それはAiRBLUEの16人とスタッフ含め計20人で江の島へ行ったその日からもうすぐで2週間という頃だっただろうか。
仕事をしていた時、急に冷たいものが首に触れた。
「んッ!!」
「マネージャーさーん、差し入れです。」
「なんだ美晴か。びっくりさせないでくれよ全く。」
「だってマネージャーさんのびっくりする姿、見たかったんです。」
「それでこんなことしちゃう行動力に脱帽だわ。缶コーヒーどうも。それで今日はどうしたの?」
「今週の日曜日空いてますか?」
「ん?日曜日?手帳手帳と・・・日曜なら空いてるよ。土曜だったら危なかったけど。それで、どこへ行きたいの?」
「マネージャーさんと一緒に山の方に行きたいなって。」
「山ねぇ・・・まぁこの辺からだと遠くに見えるくらいだよね。福岡は地図見た感じ山は近そうだけどね。まぁここに慣れちゃうと関係ないか。ちょっと時間かかるけど、いい?」
「もちろんですよ。私はマネージャーさんと行ければ、それでいいですから。」
「そう。じゃ、これあげるからここで今のうちに目通しておきな。」
「これ..台本ですか?」
「そ。この前美晴が受けたオーディション、無事受かったから。昨日プロデューサーさんから社長経由でもらったんだ。ちょっと日曜の軽い計画作ってるから、その時間のうちに読んでおいて。」
「分かりました。ちょうど休みが重なってよかったですね。」
「うん。土曜日が打ち合わせだったからさ。本当良かったよ。」
計画を作っている間、美晴は少し離れたところで小さい声で台本を読み上げ、僕はレッスンの予定を組む傍ら、お金のことも見ながら計画を作っていった。
「ちょっとここで一区切りつけようかしら。」
「美晴日曜のやつできたけど、神端駅に6:50待ち合わせで。」
「分かりました。当日、楽しみに待ってますね。」
当日、いつも通り5分前に待ち合わせ場所に着いたのだが、その時すでに美晴がいたので少しびっくりした。
「マネージャーさん、おはようございます。」
「美晴おはよう。待ったでしょ?いつも通り来たと思ったんだけどね。」
「私も今来たばかりですよ。」
「そう?ならいいんだけど。さてと、行こうか。」
「そうですね。」
行きは時間を優先して新幹線を使う。まぁお金がかかっちゃうんだけど、そればかりはしょうがない。
「ところでマネージャーさん、今日はどこへ行くんですか?」
「行くところ自体は二か所あるんだけど、秘密ってことで。」
「えぇ~教えてくれても良いじゃないですかあ。」
「こういうのも案外楽しいものだよ。変なとこ連れてくわけじゃないからそこは安心して。」
「はーい。」
乗ること一時間。
「さ、そろそろ乗り換えるよ。」
「はーい。」
「わあ。二両でかわいいですね。」
「九州だとこういうの多そうな印象あるけどね。ローカル線だとこういうの多いかもね。」
「これでどこまで行くんですか?」
「30分ぐらい乗るよ。」
約30分後、目的の駅に着くのだけど、その前に一つポイントがある。
列車は停まったのだが、そのあと少ししてから逆に走り始めた。
「マネージャーさん、これ逆走してますけど、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。この辺は線路の勾配が急で、そのまま登ると坂が急で登れないからジグザグに進むように線路を敷いたの。スイッチバックっていう言い方をしたりするけどね。で、駅のホームがそのスイッチバックの先にあるんだ。だから逆走するような形で入線するんだけどちゃんと安全に配慮してるから大丈夫。」
「そうなんですね。」
「この駅からの景色が見どころなの。」
出発してから3時間。無事に第一目的地。姨捨駅に到着。
「すごい景色ですね。」
「ね?言ったでしょ?」
「はい・・・。」
「もちろん景色も見てほしいけどさ、もう一個見てほしいとこがあって。」
「どこですか?」
「ちょっとここで問題出そうかな。この駅のベンチ、何が普通のと違うと思う?」
「このベンチ...ホームじゃなくて景色の方向向いてませんか?」
「正解。こういうベンチって珍しいよね。この駅夜景も素晴らしいんだけど、夜景見てたら一泊になっちゃうから。」
「夜景じゃなくてもいい景色ですよ。それに、またいつでも来れるじゃないですか。」
「そうだね。また来よう。今度は夜に。」
「はい。もちろんです。」
この後やって来た列車に乗り次の目的地へ移動。
「このまま帰るんですか?」
「いや、もう一個行ってから。ここから案外時間かかるだけどね。」
普通列車を乗り継いで移動すること3時間30分。
「次で降りるよ。」
「意外と時間かかりましたね。」
「ここばかりは普通列車しか走ってないからね。でも景色は楽しめたでしょ?山の中走ってく路線だし。」
「もちろんですよ、マネージャーさん。」
ドアが開き、駅へ降りる。
「ところでマネージャーさん、この電車、音が違くありませんか?」
「さすがだね。この車両、ハイブリッド気動車って呼ばれてるやつでね。」
「なんですか?それ。」
「車両の中にディーゼルエンジンが積んであって、それで発電機を動かして電気を作って、それを蓄電池とかモーターに伝えて動力を得る。っていうシステムの車両だね。」
「それでハイブリッドなんですね。」
「そういうこと。あとこの駅で降りたのにもわけがあって、これだ。」
「JR線最高駅野辺山・・・?」
「ここ野辺山駅はJRの路線というよりはむしろ日本で一番標高の駅なの。」
「そうなんですね。」
「で、この駅の近くに電波望遠鏡もあってそれを見に行くついでに少し観光しようかな~と思って。」
「いいですね。行きましょ、マネージャーさん。」
「そう言うと思った。」
駅から出て歩いていると周辺は畑が多い。多分キャベツとかそういう類の野菜を育てている畑だろう。
「あ、見えて来たな。あれがその望遠鏡だよ。」
「あ、あれですか?結構はっきり見えるんですね。」
「まぁ45mのあれば見えるのかな?よく分からないけど。」
とは言いつつ、こんな調子で2時間近く持つわけがないので見るところを見たらすぐに駅に戻り、そこからは最近のことを喋りながら時間を潰していた。
そして15時30分過ぎ、帰路につくことにした。
「とりあえずこれの終点まで乗って、そこからは特急だからゆっくりできるよ。」
「了解です。」
ここまで結構長旅だったので疲れが出てきてるかなと思っていたけど、実際特急乗ってみたら美晴はずっと外の景色を眺めていた。まぁ都心で緑たくさんなんてところあるわけが無いのでいい気分転換になったなら良いのだが。
そして19時。時間通りに神端に戻って来た。
「今日はお疲れ様。戻ったらゆっくり休むんだよ。」
「分かりました。マネージャーさん、今日はありがとうございました。」
「お礼を言われることでもないよ美晴。美晴が楽しんでくれてならそれでいいから。じゃ、また今度。」
「はい。マネージャーさんもお疲れ様でした。」
どうも作者です。割と今回も長くなっちゃいましたね。姨捨駅は一度本当に行ってみることをすすめます。まぁ当の僕は行けてないんですけど。お金と時間がかかるんですよあそこ行くのに・・・。まぁ景色が最高ですので。今回をもちまして、シリーズも終了です。総合的なあとがきはブログのほうに書いているので。ここで投稿する気にはなりませんでした。それでは、また次の作品で会いましょう。