高校生トレーナーとウマ娘の攻防   作:アンドヴァラナウ

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オリジナル設定、鉄道要素、ヤンデレ要素がもりもりです。
誤字脱字等ありましたら指摘をお願いします。

■pixivにも同作品を投稿しています■
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15506364


大学編#1 大学進学と共に訪れる別れ

無事京都大学に合格した僕は府中から大津に戻ることにした。手始めに、トレーナー室と三鷹にあるパソコンや服を新居に送ることにした。

 

『パソコンはバラして緩衝材を入れた箱にぶち込むか』

 

ウマ娘たちに部屋を半ば強引に整理されたときに物の数と乱雑さが一気に減少したため、荷造りは思ったよりも簡単だった。

服は種類ごとに分別して入れたが…

 

『またシャツ減ってる』

 

はぁ…

 

 

■□■□■□■

 

 

すっかりスカスカ(すっかりだけに)になってしまったトレーナー室を見て少し感慨に浸っていると声をかけられた。

 

グラス「すっかりきれいになりましたね」

 

『一旦僕の私物を取り払ったからな』

 

グラス「引っ越しでもするんですか?」

 

まずい。

 

実は京大に進学することは隠していた。仮に言ったとしたら担当ウマ娘に引き止められること間違いなしだからだ。ここでバレてしまえば、ここまで隠し通してきた努力が水の泡だ。

 

『いや、一旦トレーナー室を改装しようと思ってね』

 

グラス「そうですか〜」

 

グラスは基本ニコニコしているが、裏で何をしているか全く読めない。要注意ウマ娘だ。

 

基本的にはトレーナー室は僕しか使っていないが、ほぼ毎日誰かしらが用もないのに来ている。

 

カレン「お兄ちゃん!遊びに来たよ!」

 

『言っておくが、カワイイものはないぞ』

 

カレン「お兄ちゃんがいれば良いの!」

 

『ははは、嬉しいなそれは』

 

カレン「で、どこに引っ越すの?」

 

えっ。勘が鋭すぎる。グラスが何か吹き込んだのだろうか。

 

カレン「早く答えて?」

 

目が笑っていない。

 

『トレーナー室を改装しようと思って、一旦片付けていたんだよ』

 

カレン「ふーん、そうなんだ。ちょっと意外」

 

『意外ってなんだ意外って』

 

 

■□■□■

 

 

そんな感じで他のウマ娘とも他愛のない雑談をした。ダスカには「私が家具を選んであげる」と言われたし、マックイーンには「私の家から家具を持ち込んでもよろしいでしょうか」とも言われた。特にマックイーン、一体トレーナー室に何を置くつもりだ。

 

と、勝手に言ってみたものの、明日からはトレセン学園に別れを告げ、大津での新生活である。トレーナー室全体が1680万色に発光しようが自分の知った話ではない。

 

『よし。あとは住所を書いた伝票を貼れば…終わった!』

 

3時間程経っただろうか、ようやっと荷物のチェックも終わり完全に準備は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

???「これは…?住所をメモしておきますか…」

 

 

■□■□■

 

 

別れの時間にはあまり似つかわしくない鮮やかな桜と朝焼けを横目に校門から出ていく。4年?5年?月日も忘れてしまうほど過ごしたトレセン学園に別れを告げる。ああ、これで終わりか。とあまり自分に似つかわしくないような独り言をつぶやいたあとに、西への旅路を歩みだした。

 

 

 

 

 

「今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車はひかり号 新大阪行きです。途中の停車駅は品川、新横浜、小田原・豊橋・名古屋・岐阜羽島・米原・京都…」

 

個人的にはのぞみよりもひかりの方が好きだ。のぞみは混んでいるから嫌い。それだけだ。

天気は快晴なので、熱海の海や浜名湖がきれいに見えた。E席だったが静岡〜掛川で富士山も見た。京都までの2時間はまさに「ひかり」の早さで過ぎていった。

 

 

■□■□■

 

 

「まもなく、京都です。東海道線・山陰線・湖西線・奈良線と地下鉄線・近鉄線はお乗り換えです。」

 

もうこんな時間か、と思いつつも新生活のための最低限の装備を詰め込んだスーツケースを荷棚から下ろし、ドアの前に向かう。それにしても、グリーン車は思っていたよりも良かった。こうやって2時間で離れてしまうのが惜しいくらいだ。

 

東京では鬱病になったりもした。自分1人だったらきっと心が折れてしまっていただろう。立ち直れたのは周囲の力だった。戻りたくはないと聞かれたら大嘘になるが、これから僕は新たな生活を送らねばならない。

 

 

■□■□■

 

 

「間もなく、大津、大津です。お出口は右側です」

 

京都と大津は近い。あまりにも近すぎる。おかげで大津に県庁所在地たる風格はない上、人々も大津に行くくらいなら京都に行くと言わんばかりにスルーしている。じゃあなぜ京都市内ではなくわざわざ大津を選んだのかという話になるが、京都市内は家賃がバカ高いからだ。大津駅徒歩7分でで家賃4.5万でいろいろついているところがあったのでコスパが良かった為選んだ。まあお財布に都合がいいということだ。

 

徒歩7分と書いてあったが、中高と帰宅部四番でエースでキャプテンだったので5分程度でついた。周囲の人間曰く、歩くの”は“かなり早い部類に入るらしい、よく知らないが。あと走りは絶望的な速さだ。そのせいかウマ娘たちには「エスコートがなっていない」と口を揃えて言われた。しかし、今後エスコートなんてする機会がある確率は≒0なので、気にしてもどうにもならない話だ。以上、元高校生トレーナー談義は閉廷。くだらない脳内談義をしている間に新居を出迎え、いや新居に出迎えられる準備が整った。

 

ガチャ

 

内見にはちゃんと行ったので内装は分かりきっていたが、いざここに住むとなると高まる期待が自身でも知覚できる。重たい荷物をリビングに置いて…何をしようか。荷物はまだ来ていないから何もできない。

 

ふと、持ってきた時刻表と、そのうち必要になるだろと買っておいた青春18きっぷが目に入った。

 

そうだ、旅行に行こう。

 

 

■□■□■

 

 

「ご乗車ありがとうございました。間もなく終点、姫路、姫路です。お出口は右側です。山陽線 岡山方面…」

 

大津から1時間と40分、播磨のボス、姫路に到着。終点という安直な理由で目的地になった。最近高架化した若干現代的なきれいなホームに降り立つ。

改札を出て駅周辺を見回すと立派な通りがお出迎え。これは2640円をJR西日本にお布施して来る価値がありそうだ。とりあえず奥に構える白鷺城-姫路城到着を目標に散策をすることにした。

 

 

いや、予定変更だ。姫路レース場で12:15→12:45とウマ娘たちがレースに出走するとのことなので駅前のバス停11:40発のバスに間に合うように商店街を散策することにした。

 

そういえば、朝食を食べていない。もう起きてから6時間経っている10:45なので餓死の危険が差し迫っている。商店街にあるやけにコンパクトなうどん屋に入り、食券を買った。それを店員に渡すと思いのほか早く出てきた。

 

よく一人でご飯を食べるのは寂しくないか、と言われるが、逆に複数人いないと食事ができないなんて赤ちゃんだろうかと思う。他の人に「あーん」としてもらわないとご飯を食べられないのだろうか。

 

『ごちそうさまでした』

 

きつねうどんは10分で完食。一時期過剰なストレスで食事の量、速さともに大きくなっていたので未だに癖が残っている。

 

姫路は大きな都市といえど50万都市。各都道府県の商店街が衰退していることを考えると、姫路も寂れていてもおかしくないのだが人がいる。難波や新宿程ではないが、人がいる。これまで全国津々浦々の都市を巡ったが、ここまで人がいるのは珍しい。大津の商店街は500m先まで見通せるほど人がいないかったし。

 

 

 

早めにレース場に行くために姫路駅前のまで戻ってくると、ホテルが目に入った。せっかく大学に入ったし卒業旅行をするとなればやっぱり長期的にしたいところだ。というわけでスマホでホテルの部屋を予約をした。移動の利便性も考えて姫路駅すぐ近くのホテルを選んだ。だいたい5000円くらいだった。

 

駅のロッカーに余分な荷物をぶち込んだ(ケチったせいでサイズが小さく入れるのに苦労した)あと、レース場行きのバスが出る大通り沿いのバス停に行き、バスに乗り込んだ。

案外すぐバスはレース場についた。どうやら予定より2分程度早かったようだ。

 

レース場に入るためバス停から奥に進んでいると、後ろに黒塗りの高級車が止まっているのが見えた。兵庫での地方レースの偉い人が来ているのだろうか。2012~2020年は常に休場していたが、最近になって復活したため若干注目を浴びている。

 

 

パドックに向けて歩いていると、男性のトレーナーとウマ娘のらしきペアが見えた。姫路・園田レース場(いずれも兵庫のローカルレース場)に芝はないため、おそらくダートに適正があるウマ娘だろう。中央レースに関してはまあまあ知識がある方だが、地域のレースに関してはさっぱりだ。どの娘が強いとかも知らないし、たまには知識がないまっさらな心でレースを見るのも良いか。などと考え事をしていると。足元にペンが転がってきた。

 

どうやらあのトレーナーが落としたみたいだ。

 

『これ、落としましたよ』

 

トレーナー「ありがとうございます」

 

『もしかして…ウマ娘のトレーナーですか?』

 

トレーナー「はい、まだ新人ですがそうです。トレーナー業に興味は?」

 

『興味があるというか…実は学生ながら4年程中央の方でやらせていただいてまして』

 

トレーナー「そうなんですか!?担当したウマ娘さんとかはどのような娘がいるんですか?」

 

『環境に恵まれまして、ダイワスカーレットとメジロマックイーンのあたりを3,4年担当させていただいてました』

 

トレーナー「噂の高校生トレーナーさんですか!?いつもニュースで見ています!」

 

実は一度横柄なマスコミの態度に腹を立て、それ以来取材はすべてそれぞれのウマ娘に受けさせているのだが、何故かテレビに写っているらしい。いつ撮ったんだ、素材。

 

『まあ、学生生活と兼業しているので他のトレーナーの方々に支援してもらっていましたので、僕が指導を全てやっているというわけではないです』

 

とお互いに若干ぎこちなさが残るような会話をしていると、奥から黒髪のウマ娘が歩いてきた

 

黒髪のウマ娘「この人がダイワスカーレットを育てていた高校生トレーナーさんですか?」

 

トレーナー「そうらしいぞ、でもなぜ姫路に来ているんだろうな」

 

黒髪のウマ娘「聞けばいいじゃないですか」

 

トレーナー「そ、そうだな」

 

トレーナー「中央で働いているのに、なぜゆえ姫路のレース場まで来たんですか?」

 

『実は、紆余曲折ありまして京都の大学に進学することになりまして。今日近畿に戻ってきたんです』

 

トレーナー「え!?じゃあトレーナーはやめてしまうということですか?」

 

『そうなりますね。大学の学部も経済学部で…その、別にやりたいことがあるのでもう中央のトレセンに戻るつもりはないです』

 

黒髪のウマ娘「本当にやめてしまっても良いんですか?大学生ってことはまだお若いですし…」

 

『いや、もう彼女たちは僕がいなくてもなんとかなります。腕の立つ知り合いを後継に指名したので、更に成長できると思っています』

 

黒髪のウマ娘「そうですか…。4年間、お疲れさまでした」

 

トレーナー「お疲れさまでした」

 

黒髪のウマ娘「その…なんというか、出会った記念ということで握手をお願いします」

 

『わかりました』

 

ウマ娘と僕は手を取り合い、固い握手をした。

 

 

■□■□■

 

 

「今回注目の1番人気は、5番…」

 

アナウンスによると、さっきの黒髪のウマ娘は1番人気のようだ。ふとパドックの掲示板を見ようと視線を向けると、そこには学校で使われていそうな大きさの黒板があった。そこに枠順と人気、癖のある字で10名のウマ娘の名前が書かれていた。

 

ゲートインが完了し、遂にレースが始まる!!

 

さっきのウマ娘は前目につける逃げよりの先行のようだ。2,3位の位置につけ1位の様子を見ている。

しかしダートの1400mのレース、40秒程度走ったところで仕掛けた。1位はかなりの逃げだったようで、ペースこそ落ちていないもののスパートをかけるのは厳しそうだ。

ゴールから3ハロンの位置で仕掛けた事によって垂れウマを回避でき、後方が群団を抜け出そうと躍起になっている間に易易と自分の最速で最終直線へ向かう。そして、4バ身も差をつけ1着でゴールした。

 

黒髪のウマ娘「やりました!」

 

トレーナー「これで5連勝だな!タイムも安定して伸びているし、姫路と園田以外にも足を伸ばしたいところだな」

 

黒髪のウマ娘「お互いに精進していきましょうね」

 

黒髪のウマ娘はトレーナーと話していたが、こちらの存在に気づくと手招きをしてきた。なので駆け寄って、まずは褒めてやった。

 

『流石でした。安定して好位置が取れていましたし、最後の仕掛けるタイミングによってレースの展開を作れていました』

 

黒髪のウマ娘「そんなに褒めていだだけるなんて…嬉しいです」

 

尻尾が気持ち大きめに揺れている気がする。

 

トレーナー「実は、前回のレースではさっきより遅めに仕掛けてみたんですけど、バ群に飲まれつつかろうじて差したという状態だったんですよ。彼女の脚質に合わなかったので、試行錯誤の結果あの戦術を採用したんです。うまく行って一安心です」

 

『その…走り方がスカーレットに似ているなと思いました』

 

黒髪のウマ娘「実は、スカーレットさんに憧れていまして…。自分の脚質と合っていたのでやってみたらかなりうまく行ったんです」

 

自分が関わったウマ娘が憧れとかといわれると、本人でもないのに照れくさくなってしまう。

 

『戦術が参考になって、こちらも嬉しいです。その戦術で力を発揮して、中央の重賞レースでも君を見かけられることを期待しています。あと、体のことは十分に気を遣ってください。もちろんトレーナーさんも』

 

黒髪のウマ娘「オーバーワークもほどほどにしろっていわれていますよ?トレーナーさん」

 

トレーナー「わかったから…ちゃんと有給は使うって」

 

『そろそろ姫路駅に戻らないといけないので、このあたりで失礼します』

 

黒髪のウマ娘「気を付けて帰ってくださいね」

 

トレーナー「今日はありがとうございました」

 

『いえいえ、こちらこそ良いものを見せていただきありがとうございました』

 

『それでは、また今度』

 

姫路レース場で見られたものは、かなり価値あるものだった。今度は園田の方にも行ってみようか。

 

行きのルートをそっくりそのまま折り返し、姫路駅まで戻ってきた。

ついて数分後、レース上にいた高級車と同じものが駅前に停まった。なかから運転手が出てきて後部のドアに手をかけた。

ああ、やっぱりレース関連の有力者だったのかと独り合点していると

 

お辞儀をしながら車から出てきたのは…

 

 

有力者は有力者でも走る方、メジロマックイーンとグラスワンダーだった。

 

『なん…で』

 

 

 

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マックイーンサイド

 

マックイーン「えっ!?トレーナーさんが引っ越しですって!?」

 

グラス「あくまで推測ですよ、推測」

 

グラスさんが突拍子もなく「トレーナーさんが引っ越す」なんてことを言って…どうしたのでしょうか。ゴールドシップなら兎も角、グラスさんは嘘をつくような方ではありませんし、なにか理由があるはずです。

 

マックイーン「どうして急に引っ越しなんてことを?」

 

グラス「実はですね、トレーナー室が使い始めたときよりもきれいになっていたんですよ」

 

マックイーン「確かに引っ越し前は掃除をしますわね」

 

あながち間違いではないとは思いますが、流石に短絡的ではないでしょうか。

 

グラス「しかも、引っ越しするんですかと問い詰めたらですね、『い、いや、トレーナー室を改装するだけだよ…』と、かなり動揺していたんですよ。鼻とか髪の毛をさわったり、あからさまに視線をそらしていて可愛かったですよ〜」

 

前言撤回です。黒ですわ。トレーナーさんは嘘をつくのが本当に下手ですわね。

 

グラス「さらに、こんなものも見つかったんですよ」

 

そう言ってグラスさんが懐から取り出したのは、京都大学-文系と大きな文字が書かれた赤本でした。京都大学に進学するなんて、トレーナーさんはなんて賢い人なのでしょうか。

 

マックイーン「トレーナーさんが京都大学に進学するということですか?」

 

グラス「最近トレーナーさんは上機嫌だったので、多分するんでしょうね」

 

トレーナーさんは三鷹に住んでいるそうですが、流石に京都大学まで毎朝行くわけには行かないでしょう。おそらく京都に移り住んで、トレセン学園からは離れていってしまうでしょう。そうとなれば一心同体を誓いあった仲でも散り散りに…

 

マックイーン「なんとかして、トレーナーさんを東京に連れ戻さなくてはいけませんね。もし取り逃してしまえば、トレーナーさんがどこのウマの骨かもわからない女に捕まってしまいますわ」

 

トレーナーさんと関係を保つためには、なんとかして東京にいさせ続ける必要がありそうです。

 

グラス「とりあえず作戦会議をしましょうか」

 

マックイーン「それが先決ですわね」

 

 

■□■□■

 

 

グラスさんと立てた作戦はこうです。

 

まず、トレーナーさんの財布、靴、服の胸ポケットにGPSを仕掛けます。これは私の仕事です。その後に、グラスさんがスマホでトレーナーさんの位置情報を監視します。なにか行動があればグラスさんが私に通知を行い、もしトレーナーさんが近畿方面に移動すれば私が新幹線のきっぷと芦屋の別荘にある車の手配をする。そして、位置情報をもとにトレーナーさんを特定し、東京に連れ戻す。

ざっくりとした作戦ではありますが、何かあれば、臨機応変に対応していきましょう。

 

 

■□■□■

 

 

5:30

 

寝ていると、電話がかかってきて飛び起きました。『かっとばせー』という自分の声で起きたときよりも驚きました。

 

グラス「マックイーンさん、トレーナーさんに動きがありました。今、新宿まで電車で向かっているようです。」

 

マックイーン「とりあえず、しばらく監視をしていましょう」

 

グラス「そうですわね、焦りは禁物です」

 

 

6:30

 

グラス「トレーナーさんが、新幹線で西へ移動を始めました。」

 

新幹線で西に行くというと、基本的に名古屋か、京都、大阪が目的地になると思いますが、最近のトレーナーさんの様子を見るに、おそらく目的地は京都でしょう。

 

マックイーン「新幹線の席の手配をしますわ」

 

新幹線のネット予約は、基本的に席を変え放題で使い勝手がよろしいのです。これで京都に行く新幹線のきっぷを取って、ささっと近畿に行ってしまいましょう。

 

 

■□■□■

 

 

「まもなく、京都です。東海道線・山陰線・湖西線・奈良線と地下鉄線・近鉄線はお乗り換えです」

 

東京から早2時間、天皇賞で何回か訪れた京都に到着ですわ。今からトレーナーさんを取り戻せると思うと、胸の高鳴りが止まりません。いつなんどきも平常心を心がけているグラスさんも、これにはソワソワしているようです。

 

グラス「トレーナーさんの位置情報を確認して、このあとどうするか決めましょうか」

 

マックイーン「トレーナーさんはどこにいるのでしょうか」

 

グラスさんがアプリで位置を確認すると

 

《京都府長岡京市を時速130kmで移動中》

 

とのことです。

 

マックイーン「長岡京、ですか?」

 

グラス「奈良時代にあった、古い都の名前ですね。ここよりも少し大阪寄りみたいです」

 

マックイーン「トレーナーさんは大阪に住む予定なのでしょうか?」

 

グラス「とにかく追いかけましょう。話はそれからです。」

 

新幹線から降りて、京都駅の八条口というところに来たみたいです。トレーナーさんは慣れたような感じで歩いていましたが、ウマ娘2人で来てしまうと全くわかりません。その間にトレーナーさんはどんどん離れていってしまいます。

 

グラス「こちらのようですね」

 

グラスさんとともに案内板や、スマホの構内図を見て大阪方面に行くホームに着きました。京都駅が複雑怪奇な構造ではなくて助かりました。

 

 

 

アナウンス「間もなく5番乗り場に、10時15分発 新快速 姫路行きが12両で参ります」

 

グラス「トレーナーさんは今、大阪府に入ったみたいですね」

 

スマホには《大阪府高槻市を時速100kmで移動中》と表示されています。

 

来た電車に乗り込みます。トレーナーさんがどこに行くかわからない以上、今は追いかけるしかなさそうです。

 

マックイーン「近畿の電車は、少し豪華なのですね」

 

東京近郊は、壁際に両端に並んで座るーたしか、ロングシートといったでしょうか。しかし、こちらでは新幹線のように2列ずつの席が並んでいます。

 

グラス「少し、寝てもよろしいでしょうか。徹夜でトレーナーさんを監視していて、少し睡眠がほしいです。トレーナーさんの位置情報は、私のスマホを使って自由に確認してもらって問題はありませんから。」

 

この形の座席なら、堂々と寝ても迷惑はかからないでしょう。

 

マックイーン「わかりました。降りるときには起こしますので、ぐっすり眠っていてください」

 

 

■□■□■

 

 

京都を出発すると、電車はぐんぐんと加速し、駅を1つ2つ3つと飛ばしていきます。途中の停車駅でトレーナーさんの位置情報を確認しましたが、どうやら大阪市に入ったようです。電車がかなり速いので、トレーナーさんに追いつけるのではないかと思いましたが全くと行っていいほど距離は近づいていませんでした。

 

大阪まで来ましたが、トレーナーさんはまだ移動を続けるようです。神戸へ逃げられてしまいました。

 

私達が神戸に来れば、トレーナーさんは明石へ。私達が明石に来れば、トレーナーさんは加古川というところまでと、いたちごっこのようになっていましたが、トレーナーさんが姫路で下車したようです。

神戸で待機させておいた車を、姫路まで運転してくるように頼みトレーナーさん捕縛の準備をします。

 

 

■□■□■

 

 

「ご乗車ありがとうございました。間もなく終点、姫路、姫路です。お出口は右側です。山陽線 岡山方面…」

 

姫路に到着するようです。グラスさんを起こし、荷物をまとめて下車の準備をします。もう少し簡単に捕まえられるかと思いましたが、こんなに遠くまで逃げられてしまいました。

 

ですが、もう逃しません。将来の婚約者を逃してしまったとなれば、メジロ家に顔向けができませんから。

 

姫路駅の構内から出て、トレーナーさんの位置情報が示す位置に向かいます。

 

 

グラス「あっ、いました〜」

 

頭の上の真っ黒なくせっ毛に、紺のポロシャツ。そして大きく見開いた吸い込まれそうなほど真っ黒な目。間違いありません。早く捕まえてしまいたいところです。

 

マックイーン「早く捕まえてしまいましょう」

 

グラス「いや、しばらく様子を見ておきましょう。ないとは思いますが、人違いかもしれませんし、人が少ないところのほうが騒がれても助けが来ないですから。」

 

 

■□■□■

 

 

その後、トレーナーさんは姫路レース場に行き、レースを観戦していました。私達という存在がありながら、他に目移りするなんて…

後で教育して、正す必要がありそうです。

それにしても、あの黒髪のウマ娘は何をしていますの!早速どこのウマの骨かもわからない輩が近付いてしまっているではありませんか!怒り心頭になりトレーナーさんに襲いかかろうとしてしまいましたが、グラスさんに諭されました。

 

その後、バスに乗って姫路駅まで戻っていったので、私達も車で追いかけました。姫路駅前のロータリーで降ろしてもらい、トレーナーさんに近づきます。

 

 

トレーナーさんがいました。周りに人も少ないですし、絶好のチャンスです。

 

 

 

───────────────────────────────────────────────────

 

 

 

トレーナーサイド

 

なんでマックイーンとグラスがいるのか!?目が笑ってない上、後ろには強面…ではないが黒い服を着た人がいる。

まずい。逃げなければ。ここまで生存本能が働くのは、文明によって命がある程度保証されている現代日本では早々ないだろう。

しかし、普通に走って逃げたところでものの数秒で捕まえられてしまう。その上、姫路にいるということがバレていることから推察するに、おそらく位置情報を特定できるように仕組まれているのだろう。

 

しかし、自分は端くれともいえど鉄道の趣味をかじっている人間。純粋な走りではなく、公共交通機関で逃げればある程度は撒けるのではないだろうか。運が良いことに現在手に握っているきっぷは青春18きっぷ。日本の至るところまで張り巡らされたJR線を5日間乗り放題だ。

 

相手方は車も使ってくるだろうが、まあなんとかなるだろう。(フラグ)

 

とりあえず姫路駅に入ろう、話はそれからだ。

 

 

■□■□■

 

 

まあ…そりゃあマックイーン達もICカード使って入ってくるよね。周囲に人がいるため互いに全速力で走るということはないため助かったが、ここからどうしようか。と悩んでいると、案が1つ思い浮かんだ。

 

マックイーン「待ってくださいませ!」

 

グラス「痛くしませんから♪」

 

なにか言われているか気がするが、あと数秒で姫路での戦いには幕が閉じられるので関係ない。

 

僕は青春18切符に出場印を押してもらい、駅構外へ出た。そこから歩いていると、後ろで改札に引っかかった輩が約2名。

 

グラス「改札を通れません…」

 

マックイーン「ど、どうしたらいいんですの!」

 

JR東とは異なり、JR西ではICカードを入場券として使用することができない。会計システム面が面倒になるかららしい。というわけでマックイーンとグラスを姫路駅の中に封印することができた。

 

姫路には山陽電鉄という私鉄があるため、それに乗って明石のあたりまで出れば一時しのぎ程度にはなるだろう。

 

姫路ではJRと山陽電鉄は微妙な位置関係にある。たしかに同じ地名を冠しているうえ、距離もあまり遠くはない。しかし、乗り換えるには公道を通る上、建物が繋がっているわけでもないので乗換駅とみなすかは人によってまちまちだそうだ。

 

どうやら黒服は追って来てないようだ。普通、マックイーンが行動不能になったときのためにもう少し人員を用意しておくべきだと思うが、詰めが甘かったようだ。

 

 

とりあえず、今は危険極まりない姫路から逃げることが最優先だろう。

 

続くべき…




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