真夏の青と灰色と虹   作:セントレ

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第一章
第四話


いよいよ当日。

 

「これで....よしと。」

 

いつもの出発前点検で問題は特に無し。まぁ昨日少し走ってるし、ガソリンも満タンにしたからほぼほぼ問題ないことは確定してるんだけどね。途中でエンストとかいやだし。

 

「さてと....行きますか。」

そう気合いを入れて、車を進める。

 

特に問題もなく事務所に無事到着。

事務所のロビーにはもう先客がいた。

 

「おはようございます。」

 

「おはようマネージャー。」

 

「陽菜たちはもう来てたんだね。」

 

「あんまり無いと思いますけど、寝坊とかしたくなかったですし。」

 

「早すぎたかもしれんがな。」

 

「でもいいじゃん?遅く来るよりは早く来た方が。」

 

「そうだね。」

 

そんな他愛もない会話をしていたら、

 

「おはようございます。」

 

「美晴おはよう。」

Windが来た。のはいいのだが、今のところそこまで空気が暗い雰囲気は見えない。

 

その後、めちゃ元気に入って来た悠希リーダーのBirdと静かに利恵率いるMoonが到着し、全員集まったので出発することに。

 

――――――

 

「誰がどこ座るのか決めたの?」

 

「私がマネージャーさんの隣で、」

 

「あたしらは後部座席で。」

 

「はいよ。じゃとりあえず後ろの3人はトランクの中に荷物入れてね。」

 

「はーい。」

 

「んじゃ乗っちゃって。ちょっと狭くてごめんね。車の特性上こればっかりはしょうがないから許して。」

リアシートの空間が狭いのはツードアクーペカーの宿命だ。

 

「だーいじょーぶ!あたしらは出かけられるだけでいいから。」

 

「んじゃ席戻すよ~。」

 

「はーい。・・・うお、意外と狭くなる....」

 

「だから言ったでしょうに・・・。美晴はそのまま持って乗って。それぐらいの空間はあるから。」

 

「はーい。」

 

「みんなシートベルト締めたね?」

 

「は~い!」

 

「当たり前よ。命に関わるんだから。」

 

「じゃー、しゅっぱーつ!!」

 

 

走ってるうちにわかった。Windの雰囲気が暗いという意味に。

確かに、空気がかなり重い。今まではこういう移動中でも会話が生まれて、それが弾んで、途切れずに続くような、とても明るくて、運転している僕としても楽しめるチームだったのに。今は誰一人として口を開かず、ただボーっとしていたり、ぼんやりと外を見たりしている。ちらりと見ていても分かる。目が完全に死んでいる。内面的な面から、元気が出ていないのだ。それもそうだろう。この旅を打診したときに桐香先生も言っていたが、今回のオーディションへは四人みんなこれまで以上に本気で取り組んでいた。自主練とかもものすごく頑張っていた。それで四人のうち誰一人受からなかったのだから、そのショックは想像に難しくない。果たして今日で戻ってくれるのか・・・。不安に駆られながら車を進める。

 

ある程度行ったところでトイレ休憩のためにサービスエリアに車を止める。

 

「はい、ここで休憩。」

 

普通に男女で用を足す時間は男のほうが圧倒的に早いので、はやいこと車に戻り、一枚のCDを取り出す。

表面に「AiRBLUE」と書いてあるのがそのCDの目印。

この中にはこれまでAiRBLUEのみんなが歌ってきた曲が全部入っている。ドライブ中にシングルの音楽が終わったら色々面倒なのでね。全部まとめたものを自分で勝手に作ったようなやつだ。とりあえず、お気に入りの曲にセットし、ランダム再生にして四人を待機。

その後戻って来たので再開。本線合流直前、CDを流し始める。

 

「あれ.....これ・・・。」

 

今日これまで全く口を開いていなかったが、ここにきて会話が始まった。

 

「さすが莉子。すぐ気付くか。メインボーカルで歌ってた、カレイドスコープだよ。」

なぜかはよく分からないが、この曲は僕が一発で魅せられてしまった曲。他にもいろいろ好きな曲はあるのだが、やっぱりカレスコが一番だ。

 

「なんか・・・・懐かしいな......」

 

僕はなんとなくだけど話を続ける。

「この歌詞にもあるけどさ、たとえ今失敗してても、10年後まではいかなくても、半年後くらいになっても今のままでいられるわけにはいかないことくらい、みんな分かってるでしょ?いつでも成功できるとは限らないことも。努力すれば報われるっていう言葉はあるけど、それはすぐに報われるとも限らない。何週間、何カ月、時には何年にもなってその努力が報われて、自分に返って来ることだってある。だから、今は下を向かないで。今下向いていたら、多分この先ずっと前を向けない。多分、せっかく受けられるオーディションもスルーしなくちゃいけないかもしれない。今回だけじゃなくてこれまでずっと、何事にも必死に頑張ってきてたじゃん。あの努力と向上心みたいなものは絶対になくしちゃいけない。だってさ、それをなくしたらもうWindの四人じゃないよ。だからさ、少なくとも今日はこれまでのことは忘れて、いっぱい楽しんできてほしい。というかそうして。今後のためにもね。」

 

ランダム再生にしたこともあって、曲はバラバラに再生されてく。Windのチーム以外のチームソングは垂れ流しみたいな感じだったが、Windの曲が流れると少し曲の話題で会話が出てくるようになった。

 

そんな感じに過ごしていたら、駐車場に到着。もうすでに社長が運転しているMoonの車は駐車場に着いていた。

 

「さてと、それじゃひとまず自由行動。当たり前だけど危険な真似はしないように。あとこの前も言ったけど熱中症には気を付けること。なにかあったら電話して。それじゃあ、全部忘れて、楽しんでおいで!!」

 

「は~い。」

 

「行ってきまーす!」

 

「はいはい、分かりましたよ。いくよ、絢。」

 

「あ、うん。分かった。」

 

「さぁて、行きたいところ行きますかね~。」




はいどうも、作者です。ようやく旅の出発点に着きました。ここからは各チームごとにお出かけの過ごし方を雑に書いていくつもりです。初回の次回はFlower編!一体どんな楽しみ方をするのでしょうか。お楽しみに。
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