち光って飛び違う蛍達。その姿に巌勝は縁壱やうたを重ねた。縫い付けられたように重い口を開く。

 

「人の命は……短すぎる……そうは思わないか、縁壱?」

「……気づいておられましたか」

「……お前が体調を崩すなど……天地がひっくり返っても有り得ん」

「ふははっ。酷な事を仰る」

 

 巌勝は弟の笑う姿すら弱々しく感じてしまった。縁壱の命の灯火は消えかかっている。

 

「そんな悲しい顔をしないでください。技術も知識も残しました」

「そんなものはどうでもいい……死期が近づいていると自覚していながらなぜここに来た……うたと過ごせばよかろうに」

「だからこそです。最期の時は……兄上に看取ってもらいたく……」

 

 巌勝は縁壱を抱きしめる。角張った骨の感触。陽光のように暖かい体。縁壱は震えていた。巌勝が力を少し入れるだけで折れてしまいそうな体は、力を入れずとも今にも折れてしまいそうであった。

 

「看取るなどと……」

 

 巌勝は抱きしめる力を弛めた。暫しされるがままになっていた縁壱。幸福に満ちた顔のまま、

 

「縁────」

 

 弟の体から力が抜けていき……兄は咄嗟に支えた。痩せこけた体は異様に軽かった。折れやすく軽い。全盛期の力など残っていない。諸行無常は人の常なれど、儘ならない。

 

(鬼殺隊は……私は……どれほどの期待をこの老躯に乗せていた……押し潰されてもおかしくはなかった)

 

「兄上……?」

「大……丈夫だ、気を保て」

 

 巌勝は自分の手を見つめる。願いに呼応するように触手が生えてくる。今これを縁壱の肌に当てれば一匹の鬼が誕生する。

 しかし、鬼にはしなかった。代わりに縁壱を抱え、疾駆する。

 

「兄……上?」

「…………ここで死ぬことは許さんぞ戯け者。死ぬのなら、うたに看取られて死ね」

「うた……うた…………そう……私は……俺は……」

 

 

 

 

 

 ────最期に、うたに会いたい

 

 

 

 

 巌勝は既に六つ目を閉じていた。朦朧とする意識の中、縁壱が最期の最期で兄ではなくうたと死ぬことを選んだのは微かなきっかけか、それとも今までの選択の結果か。

 

「お願いします兄上……うたに会わせて下さい」

「……それでいい。弟は兄を振り回してこそだ」

「ふっ……兄上……」

「なんだ? ……言ってみろ」

「相変わらず笑顔が不気味でいらっしゃる」

「…………………………」

 

 

 ★

 

 

 

 

「遅い!」

 

 うたは激怒した。必ず、かの天衣無縫の夫を叱らねばならぬと決意した。うたにはいつものほほんとしている夫が何を考えているのかがわからぬ。うたは、ただの人間である。数秒の間に千五百もの肉片を切り払えないし、技術のみで斬撃を飛ばすこともできない。けれども夫の気まぐれな行動に対しては、人一倍に敏感であった。何故ならば彼女は縁壱の妻であるからだ。

 

「なんじゃ! 『行ってくる』って! 『行ってくる』の『行く』はまさか『逝く』ではあるまいな!? 思わせ振りなことを宣いよって! 

 わしもわしじゃ! なにが『行ってらっしゃい』じゃ! わしが言う台詞ではなかろうに!」

 

 うたは憤慨する。いくら騒いだところで誰も来ないのだが。その静寂がより一層うたを孤独にする。

 

「縁壱め、一人で義兄上に会いに行くなぞ……儂も連れていってほしかった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、姉とお話しませんか?」

 

 庭に天女が舞い降りた。うたはそう錯覚した。

 

「かお……義姉上……!」

「薫でいいですよ。久しぶりですね、うた」

 

 金色の髪は満月の光を喜ぶように輝き、赤い目は嬉しそうに細められた。重力を感じさせないような着地。血鬼術の類だとしても鬼のようには見えなかった。

 

「丁度よい! 聞いてくれ薫! 縁壱が……!」

「ええ、知っています。知っていますとも。お互い奔放な夫を持つと苦労しますね」

 

(うた、貴方はもう……)

 

 うたも死期が近づいていた。笑う姿は弱々しかったのだ。曲がった腰が時の流れを嫌でも突きつけてくる。だが愛する人と歳をとっていくのも美しい人の形。ほんのちょっぴり、薫は嫉妬した。

 

「────じゃろ? 最期くらい一緒にいても良かったのに……まぁ、この五十か、六十年間。互いに振り回し振り回されの繰り返しでおったし…………まぁ……こんな終わり方も悪くはなかろうて」

「……っ」

「かかっ! そんな顔をするでない! 八十そこらまで生きたんじゃ。悔いなどない……悔いなど……」

 

 うたは声を窄めた。目を伏せていた薫が顔を上げる。うたは哀しい顔をしていた。

 

「可能であるならば……せめて……お主達が紡ぐ物語をもう少し……見守っていたかったのぅ……」

「うた……」

 

 薫は言葉が出なかった。瞬間、一陣の風が吹く。そこには老人を抱えた鬼が立っていた。

 

 

 

 

「縁壱……? 義兄?」

「久しいな……義妹よ……どうしようもないお前の夫を持ち帰ったぞ」

 

 巌勝は縁壱を下ろして、寝かせる。

 

「ふぅー……ありがとうございます兄上」

「……もう無理をするな。目も見えてないのだろう?」

「お気づきでしたか。しかし御心配には及びません。何となく分かります」

「そうだろうな」

「縁壱! お主は……おっ!」

「……」

 

 縁壱は近づいてきたうたを抱きしめる。力の弱くなった縁壱。以前は強すぎる力の余り、全力で抱きしめることは叶わなかったが、皮肉にも弱りきった今ならそれができた。うたは年甲斐もなく顔を赤くする。

 残り少ない時間を堪能している二人を気遣って、巌勝と薫は一時的に席を外す。

 

「……私の血鬼術で、紫明と昊羽君達の子供を呼ぼうか?」

「いや、それには及ばん。若人達の時間を邪魔するのも無作法というもの」

「紫明はもうおばあちゃんだけどね」

「……やはり鬼になるのか」

「うん、紫明も望んでる。珠世さんの医療に魅了されたらしいから。私達を日光の下に連れていきたいだって。あの子が選ぶのなら、私達は背中を全力で押してあげるだけだからね……もし道を踏み外し、手当り次第に人を襲うようになったら……」

「その時は私が斬る……でもあの子ならば大丈夫だ」

「うん。なんてったって、私達の子供だからね」

 

 縁壱の双子は齢二十五にしてこの世を去ったのだ。紫明は縁壱と同じ体質で今まで生き永らえていた。六十年前、すぐにでも鬼になりたいとせがむ紫明に、人の時間を生きてから判断しろと一抹の希望を添えて言い放った。願いは変わらなかったが。

 

「……義姉上、兄上、まだ、そこにいらっしゃるのですか?」

「ああ、ここに居る」

「はい縁壱君」

「儂もおるぞ。安心せい」

 

 巌勝と薫は戻ってくる。ほんの数分席を外しただけで、目に見えて縁壱は弱っていた。今や目の前の存在が最強の侍だったなんて誰も信じはしないだろう。

 

「私は……辛かった……息子二人……昊羽と櫂晴が痣の寿命で亡くなって……家族が二人もいなくなって……あの子達の子供は痣が発現していないことを悔しがっていましたが……置いていかれる身としては……痣なんて発現しない方が……何倍も良かったような気がするのです……」

「……そうじゃ。あれは強者の証でも何でもない。ただの病気じゃ」

「……」

「兄上は先程、兄は弟に振り回されてこそだと言ってました」

「……? 」

「……兄上」

 

 

 

 

 

 ────私を食べてくれませんか? 

 

 

 

 

(……は)

 

 巌勝は耳を疑った。兄が動転しているのを感じ取った縁壱は悪戯が成功した子供のように笑った。対して巌勝はそれどころではなかった。

 

「何……を言い出す……私に……この私に……家族を喰え……と申すか」

「あ、儂も薫になら構わんぞ!」

「……!?」

「えぇ!?」

 

 今度は薫も耳を疑った。動揺に目を瞬かせる兄を置いて縁壱が続ける。

 

「兄上、人の想いは永遠……です。ならば兄上の見る景色を、私は見てみたい……私の遺品は兄上のご自由にしてください……耳飾りは……炭吉の元へ届けてくださいませんか? 兄上と何回もお邪魔したお礼として……渡したいのです」

「待て……縁壱。お前はいいのか?」

「もちろん……兄上になら……喜んで」

「……相分かった」

「ふふ……ありがとう……ござい……ます……もう眠ってもいいですね」

「…………あぁ」

 

 縁壱が天へと手を伸ばす。両目からは涙が零れ、指先は震えていた。うたはその手を支える。

 

「う…………た……俺は……先に」

「うむ。待っておれ。今度はお主からわしの手を引け。必ず見つけるのだぞ」

「……あ……ぁ……」

 

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 

「もう……眠ったぞ」

 

 うたが縁壱の目を閉じる。その際に手についた彼の涙を大事なもののように握りしめた。

 巌勝は世界が色を変えるようにして褪せていく気がした。

 これより鬼の活動は活発になる。太陽は落ちた。代わりが必要である。紡いでいかなければならない。

 

「私が月となろう。太陽のように煌々とは行かずとも、夜の世界を照らす月光を放つ。そんな孤高の月に」

「でも独りじゃないよ。私がいる。私が一番側で貴方の輝きを見てるし、受け止める」

 

 巌勝は鬼を喰う鬼である。世間に鬼の存在が大々的に明るみになったりするほど暴れている鬼は、巌勝自ら赴き、消していた。

 人一人分減った空間。えも言われぬ喪失感が三人を包み込んだ。

 突然、うたが薫へと凭れ掛かる。

 

「うた?」

「わしは幸せじゃ……家族に囲まれて……姉の腕の中で死ねるのじゃから……」

 

 うたの子供のような行動に驚いた薫だが、すぐにその意図を察した。悲しみに包まれた表情を崩し、慈母のような微笑みでうたの髪を梳かす。しかし表情は何処と無く寂しげであった。

 

「うたはよーく頑張ったよ。うたがいなかったら私はここにいなかった。私は妹に命を救われたよ」

「ふふ……そうじゃ……そうじゃとも……それもこれもお主達のおかげじゃ、ありがとう……ありがとうのぅ」

 

(っ……)

 

 か細い声は二度とうたの口から紡がれることはなかった。

 四人家族の団欒から、巌勝と薫のみになった縁側。

 

(弟よ、せめて安らかに)

 

 巌勝は無言で縁壱の骸へと手を伸ばす。

 口から直接では無く、吸収の形で取り込む。摂食ではない。自分の闇を広げるようにして縁壱を取り込む。

 これは継承である。最強の名前は受け継がれなければならない。

 

(暖かい……陽だまりのような……)

 

 残ったのは着物とこじんまりとした袋であった。

 袋の中にはいつの日か巌勝が縁壱へと渡した笛が入っていた。色褪せ、罅が目立つ。縁壱がどれだけ吹いたか手に取るようにわかった。

 

「直せと一言そう言ってくれれば……いつでも直してやったものを……」

 

 巌勝の視界が滲む。鬼の目にも涙。袋の中にもうひとつ違和感を感じた。

 

(まだなにか入っている)

 

 

 

 ────紐? 

 

 

 

 所々解れが目立つそれは、製作者が不器用ながらも必死に作った努力が伺える一品であった。目立たないような配色の糸が使われている。巌勝の控えめな性格を知る者が選んだのだ。

 

「…………これを何に使えと……」

 

 原作で巌勝が持っていた縁壱の所有物は笛一本である。黒死牟となってもこれといった装飾品はつけていなかった。

 

「巌勝君。それ、髪を縛る紐だよ」

「……!」

 

 うたを吸収し終えた薫が彼らの着物を畳みながら伝えた。

 巌勝は髪を解き、今しがた己の髪を縛っていた安価な紐を見る。薄汚れ、年季が入ったといえば聞こえはいいが、もう寿命である。

 

「薫は知っていたのか?」

「うん。作り方を教えたのは私だよ。兄上には内緒にして欲しいって言ってたから、言わなかったんだ。縁壱君、何回もやり直しながら頑張ってたよ。上手く縫えたら笑って、失敗したら落ち込んでた。そうやって初めて気づいたの。縁壱君って表情豊かなんだなって」

「そうだ……縁壱は表情がよく変わる……気付かれないだけで」

 

 紐は縁壱の体温がまだ残っており、仄かに温かかった。

 

「……時代に合わせて散切り頭にでもしようかと思っていたが……」

「巌勝君には長い髪が似合う。遠回しにでもそう伝えたかったんじゃない?」

 

(……お前は……本当に)

 

 抑えきれなかった。

 巌勝は溢れる涙を拭おうともしなかった。薫が気を利かせて、緩んだ手の平から紐を受け取り、彼の髪を結った。

 不意に後ろから抱きしめられる。安心感から涙の量が増した。

 

「大丈夫。私がいる。私は巌勝君を置いていったりしない。だから巌勝君も私を置いていかないでね」

「……っ……どう……だ? 似合っているか……?」

「うん。すごく似合ってる。普通にしてたら見えないけど、動いたら見え隠れする。キラキラとね。それで、昊羽君の子供達はどうする?」

「珠世に手紙を書いて……鬼殺隊に保護してもらおう……産屋敷も代替わりした……始まりの呼吸の子孫ならば……手厚く保護してくれるだろう」

「手紙を八咫に送らせるね」

「頼んだ……耳飾りは……私が炭吉の元へ届けよう……この刀は縁壱零式の中に隠しておく……然るべき時……然るべき者がこれを見つけるだろう」

「わかった」

「では……」

 

 立ち上がろうとする巌勝。しかし首に巻かれた腕がそれを引き止める。結果、より深く薫に抱きしめられる形になった。

 

「何もそんなに急がなくても、うた達はここにいる。今までも、これからも四人一緒に進んでいくの。荊棘の道も、地獄の果ても。私達なら乗り越えられる」

「……」

 

 巌勝の目に再び涙が溢れ出す。今度は堪えようとはしなかった。家族を失った悲しみも欠点も弱さも全て最愛は受け止めてくれるのだ。

 二人は暫くそうして悲しみに浸っていた。

 薫は巌勝の髪を撫でる。

 

(今までよりも巌勝君を愛おしく思える……私の中にいるうたが巌勝君の中にいる縁壱君を愛しているからかな?)

 

 ★

 

 薫はその身を蝙蝠の大群へと変えて家へと帰った。巌勝は耳飾りと笛の入った袋と、三本目の刀を背中に差し炭吉の元へと向かう。

 

(上弦を集め始めるか……)

 

「まずは無力な狛犬からだな」




ここまで読んでくださってありがとうございました!
これからは推敲とかして次の章の構成を練ります!ちょくちょく閑話を更新しようとは思っています。


おまけ
無惨side

無惨「十二鬼月いなさすぎ」
黒死牟「そうですね」

無惨、そこそこの鬼を上弦にする。
席ががら空きだから、出鱈目に強くなくても十二鬼月になれる。
そこそこの鬼、上弦になったから自惚れる。
トップ張れるんじゃねって思う。
ちょうど上弦の壱が強者っぽい気配を感じない。っていうか強者なのか分からない。
入れ替わりの決戦を挑む。
負ける。
物語に関係しなさそうなので巌勝に食われる。

無惨「十二鬼月いなさすぎ」
黒死牟「そうですね」


おまけ2
次回予告(的な何か)

「ねぇ、紫明ちゃん、ねぇ。俺と一緒に極楽へ行かない?」
「狛治さんはしっかり守ってくれました。守ってくれたからこうして今、私は貴方を抱きしめることができる」
「善いとは……なんじゃろうのぅ」
「美しさを人に見出すのは、人よりも上位である我らの特権ですぞ」
「ねぇぇえええ!お兄ちゃん!おじ様ぁ!!無惨様が私に堕姫ってつけたんだけど!?ひどいひどい!私ってばこんなに可愛いのにぃ!!」
(私より琵琶が上手い……だ……と?)
「俺は……俺の実力を……俺ですら認めてなかったのか」


次章 黒死の刃 上弦集結編
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