モンスターハンター In My Eyes   作:あずき犬

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シャガルマガラ狩猟後、太陽の団はバルバレに戻り狩猟の日々を過ごしていた。

「最終話 モンスターハンター」
どうぞ。


最終話 モンスターハンター

崩れ落ちた石壁。朽ち果てた木材と炭。

トレジャーハンターを名乗り、遺跡などから装飾品を持ち帰る者達。つまり、盗掘者。シュレイド地方を中心に盗掘を繰り返す彼らは、東シュレイド城跡にやってきていた。

途中、モンスターの討伐や撃退が必要なことから彼らはみなハンターとしてそこそこの力量を備えている。

先頭を歩く大剣使いの団長ヘクトが炭化した木材を踏みしめた。鼻をつく炭の臭い。手に持った松明を左右に振り部屋の状況を確認する。

 

「武器庫か」

 

バリスタ用の矢や、撃龍槍の先が転がっている。

 

「闘技場の控え室みたいね」

 

双剣使いの女性ハンターココが古い地図を広げている。

 

「たいして金にならんなあ」

 

片手剣使いアベルがあごひげを撫でながらバリスタの矢を取り出し眺める。

 

「この先は闘技場か」

 

ヘクトは朽ち果てた扉の木材を踏み付けながら外に出る。

月の光が照らす闘技場。だだっ広い石畳。所々に折れた柱が残骸のように残っている。控室から階段を降り、闘技場に降り立つ。

 

「向こうにモンスターの檻があったみたいね」

 

ココが柱の向こうを指差す。

みながその方向を眺めた時だった。闇が動いた。

彼らは異様な雰囲気に本能的に武器を取り出す。

 

「おい、おい、まさかだよな」

 

アベルが震える声をあげる。

東シュレイド城の闘技場といえば、ハンターとして生きる者達には常に語り継がれている伝説がある。黒龍討伐隊。あまりの脅威のため、ギルドから一般には公開されていないクエスト。通称赤色クエストと言われるように、黒龍討伐隊には赤色の依頼書が届けられたという。ヘクトは生唾を飲み込む。

石壁が崩れる音に体を震わせる彼らの目の前に赤い光が二つ。石壁を掴む巨大な爪。地響きのような咆哮が響き渡る。

間違いない。

こいつは、黒龍ミラボレアス。

 

 

 

 

「角はもっと長かったわね」

 

バルバレの渇いた太陽の下、キャラバンの前でスケッチブックに向かうエルザ。椅子に腰掛ける私はエルザの描くラージャンを覗き見ている。

 

「ババコンガのパワーアップバージョンと思ってたけど、全然違うみたいね」

 

エルザは水平方向に伸びる角を書き直す。

 

「同じ牙獣種に分類されているが、ラージャンは遥か昔にコンガ科から外れているからな」

 

私の後ろには団長が腕組みをしてスケッチブックを覗きこんでいた。

 

「超攻撃的モンスターって言葉がかっこいいですよね」

 

エルザが鉛筆を顎にあててうっとりと宙を見つめる。

 

「そんなモンスターをさらっと倒しちゃうハンターさんは、超攻撃的ハンターだよね」

 

エルザが私を見て笑う。

私の後ろでは団長が高笑いしている。

決してさらっと討伐したわけではない。雷のブレスから命からがら逃げ回り、丸太のような腕に吹っ飛ばされて別のエリアまで転がされたり、

 

「結構危なかったんですよ」

 

頬を膨らませる私を見てさらに笑いが大きくなる。

 

「すみませんニャ」

 

声の方をみると、郵便アイルーがいつになく神妙な面持ちで立っていた。私は郵便アイルーの方に向き合う。

 

「特別特急お急ぎ便が届いているニャ」

 

郵便アイルーは肩から下げたかばんから封筒を取り出し、私に手渡した。差出人は、ドンドルマハンターズギルドとのみ記載されている。

 

「ありがとう。郵便やさん」

 

私のお礼を聞いて郵便アイルーは、頭を下げると、スキップをしながら去っていった。

封筒はろうで堅く封印されている。団長が腰に指していたナイフを渡してくれた。封印を外し封筒を開け、ると中には一枚の赤い紙。取り出して開く。

 

 

【特別依頼書】

『平素はハンターズギルドへの多大な貢献をしていただきまことにありがとうごさいます。さて、過日、ドンドルマギルド管内において大量の強個体モンスターが発生し、討伐に向かったハンター達に甚大な被害が出ております。古龍観測省によれば、金火竜、銀火竜等の存在を確認しているとのことです。本依頼にあってはG級相当クエストとし、各ハンターズギルドの筆頭ハンター及びG級相当と判断したハンターへの依頼となります。詳細な依頼内容、報酬等については、集合時にお伝えします。万全の準備の上、御参集願います。なお、この依頼書が届いた日から3日後の正午、港に専用の船をご用意しますので、船へ搭乗したことをもって受注とかえさせて頂きます。では、よき狩りを。

ドンドルマハンターズギルドマスター 』

 

 

読み終えて顔を上げる。エルザは食い入るように文面に目を通している。

振り返ると団長が頷いていた。

 

「すごい!ハンターさんG級ハンターになったんだね。おめでとう」

 

言いながら私に抱き着くエルザ。的外れの感想に私と団長は苦笑いをする。

 

 

 

 

一面の砂漠地帯をギルドの紋章を付けた大型輸送砂上船が砂を掻き分けて進んでいた。

 

「古龍観測省が東シュレイドの異常を認知したのはひと月ほど前になる」

 

大型輸送砂上船の船室内。団長の個室に呼ばれた私は椅子に腰掛けている。ベッドに腰掛ける団長は大量の本とノートやレポート用紙を部屋中に広げていた。

 

「東シュレイド城から逃げてきたという盗掘者をドンドルマ北部の村人が保護したとの連絡があった」

 

バルバレを出発してから2日。砂上船に乗り、大陸をひたすら北へと向かっていた。

 

「半狂乱状態の盗掘者が言うには、東シュレイド城跡の闘技場でとてつもなく巨大な竜と交戦したらしい」

 

私が出発する段になって、団長が付いていくことを皆に打ち明け、ポケットから赤い紙を取り出した。

 

「団長って」

 

ついていくと言い張るエルザもその紙を見てあきらめたようだった。

 

「団長もいつのまにかG級団長になったんですね」

 

エルザはぽつりとつぶやいた。

 

 

「聞き取った特徴はまさしく黒龍のものだったが、その後派遣された観測隊は金火竜と銀火竜に阻まれて城内にすら入れなかったみたいだな」

 

団長は手元のレポートを取り上げて私に見せる。

レポートには黒く塗られた竜が描かれている。

 

「これが黒龍」

 

廃墟を背に赤色に光る目、柱を掴む巨大爪が描かれている。黒龍の手前のハンターの小ささから、いかに巨大なモンスターであるかを知ることができる。

 

黒龍についてはハンター達の噂話で幾度か聞いたことがあった。

どの噂話でも共通するのは死との深い関係だ。

出会うだけで命を喰われてしまう。たとえ逃げ延びたとしても、蝕まれた心に耐え切れず死に至る。いわゆる黒龍病である。

 

「ああ、間違いない。黒龍ミラボレアスだ」

 

船室が大きく揺れる。

ギルドの寄越した大型輸送砂上船は物資運搬船を少し改造したもので、私たちの船室の上には山積みの鉱石やモンスターの素材が載せられている。もう少しましな船もありそうだが、団長が言うには、

 

「これも擬装の一部だろう。それだけ世間に知られたくないのさ」

 

ということらしい。砂を切る耳障りな音も、立っていることもままならない振動にも嫌気がさす。

夕暮れの中、大型輸送砂上船は速度を緩め、停止した。

甲板に上がると、見上げるほどの巨大な崖と、そこに張り付くような町の明かりが見えた。

 

ハンターの町として知られるミナガルデの町。

ミナガルデはシュレイド地方南方に位置し、ドンドルマの北方の要の地となる。

つまり、バルバレを出発して、ロックラック地方を二日かけて走り抜け、差出人のいるドンドルマを超えてこの町まで来たことになる。てっきり目的地はドンドルマと思っていたが、これも擬装だとすれば、手が込みすぎている気がする。いったい何を欺こうとしているのだろうか。

 

ミナガルデの荒々しいハンター達であふれかえる猥雑な下町を抜け、町を構成する崖の最上部に登り切ると、ギルド幹部用のゲストハウスが立てられており、私と団長はその一室に案内された。

 

常に砂漠からのモンスターの襲撃を受けるこの町においては、崖の最上部は高級住宅街になっており、崖際に立つゲストハウスは大理石の豪奢な建物であり、そのロビーの窓からは、夕暮れに染まる広大な砂漠が一望できた。

 

荷物を置き、窓の景色を眺める私に団長が話しかける。

 

「かつて、黒龍は一度討伐されている」

 

振り返ると、ロングチェアに寝転ぶ団長が私を見ていた。

 

今から20年ほど前、今回のように黒龍が現れ、各ギルドに赤色クエストとしてその討伐隊が募集された。

当時も黒龍は伝説上の生物とされていたが、集まったハンター達は東シュレイド城跡に向かい、黒龍を撃退した。

 

「撃退したんだ」

 

団長は俯きながら最後の言葉を繰り返した。

強大な力と体力を持つ古龍はある程度ダメージを与えると、なりふり構わず逃げ出すものがいる。

 

「実際には遥か崖下に落ちていったんだがな」

 

私は窓際のベンチに腰掛けた。

 

「観測隊が崖下まで調査にいったんだが、死体を見つけることができなかったらしい」

 

この黒龍ミラボレアスのイメージはシャガルマガラが送り込んできたプロトアニムスのイメージと重なる。瀕死の黒龍は崖の下でゴアマガラと出会っていたはずである。

「てことで、黒龍の監視のめに古龍観測省ができたってわけだ」

 

団長は顔を上げる。

 

「ギルドの息が細部までかかったこの観測省の設立とともに、政府内での発言を強めたギルドの首都派は次々にギルド外交を行い、12の辺境国を併合していった」

 

団長のいわんとしていることが理解できた。つまり、

 

「メゼポルタギルドはその時、何らかの技術、例えば任意の場所に古龍を送り込む技術を見つけたのではと思う」

 

ドンドルマギルドが、異常に手の込んだ方法で擬装していた相手は、おそらくメゼポルタギルド。この赤色クエストの真の目的は黒龍討伐ではなく、ギルド外交を可能にした技術を見つけること。

私は団長の話しを聞きながらずっと疑問に思っていたことがあった。

 

「もし、その技術が見つかったら、ドンドルマギルドはどうするのでしょうか」

 

私は団長の目をみつめる。かえってきたのは少年の声だった。

 

「過ぎたる技術は滅びしか産まない」

 

団長の背後にエイギルが立っていた。

 

「ギルドはあくまでハンター達の互助会に過ぎない。もし、現場でそのような物を見つけたならば、おまえ達ハンターが判断しろ」

 

 

 

 

ゲストハウスの屋上には砂漠を見下ろすオープンバーとなっていた。

星空の下、並べられたテーブルには、普段着のハンター達が料理と酒が盛られたテーブルを取り囲み、座っている。

 

「今回は遠路、クエストのためにあつまって下さりありがとうございます」

 

バーカウンターの前にドンドルマギルドマスターが立ち上がる。竜人族にしては巨大な体。すべてのギルドマスターの頂点立つ、大長老。さらにかつて、ギルドを代表するG級ハンターであったとも聞く。

 

「みなさん察しの通り、今回の討伐目的は黒龍ミラボレアスになります」

 

雑談していたハンター達が静まる。大陸中のギルドを代表するハンター達。

ハンターにとって必要なものは、狩りの技量だけでなく、情報収集能力である。東シュレイド城跡での出来事はすでに大陸中のハンター達に伝播していた。

 

「部隊の編成は我々で行います。出発は明日の昼になるので、今日は盛大に飲んでくだされ」

 

若いハンターが立ち上がる。

 

「報酬はどうなっている」

 

バー全体がざわめく。ドンドルマギルドマスターの横にエイギルが立ち上がる。

「ハンター一人あたり10万Z、及び、討伐した暁には、全員をG級ハンターに認定する」

 

G級ハンター。

かつて大陸に存在したという伝説のハンター達。すべてのハンターの憧れであり、目標である。

しかし、ハンターランク制限が敷かれている現在においては正式にG級ハンターは存在しない。ドンドルマのエルドアにあっても、世間にはG級相当ハンターとして通っているがハンターランクはあくまでも現行最高値のランク7である。もし本当にG級認定が復活するなら、これはギルド史上に残る出来事となる。しかし、それだけに今回のクエストがいかに困難なものかも想像できる。

高難易クエストを専門に受注する筆頭ハンター達にも動揺が走る。一般ハンター達はもちろんのこと、村付きのハンター達もG級ハンターの言葉に心が動かぬ者はいない。

 

「最終的な討伐目標は、ミラボレアスであるが、依頼書に記載してあった通り、行く手を数々の強固体モンスターが塞いでいる」

 

淡々と語るエイギルをハンター達は固唾を飲み込み見つめている。

 

「マスター会議の後、ドンドルマの特務部隊が調査を続けた結果、メゼポルタギルドと学術院が東シュレイド城跡において、ギルド外交の為に太古の造竜技術の研究をしている事が明らかになった」

 

エイギルは一度言葉を切り、ハンター達の反応を見るようにバー内を見回す。

 

「メゼポルタ周辺でのモンスターの激減。これは、大量のモンスターの死骸を集め、空中輸送でシュレイドに運び、死骸から造竜技術に必要な物質を抽出するため。そして、ドンドルマから出発した調査船はその輸送船と交戦し、自ら大破しながらも、輸送船を沈めてくれた」

 

ハンター達は静まりかえる。エイギルはバーの端から日が沈んだ砂漠を眺める。

 

「沈んだ輸送船内には数え切れない程のモンスターの死骸が見つかった。調査船に乗っていた主任書士が、細切れになったモンスターの死骸を一体、一体復元したところ、少なくとも30体のティガレックスであることが判明した」

 

モンスターの死骸を見るプロフェッショナル。私が思い浮かべる主任書士はただ一人。死神の絵師。目的地に着くまでに船が大破とは、相変わらず “ついてない“ とぼやいていたのだろう。

 

「拘束した学術員の尋問により、現在、東シュレイド城跡には、モンスター以外の部隊は駐留していない事が判明した。そこで、この時を狙い、皆に集まってもらった」

 

エイギルは足を踏み鳴らし、バーを振り返る。

 

「ギルド創立の第一義はグランド・イドの抑制。反したメゼポルタと学術院を叩くのは今しかない」

 

声を荒げたエイギルは、後ろ手を組み、ハンター達を見回す。

 

「これは、ギルド本部への反乱となる。辞退したいハンターは即刻帰られたい」

 

エイギルの激にバーは静まりかえる。私のすぐ後ろで誰かが立ち上がる音が聞こえた。

皆が振り返える。マルコスであった。

 

「帰ると言えば帰してくれるのでござるか」

 

鋭い目つきでエイギルを睨みつけるマルコス。

 

「ああ、ただし……」

 

言いかけたエイギルの言葉をマルコスは遮る。

 

「クエストリタイアとなり、ギルドの尋問を受けなくてはならいでござるな」

 

受注したクエストに対し、リタイアをした場合、安易なクエスト受注を防ぐためにギルドの尋問を受けなくてはならない。そのために、船に乗ったことをもってクエスト受注としたのだろう。

 

「拙者の師匠は、クエストで瀕死の傷を受けて帰ってきたでござる」

 

静かに語るマルコスを皆が注目する。

 

「かたきを取りにいこうとした拙者に、師匠は言ったでござる」

 

マルコスは話しながら、両手を握りしめた。

 

「モンスターに食われる事は、ハンターを志した時から百も承知。それが自然の摂理なり。モンスターは自然の一部であり、自然そのものなり。恐れ、敬うこはあれども、私欲で向かうことは断じて許さん」

 

背中の双剣の柄を握り締めたマルコスは、刃身を少しだけ抜き出し、直ぐに鞘に納めた。双剣の鍔口と鞘の金属がぶつかる音が響き渡る。

 

「我欲のためにモンスターを狩るものは断じて許すことはできないでござる」

 

体を震わして立ち尽くすマルコスの肩を横に座っていたガルティアがたたき付けた。よろめくマルコスにハンター達の喚声が上がる。

 

喚声がバー内に広がる様子を見ていた大長老が立ち上がる。

 

「クエストの成功を祈って」

 

大長老が盃を掲げる。ハンター達も一斉に盃を持って立ち上がる。

 

「よき狩りを」

 

一斉に盃が傾けられた。

 

 

 

 

大騒ぎの中、ジュースを飲んでマリアと話していた私の回りに、ハンター達が集まり始めていた。回りを見渡す。各ギルドの名だたるハンター達。ドンドルマギルド、怪力の狩人エルドア。ミナガルデギルド、共鳴の断絶ヤンとガイ。タンジアの重砲使いグワベル。ベイグランドギルド、ルイーズ。各ギルドを代表する筆頭ハンター達、そして、バルバレの筆頭ハンターのみんな。

そのハンター達と目配せをしたマリアが、盃をテーブルに置く。

 

「シャガルマガラを討伐したあんたに頼みがあるんだ」

 

マリアは私の耳元に口を寄せる。

 

「……」

 

驚く私はマリアの顔を見つめる。

 

「あんたにしかできないことだよ。皆にも伝えているから」

 

テーブルに集まったハンター達はみな私を見て頷く。確かに、これは私が付けなくてはいけない結末。

そして、私には、みんなの為にしなくてはならない事がある。

 

「私からも、皆さんにお願いがあります」

 

造竜技術の真相を知る私にしか出来ない、最後の恩返し。

 

 

 

 

翌日、ミナガルデを出発した一行はアプトノスに引かれた荷馬車に4人づつに別れて乗りあわせ、のどかな田園地帯を進んでいた。

集まったハンターは総勢16人。それに現地本部のスタッフが3人と使役アイルー達。

荷馬車は一定の距離をあけて平坦な道をまるでピクニックにでも行くようにのんびりと北へ向かう。

私の荷馬車には、エルドアと筆頭ガンサー、マリアが乗っていた。

この部隊は最終突撃部隊との位置づけらしい。マルコスとカイトは前衛部隊に配属され、私たちが出発する随分前にミナガルデを出ていた。

 

「なんか、こうのんびりしてると、とんでもないモンスターを狩りに行くって感じがしねえなあ」

 

ガルティアが荷馬車の手すりに体を倒し、伸びをする。

 

「確かにこの移動方法はちょっと緊迫感にかけますね」

 

マリアは水筒からコップにコーヒーを注ぐと、横に座るエルドアに渡した。

 

「サンキュー。しかし、ガルディアは全然年とらねえな。神風旅団の中じゃ、もう最年長じゃないのか」

 

ホットコーヒーを一口飲みエルドアが言う。「たしかに団長抜いたら俺が最年長かもな」

ガルティアが太い腕を頭の後ろに持って行き、空を見上げる。

 

一番の年長者は私だろうな、思いながら綺麗に刈り取られた小麦畑を眺める。

 

「私の前で年齢の話ししないでよ」

 

マリアが笑いながら口を尖らす。口調は穏やかだが、目が笑っていない。

気づいた男性二人は口をそろえて謝り倒す。

 

「で、最近はどうしてた? あまりギルドで姿を見なかったが」

 

話題を変えようとエルドアがガルティアを見る。

 

「ああ、俺、先生してたんだわ」

 

ガルティアは起き上がり私に笑いかける。

 

「アイルー達にランスの使い方教えてた」

 

「それって、もしかして」

 

驚きの声を上げる私にガルティが頷く。

 

「俺、ナズナのアイルー学校の特別講師」

 

へへっと笑うガルティア。

「すごい。ナズナがんばったんだね」

 

ユクモ村から旅出ったナズナの後ろ姿が思い浮かぶ。

 

「今は、チコ海岸の無人島に実践練習場を作ってら。ほんと大したアイルーさ」

 

言ってガルティアは思い出したように手を叩く。

 

「そういや、ニコにもあったぜ」

 

私は身を乗り出した。今までの経緯からタンジアギルドの管轄エリアに行くのをはばかれた私はずっとニコとカルラの行方を気にしていた。

 

「あいつ、今片手剣使いのハンターのオトモをしてるみたいだな。あんたにあったら、レミが無事だったと伝えてほしいって言ってた」

 

片手剣使い、きっとカルラだろう。そして、レミ、無事だったんだ。よかった。ほんとうに。

ほんとによかった。

自然と涙が溢れる。

 

「あーあ、泣かしちゃったよ」

 

エルドアが空のコップをマリアに返しながら私の方を見る。

 

「いや、これは」

 

ガルティアは慌てて私の肩に手をかける。

 

 

 

 

暖かい太陽の光の下、澄んだ小川の淵にしゃがみ込み、両手で水をすくい飲み干す。川底が手にとれそうなくらいの透明度。もう一度水をすくいあげて、今度は顔を洗う。冷たい水に気持ちが引き締まる。

頭を降りながら顔を上げる。

 

遥か前方には廃墟と化した城壁が延々と横たわっている。

すでに入城した先発隊が戦闘に入っているのだろうか、城壁内からいくつも黒煙があがっている。

 

「いよいよだな」

 

振り返ると完全装備のエルドアが腕を組んで仁王立ちしていた。背中には巨大なエピタフプレート。

 

「うん」

 

私は頷きながら立ち上がり、傍らに置いていたリュウガンを担ぐ。

 

「第三部隊が銀火竜と交戦しているらしいな」

 

銀火竜、リオレウス希少種である。リオレウスの強個体の中でも、突然変異により、異常な程の高い戦闘力と、攻撃的性格を有したモンスターと聞く。

 

小川の淵を上がると、ガルティアとマリアが城壁の方を眺めていた。

 

「城壁内に入れば一気に町を駆け抜けて城まで走る。」

 

エルドアの言葉に皆が頷く。

 

「しかし、これだけ派手に暴れればもう気付かれてるだろうな」

 

ガルティアがガンランスを背負いながら言う。

 

「ああ。速力が命だ。雑魚にはかまうな」

 

エルドアの言葉にマリアがガルティアが、そして私が頷く。

 

「俺達はハンターだ。これはいつものクエストと変わり無い。やばい時は迷わずに逃げろ。でもな狩ると決めたときは……」

 

皆がエルドアを見つめる。彼を中心に円陣組むハンター達。神風旅団に伝わる出発の儀式である。皆が当たり前のように、円陣の中心に手をあわせた。全員が声を揃えて大声で叫ぶ。

 

「奴らの弱点につけこめ! 弱った奴から倒せ! 逃げる奴には総攻撃!」

 

 

 

 

エルドアを先頭にマリア、私、ガルティアが一列に並び、廃墟と化した町を全力で走り抜けて行く。

廃墟はすでに自然に飲み込まれつつあった。大通りと思われる石畳の道の両脇には木々が廃墟を飲み込むように根を広げ、足元の石畳もところどころに根が張り出している。立派な町だったのだろう。高層の建物が構造だけを残して朽ち果てている。

廃墟の方からモンスターの咆哮が聞こえた。走りながら見上げると、崩れ落ちた廃墟の砂埃の中に羽ばたく黒い巨大なモンスターが見えた。モンスターの足元にはハンター達が走り周り、攻撃を加えている。

モンスターはクシャルダオラ。ハンターは第一部隊。マルコスが双剣の乱舞をし、カイトが操虫こんで切り付けている。大剣を振るうのはジャンボ村のザック。それに第二部隊に所属するロックラックの片手剣使いバルハート。現れるモンスターによって部隊を柔軟に編成し直しているのだろう。毒状態のクシャルダオラが墜落し、地面でもがいている。

廃墟の中を走り抜ける私たちを見つけたマルコス達が手を振っている。片手をあげて応えたエルドアはちらりとクシャルダオラの方を見遣りながらも全力疾走を続ける。

 

大通りから広場に出ると、第二部隊に属するタンジアのヘビーボウガン使いグワベルがしゃがみ打ちをしている背中が見えた。その先にはグラビモス亜種が巨体を揺らしている。おそらく金冠クラスの巨体。さらに、ベイグランドの筆頭ガンナールイーズがライトボウガンで、ミナガルデの弓使いバルアがカジキ弓で、辺境の地ゼルア村のヘビーボウガン使いマックがそれぞれ遠距離攻撃をしかけている。凄まじい爆風の中からグラビモス亜種が現れる。戦闘エリアを迂回しながら走る私たちに皆が手を振ってくれた。

 

崩れ落ちた建物の残骸を抜け、大木の幹の間から体を出すと、目の前に東シュレイド城跡の雄大な城壁や崩れた尖塔が見えてきた。

そして空に舞う、銀色に輝くモンスター。銀火竜。

足元には第三部隊のハンターが4人。ミナガルデの双子の大剣使いヤンとガイ、大陸中に名を轟かせた、この双子でしか出来ないというシンクロ戦法。飛び掛かる銀火竜に同時に最大溜めの一撃を与える。墜落した銀火竜にドンドルマのランス使いデニスが突進し、マトヤ村の太刀使いリンが尻尾を切り付けている。双子が同時に私達に腕を降りあげてくれた。こんなところでもシンクロしているらしい。

私達は、城門を潜り抜け、ついに場内に入った。

 

 

 

 

城門の兵士控え室が臨時の現地本部となっていた。

さすがに走り疲れた私達は、団長、エイギル、大長老にねぎらわれながら一息つく。テーブルかわりの石棚の上に広げらるた東シュレイドの地図に団長が戦況を書き込んでいる。

息をつく私達の前を、アイルーが走り抜け、団長に戦況を報告している。伝令係として雇われたアイルー達はみなナズナ学校の生徒達らしい。モンスターの攻撃をかい潜り、廃墟を無尽に走りまわっている。

 

「ったく、希少生物のオンパレードだな」

 

地図を睨みつける団長がつぶやく。

 

「リオレウス亜種にリオレイア亜種か。手強いな」

 

背伸びをして地図を覗き込むエイギルがつぶやく。

 

「中央広場のグラビモス亜種が討伐出来れば転進させます。第一部隊のザックとバルハートをそちらに回して、マックとルイーズをクシャルダオラに回します」

 

団長の言葉にエイギルと大長老が頷く。

作戦を記載したメモをアイルーの首輪に付けられた筒に入れる。

 

「頼む」

 

団長がアイルーの頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「まかしとくニャ」

 

茶色と白色のぶち柄のアイルーが私達の足元を駆け抜けていく。

 

「忙しそうだな」

 

ガルティアが元気ドリンコのビンに口を付けながら団長に声をかける。

 

「数は劣勢だが、駒が優秀だからな。こちらの意志をちゃんと伝えてやれば、現場が適切に判断してくれるさ。大変なのは部隊長だろうな」

 

団長はいつもの高笑いをする。

 

「あの時もあんたが指揮してくれればと思うよ」

 

ガルティアは降ろしていたガンランスを担ぐ。

 

「あの記憶があるから出来ることもあるだろ」

 

団長の言葉にガルティアは頷く。

 

「エルドア」

 

出入口に向かうエルドアにエイギルが話しかける。

 

「斥候アイルーの話しでは、この先に金火竜の臭いがしたらしい。分かってると思うが」

 

エルドアはエピタフプレートを担ぎ直す。

 

「みんな納得しています」

 

控え室の皆が頷き、私を見る。

ミラボレアスがいる討技場にはおそらく私一人が辿りつく。この体一つで討伐しなくてはいけない。

そして……。

私は元気ドリンコを飲み干すと、リュウガンを担ぎ、頷く。

 

「いくぞ」

 

エルドアのかけ声で私達は控え室を飛び出し、また走り出した。

 

 

 

 

暗い城内の廊下を走り抜けると、天井が崩れ落ちた広間に出た。急に光を浴びて、一瞬視界がにじむ。

地図では謁見の間とされているが、大きく崩れ落ちた天井の先には緑の梢が風で揺れ、床のひびからは、ひこばえが密生し、当時の面影は見当たらない。

 

玉座があったと思われる壇上には崩れ落ち、原形を留めていない玉座が二つ。そして、赤い光が二つ。

エルドアが煌めくエピタフプレートを構え、マリア、ガルティアもそれぞれに武器を取り出す。玉座の影から金色に輝く甲殻が現れる。リオレイア稀少種、金火竜。

 

「まさに拝顔の賜り」

 

 

つぶやいたエルドアは、大きく息を吸い込むと、気合いを込めた雄叫びを上げながら走り出した。

エピタフプレートを振りかぶり走るエルドアに、ガンランスを構えたガルティアが続く。

 

「イズナ!」

 

振り返ったマリアが叫ぶ。

 

「早く行きなさい」

 

私は頷くと、謁見の間を走り抜ける。背後で咆哮が響き、廃墟が揺れる。

 

 

 

 

頭に叩きこんだ地図を思い起こしながら、複雑に入り組んだ通路を走ると、石壁の隙間から光が差し込む小部屋に辿りついた。

戦士の控えの間である。

朽ち果てた武器の残骸が転がり、半分錆びたバリスタの矢が束になり立て掛けられている。

呼吸を整えるながら、石壁をなぞると、判読はできないが彫り込まれた文字があることに気付いた。

討技場に向かう戦士達が何か彫り残していったのだろう。

年代記にはシュレイド王国全盛の頃、戦士から登りつめて軍の司令官になった人物の言葉が残されていた。

 

『奴を仰ぎ見よ。天が奴を見下ろしている。我を見よ。天は我の中に』

 

リュウガンに強撃ビンをセットする。

いつもの乾いた音が小部屋の中に響き、冷たい石の壁に吸い込まれていく。冷静な自分をとり戻すことができる。

その場に膝を付き、カエルの髪飾りに手をかざす。いろいろな思いが交差する。太陽の団、討伐隊、出会った人々。

みんなのお陰でここまで来ることが出来た。

この狩りはみんなへの私からの恩返し。過去から来た私を受け入れてくれたみんなへの。

だから、必ず狩猟して帰らなくてはいけない。

立ち上がり目を開ける。

かつて、闘技場に向かう戦士達が上った階段。決死の覚悟でこの階段を上った彼ら、ハンターとして、そして、プロトアニマとして、まばゆい光が差し込む階段を駆け上がり、私は光の中に踊り出た。

 

 

 

 

東シュレイド城門の現地本部では伝令のアイルー達の出入りが活発になっていた。

城前の広場では相変わらず銀火竜との激戦が続いている。

グラビモス亜種を討伐した部隊は町の西側に移動し、リオレウス亜種、リオレイア亜種との乱戦に入っていた。

クシャルダオラを狩猟した部隊は編成を組み直し、東側から現れたティガレックスと交戦している。

回復薬や弾丸などの補給物資を背負ったアイルー達が次々に現地本部から走り出ていく。

 

「第四部隊が謁見の間で金火竜と遭遇ニャ」

 

毛をチリチリに焼かれたアイルーが小部屋に走り込む。

偵察に走りまわるアイルー達も必死である。

 

「イズナはどうした」

 

団長がアイルーに尋ねる。

「闘技場に向かったニャ。追いかけようとしてこの有様ニャ」

 

アイルーはうなだれて答える。

 

「よくやった。少し休憩しろ」

 

アイルーは頷くと部屋の隅の床に腰掛け小さな肉まんをかじり出した。

 

「ミラボレアスに辿りつけたのだろうか」

 

大長老が呟いた時、控え室全体が地震の様に揺れ、石棚の上の小物が床に散らばった。揺れが収まると、地のそこから沸き上がるような低い大咆哮が響く。

ミラボレアスが現れた証拠であった。

どうやらイズナは無事辿りつき、交戦に入ったようだ。

 

ハンター達もそれぞれが町全体を襲った大咆哮に、ミラボレアスの出現を知った。武器を持つ手に力を込める。

 

「リーダー」

 

ティガレックスの突進をかい潜ったカイトがマルコスのもとに走り寄った。

 

「ああ、大丈夫。あいつならやってくれるでござる」

 

マルコスは笑顔で答えると、鬼人化し、雄叫びを上げながら、咆哮を上げるティガレックスに向かって走り出す。

 

金火竜の拡散爆発をバックステップでかわし、貫通弾を打ち込むマリアにエルドアが近寄る。

 

「うまく出会えたみたいだな」

 

「はい」

 

エルドアは頷くと、エピタフプレートを振り上げて走り出した。

 

 

 

 

大火球の爆心地点から回転回避で逃れた。随分離れたこの位置でもその熱気が私を襲う。

巨体がうねるように8の字を描き前身する。あまりの巨体に身を動かすだけで脅威の攻撃に変貌する。

 

黒龍ミラボレアス。

東シュレイドにおいて、闘技場として使われていたという、広大な広場を埋め尽くすその漆黒の巨体。

 

いつものように肉質を調べるために、様々な部位に矢を当ててみた。漆黒の甲殻に吸い込まれていく矢の一つ一つは、殆どまともなダメージを与えることが出来ていない。が、後ろ足付近を集中的に攻撃したところ、その巨体が少し揺らめいた。絶対的な防御力はとてつもなく高いが、巨体うえ、骨格的にこの部分が弱点となっているのだろう。

生物学的には、巨体に比べて小さく、それでありながら灼熱の火球を吐き出し続ける頭部も弱点になりそうだが、火球とはいずりの的になるため、攻撃に専念することが出来ない。

ミラボレアスの体を常に反時計回りに動きながら左側の後ろ足に矢を集中させる。

このモンスターの攻撃の中でも注意するべきものは粉塵爆発である。広範囲、高火力の範囲攻撃。振り撒かれた火の粉が舞い始めれば、弓を納刀し、一目散にその影響範囲から逃げる。

 

しかし、もっとも私を悩ます攻撃は体に纏わり付く黒い霧。狂竜ウイルスにも似たこの霧は徐々に私の精神を犯していく。かつて、このモンスターに出会った者達が侵され、死に至ったという黒龍病。その元凶はあまりにも濃いこの狂竜ウイルスだったのだろう。

心が黒い霧に締め付けられ、この世界すべてに対する負の感情が具現されたかのような脅迫感に襲われる。晴れ渡っていたはずの空が黒い霧に覆われていく。

 

私が一人でここに来た理由。それはミラボレアスと会話するためであった。

ただミラボレアスを討伐するだけでは意味がない。メゼポルタが手に入れたという造竜技術。その根本をこのモンスターから聞き出さなくてはならない。

しかし、ミラボレアスから感じるのは、圧倒的なまでの破壊衝動と、全てに対する敵意のみ。その重苦しい感情だけが私にのしかかる。

 

火炎ビームの薙ぎ払いを回り込みながら回避していた私は、討技場の壁に設置されている撃龍槍の装置を見つけた。はして正常に作動するのだろうか。火炎を吐き切り、振り向いたミラボレアスが私に向かって体をよじりながら前進している。

私は覚悟を決めて壁をよじ登る。はいずるミラボレアスが石畳を削る音が徐々に近づいてくる。

壁を登り切り振り返ると、ミラボレアスの顔面が目の前にあった。私に対する敵意剥き出しの気迫に反し、その赤々と輝く瞳はなぜか静かな憂いを帯びていた。ミラボレアスの口が開き、空気を吸い込み出す。開かれた口内に輝く光が見えた時、私は撃龍槍のスイッチを踏み込んでいた。鎖が巻き上げられる音が響く。壁に設置された撃龍槍の刃体が高速で回転しながら突出し、すぐそばに来ていたミラボレアスの脇腹に突き刺さっていく。弾け飛ぶ漆黒の甲殻、飛び散る血液が高台にいる私にまで降り懸かる。

口内の光を飲み込み、ミラボレアスは石畳の上に横になり倒れた。撃龍槍はミラボレアスが倒れた後も回転を続け、刃体にこびりついた、ミラボレアスの体組織や、血液を辺りに撒き散らし続けていた。

闘技場にこのような施設が必要であったのだろうか。

燃え上がるような高温の血液を体から振り払いながら、私は回転する巨大なドリルのような刃体を見ていた。

一般に闘技場と呼ばれるこのエリア。単なる見世物としての戦闘を観戦するだけの施設ではないのかもしれない。たとえば、捕らえたり、造り出したモンスターを廃棄するための施設。

 

ハンターナイフを取り出し、壁の上からミラボレアスの体に向かって飛び降りる。頭部の甲殻にナイフを突き立てた。

起き上がるミラボレアスの顔面にまたがり、頭部をナイフで切り付ける。吹き出す血液を拭いとりながら、ただやみくもにナイフを振るう。振り落とそうと首を振り暴れるミラボレアスであったが、甲殻に深々と突き刺さったナイフの柄を握り締める私を振り落とすことは出来なかった。

 

揺れがおさまりさらに切り付ける。吹き出る大量の血液とともにミラボレアスが倒れ込む。体をまるめて受け身をとり、地面を転がる私は立ち上がると、すかさず弓を構え矢を放つ。

 

後ろ足を目掛けてひたすら矢を放つ私の頭から、ミラボレアスの返り血が流れる落ちた。攻撃を中断し、血液を拭き取る。

その瞬間を見逃してくれるはずもなく、私はミラボレアスの尻尾に薙ぎ払われて、壁に体を叩き付けられた。

まったく不意打ちに受け身が取れなかった私は、しばらく脳震盪で動けない。私を見下ろすミラボレアス。

恐ろしい。思わぬダメージをもらい、素に戻った私は、今頃になって圧倒的強者にたった一人で立ち向かう無謀さに気付いた。その恐怖に体が震える。私の生死は完全にこのモンスターに握られていることを再認識させられる。

 

『死の恐怖にうちふるえるその姿も美しい』

 

頭に声が響く。体に自由が戻る。必死でミラボレアスの正面から回避する。舞い散る火の粉のように輝く粉塵が私を取り囲む。さらに回転回避を繰り返す。地面に両手を突き、肩を揺らして呼吸を整える私の背後で大爆発が起きる。私は爆風を背中で受け、地面を転がる。

苦しい息、激しい痛みよりも、話しかけてくれた喜びが大きかった。

ミラボレアスはいったいここで何を守り戦っているのだろうか。回復薬Gを飲み干す。

 

『いにしえより伝わる生命の技』

薙ぎ払われる尻尾を距離をあけて迂回して回避し、後ろ足に矢を放つ。

造竜技術のことだろうか。いったいどのように伝承されているのだろうか。

 

『伝承を行う竜の創造など容易いこと』

 

ミラボレアスは半身を高々と持ち上げる。超広範囲の叩き付けを警戒して、全速力でミラボレアスから離れる。

伝承を行う竜。つまりかつての人類は造竜技術そのものを行うモンスターを造ったというのだろうか。ならば、それこそ、

 

太古の竜人大戦の根源

 

ではないのか。

 

矢が放たれ、ミラボレアスの甲殻が龍属性の火に焼かれながら飛び散る。

 

怒り狂ったミラボレアスが石畳の上をはいずり回る。弓を能刀し、ひたすら走り続けて回避を繰り返す。

 

「あなたは、プロトアニマだったの?」

 

方向変換のために立ち止まるミラボレアスに矢を放つ。

 

『プロトアニマ…… ただ、戦い、死んでいった我々に名前があったのならばそうかもしれない』

 

振り返るミラボレアスの頭部の赤い目が私を見下ろしている。

 

『だが、そんなことはもうどうでもいい。強き者よ』

 

振り上げられた口内が輝き出す。大火球の予備動作。咄嗟に弓を背中に担ぎ、ミラボレアスの前面から逃げる。

 

『貴様ならこの渇望を断ち切ってくれるのか』

 

放たれた火球が地面に着弾し爆発する。

舞い上がり、落下する石畳の破片を手をかざして避ける私は、高温に歪む空気の向こう、焼け付く石畳を踏み締め歩くミラボレアスを見ていた。

圧倒的な攻撃力。今まで様々なモンスターを狩り続けてきたが、ここまで絶望的な気持ちに陥ったことはなかった。取り出した弓を握る手が恐怖に震えている。

 

 

 

 

 

廃墟の中、崩れ落ちたティガレックスの傍らに座るマルコスは、流れ落ちる汗を拭っていた。

足元には、首輪からメモを取り出すアイルー。

受けとったメモには、次なる指令が書かれていた。

 

「次はどんなモンスターっすか」

 

血に濡れた包帯を頭部に巻いたカイトが笑いながら近寄る。

 

メモを持つマルコスの手が震えている。

 

「リーダー?」

 

マルコスの手元のメモを覗き込んだカイトは、両手を握りしめて、マルコスの肩を掴む。

 

「行ってください。リーダー」

 

メモを握り締めたマルコスが頷き立ち上がる。

 

 

 

 

 

リオレイア亜種の火球から逃れ、廃墟となった建物内に身をひそめるグワベル達の元に、伝令アイルーが走り寄る。

補充用の弾をヘビーボウガンに込めながらメモに目をやるグワベルはその手を止める。

集まった皆がメモを覗き込んだ。

顔を上げたグワベルに皆が頷く。

 

 

 

 

銀火竜の攻撃を受け、大怪我をしたガイの肩を支えながら歩くヤンの元に、伝令アイルーが走り寄り、首輪から取り出したメモを手渡す。

同時にメモに目を通す双子の大剣使い。

 

「兄貴、行ってくれ」

 

ガイの言葉に戸惑うヤンを押しのけて、ハルバートがガイの腕を支える。

 

「早く行きやがれ」

 

ヤンは頷くと、廃墟の中を駆け出した。

 

 

 

 

第一次黒龍討伐隊は、最後、たった一人のハンターがミラボレアスを撃退したと聞いている。

おそらくそのハンターはシズクさんだったのだろう。

 

廃墟の影に隠れて息を整える私は、元気ドリンコを飲み干した。

私はシズクさんのようにはなれない。

闘技場をはいずり回るミラボレアスの音が聞こえる度に身が震える。

回復薬Gを口に含む。

でも……。

いつまでも逃げることは出来ない。町では次々に襲い掛かるモンスターを皆が狩り続けている。

膝に手をやり、立ち上がる。

突然、ミラボレアスの咆哮が聞こえた。闘技場を振り返る。

 

ミラボレアスの足元でまるで踊るように双剣を振るうマルコス。最大に力を溜めた一撃を尻尾に叩き込むヤン。遠距離から貫通弾を放ち続けるグワベル。

 

私はゆっくりと、闘技場に向かって歩き出す。

 

「み、みんな……」

 

つぶやく私に鬼人化したマルコスが走り寄る。

 

「今までよく頑張ったな。奴の弱点は頭部。弓の独壇場だ」

 

赤いオーラを纏ったマルコスは私の背中を叩き、身を翻してミラボレアスに向かい走り出すと、

 

「さあ、貴様はどんな声を私に聞かせてくれる?」

 

叫びながら漆黒の甲殻に切り付けた。

 

鬼人化によって豹変したマルコスに驚きながら、私はミラボレアスを見上げる。

 

私は一人ではなかった。

 

嬉しかった。

救援に来てくれた彼らはみな満身創痍。

彼らの抜けた町では更に激戦が続いているのだろう。

私は埃まみれの袖で顔を拭うと、再びリュウガンを構えた。

 

 

 

 

ヤンの振り払う大剣が甲殻にめり込み、グワベルの通常弾が肉を貫き、マルコスの双剣が内蔵を切り裂き、私の矢が頭部を貫く。

 

長い狩猟の末、ミラボレアスは最後の咆哮を上げながら石畳の上に力尽き倒れた。

ハンター達はみな、安堵し、その場に座り込む。ヤンの持つ大剣はボロボロに刃がこぼれ、グワベルのヘビーボウガンに込める弾はもう無い。スタミナを使い果たしたマルコスは空を見上げながら石畳の上に大の字に寝転ぶ。

私はリュウガンを納刀し、ミラボレアスの頭部に向かって歩く。

不思議に思ったのは、辺りの黒い霧が晴れないこと。

頭部に近寄る私は、ミラボレアスの目が見開かれるのを見た。

赤かった瞳が紫色に変化し、その焦点が定まっていない。

 

狂竜化。

 

慌てて飛び下がる私の目の前でミラボレアスが頭部をもたげる。

 

『ついて来なさい。強き者よ』

 

私は頷くと、ハンターナイフを抜き、ミラボレアスの背中に飛び乗り、甲殻に突き刺した。

 

驚きのあまり、逃げることすら出来ないハンター達の間を縫い、私を載せたミラボレアスは、闘技場の端から崖下に向けて飛び降りた。

 

 

 

 

墜落の衝撃に思わずナイフを引き抜き、地面の上を転がる。

崖下は柔らかな赤い光に照らされていた。

その壁面はまるで生き物の内部のように脈打ち、淡い赤色の光を放っている。

 

『因果の鎖を断ち切っておくれ』

 

ミラボレアスはそれだけ私に伝えると、瞳を閉じ、頭部を地面に横たえた。

 

頷いた私は、ハンターナイフを腰に差し、リュウガンを構えながら、警戒し通路を進む。

 

しばらく進むと、収縮を繰り返す壁の前に人影が見えた。

 

学術院の制服を着た老人が立っている。

 

「学術院シュレイド研究所へようこそ」

 

その老人は長く伸びた顎ひげをさすりながら両腕を広げる。

 

「あなたは」

 

私は警戒を解かず、弓を構えたまま問い掛ける。

 

「古竜観測省学術院長ワイズと申します」

 

団長が師匠と仰いでいた人。

 

「ここで何しているの?」

 

ワイズのシワの刻まれた顔が笑顔を作る。

 

「来る新世界のために偉大なる実験を行っておる」

 

ワイズの瞳が紫色に輝く。不意に体の力が抜ける。構えた弓が音を立てて地面に落ちる。

 

「これはまた素晴らしい生命結晶の輝きじゃ」

 

私は収縮する壁の穴へ歩き出すワイズに続いて扉を潜る。

 

 

 

 

「自らの身体に不自由を感じたことは無いか?」

 

脈動する狭い通路を歩きながらワイズが語り掛ける。

 

「この世界はなんと人類にとって生き辛くできているのか」

 

「灼熱の砂漠、火山地帯、凍える氷河地帯、そして古龍の脅威」

 

「私はね、ここで悪魔と取り引きしたんだよ」

 

「プロトアニマの持つ純粋生命結晶、モンスターの持つ疑似生命結晶を集める代わりに、思いのままにモンスターを造り出す神の技術」

 

「私はね、この技術を用いて、この大陸からモンスターの脅威を無くしたいんだ」

 

「素晴らしいと思わないかい。あらゆる気候に順応する新しい人類。そしてモンスターの脅威の無い世界」

 

「君の思う事は分かるよ。共存? 甘い考えだ。西方諸国ではすでに技術革新が進行しておる。モンスターどもに殺されるか、西方諸国に侵略されるか」

 

「私はね、両方の問題を一挙に解決する方法を選んだだけだよ」

 

広い空間に出た。

壁面は生き物のように激しく脈打ち、空間上部から赤い光が降り注いでいる。

見上げると、紫色の巨大な半球体が天井を覆い尽くすようにぶら下がり、赤い瞳が一つ、私を見下ろしていた。

 

「ヤマツカミ様、新たなプロトアニマをお持ちいたしました」

 

ワイズの言葉に上部の赤い瞳が紫色に輝く。

 

体から力が抜ける。

光が私の体に侵入する。

なんの躊躇もなく、私の心に侵入し、私の生命結晶を取り囲む。

 

「やめて、お願い」

 

涙が溢れる。

私の生命結晶が音も無く、粉々に砕け散った。

粉々になった生命結晶を内包する私を吸い上げるために、半球体の下部がうごめき、巨大な口が現れる

 

この時を待っていた。

 

 

腰のハンターナイフを引き抜き、油断しているワイズに切り付けた。鮮血を噴き出し倒れるワイズ。

 

天井の目が紫色に光を増していく。

 

「今よ! 早く!」

 

歩いてきた通路に向かって叫ぶ。

大樽爆弾Gを背負ったアイルー達が次々に広間になだれ込む。

天井の半球体の口が大きく開かれ、音を立てて空気を吸い込み始めた。

アイルー達が放り投げた大量の大樽爆弾Gが空中に浮かび上がる。

アイルーからリュウガンを受け取った私は吸い込まれる爆弾に向かって矢を放つ。

 

爆風に吹き飛ばされ、広間から飛び出す。地響きとともに広間が地面に埋まっていった。地面に埋まる広間を確認した私は振り向き、歩いてきた通路をミラボレアスの死体に向かって走りだした。

 

腰のハンターナイフを取り出し、ミラボレアスの首に切り付る。血まみれになりこぼれ落ちたその頭部をアイルーが持ってきてくれた布に包み込む。

 

崖の上から垂れ下がったロープにその包みを括りつけた。

その横に垂れ下がった縄ばしごを登る。

 

闘技場に登ると、アイルー達が荷車にミラボレアスの頭部が入った包みを載せていた。

エルドア、マリア、ガルティア、そして、マルコス、グワベル、ヤンが私に走り寄る。

 

「やったか」

 

包みを覗きこみながらエルドアが呟く。

 

「あんた、大丈夫なの。顔色わるいよ」

 

私に駆け寄るマリアに笑顔を見せる。

生命結晶を砕かれた私はきっともう駄目なのだろう。

 

でも、こうしなければならなかった。あの球体に切り掛かったプロトアニマ達はみな、その驚くほど硬い甲殻にはじかれて、ヤマツカミに吸収されていった。

シャガルマガラとの交戦で彼等が教えてくれた。

 

私にはまだしなくてはいけないことがある。ここで倒れるわけにはいかない。

 

アイルーが引く荷車の後を全速力で追い掛ける。

エルドア達がその後に続く。

 

城門で団長達が私達を待ってくれていた。

 

「やったんだな」

 

団長が私を抱きしめてくれた。私は頷く。

 

「でも、やらなきゃいけないことがあるの」

 

言いながら私はポーチから小さな紙包みを取り出し、団長に手渡した。そして、カエルの髪飾りを取り外し、その紙包みの上に置いた。

 

「お前、これ」

 

紙包みを受け取り、うろたえる団長に笑顔を見せる。

 

「私、もう駄目みたい。だから、お願い」

 

うろたえる団長に別れを告げて荷車を追い掛けて走り出す。

 

城の外では、5羽のガーグアを従わせた荷馬車が止まっていた。私が頼んだ通り、ハンター達はとにかく足が速い荷馬車を用意してくれていた。

ミラボレアスの頭部を包んだ布、そして私たち第四部隊が乗り込む。

地面に立つマルコスが荷馬車に乗り込む私の手を握った。恐ろしく冷たい私の体温に驚く。

 

何か言おうとしたマルコスは唇を噛み締め、手を離した。

 

立ち尽くすマルコスの肩に途中で合流したカイトが手を置く。手綱を握るエルドアがガーグア達に鞭を入れる。

 

田園地帯を走り抜けた荷馬車の前に砂漠地帯が広がっていた。

途切れ途切れの意識の中、私はマリアに肩を支えられながら、停泊していた砂上船に乗り込む。手配してくれたのは、大陸最速の高速砂上船。船体にはサボテンの花の絵。

 

ジャンが泣きながら私を抱きしめてくれた。

揺れるゲルヒム号の中、包みを抱き抱えるように壁にもたれかかる私をクルー達が心配そうに眺めていた。

 

首都メゼポルタの港からまた荷車に包みを載せて走り出す。

竜車が走る町並みをエルドアが大声で叫びながら走り抜けた。町を歩く人々が振り返る。

大通りを走り抜けると広場を抱える大きな建物の前に出た。

メゼポルタギルド。大陸を制するギルドの大本山。

建物に近づくと、ギルドナイト達が私たちの前に立ちはだかる。

エピタフプレートに手をかけたエルドアの横から突然、大勢のアイルーが走り出て、ギルドナイト達に被さっていく。

 

「ここは任せるニャ」

 

振り返るとナズナがアイルー達を引き連れて立っていた。

 

ハンターでごった返す集会場を駆け抜けて、ギルド本部に入る。扉の前でメゼポルタの筆頭ハンター達が武器を抜刀していた。エルドア、マリア、ガルティアが前に出る。

 

しばらく睨みあいが続いていたが、メゼポルタの筆頭ハンター達はそれぞれ目を合わせると、武器を納刀した。

 

「義理は尽くした。エイギル本部長から聞いてる。入りな」

 

重たい扉を押し開けた。

 

豪華に飾り付けられた部屋の向こうに、ギルド総本部長カイザルが怯えながら立っている。

 

荷車から包みを取り出した私は、部屋の中央で、床に向かって包みをほうり投げた。

包みが開き、中から血まみれのミラボレアスの頭部が転がり出る。

 

「ひ、ひぃ――!」

 

カイザルが飛び上がり叫び声を上げる。

 

私は、壁まで後退し、震えるカイザルに歩みよる。

 

「こ、こんなことをして、どうするつもりだ」

 

叫びながらカイザルは机の上の物を私に向かって投げつけた。

 

「共和国の発展の為だったんだ!」

 

机の上の物が無くなると、カイザルは背にしていた本棚から取り出した本を投げつける。

 

「こ、このばけものめ!」

 

開かれた本が私に当たり、床に散らばっていく。それでも私は前進を止めない。

 

「こ、この、モンスターが!」

 

机の前に立った私は、腰からハンターナイフを引き抜いた。

 

「この、モンスターハンターが!」

 

カイザルは身を屈め叫ぶ。私はハンターナイフ振り上げ、机に突き刺した。

震えるカイザルの下半身から液体が床の上に広がる。

机に突き刺さったハンターナイフから手を離した私はきびすを返すと、振り返る。

 

「モンスターはあんたの方だよ」

 

カイザルに背を向けて歩き出す。

 

部屋の入口で見守っていたエルドアが私に手を差し出そうとするが、マリアがそれを制した。

 

もう、みんなには伝えている。

 

顔を手で覆い、膝をついたエルドアが涙をこぼしながら歩き去る私の背中を見つめていた。

 

 

 

 

揺らめき、定まらない、不安定な視線。

 

でも、これは私が見てきた世界そのもの。

 

私の瞳の中の大切な、大切な、世界。

 

眠りにつく場所は、

 

やっぱり緑の中がいい。

 




エピローグ


「結局、イズナは見つからなかったみたいだな」

ドンドルマの断頭台。エイギルが窓際に立つ団長に話しかける。
失脚したカイザルに代わり、エイギルが臨時のギルド総本部長となっていた。
メゼポルタギルドは閉鎖され、学術院も人知れず解体されていた。

団長は、イズナからもらった紙包みを広げる。
中から現れたのは、白銀に輝く龍鱗。紙包みには

『シズクさんの形見です』

と書かれていた。

「生命結晶を砕かれたのなら、また長い年月を眠らなければいけないだろうな」

エイギルは頭の後ろに腕を組み伸びをする。

「どのくらいですか」

団長は龍鱗をハット帽の中に仕まった。

「分からん。でも、明日かもしれないし、僕たちが栄えて滅んで、次の人類が生まれるくらいかもしれないな」

「随分なお寝坊さんだな」

二人の笑い声が響く。

「これからどうする? 書記官殿」

本部長室の扉に向かう団長にエイギルが問い掛ける。扉に手を掛けた団長は、立ち止まり、しばらく目を閉じる。
思い馳せるのは、太陽の団での冒険の日々。
解体された学術院も新たに観測書士隊学術院として再編成された。
臨時の学術院長として事務処理に追われていた団長だったが、やはり、この世界の仕組みへの好奇心を抑える事が出来ず、新しい学術院長を据えて飛び出した。

扉の前の団長は目を開ける。この目で、この世界をもっと見ていきたい。

「取り合えず、バルバレに戻り、また旅に出ます」

「その方があんたらしいな」

エイギルは小さな肩をすくめて笑う。
頷いた団長は、重厚な扉を開く。
新たな冒険の始まり。

ヤクモが言った言葉を思い出す。
あの時は答えを出すことができなかったけれども、例え、無限の時間があったとしても、やはり好奇心への渇望を抑えることは出来ないだろう。
イズナがその命をもって、変えてくれたこの大陸。
今度は、どんなハンター、モンスター達と出会えるのだろうか。





晴れ渡るドンドルマの町。
今日も、ハンター達が集会場に集う。

彼らは狩りに何を求めるのだろうか。

報酬、名誉、戦うことの美学、だれかを守るため。

ハンターそれぞれに、それぞれの思いがある。

しかし、どのハンター達も、決して忘れることはない。

かつて、この世界に

『モンスターハンター』

と呼ばれたハンターがいたことを。





ー おしまい ー
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