そんな彼女の前に立ちはだかるのは、轟竜ティガレックス。
「第21話 湖水」
どうぞ。
ユクモ山脈を下り、岩影に簡単なテントを張って一晩を過ごし、翌日、日が昇る前にテントを畳み歩き出す。
森を抜けると、一面の大湿原に出た。日が暮れるまで湿原を回り込むようにもくもくと歩くと、大きな川のほとりに小さな集落を見つけた。
ユクモ村と似たような木造の家が数軒、身を寄せ合うように立ち並び、窓から暖かい光が漏れている。集落の入口に【シュラク村】の看板が見えた。
ちょうど夕飯時らしく、集落の中心では、雑貨屋や食料品店にちらほらと買い物客が見えた。
商店の並びには宿屋の看板も見える。
ニコが駆け出し、背伸びをして宿屋の一階のレストランを覗きこみ、私を振り返る。
獄狼竜を狩猟してから、ほとんど歩きっぱなしである事を思い出した。
休憩が必要だろう。それに、殆ど着のみ着のままでここまで来てしまったので、これからの旅仕度もし直さなくてはならない。なにをするにしても先立つ物が必要である。
私は苦渋の決断を下した。
カガリに作ってもらったゲリョス一式を道具屋に下取りに出した。
獄狼竜の炎に焼かれた装備は、以外と高く買い取って貰えた。なかなか装備から手を離さない私から、店主が装備を引っ張り取る。
雑貨屋で、安い白色のワンピースを買い、宿を借りた。
2階の部屋に荷物を下ろし、ワンピースを着て、ニコとレストランのテーブルに座った。
肉料理とスープ、ニコの肉まんを注文し、何気なくレストランを見回す。
少し離れた席に商人らしき中年男性が二人座っている。
私の前に運ばれてきたローストビーフを口に運んでいると、彼等の話し声が聞こえてきた。
「…… て訳で納品が間に合わないんだ」
手前に座る眼鏡の男性が頭を抱える。
「いちいちギルドに頼む時間もありゃしねえな」
もう一人の髭面の男性が腕を組む。
「一か八か行くしかねえか」
二人は同時にため息をつく。
私はローストビーフに突き刺したフォークを止めた。肉まんにかぶりつくニコを眺める。
肉まんから溢れ出る肉汁が顔中にこびりついている。
ニコは舌を器用に使って髭に着いた肉汁を嘗めとると、うっとりとした目で私を見、ビクッと体を震わす。
「ハ、ハンターさんのこんがり肉も美味しいニャよ」
睨まれていると勘違いしたのだろうか。
私は覚悟を決めた。
酒を飲む商人達のテーブルに歩み寄り、ポーチから取り出したギルドカードを机の上に置いた。
グラスを置いた商人達はカードと私を交互に見る。
宿を借りる時に身分証の提示を求められた。一瞬戸惑ったが、慌ててまさぐったポーチの中に、入れたままになっていたギルドカードを見つけて恐る恐る差し出した。
何の疑いもなく店主は一般客と同じ料金で一番いい部屋に案内してくれた。
ハンターランク 3
所属 太陽の団
ハンター名 イズナ
ナグリでババコンガを狩猟した時からそのままのギルドカードである。
※
翌朝、日が昇ると同時に、ユクモ木の丸太を満載した荷馬車がシュラク村を出発した。荷馬車を引く、2匹のアプトノスの横を私とニコが歩く。
「いやー、ほんと助かりましたよ」
アプトノスの前を歩き、手綱を引く髭面の男性が満面の笑みで振り向く。
「ジャギー位なら何とか逃げ切れると思うんですけどね」
彼等はユクモ木の木材をタンジアに運ぶ予定だったらしいが、昨日、タンジアから来た別の商人が、シュラク村に向かう途中で恐ろしいモンスターの叫び声を聞き、慌てて逃げてきたと聞いたらしい。
逃げる途中、木陰に一瞬見えたモンスター。
それは、轟竜ティガレックスであった。
街道沿いの小川で、アプトノス達に水を飲まし、商人と私達は木陰に座り、宿で作ってもらった弁当を広げていた。
「ハンターさんは、あれかい? ユクモから?」
特大の握り飯を頬張りながら髭面の商人トルヤが私に言う。ギルドから手配されているかも知れない私は反応に迷った。
眼鏡をかけた商人アルネコが水筒のお茶を飲みながら、
「トルヤ、ハンターさんにもいろいろあるだろうから詮索は野暮だろ」
私の方に笑いかけた。
「訳ありかあ。いいんじゃないか。ギルドなんて俺達にとっちゃ関係ないしな」
トルヤも私に笑い掛ける。
ユクモ村に向かう道中でマリアからギルドについて聞いていた。
正式な名称はハンターズギルド。その誕生ははるかシュレイド王国時代まで遡るらしい。
共和国の首都メゼポルタに総本部を持ち、ドンドルマに実質的な現地本部がある。各地方の主要都市に集会場と呼ばれる支部を置き、総勢1万人と言われるハンターを抱える、共和国随一のハンター互助会である。かつて、個々に独立していた古龍観測所や、書士隊、学術院を統合してできた現行の古竜観測省と密接な関係を持ち、政治的な発言力も大きい。しかしながら、現在でも辺境地域では、町や村単位でハンターを雇い、ギルドを通さず、狩猟が行われているのが実情である。ギルドから密猟者と呼ばれる彼等からすれば、ハンターズギルドも、あまたあるハンター互助会の一つに過ぎないと言う。
丸太の荷造りを確認し、商隊は街道を進み始めた。
※
深い密林の中の街道を進んでいた時、突然、先頭のアプトノスが前足を振り上げていなないた。
着ていたフードを脱ぎ、私とニコは暴れるアプトノスの横を走り抜けて商隊の先頭に走り出た。
視界にはモンスターらしき物は見当たらない。が、街道の脇を見ると、ジャギーの死体が転がっていた。しゃがみ込み、腹を触ってみる。まだ、暖かい。
見上げた先で、梢が揺れた。
耳をつんざく轟音が辺りに響く。揺れる木々から小鳥が一斉に空に飛び上がる。
私は心配そうにこちらを見ていたトルヤとアルネコに街道の先を指して、早く通過するように、合図を送る。
二人は頷き、暴れるアプトノスをなだめながら、商隊を前に進める。
「頼みます」
アルネコが血の気の引いた顔で頭を下げて、荷車を押しながら走り去った。
岩がちな森の中、下草を掻き分けながら、慎重に咆哮の聞こえた方に歩く。
下草が薙ぎ倒されている。大きな物体がうごめく音が聞こえた。
はやる気持ちを抑えるように、木陰に身を隠す。
背中に担いでいたリュウガンを手に取り、ペイント瓶をセットする。
初めての武器に防具。不安を打ち消すために、宿で貰った木の実を一口頬張り、残りを捨てる。甘酸っぱい果汁が口の中に広がり、気持ちが落ち着いていく。
木陰から半身を乗り出して、音がしたの方を覗き見る。
焦げ茶色の鱗に覆われた巨大な頭部に、細かく動く大きな瞳、唾液に濡れた巨大な牙が見えた。
轟竜ティガレックスである。
木陰に身を潜ませる私のすぐに横をティガレックスの太い足が草を踏み付けながら通り過ぎる。丸太のように発達した筋肉。ナイフのような爪が見えた。
はやる鼓動の中、息を殺す。
ティガレックスが目の前の小さな段差を降りるのを見て、矢入れから矢を取り出し、段差に向かって一気に走る。
段差の下のティガレックスに向かって手に持った矢を振りながら飛び降りた。
もたげた頭部の目が私を捕らえた。
その場でバックステップし、私の矢切りを避けたティガレックスは翼手を地面に突き、息を吸いながら頭部を持ち上げると、轟音を放つ。
強烈なバインドボイスの風圧に吹っ飛ばされた私は、何度も草の上を転がる。あまりの風圧に舞い散った木の葉が私に降り懸かる。
「だ、大丈夫ニャ?」
ニコが心配そうに私に話しかける。
これが有名なティガレックスのバインドボイス。モンスター図鑑で見たティガレックスの必殺技である。自らの体で体感し、今、自分が狩りの現場にいることを実感し、心地好い昂揚感が私を満たしていく。
ティガレックスは身を低く構え、突進の姿勢をとっている。
この狭い空間では、弓を構える事はできない。私はティガレックスに背を向けて、ニコと段差を飛び降りる。
ひたすら逃げる私達の後ろから、岩を割り、木々を薙ぎ倒しながら突進するティガレックスが迫っていた。
大きめの段差を飛び降り、岩影に身を丸める。頭上を巨体が通過していく。背中のリュウガンを手に持ち、矢を番えた。
放たれた矢は、邪魔な木々を薙ぎ倒しながら方向転換するティガレックスの頭部に命中した。甘いペイントの香りが広がる。素早く、ペイント瓶を取り外し、シュラク村で買っていた強撃瓶をセットする。
私に向かってくる突進を回転回避でいなし、ティガレックスが刈ってくれた草の上で弓弦を引き絞り、放つ。爆発音のような轟音をたてて放たれた矢は木漏れ日に照らされながら空気を切り裂き、ティガレックスの頭部に炸裂した。
矢羽根が砕け散る火花の後、龍属性の紫の炎が燃え盛る。
大木と岩影を利用し、死角から着実に攻撃を当てていく。やがて、戦闘エリアは、森の中の開けた広場に移っていた。
低い姿勢の突進が繰り返えされる。巻き込まれた盾虫が無残に空に舞上げられている。
ティガレックスは地面を削りながら旋回し、叫びながら私に向かって突進を行う。頭部と、振り下ろされる翼手の間のわずかなスペースに回転回避で滑り込む。土埃の中、私の鼻先を足爪が通過していく。
立ち上がり、振り返る。ティガレックスの全身が脈打つ血液で赤く変色している。口から吐き出される息が白く辺りに広がる。
怒り状態に移行したようだ。リュウガンを納刀し、距離をとる。
息を吸い込み、胸を張り出したティガレックスが大咆哮を放つ。轟音にまるで空気が歪むような錯覚に陥る。逃げ遅れたニコがバインドボイスの風圧に飛ばされている。両耳を押さえて轟音に耐える私の目の前に落下したニコは、地面を転がり、エリアから逃げ出していった。
地面を叩き付けるような音に振り返る。ニコに気を取られ、ティガレックスが直近まで突進してきていることに気づかなかった。
翼手に空中に放り上げられ、地面に叩き付けられた私に、折り返して来たティガレックスの翼手が迫っていたいた。体を曲げて、ダメージに備えて目を閉じる。
金属と金属がぶつかる澄んだ音が響き渡る。目を開けると、ティガレックスが地面に横倒しになり、足をばたつかせている。
「大丈夫か?」
声のした方を見ると、白髪混じりの男性が、鞘に納めた太刀を握って立っていた。
「危ないところだったな」
男性は言いながら、姿勢を低く保ち倒れているティガレックスに走り寄ると、抜刀しながら切り付ける。身長より長い金属の刃が光を受けて輝く。流れるような連続切りを終え、鞘に刀が納められる。
男性の向こうで立ち上がったティガレックスが空に飛び上がっていった。
「弓使いか。突進を繰り返す奴には相性が悪いな」
男性は座り込む私に歩み寄る。
「ココット村のガラフだ。まだギルドに依頼は行ってないはずだが」
立ち上がる私をガラフがいぶかしげに腕を組み眺めている。
私は頭を下げて街道の方を指差した。
「ふむ。偶然出会ったわけか。それは不運だったな」
私の足元にニコが駆け寄る。
「商人さんに護衛を頼まれたニャ」
ニコが私に変わって説明してくれた。
「密猟者か。まあ、俺も似たようなもんだ」
ガラフは言いながら、森の中を街道まで案内してくれた。
この森に程近い場所にココットという村があるらしく、村付きハンターのガラフは、ティガレックスの噂を聞いて偵察に来ていたらしい。
「気が向いたら村に来てくれよ」
街道に出たところでガラフは手を振り森に戻って行った。
※
ティガレックスに出会った森から少し街道を進んだ岩場で、トルヤとアルネコに合流した。
タンジア地方の入口となる集落に到着し、夕食の席でトルヤとアルネコは何度も頭を下げて、ゼニーの束を私に渡した。
シュラク村で交渉した額より少し多かったが、彼等は、
「あのティガレックスがいるおかげで、他の奴らが通れねえからな。思ったより高く売れそうだ」
と言い、豪快に酒を飲み笑った。
狩猟できず逃げられたことへの報酬なのだろう。
社会とはかくも複雑なものである。
※
翌朝、トルヤとアルネコの荷馬車がタンジアに向けて出発する姿を見送り、私とニコは、ガラフが言っていたココット村に向かって、もと来た街道を戻り歩き始めた。
季節は秋を過ぎて冬の始め。ユクモでは雪が降り積もっていたが、刈り取られた麦畑がひろがる平地には見渡すかぎりに霜が降り、朝もやに地平線が霞んでいる。朝方は冷え込むが、ウルク装備を着るほどではない。少し歩くとすぐに体が温まり、被っていたフードを脱いだ。
ティガレックスのせいか、行き交う人も無く、程なく、ユクモ方面とココット方面の分岐に差し掛かった。
小川に沿うココット村への街道を歩き、ユクモ方面を眺める。小川の向こう、ティガレックスに出会った丘陵地帯が見えた。
あの森の中、ティガレックスは傷を癒しているのだろう。
正式にクエスト登録されれば、狩猟に行くことが出来なくなるが、きちんと決着をつけておきたかった。
小川に設けられた水呑場で、昼食をとり、肌を刺す冷えた水で顔を洗った。
日が傾き始める頃、低い丘陵を登りきると、巨大な湖が横たわっているのが見えた。
夕陽を反射し、煌めく水面に寄り添うように、小さな集落が見えた。
ココット村である。
数軒の家と商店があるだけの小さな村だが、家の庭や軒先には数え切れない程の干しキノコが一面に並び、それらの世話をする住民達の声が通りまで響いていた。
商店の一つ、料理屋に入る。
薄暗い店内の奥でテーブルに座り、アイルーと話しているガラフを見つけた。
「よう。来てくれたのか」
ガラフは私に気付くと、立ち上がり、握手を求める。
「ほら、これが昨日言ってたハンター。…… 名前なんだっけ」
握手に応える私に代わってニコが答える。
「ハンターさんはイズナニャ。僕はニコニャ」
ニコもガラフと握手を交わす。
「な、獄狼竜一式だろ」
ガラフと話していたアイルーがまじまじと私の全身を眺める。
「本当ニャ。疑って悪かったニャ」
椅子から飛び降りた黒毛のアイルーと握手を交わす。
「キッチンアイルーのクロニャ。もう晩御飯は食べたニャ?」
私が首を振ると、クロは嬉しそうに頷き、
「ココット特製の料理を振る舞うニャ」
と言い、コック帽を被るとキッチンに走っていった。
ガラフが引いてくれた椅子に座る。テーブルの上にはすでに食事後の皿が載せられていた。
「こんなちっぽけな村だが、料理はうまいぜ」
大声で笑うガラフ。
「ちっぽけな村で悪かったな」
声がする料理屋の入口を見ると、若い竜人族の青年が腕を組み立っていた。
慌てて口を抑えるガラフに青年が歩み寄る。
「ココット村の村長をしております。イグルと申します」
イグルは恭しく頭を下げる。私は思わず立ち上がり頭を下げた。
「昨日話したハンターのイズナさんだ」
ガラフが決まり悪そうに紹介してくれた。
「ガラフ、今日も森に行ったそうだな」
打ってかわってイグルは険しい表情でガラフを睨みつける。
「ギルドへの使者は出した。クエスト登録まで待てないのか」
イグルの言葉にガラフは笑ってごまかす。
イグルはそんなガラフの態度にため息をつき、肩を落とす。
「まあいい。明後日には使者が帰ってくる。頼むから、本格的な狩りはそれからにしてくれ」
イグルは身を翻して料理屋を出て行った。
ガラフは前を向いたまま片手を振る。
「へへっ、怒られちまった」
ガラフは舌を出して笑う。
「へい、お待ちニャ」
クロが私の前に料理を置いた。湯気を立てるスープにキノコのソテー。
「ココット茸のスープにソテーだニャ」
両手を合わせて、頭を下げ、スープを掬い、口に入れる。
甘辛いスープにココット茸の甘味が口に広がる。ココット茸の食感もコリコリしていて、食べ応えがある。
「どうニャ、さっと火を通したココット茸と火薬草を隠し味に加えたスープニャ」
私はイアンクックの狩猟の時に、鼻をつまんで食べたアオキノコのスープを思い出す。食材や料理の仕方でここまで美味しくできるのか。料理とは奥深いものである。
※
酒の入ったグラスと干したキノコのつまみがテーブルに並ぶ。
「俺も、昔は拠点を持たずに狩場を渡りあるいて武者修業したものさ」
顔を真っ赤にしたガラフが笑う。
「いいか、旅をしながらモンスターを狩る上で、一番気をつけなきゃいけないのは、モンスターじゃない」
ガラフはグラスの酒を飲み干す。
「人間さ」
グラスを置いたガラフは身を乗り出す。
「ハンターって聞くと、いろんな奴が利用しようと群がってくる」
干したキノコを口に放り込みかみ砕く。
「見た目に騙されるな。例えどんないい装備をしていても、中身がどうかはわからねえからな」
若かりし頃、ドンドルマ近辺で狩りをしていたガラフは、酒場で意気投合したハンター3人と狩りに出たらしい。それぞれ上位クラスの装備を着用していたが、モンスターを目の前にして振り向くと誰も着いてきてなかった。
ハンターの実力を見るポイントは、装備の手入れ具合と言う。
ガラフは森で私を見て、最初は放っておこうと思ったらしいが、手入れの行き届いた装備、その特性を活かした戦い方から手を出したらしい。
決して若い女性だったからではないと繰り返した。
「人を見る目はな、ヒック! 人間だけでなく、組織を見る時にも必要だ。ヒック!」
そこまで言ってガラフは立ち上がる。
「トイレ行ってくる」
言い残して、ガラフはフラフラと店の奥に向かっていった。
「ガラフの話しを聞いてくれてありがとうニャ」
すでに最初の乾杯で酒が回り、グルグルと視点が回る私にクロが話しかけていた。
「ココット村はもともと、ドンドルマの北にあったミナガルデ公国の村だったニャ」
クロは空いた皿やグラスを片付けていく。
「首都のミナガルデが老山龍に襲われてから、共和国に併合されたニャ。この村は、当時の村長が鉱山として取り壊された元の村の変わりに作ったニャ」
器用に皿を積み上げたお盆を持ったクロは厨房に向かって歩き出す。
「ガラフは、老山龍が現れたのと、ギルドが介入した時期が符合していることが気に入らないみたいニャ」
厨房へ向かうクロとぶつかりそうになりながらガラフがふらつきながらテーブルに帰ってきた。
「まあ、なんだ。とにかく、ギルドの手を借りなくてもだな、ヒック! ティガレックス一匹くらい、俺一人で、ヒック!」
席に着くなり酒を飲み干したガラフはテーブルに突っ伏してしまった。
「よき狩りを…… ヒック!」
つぶやくガラフの声が、グルグル回る私の頭に響いた。
壮年の剣士ガラフから、旅狩りのハンターとしての生き方を学ぶイズナ。彼がティガレックスにこだわる理由。それは単にハンターとしてではなく……
。
次回「第22話 湖水(2)」
お楽しみに。
では、よき狩りを。