第一話
「また...行きたいな...」
気が付いたらそう呟いてしまった・・・
あの日を思い出しながら。
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「あ、あち~.....」
7月中旬、もう夏も本番。いよいよあの蒸し蒸しした暑さで日陰の効果が消えてしまう季節が来た。この季節は水が必要不可欠。マネージャーをしているのもあり、倒れていてはいられないと水を持参して寮へ向かう。
「やっと着いた....」
事務所からそんなに離れてはいないはずなのに、数十キロもいや百数キロくらい離れているように感じた。
「おじゃします~。うわ、めっちゃ涼しい.....」
寮の中は冷房が効いていて、とっても涼しい。外とは大違いだ。
「あれ?マネージャーじゃないすか。今日はどうしたんすか?」
「あぁ、舞花。ちょっと用事があって・・・ね。」
「いや、事務所に来てくれって読んだら自分たち行きますよ?」
「いやいや。こんな中歩かせるわけにはいかないし、何せ僕の運動不足解消のためだから。」
「そんなこと言ったって、マネージャーが倒れたら、元も子もないっすよ!」
「大丈夫。そうならないように水常備してきたから。」
さっきまで持っていた水筒を見せながら答える。
「じゃあ、その汗はどう弁解するんすか?」
「いや汗は弁解もどうもこうもないでしょ!」
「マネージャーさん?どうしたんですかその汗の量・・・。」
「あ。陽菜。マネージャーこの暑さの中事務所から歩いてきたんだとよ。うちらが行くってのに。」
「舞花ちゃん、タオル持って来ようか?」
「いや、そこまでじゃないよ。」
「そんなことないすよマネージャー!陽菜、タオル持ってきて~」
「うん、分かった。」
「.....わざわざ持ってこなくてもいいのに。」
「こんな疲れてる中、放置するわけにはいきませんって。」
ここまで言われたら妥協するしかない
「そんなもんなのかな?まぁいいや。ありがと。」
「気にしないでくださいよマネージャー。うちらが勝手にやってるだけなんで。ところで、今日何で寮に来たんすか?」
「あ、ちょっとWindの四人に用があってね。」
「舞花、陽菜からタオルもらって来たんだけど、何で・・・?ってマネージャー!どうしてここに?」
「サンキューほのか。Windの四人に用があって事務所から歩いて来たんだと。」
「この暑さの中で?それでタオルを?」
「そういうこと。マネージャーすっげー汗かいてたからさ。タオル一個ちょうだ~い。」
「はいよ。それっ!」
「ナイスパス!ほい、マネージャー。」
「どうも。」
「ほのか、陽菜にWindの四人呼んできてって伝えといてくれない?」
「は~い。」
「いや、それはさすがに自分が。」
「だからマネージャーは休んでてくださいって!うちらがやれることはやるんで。」
「ほんと...感謝しないとな。」
「だってマネージャー、どうせまた事務所に戻るんすよね?」
「そりゃあもちろん。職場そこなんだし。」
「じゃあ尚更こっちでゆっくりしてください。」
「そうさせてもらうか・・・。」
「マネージャーさん、呼んできましたよ。」
「お疲れ~マネージャー。」
「マネージャー。、お疲れ様。」
「急に呼び出して、なんかあったの?」
「マネージャーさん、お疲れ様です。呼んだら行きますよ?事務所に。」
「あぁ、うん。みんなお疲れ。あぁ、舞花。タオル返すね。ありがとう。」
「お構いなく!じゃ、また後でね、マネージャー!」
「はいよ。さて、いきなり本題に入るんだけど。」
「この前のオーディションのこと?」
「そう、そのこと。その結果がきたんだけど・・・」
「(ドキドキ・・・ドキドキ......)」
「残念ながら....皆落選でした.......」
「.......あらそ。」
「そっか....まぁしょうがないよね.....」
「そんな....」
「四人皆・・・。」
「社長も残念そうだったな・・・。でも、そういう世界だから、また切り替えていくしかないとも言ってたね。いつまでも引っ張ってて良いことは無いからさ。」
「まぁいつまでも引っ張るわけにはいかないしね。」
「部屋に戻って、また皆で話そうか。」
「ヤケ酒はやめてよね。」
「そんなことしませんよ。さ、行きましょ。」
「とりあえず、皆お疲れ様。また何かあれば連絡するね。」
「分かった。」
そしてWindの四人は階段を上がっていった。
「さて、帰るかな。」
「え?マネージャー帰っちゃうんすか?もうちょっと休みましょうよ。外も暑いし・・。」
「いやでも、僕がいることでなんか不快感とか皆覚えないかなあ。」
「そんなことないっすよ。休んでるって言えば皆納得してくれますって。」
「いやむしろ色々気使わせそうなんですけど・・・?」
「でも、このあと急ぎの用事とか無いすよね?」
「う・・・ご最も....」
実はさっきのオーディションが受かればそれが一番の仕事になるが故に、潰されてしまった今、特にこれと言って急いでやらないといけない仕事は無い。
「じゃあなおさらですって。」
とその時
「それでその子がさ―――」
「えっそれ本当!?柚葉。」
「本当よチサ。もううんざりしちゃうわ。あら?マネージャーじゃない。」
「え?あ、本当だ。お疲れ様です、マネージャー。」
「あ、千紗と柚葉。お疲れ様~。」
「ねぇ、なんでマネージャーがここにいるの?」
「それはかれこれこういうことがあって・・・」
舞花が概略を伝える
「あぁ、そうゆうことね!それにしても、なんでこんなにも日本の夏は暑いのかしら。」
「湿気の影響だと思うよ。真夏の日は日蔭が日蔭じゃないんだから。」
「ほんと、冷房がないと大変だわ~。」
その時、偶然にも点いていたテレビに目をやると、この時期だからかレジャーについての特番を放送中だった。そしてさらに偶然にも海のレジャーについて扱っていた。
「(うわ・・・めっちゃ懐かしいな~.....)」
そんなことを思っていたとき、不意に口から言葉が出た
「また・・・行きたいな.....」
「ん?マネージャーどこ行きたいんすか?」
「あれ?僕、何か言った?」
「急に黄昏れたようにまた行きたいとか言ってましたよ。」
「えっ?それ本当?完全に無意識のうちに言ってたなこりゃ....」
「マネージャー。紅茶淹れるんですけど、マネージャーも飲みますか?」
「そうだな、せっかくだし頂こうかな。」
「りょーかーい。」
「で、どこ行きたいんすか?」
「え?あぁ、そうだなぁ~。可能性あるとすればだけどあそこなのかな・・・。」
「いやだからどこなんですかって.....」
「江の島だよ。学生時代に三年連続くらいで行ったっけな。日付も決まってて7月31日。」
「そんなことがあったんすか・・・。」
「まぁね。」
「マネージャー、はいこれ。」
「あぁ、紅茶どうも。」
「マイカ、どうかしたの?」
「いや、マネージャーが急にまた行きたいとか言ってたから、どこ行きたいのかなぁって。」
「それで?一体どこに行きたいの?」
「江の島だってよ。」
「エノシマ?って....どこ?」
「神奈川ね。湘南海岸のところだとかなり有名どころね。」
「そんなところに行けるなんてサイコーじゃない?皆で行きましょうよ!皆で!」
「えっ!?ちょっと皆で!?さすがにそれは無理でしょ・・・。」
「ちょっと社長にも打診してみようか。多分Windの皆にとってもいい気分転換にもなるだろうし。」
「まぁ、そうかもしれませんね。」
「うん、紅茶おいしかった。ごちそうさまでした。」
「はい、どうも。」
「さてと、そろそろ行きますかね。ちょっと話さないといけないこともできたし。」
「頼んだよ!マネージャー。」
「はいよ。じゃ、また後で。」
僕は再び、水をもって寮を出て、事務所へ向かった。
はいどうも、作者です。これからちょっとだけ、夏小説投稿していきます。まぁ多分すぐ完結しちゃうと思うけど。さぁこれからどのように物語が進んでいくんですかね。お楽しみに!