モンスターハンター In My Eyes   作:あずき犬

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果てしない田園地帯、天を貫くような山岳地帯そして身を焦がすような砂漠地帯。美しくも厳しい雄大な風景に見とれてしまう。
夜明け前、肩を叩かれて見ると、夜空に赤々と光を放つ火山が見えていた。

「第11話 鎧竜」
どうぞ。


第2章 予兆編
第11話 鎧竜


ナグリ国は活火山であるナグリ火山から潤沢に採取される鉄鉱石を地熱エネルギーを利用し加工する工業国である。

共和国内においても、確固たる地位を確率しており、共和国の一地方としてではなく、独立した一国の地位が与えられている。

ナグリ国の首都ナグリはナグリ火山を遠方に眺め、円錐状に広がるの麓の台地に無数の煙突を突き立て、南には工業港を抱えている。その様子は、この地を訪れた人々に、千の煙突万の黒煙、不夜城と呼ばれ、栄華を誇っていた。

 

 

 

 

まだ薄暗い内に、ナグリに到着したキャラバン一行は、異様な空気を感じながら、町の入口付近に設けられたキャラバン用の空地に荷物を下ろした。不夜城と呼ばれたナグリだが、黒煙の上がる煙突は一つも無く、町はひっそりと静まりかえっている。ただ、はるか向こうのナグリ火山のみが天を赤々と照らし、夜明けを待つ空に黒煙をたなびかせている。

 

日が登る頃には、カガリが釜に火を入れ、エルザが出張ギルドカウンターを、ハクが屋台を設置し終えた。

団長、ナズナ、ナジム、私の4人は人気のない工房群を抜けて、町のなかでも一際目を引く丸いドーム型の大工房に入る。

 

「どちら様で」

 

工房の作業員風の男性が声を掛けてきた。背が低く、長いヒゲを貯えた土竜人の男性であった。団長がいきさつを説明すると、奥の部屋に案内してくれた。

 

「随分と静かだな」

 

巨大な柱が立ち並ぶ通路を案内されながら、団長が前を歩く土竜人に言う。

 

「地熱交換施設のせいでして」

 

土竜人は廊下を歩きながら答えた。廊下の窓からナグリの工房群が見えるが有名なナグリの黒煙は全く上がっていない。

 

「マグマの流れが変わってしまったと言っている者もおります」

 

ナグリの主産業である鉄工業はナグリ火山の地熱を利用した地熱交換施設の生み出す動力に支えられている。その動力源に異常があれば、工房を動かすことが出来ないのだろう。

 

「おお、団長、久しぶりじゃな」

 

ドーム型の工房に案内されると、火の入っていない巨大な釜の側に土竜人の老人がぽつねんと座っていた。

 

「元気そうだな、工房長」

 

団長が声をかけると老人は、

「よっこらせ」

 

と椅子から立ち上がる。

 

「工房長とはまた懐かしい呼び方じゃな」

 

老人は団長と握手する。

 

「体は元気なんじゃが、こいつがなぁ」

 

白髪が混じり始めたヒゲをさすりながら、老人はさみしそうに釜の方を見上げる。

 

「ナグリ国王殿、竜人商人のナジムと申します」

 

ナジムが床に片膝を付き、頭を下げて挨拶をする。

 

「かつて商売でナグリを訪問した時には千の煙突から万の黒煙が立ちのぼり、作れぬものは無いと言われた王立工房のこの状況。いったい」

 

ナグリ国王は頷くと力無く、椅子に腰掛ける。

 

「地熱交換施設のせいなんじゃ」

 

国王は窓から見えるナグリ火山を見上げる。

 

「地熱交換施設にモンスターが現れてな、プラントの一部がオーバーヒートを起こしとるんじゃ」

 

ため息をつきナグリ国王はがっくりと肩を落とす。

 

「だから〜、私が行ってくるってば」

 

急に若い女性の声が工房内に響く。声の方を見ると、黄色い長髪の若い女性が回りの男性土竜人相手にハンマーを振り回している。

 

「孫のぺルヴェじゃ」

 

国王がまたため息をつく。ペルヴェはズカズカと私の前に歩みよる。

 

「あんたがじっちゃんに頼まれたハンターなの?」

小さな体と同じくらいの大きさのハンマーを私に向ける。

 

「あんたなんかに頼まなくても、あたしが討伐してきてやる」

 

ペルヴェは少し考えて

 

「グラなんとか一匹くらい」

 

「グラビモスじゃ」

 

ナグリ国王がすかさず言い直す。

 

「そう、そのグラビモスくらい」

 

ぺルヴェは恥ずかしそうに言い直す。

 

「随分元気な孫じゃないか」

 

団長が高笑いしながら言う。

 

「ドンドルマの工房学校から帰ってきたばかりなんじゃが」

 

ため息をつくナグリ国王を一瞥しペルヴェは

 

「男共はほんとだらしない」

 

肩を怒らせて言い捨てると工房ドームから出ていった。あわてて土竜人の男性が追い掛ける。

 

「というわけじゃ。あの馬鹿孫が黒焦げになるまえにハンターにグラビモスを狩猟してもらいたい」

 

ナグリ国王はため息混じりに団長に頭を下げた。団長はちらっと私の方を見る。いつもながら断れるわけがない。私は頷く。

 

「よし、決まった。ほら、元気だしな、工房長」

 

団長は一国の国王の背中を思いっきり叩く。

 

キャラバンに戻ると、エルザが一枚のクエスト依頼書を机の上にのせ、両肘をついて依頼書をにらみ付けていた。私が近づくと顔を上げる。

 

「グラビモスの狩猟。結構きついと思うけど」

 

マグマの中をものともせずに移動するグラビモス。強固な甲殻、巨大な体躯、なによりも恐ろしいのは、体内で蓄積したマグマの熱を利用した熱線。一瞬で巨大な岩石をドロドロのマグマに変えてしまうという。

 

「でも行くでしょ」

 

私は頷く。

 

「やっぱり。でもちゃんと準備して下さいね」

 

エルザは承認の印を依頼書に押した。キャラバンに戻ろうとすると、出入口の横でハクが私を待っていた。

 

「屋台に昼飯を用意しといたニャル。ナグリで昔から火山に行く前に食べられていた郷土料理ニャル。熱に弱いゲリョス装備にピッタリニャル」

 

ハクは言って自分の屋台に帰っていった。

キャラバンに入ると、カガリが椅子に座り、テーブルの上の新しい弓を見つめていた。

 

「スキュラシュレッダ。頼まれて作ってみた」

 

ネルスキュラの強靭な糸を使えば強力な弓を作れるかも知れないとカガリから聞いた私はネルスキュラを数匹討伐し、必要な素材を移動前にカガリに渡していた。

 

「弦が強力過ぎて曲射機構を組み込めなかった。不完全な武器だが、攻撃力自体は高い。持って行くかはあんたに任せる」

 

カガリは言ってキャラバンを出ていった。

 

グラビモスの狩猟は火山洞窟内で行われる。洞窟内では上空に打ち上げる曲射は使えないため、この新しい弓を持っていこうと思う。

装備をすべて着装し、クーラードリンクを満載したポーチを付け、スキュラシュレッダを担ぎキャラバンを出た。

ナズナと合流し、屋台で昼食をとり、火山洞窟に向け出発した。

 

 

火山洞窟に向かう街道を歩く私達の遥か後方を、小さな人影が静かについてきていたことには、この時全く気づいていなかった。

 

 

 

 

絶対的な攻撃力の不足。

地底洞窟の入口に設置されたベースキャンプで、支給品の確認やポーチの整理をしていた私達は、対グラビモス戦において、その様な結論に達した。攻撃力不足をいかに補うか、ナズナは、一つの答えとして、持参した大樽爆弾を指差した。

 

「スキュラフィストは睡眠矢が強化されてるって聞いたニャ。とにかく眠らせてドカーン作戦ニャ」

 

睡眠状態のモンスターは細胞レベルで甲殻の結合が緩み、ダメージが通り易くなる。手数勝負の弓では一撃の大きなダメージは期待できないが、大樽爆弾なら、安定した大ダメージを与えることができる。大樽爆弾の大きさは一つでナズナが両手で抱える位になる。ナズナは1つを両手で持ち、1つを背中に括り付け、もう一つを私に持たせた。

 

「グラビモスを発見したら樽を置いてから戦闘しないと、一緒にドカーンニャ」

 

簡単には爆発はしないと聞いたが、爆弾を背負わされるのはあまりいい気はしない。私は慎重に爆弾を背負い、体に括りつけ、ベルトの弾倉に睡眠ビンを取り付けた。装備の状況と持ち物についてナズナと確認しあい、火山湖の湖畔に設営されたベースキャンプを出ると、岩場に作られた細い通路を通り、火山洞窟の入口に向かって走った。

 

火山洞窟の奥、壁面から平野部に浸出した粘性の溶岩が赤々と輝くエリア。溶岩の放つ赤色に照らされて、岩の固まりにしか見えないグラビモスを見つけた。

大きく張り出した顎、刃のように研ぎ澄まされている翼、踏み締める度に岩が崩れる大木の様な足。そのすべてが距離感が狂うほど大きい。私は唾を飲み込む。

 

「大きいニャ」

 

ナズナはつぶやくとグラビモスに気づかれないように息を殺して体から爆弾を取り外す。私も深呼吸をし、体の震えを押さえ、爆弾を降ろした。グラビモスはこちらに気付くことなく翼を広げたまま、エリア内を徘徊している。ナズナと目を合わす。

私はクーラードリンクを飲み干すと、一気に坂を駆け降り、段差の上からグラビモスに飛び掛かり矢切で背中を薙ぎ払い地面に着地した。グラビモスの分厚い甲殻の中の目が私を見ている。私は素早く距離をとり、ペイントビンを弓にセットし、そのままグラビモスの顔面に向けて矢を放った。見た目の通り、体は大きいが動きには散漫なところがあるようだ。グラビモスは顔面にペイントを浴びると、やっと気付いたように、岩のような牙を見せながら息を吸い込むと、大咆哮をあげた。空間中が大音量に震える。天井から崩れ落ちる砂粒の中、たまらず私は両耳を両手で押さえる。いまだ空間内にはグラビモスの咆哮が反響し続けている。 弓をとりだし、睡眠ビンをセットする。グラビモスを見ると、翼を地面すれすれまで低くして広げ、顔をこちらにむけている。何か来る、思った私は軸線上から横に動く。グラビモスは顔を地面スレスレまで下ろすと口を開けながら私の方に向かって突進してきた。

明らかに突進の軸線はずらしたはずだったが、グラビモスはまっすぐ私に向かって突進してきていた。単なる直線的な突進ではなく、私を追尾しているのだろうか。慌てて回転回避で横に跳びこむ。

私のすぐ横を巨体が地面を揺らして通り過ぎた。地面を見るとグラビモスが通り過ぎた跡に地面がえぐられている。見上げると、グラビモスは体を揺らせて方向転換をしていた。

私は適性距離まで近寄り、グラビモスの顔面に向けて、睡眠ビンの液体の付いた矢を放つ。矢がヒットする度に睡眠を促す液体がグラビモスの顔面にふりかかっている。連続で4発の矢を打ち込む。グラビモスはやっと私の方を振り向き、またしても姿勢を低くし突進をしかける。いつものように最小限の横移動で突進の軸線から外れるが、またしても、グラビモスは移動した私に向かって突進をしかけてくる。回転回避で避けるが、グラビモスの翼の先に体が触れ、吹っ飛ばされて地面を転がる。体が巨大なため、回転回避の距離が足りない。突進が移動した後の私を追尾していることは間違いない。突進を予測して横移動と回転回避を組み合わせる必要がある。

対処方を考えながらも、方向転換しているグラビモスに矢を打ち込み続けた。

10発目の矢が顔面で炸裂したところでグラビモスは地面に倒れ、大音量のいびきをかきはじめた。両手で両耳を押さえていると、ナズナが大樽爆弾を抱えて走り寄り、グラビモスの鼻先に静かに置く。ナズナが十分離れたのを見計らい、睡眠ビンを取り外し、慎重に大樽に狙いを定めて矢を放つ。

閃光の後、大音量の爆発音が空間に広がった。天井から小石が崩れ落ちている。黒煙のなかからグラビモスが顔を上げる。口から炎を漏らしている。怒り状態に移行したようだ。距離を取ろうとした瞬間、大咆哮が私を襲う。

しまったと思った瞬間には、突進に巻き込まれていた。幸い踏みつけられることはなかったが、蹴り飛ばされる形になり、また地面を転がる。起き上がるが、目が回り、体が動かせない。よろめく私にグラビモスはまた姿勢を低くして突進の準備をしている。突然背中に衝撃が走り正気に戻った。

 

「一時退却ニャ」

 

ナズナが武器を振り回している。私は頷くと、一目散に坂を駆け上がる。グラビモスは私のいた場所を突進で駆け抜けて、溶岩の手前で急停止している。その隙に、二人は爆弾を抱え、隣のエリアに移動した。

 

 

 

 

水蒸気に包まれた薄暗いエリアで爆弾を降ろし、回復薬グレードを飲み込む。

 

「初顔合わせにしては、上手くいっているほうニャ」

 

ナズナが腕を組み頷く。私としては散々な出来だったが、と思いながら、持参した乾燥ネムリイワシの身をすりつぶし、調合袋に入れ、洞窟内で掬った水を入れて良く揉み、出来た液体を空き瓶に詰めた。消費した分の睡眠ビンを足しておく。

 

「もうひとつ奥のエリアに移動したみたいだニャ」

 

ナズナが空中の臭いを嗅ぎ取っている。

 

火山洞窟のさらに奥はドーム状の広い空間になっていた。

平らな地面の中央に溶岩に照らされるグラビモスが見えた。私とナズナは出入口のすぐ横に爆弾を下ろすと、エリア中央に向かって走りだした。

怒り状態が続いているらしく口から炎を漏らしている。私は睡眠ビンをセットし、こちらに気付くことなく闊歩しているグラビモスの背中に向けて矢を放つ。気付いたグラビモスは私の方を見ると、胸を大きく反らせる。横にいたナズナと目を合わしそれぞれ反対の方向に地面に飛び込む。顔から胸を地面に強打して、唸りながら見ると、私とナズナの間を光の帯が走っていた。炎の塊に見えた帯は崖にぶつかると爆音を立てて爆発する。すぐに灼熱の熱風が襲ってきた。灼熱の熱風を両腕でガードし、崖を見ると、熱線が直撃した部分が溶け出して真っ赤になっていた。これが熱線である。まともに喰らったら命はない。手が震えた。グラビモスを振り返ると、その場で体を震わし、甲殻の隙間から黄色い熱風を噴出している。

私は弓を構え、グラビモスの顔面に向けて矢を放ち続ける。一撃一撃の威力はとてつもなく大きいが、隙も大きい。突進は追尾が厄介だが、姿勢を低くする予備動作とともに移動を開始すれば避けることができた。避けた後はノロノロとした振り返りの間矢を放ち続ける。睡眠ビンを放ち尽くす寸前でグラビモスは地面に倒れいびきをかきはじめた。

 

「状態異常攻撃には耐性がついていくニャ。睡眠はもう限界だニャ」

 

ナズナは坂の上から爆弾を持ってきてグラビモスの鼻先に置いた。狙いすました私の矢が爆弾を撃ち抜く。

爆音とともに起き上がったグラビモスの顔面の甲殻が割れていた。

疲労状態に移行したグラビモスの顔面をひたすら適性距離から最大の力で矢を放ち続ける。ナズナも武器を構え、グラビモスに突進攻撃を仕掛けている。グラビモスはその場で今までからは想像出来ないくらいのスピードで回転を始める。ナズナははるかエリアの彼方に吹っ飛ばされていった。回転中のグラビモスにも矢を放ち続ける。たまらずグラビモスは翼を広げるとドームの天井の穴から逃げ出していった。

私はナズナに駆け寄る。ナズナは唸りながら起き上がった。

 

「大丈夫ニャ。ここでちょっと休憩してから追い掛けるニャ」

 

と言いながらその場にしゃがみこむ。

 

グラビモスと出会ったエリアに戻る。グラビモスはエリアの真ん中にいるようだが様子がおかしい。私から遠く離れた場所で回転や噛み付きを繰り返している。

坂を駆け上がると、グラビモスの足元に誰かいるのが見えた。小さな体で髪を振り乱しながらハンマーを振り回している。ペルヴェだった。

一瞬頭が混乱した。彼女がここにいる理由は分からないが、非常に危険な状況に間違いない。ペルヴェは作業用の平装だし、振るっているハンマーも鉄を打つためのハンマーで武器ではない。

弓を取り出しとにかく注意をこちらに向けなければと駆け寄った時、ペルヴェががむしゃらに振ったハンマーが偶然グラビモスの足に当たる。激しい金属と岩がぶつかる音が響き、ペルヴェのハンマーの先が回転しながら遥か彼方に飛んでいく。握り部分だけを握りしめ、ペルヴェは呆然と立ち尽くしている。グラビモスはペルヴェに向かって突進の姿勢をとる。

呼吸が激しくなり、鼓動が高まる。

 

視界が狭まり、空間が赤く染まっていく。

 

暗闇から伸びた黒い甲殻の腕が私の脈打つ心臓を握りしめ、長く禍々しく伸びた爪が食い込んでいく。

 

矢を番え、最大に力をためて放つ。矢は3本に別れグラビモスの足に向かって風を切る。着弾する前に更に矢を番える。

 

伸びきった弓弦を腰を屈め、無理矢理引き、矢を放つ。スキュラフィストの悲鳴のような弦音とともに放たれた矢は先の矢が着弾した直後にグラビモスの足に先の矢より速度を増して着弾する。

 

グラビモスは怯まず突進の姿勢をとり、ペルヴェの方に足を踏み出す。

 

モンスターの咆哮が空間にこだまする。これは、私の咆哮。張り裂けそうな心の叫び声。

 

私の咆哮が空間に響き渡る。気を取り直したペルヴェがこちらに視線を向ける。

 

叫びながら矢を番え、最大に力をためて矢を放ち、瞬間に次の矢を番え、身を屈めて次の矢を放つ。矢はほぼ同時にグラビモスの足に着弾する。

足の甲殻が剥がれ落ち、血飛沫が上がる。雄叫びをあげて倒れ込むグラビモスの下に滑り込み、腰をぬかして動けなくなっているペルヴェを抱きかかえ、反対側に転がる。ペルヴェがいた場所にグラビモスが倒れ込む。

 

「ひぃーー」

 

私の腕の中でペルヴェ悲鳴をあげて手足をばたつかせる。手を離すと、腰を抜かしたまま、後ずさりをし、私から離れた。

 

ペルヴェの怯えた目に、溶岩の光を受け、グラビモスの返り血に染まった銀髪を逆立て、紅色に輝く瞳の私が映る。

 

血に染まった銀髪をなびかせて振り返る。

足をばたつかせるグラビモスの顔面横に大樽爆弾が置かれている。大慌てで駆け出すナズナが見えた。両足を前後に大きく踏み広げ、狙い澄ました一撃を大樽爆弾に放つ。

足を引きづり飛び立つグラビモスに先程の2連射を放ち、地面に墜落させ、地面でうごめく巨体に永遠と矢を放ち続ける。

壊れた頭部を持ち上げ、天井に向かって咆哮すると、グラビモスは力無く崩れ落ちた。

 

「旦那、あの撃ち方は?」

 

もくもくと剥ぎ取りのためにハンターナイフを振る私に、ぺルヴェの側にいるナズナが問う。私は腕を止めて首を振る。体が勝手に動いたとしか言いようがなかった。腕を組み考え込むナズナの横で、疲れ果てたのか、ペルヴェが小さな寝息をたてていた。

 




グラビモスを狩猟した太陽の団はナグリ国王から宴に招待された。
宴を抜け出したイズナに団長が語る真実。

次回「第12話 告白」
お楽しみに。
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