衝撃の事実、パーパルディア皇国はジ〇ン公国だった!
Red Octber様からヤヴィン軍務卿の名前の使用許可を頂きました。すみませんアニオタにしち
ゃいました。え?その前にみのろう大先生に謝れ?はい、申し訳ございませんでした。
筆者はアズレンをプレイしてません。KANSENの知識はこのサイトが主な情報ソースです。
戦争はフィクションの中だけでいいと思います。
現実の戦争が一日も早く終わることを願っています。
「龍驤もうやめて!」
「早くその魔法を解除するんだ!」
鎮守府に新二航戦、飛鷹と隼鷹の叫びがこだまする。
「まだや、まだいける」
そう言う龍驤の唇から血が滴り落ちる。
「無理しないで、これ以上やったら轟沈してしまうわ!」
飛鷹が悲痛な叫びを上げる。
「何故そこまでするのさ」
隼鷹が問いかける。
「夢はなくならないんや!」
今の龍驤は巨乳であった。
意味不明なことを言っていると思ったかもしれないが、龍驤の胸には水操作の魔法で作った偽
巨乳が付いていた。
しかし貧乳属性を極めたと言われる龍驤は、相反する属性である巨乳のシルエットを得た段階
で体の崩壊を起こし始めていた。
飛行甲板はひび割れ、ツインテールには枝毛が発生し始めている。
全身に意識を保っているのが信じられないほどの痛みが走る。
それでも龍驤は魔法を維持し続ける。
「龍驤お前やっぱり気にしてたんだな」
普段は貧乳を気にする素振りなど一切見せなかった龍驤であったが、やはり気にしていたのだ
(実は龍驤には貧乳を気にするセリフはゲーム内で一切ありません)
「まだや、もう少しだけうちを巨乳でいさせてくれや」
飛鷹は涙ながらに訴える。
「龍驤、あなたはばかよ」
龍驤は大破した。入渠したものの通常の戦闘で負った損傷よりも修復が遅かった。
高速修復材の使用許可を求めたが、理由が馬鹿らしいというので許可は下りなかった。
「指揮官様~生まれ変わった大鳳をみてください~」
別の鎮守府では水操作で巨乳になった大鳳が存在しない人物の名を呼びながら徘徊していた。
「こっちは別世界の人格が混ざってる!」
鎮守府の人間は息を潜め隠れていた。
その時何者かが立ち塞がる。
「私の愛しい提督に何する気かしら?」
艦これ初の本格的ヤンデレ艦娘、刃鯨もとい迅鯨である。
闇と闇の闘気がぶつかり合い渦巻いて台風の様に見えた。
数時間後その鎮守府は更地になった。
怪物二頭の戦いは「ZINGEI外伝、頂上決戦!最狂VS最凶」として長きに亘って語り継がれた。
鎮守府所属の艦娘たちは隣に建設してあった予備の鎮守府に移った。
そのため艦隊運用に支障はなかったがよくある話なので割愛する。
南九州の鎮守府では九十九カケル提督(瑞の海、鳳の空の提督です)が嫁艦の瑞鳳と仲良く昼
食を取っていた。
「なんか魔法で巨乳を作るのが流行っているんだって」
「瑞鳳はそのままでいいよ」
「でも提督はおっきな胸が好きでしょ、加賀さんとか愛宕さんのよく見てるし」
九十九提督はしどろもどろにになって弁明する。
「それは、男の本能というやつだから仕方が無いというか、俺は瑞鳳が一番だから」
「分かってます、意地悪してゴメンね」
この鎮守府こそ爆発しろ。
前回第14駆逐隊の面々が昼寝している間、彼女らのパートナーになったファティマ達が顔合
わせをしていた。
「大体知っている顔ですが改めて宜しくお願い致します」
代表してラキシスが挨拶する。彼女が他のファティマをこの世界に召喚したのだ。
「現在長月サマニ仕エテオリマス”クーン”デス。ヨロシク」
星団史上最高のファティマ
公の手によって様々な実験的試みがなされている。
超帝国騎士の胚を手に入れたクローム公は彼女を代理母としてカイエンを出産させた。
そのことを知らないカイエンが彼女との子供を求めたのでクーンは精神崩壊を起こしかけてしま
う。事実を知ったカイエンはバランシェ公を殺そうとするも天照帝に阻止される。
以降カイエンは無軌道な行動をとるようになり剣聖でありながら賞金首になってしまった。
歴代マスターは四代剣聖デイモス=ハイアラキ、五代剣聖ダグラス=カイエン、天才科学者Dr
ダイアモンド=ニュー
「霰様に仕えております、静でございます」
序列2位、クバルカン法国の旗騎「ゲートシオン・マーク3・リッタージェット」通称「破裂
の人形」の事実上の専任ファティマ。
彼女に選ばれた人物がクバルカンの筆頭騎士団長になる。
カステポー地方で暴れていた壊し屋を退治した功績でセントリー「ブラウ・ブリッツ」からセ
ントリードロップを貰った。
エストとは度々戦ったライバル。
「潮様にお仕えしております、町で御座います」
序列1位、泣く子も黙る最強軍事国家フィルモア帝国。
その名門騎士家、
過酷な運命に立ち向かうクリスティンを支えた。
主の政治的立場を考えることが出来る。
但しキャラ紹介イラストで丸出しになっている主の胸は何故か隠さない。
「モラードファティマ、エストです。現在曙様にお仕えしております」
世界4大ファティマ製作者の一人にしてクローム博士のライバル、モラード=カーバイトのデ
ビュー作。名工ルミラン=クロスビンのダッカス・ザ・ブラックナイト(旧バッシュ・ザ・ブ
ラックナイト)とシンクロすることによりそれまでのGTMの数倍の戦闘力を叩きだした。
ダッカスは彼女にしか制御できないが彼女自身はほぼ全てのGTMを制御できる。
ダッカスの操者は黒騎士と呼ばれ、星団最高の騎士の称号の一つである。
そのため彼女を巡って多くの騎士がその血を流した。
愛も情も乗り越えてただ「ダッカスの性能を引き出す」という使命を遂行する。
その姿は同じファティマから見ても恐ろしいと評されるほど。
単行本全巻に登場しているのはアイシャと彼女のみ。
「なんだか場違いの様な気がするのですが、パルスェットといいます。皐月様にお仕えしており
ます」
製作者が幼少期から手元に置いて育成する銘入りと違い、工場で大量生産されたファティマ、
但しモラードの様な一流製作者が生産管理をしていた期間に生まれたため、そこらの銘入りよ
り性能が高い。
マスターは元青銅騎士団幹部のミハエル=レスター。彼の死後、後にミラージュ騎士となるヨ
ーン・バインツェルと出会い己の主と定める。一度は拒絶されるもアイシャの機転で無事パー
トナーとなる。二人とも自分の名を正しく発音してくれないのが悩み。
「ラキシス、ナゼワタシタチヲ呼ビ出シタノカ」
自己紹介が終わった後、一同を代表してクーンがラキシスを問い詰める。
違う宇宙から魂を呼び出し、妖精の体にDLさせるという荒業を使ってまで何をさせようとい
うのか。
「それにはまず前世界、地球についてお話する必要があります」
ラキシスは地球の歴史を説明した。
「科学力は低くとも、戦乱の多さではジョーカー星団に優るとも劣らない歴史ですね」
「コノ宇宙デモ愚カナ人間ノ争イニ関ワルトイウノカ?」
クーンはファティマが人間の戦争に酷使されることに疑問を抱いていた。
「そうではありません。ただ陽炎に手を貸してやって欲しいのです」
ラキシスは姉を根気強く説得した。そして暫く様子を見るとの答えを引き出した。
その後日本国の話題になった。
「原宿や新宿がありますね」
「同じスイーツや服が売られています」
「何故でしょう」
「この宇宙の創造神とアマテラス様は友達ですから、どちらかが真似したのではないですか?」
何気ないことのように言うラキシス。
彼女、あるいは我が妹はとんでもない相手に嫁に行ったのだ、と一同は思った。
「沖縄もあります。名物の島豆腐も作られてますね」
「ヒュートランとレレイスホトが来たら揉めそうですね」
ヒュートランは中期バランシェファティマで最高傑作と呼ばれたファティマであったが、ある
致命的な欠点を抱えている。その原因を作ったのがレレイスホトである。
ヒュートランは自己鍛錬プログラムというものを入れられており、常に自己の能力を高めるよ
う行動する。そして彼女は弱い騎士をパートナーにして強い相手と戦うという選択をした。
「この深海棲艦というの何でしょう」
「悲しみの記憶を運ぶ船、と言われています」
人は生まれ変わるとき生前の記憶をまっさらにしてから輪廻の環に戻す。
しかし地球では人が死に過ぎた。
処理しきれない記憶は溢れ、輪廻転生システムは機能不全に陥った。
溢れた悲しい記憶が形を成したもの、それが深海棲艦である。
深海棲艦に通常兵器は効果がない。
実は地球にも怪異と戦う退魔師などが僅かながら存在したのだ。
開戦当初は彼らが深海棲艦と戦ったが、彼らの持つ武器も効果が薄かった。
妖怪変化や異界の魔王、外宇宙の邪神を打ち破った神具が、深海棲艦相手にはかすり傷程度し
か与えられなかったのだ。
深海棲艦に唯一対抗できる兵器が艦娘である。
適性のある人間の女性が在りし日の戦船の魂を宿すことにより、少女は艦娘となる。
艦娘は生者と死者を並列させる事により疑似的に輪廻転生の環を再現している。
艦娘に倒されることで深海棲艦の記憶を浄化し、魂を輪廻の環に戻す。
だからこそ深海棲艦は艦娘に倒されなければならない。
もしも艦娘以外の存在に倒されたなら、もっと悪いモノを呼び寄せてしまう。
艦娘の力を人類にもたらした妖精の代表者はそう警告した。
「もし深海棲艦が勝利したらどうなっていたのでしょう」
「深海棲艦はその星の知的生命体を滅ぼした後、長い時間をかけて少しずつ数を減らしていき、
最終的に滅ぶでしょう。そして数万年かけて新たな知的生命が進化するのを待つことになり
ます。ということが当初の計画でした」
「計画ですか?」
「深海棲艦の女王個体、深海棲妃は滅びの運命を回避しようとしました。そして創造主である地
球の神の思惑を超えて行動を始めたのデス」
「深海棲妃はある場所に行こうとしました」
「それはどこですか?」
「フォーチュンです」
「!」
「深海棲妃は私のメッセージを受信したのデス」
ラキシスはモラード博士と会った時、この世界が物語であること、自らが監視者であることを
明かした。そして55億年後に現れるフォーチュンという星でファティマ達は苦しみがら解放さ
れることを予言した。
その予言の詩は全宇宙全次元を超え様々な存在に届いた。
異界の悪魔ヴィーキュルの女魔帝ゴリリダルリハ、タイカ宇宙の混沌の神ルシファ・センタイ
マーはラキシスのメッセージを受信し彼女に興味を持って接触してきた。
そしてそのメッセージは天の川銀河の地球に居た深海棲妃そして艦娘になる前の陽炎にも届い
ていた。陽炎は幼い頃どこからか聞こえてきた詩を深海棲艦が知っていたことを不思議に思っ
ていた。
「フォーチュンが現れるのはジョーカー宇宙ですよ」
「深海棲妃は地球を破壊し、そのエネルギーを使ってジョーカー星団に転移しようとしていたの
デス」
「艦娘の皆様があれほどの苦戦を強いられたのはもしかしたら私の所為かもしれないのデス」
陽炎が飼育している犬、楊貴がおやつを求めて近づいてきた。
「最後に一つ、何故ここにパローラがいるのですか?」
楊貴の本当の名前をセントリー・パローラという。
セントリーを分かり易く説明すると精霊の王、大精霊といった存在に近い。
ライブ、ブリッツ、パローラ、マグマ、カラットの5体が存在する。
パローラは火を司る大精霊と思ってほしい。
(筆者私見です。FSSファンの皆様には厳密には違うと仰る方もいるかもしれません)
「宇宙の生命力を司るセントリーの一体が違う宇宙に居たら大変じゃないんですか?」
「大丈夫です、この子は分体で本体はちゃんとジョーカーにいます」
「ただ本体49,分体51くらいの比率ですけど」
「ところで命の水はどうなったのですか?」
セントリーは数百年周期で死と再生を繰り返す。
幼体は弱いので人間に育てて貰う必要がある。その対価に貰えるのが命の水である。
生者が使えばたちまち若返り、死者に使えば生き返らせることが出来る。
異界の悪魔ヴィーキュルは命の水を手に入れれば進化の袋小路から脱して新たな段階に進むこ
とが出来ると信じ、幾度となくジョーカー星団を襲っていた。
「貰える命の水は二人分、陽炎の記憶によると神社で遊んでいたときにどうしても小瓶の中身が
欲しいという人がいたのであげたそうです」
「うわ、価値を知らないって恐ろしい」
「何処かで悪用されてないですか?」
各人が心配するなかラキシスはある物に言及する。
「皆さん、高速修復材をご存知かしら?」
高速修復材とは損傷した艦娘を一瞬で修復する謎の液体である。
「その人は地球の神です。命の水は高速修復材の源泉に使われたようです」
もしかしたら艦娘の根幹に関わる部分に命の水が使われているのかもしれない。
「あと一人分は分かりません。いつの間にかなくなっていた、と言っていました」
ラキシスは楊貴に菓子を与えながら呟いた。
「ねえ楊貴、あの方は今どこにいるのですか?」
楊貴の反応は目を細めただけだった。
その後もファティマ達のお茶会は続き世間話に花が咲いた。
例えば間宮さんのスイーツは美味しいが、際限なく食べさせられるので苦手だとか。
ファティマの標準体型はやせ型である。あばら骨も腰骨も浮いているのが普通なのであるが、
間宮さんから見ると欠食児童にしか見えないらしく、太らせようと大量に食べさせる。遠慮し
たパルスェットは椅子に縛り付けられて料理を口に無理やり詰め込められたのだった。
所変わってエジェイの西方
ロウリア王国の竜騎士ムーラ=ジチタはエジェイの5キロ手前地点を目指して飛行していた。
彼に与えられた任務は東部諸侯軍が連絡途絶した原因を探ることである。
冷たい空気が顔の皮膚に刺さる。このところ寝不足気味の彼にとって心地いい刺激であった。
ギム攻略戦後、ロウリア竜騎士隊は戦後処理に追われていた。
ギムでは当初ほとんど損害を出さずに勝利できるという予測が立てられていた。
しかし実際には7千人を超える戦死者を出した。
竜騎士にも14人の戦死者が出た。しかもその一人は協力国(明らかにされていないが多分パー
パルディア皇国)から派遣された空戦技教官であった。
彼は母国の高位軍人の親族であったらしく、残った協力国の軍人たちは彼の死を正直に報告す
るか、それとも隠蔽するかで議論していた。
クワトイネ兵が使っていた兵器の一つに火を噴く魔杖の様な物があった。これを見た協力国の
軍人たちは血相を変えて全て自分達が回収すると言い出した。ムーラは戦場跡を歩き回って魔
杖がないか探し回り、部品の欠片まで回収した。
金になると思い持ち去ろうとした傭兵がいたが、協力国の軍人たちは剣を抜いて威嚇し魔杖を
没収した。
そのほかにもムーラ達は書類仕事などに追われ、ギム町では略奪や住民の虐殺をする時間はな
かった。
もっともムーラは最愛の妻がいるので亜人の女を凌辱するなど初めから考えていなかった。
「こちら竜騎11号、まもなく目標地点に到着する」
「了解、成功を期待する」
前方の平野には細い煙が上がっていて、肉が焦げたような匂いが立ち込てめていた。
「こ、これは!」
そこは辺り一面土をえぐり取った様な跡があちこちにあった。
まるで地面が裏返された様になっていて、元は人だったらしい物体が散乱している。
「ギム本陣応答せよ、こちら竜騎11号!味方は全滅している!」
「!こちらギム本陣、それは本当か?」
「現場には人と馬の一部とみられる物体が散乱し、地面は裏返されたようになっている。大規模
な爆裂魔法を使用された模様」
「着陸して詳細を確認せよ」
「了解」
「なんてことだ」
地面に降りたムーラが目にしたのは原型を留めぬほど破壊された人と馬の死体であった。
辺りは肉と鉄の焦げた臭い匂いが充満し、血の匂いと混ざって吐き気を催す匂いがする。
落ちていた鎧の破片を拾い上げてみると、ロウリア王国軍で使用されているものだった。
戦場で見つかるのはロウリア王国軍の装備品のみ、クワトイネ兵やそのほかの国の物は見
当たらない。
「全滅?しかも敵兵の死体がない?」
味方は一方的に敗北したとでもいうのか?
「まさか古の魔法帝国が復活したとでも言うのか!?」
かつてこの世界にラヴァーナル魔法帝国という国家が存在した。
人類を遥かに超える魔力を有する人類の上位種、光翼人で構成される帝国であった。
この世界の人々は畏怖を込めて彼らを魔帝と呼んだ。
膨大な魔力を持ってこの星の全生物の頂点に君臨し、己以外の全人類を家畜として扱った。
その支配は苛烈を極め、種族の存亡をかけた戦いが何度も繰り返された。
しかし魔帝の隔絶した兵器の前に数多の種族が滅び去った。
彼らの増上慢は頂点に達し遂に神に弓を引いた。
怒った神々は魔法帝国のあったラティストア大陸に星を落とす奇跡を起こす。
星の落下を防げぬことを悟った魔帝はラティストア大陸を遥か未来に転移させた。
「我らが再び帰還するとき世界は我らにひれ伏す。そして我らは全てを手に入れる」
「全銀河の知識が収められたモナークセイクレッド、新たな進化の鍵となる命の水、全ての願い
が叶う星フォーチュン、最も優れた生物である我ら光翼人にこそふさわしい」
そう書かれた不壊の石板をのこして
その後大陸の端に残っていた少数の光翼人を数で圧倒、一部を捕え地下の牢獄に幽閉しその
技術を吸収したのが現在の第一位列強、神聖ミリシアル帝国である。
「それとも魔帝四貴族の仕業なのか?」
一方で辺境に散っていた光翼人はミリシアルから逃れるため4人の有力貴族を頼った。
地の公爵 魔戦士公アラケス
水の公爵 魔海公フォルネウス
風の公爵 魔竜公ビューネイ
火の公爵 魔炎公アウナス
彼ら四人は魔帝四貴族と呼ばれた。
四人はそれぞれ己の得意な属性の魔法であれば魔法帝国の皇帝家に匹敵、あるいは上回る実力
を持っていたため皇帝から危険視され魔帝本国から遠く離された領地に封じられていた。
ミリシアル帝国も彼らを討つため大部隊を派遣したが悉く返り討ちにされた。
その後四貴族は神の追撃を恐れ独自の転移魔法を使い異界に逃れた。
ただし完全にこの世界と切れたわけではなく、動乱の度その裏に四貴族の陰謀が蠢いていると
まことしやかに噂されている。
「グワッグワッ!」
ムーラが先に進もうとしたとき相棒が警戒音を出した。
前方の地面が盛り上がり何かが這い出してきた。
「ぷはー!やったぜ生き残ったぜ」
地面の下から出てきた全裸の男はホ-ク騎士団団長ホークであった。
「ギム本陣、生存者を発見、ホ-ク騎士団団長ホーク卿を発見しました」
「了解、彼を連れて帰投しろ」
ムーラはホークに近づこうとした、しかし相棒が袖を噛んで引き留める。
「どうした相棒、何を警戒している。あの人は味方だぞ」
「グルルル」
相棒のワイバーンは何故かホークを怖がり喉から警戒音を出している。
その時ホークがくしゃみをした。今は初冬で全裸でいたのだからしかたがない。
「へーくっしょい!まぞく」
そのくしゃみを聞いてムーラは父から聞いた話を思い出した。
『くしゃみの瞬間、精神は無防備になる。もし魔物や魔族が人間に化けていたらその時正体をば
らしてしまうのだ』
ホークはムーラの表情が変わったことに気付いた。
「お前、知っているな。変身魔法の欠点、くしゃみの瞬間に正体をばらしてしまうことを」
「何故王国軍に魔族が紛れ込んでいる?」
「教えてやろう。俺は一万年前の魔王軍の生き残り、魔王軍総参謀長マラストラス様よりロデニ
ウス大陸の監視を命ぜられた魔族だ」
一万年前の戦いで魔王軍は太陽神の使者に敗れ残党は北のグラメウス大陸に逃れた。
魔王が復活するまでの間太陽神の使者が再び召喚されることがないようロデニウス大陸を監視
する役目を負った魔族の一人がホークである。
「二代前の王が亜人殲滅などと言い出しただろう。利用させてもらおうと思ったのさ」
「利用だと?」
「そうさ下等種族同士の争いなら太陽神の使者は召喚されないと思ったのによう!」
人間同士が争うなら太陽神の使者は召喚されず、神森を焼き払うことが出来る。
そこまで成功しなくても戦力を削ることが出来る、と魔王軍残党は目論んでいた。
しかし予測は外れ太陽神の使者は召喚されてしまった。
「日本が太陽神の使者!?」
「そうだ思い出した、一万年前奴らは確かに二ホン、ダイニホンテイコクと名乗っていた。太陽
神の末裔が収める国だ!」
ホークも一万年前のことを鮮明に思い出していた。
「そんな、王国は魔王軍に利用されていたのか、そして太陽神の使者を敵に回してしまった」
ムーラは絶望した。
ホークにはもう一つ課せられた任務があった。それは微弱であるが魔王様と同じ魔導波を放出
している人物アデムの監視である。しかしこの事態に至ったからにはもはやアデムに生き残る
道は残されてはいないだろう。なぜなら太陽神の使者を怒らせた張本人は他ならぬアデム本人
なのだから。
「さて俺はグラメウス大陸に帰らなくてはいけない。太陽神の使者のことを報告しなくてはなら
ないからな」
ホークが近づいてくる。
「来るな!」
ムーラは短剣を構える。
「だが単独で海を越えるのは俺でも骨だ、だからお前のワイバーンを貸してくれ」
「断る!」
ロデニウス大陸からグラメウス大陸まで飛んだらどう考えても魔力切れを起こして途中で海に
墜落し死んでしまう。
「いいだろ、俺たち同じロウリア王国軍人なんだから」
ホークは一瞬で近づきムーラの首を掴んで吊るし上げた。
相棒がムーラを助けるため噛みつこうとするが、ホークに鼻先を掴まれ悲鳴を上げる。
「ギャアア!」
ワイバーンが人間の握力で悲鳴を上げるなどあり得ない。
やはりホークは人ではなかったのだ。
その時一歳になる娘が持たせてくれたお守りが剥落し、ホークの股間に落ちる。
「熱っち!」
魔なる者に特効がある聖銀の少片で作られたお守りが魔族の皮膚を焼く。
男のシンボルに線香花火の火の玉が落ちたような痛みが走りホークは手を放した。
助かったと思った矢先、ムーラは体が巨大な何かに挟まれたような衝撃を受けた。
「しゃらくさい!」
ホークの体が巨大化し、一つ目の雪男を思わせる姿になった。頭部にはホークの上半身が引き
続き乗っている。魔族の全力戦闘形態フルフォースフォームだ。
ムーラは巨大化したホークの腕に捕まえられた。
「ぶっ殺す」
股間から触手が飛び出てうねうね動く。
「ひいいぃ、いやぁー」
ムーラは恐怖の余り少女の様な悲鳴を上げてしまった。
「おっさんが変な声上げるなよ。俺はそっちの趣味はないぜ」
ホークはなぜ自分はこんなことをしているのだろうか、と客観視してしまった。
「なんで短髪で褐色の女傭兵隊長じゃないんだ?」
「ケーーーン!」
相棒が大きく警戒音を出した。広範囲に届くそれは味方を呼び寄せると同時に敵に気付かれる
恐れもあった。しかしそのリスクを負ってでも助けを求めたのであった。
「頼む、誰か助けてくれ!」
すると東の空から白い影が飛んで来た。
「白いワイバーン?味方じゃない」
ロウリア王国の竜騎士に白いワイバーンはいない。クワトイネにも居るという話は聞いたこと
がない。
「まさか変異種の野生採取個体?」
自然界に極まれに存在するワイバーンの変異種、飼いならすことが出来れば国力を大きく増大
させることが出来る。しかし野生採取個体は飼育が難しく、繁殖は更に困難である。
成功した例はこの世界の歴史上片手で数えるほどしかない。
ムーラは知らなかったがこの時他の偵察ワイバーンはこの白いワイバーンとその騎士によって
全員撃墜もしくは捕縛されていた。
「動力火炎弾なんて撃ったら人質を巻き込むぞ!」
ホークはムーラを掴んだ手を突き出して白いワイバーンを牽制する。
その時白いワイバーンの口が小さく光った。
「ぎゃ!」
赤い線が煌めき、ホークの腕の線がなぞった部分を焼き焦がす。
ひかりは連続して煌めき何度も同じ場所を焼く、そしてホークの腕が切断された。
「まさか動力火炎を細くして打ち出しているのか!?」
この様な攻撃方法をするワイバーンは聞いたことがない。
ムーラは驚愕したが、ひとまず相棒の手綱を引き距離を取った。
謎の白いワイバーンは何か物を二つ落とした。
回転して着地したのはまだ若い少女の様だった。
通常ワイバーンは60kgまでしか運べない。
しかし白いワイバーンは少女二人で約100kg運んでいた、どうやら輸送能力も高いらしい。
二人の少女が名乗りを上げる。
「人呼んでソロモンの悪夢、白露型駆逐艦四番艦”夕立”参上するっぽい!」
金髪赤目でマフラーをした少女が元気よく名乗りを上げる。頭に獣の耳の様な形が見える。
獣人の娘の様だ。
「同じくソロモンの鬼神、綾波型駆逐艦一番艦、”綾波”戦場海域に到着しました」
長い黒髪を片側に纏めた小柄な少女が奥ゆかしくもしっかりと名乗り上げる。
こちらも身のこなしから獣人の血が入っているのかもしれない。
深海棲艦が選ぶ絶対に出会いたくない艦娘。戦艦、空母、雷巡を抑えて堂々の一位と二位。
夕立と綾波は不動のツートップである。
遭遇した時点で死を覚悟すると言われるこの二隻であったが、新世界にはそのことを知る者は
いない。
「おお、旨そうな女子、、ん?」
ホークが彼女らに襲い掛かろうと一歩踏み出した瞬間、ある幻影を見た。
巨象と蟻
二人の少女と自分の実力差が理性ではなく本能で理解できた。
二人の姿が掻き消えホークが慌てる間もなく腹部に衝撃が走った。
重騎士の戦槌を受けてもびくともしないフルフォースフォームの腹筋が衝撃を防ぎきれず内臓
までダメージを通してしまった。
金髪の少女夕立がボディに拳を叩きこんだのだった。
「あ、がが、ぐう」
「おじさん口が臭いっぽい」
女の子に言われて傷つくセリフかと思ったらそうではない。
「人間を食べたね、人肉の臭いがプンプンするっぽい」
夕立はその優れた嗅覚でどちらが悪か瞬時に判断したのだった。
ホークは苦悶の表情を浮かべ前かがみになって悶える。
目の前に黒髪の少女のうなじが見えた。齧りつきたいと思った瞬間、目の前に火花が散った。
綾波の裏拳が顔面に炸裂したのだ。
更に綾波はロー、ミドルそしてハイキックと連続して蹴り上げた。ホークの巨体が宙に浮く。
さらにアッパーカットでホークの巨体を天高く舞い上げる。
「たああー!」
裂帛の気合というには可愛らしい掛け声と共に、落下してきたホークの巨体を殴りつけた。
ホークの巨体が50メートルは吹っ飛ばされた。
「ぽーい!」
倒れたホークに夕立が狼の様にジャンプし肉薄追撃する。
指先が淡い光を灯したかと思うと手を思いきり振り切った。
艦娘の防御フィールドを指先に集中して放つ技ストライクレーザークローだ。防御フィールド
が無くなってしまうため危険極まりないが、夕立にとってはそのスリルさえ楽しいらしい。
ズバ!
ホークには袈裟懸けに切り傷を付けられ青い血が流れだしている。
「そんな馬鹿な、俺たち魔族の皮膚は並の剣では傷一つつけられないはず!」
ムーラは信じられないと言った表情でただ見ていることしか出来なかった。
しかし夕立と綾波は更に驚愕の一言を放つ。
「思っていたよりしぶといっぽい。艤装がないと威力が出ないっぽい」
「やっぱり艤装を持ってくるべきでしたね」
これで全力ではないのかとムーラは驚愕する。
白いワイバーン、鳳翔のゴールド号の本来の任務は夕立と綾波をタイダル平原の駐屯地に送り
届けることであった。
ゴ-ルド号は通常のワイバーンより多くの荷物を運べるが流石に艤装を付けた艦娘は重すぎて
運べなかった。そのため艤装は陸路で送っていた。
二人は制服のみ着用していた。それにより得られる艦娘力は微々たるものであるが、彼女らは
魔族と渡り合っていた。
かつて地球で最も危険な海域、地獄のソロモン海を乗り越えてきた二人にとってロデニウス大
陸の戦場など昼間のコンビニに行くようなものだろう。
「ねえあれは何っぽい?」
夕立と名乗った少女がホークを指さして問いかける。どうやら魔族を知らないらしい。
「あれは魔族と言って人類の敵だ」
「へー」
「それよりお兄さんロウリア軍の人だよね」
「そうだが、それより君らはどこの国の者だ」
ホークもまた彼女らの正体が知りたかった。
「お前らは一体何なんだ?!一万年前にはいなかったぞ!」
ムーラが確認を求めると黒髪サイドテールのほうが頭を下げた。
「失礼しました。私は日本国海軍のクワトイネ救援艦隊所属、艦娘の綾波、あちらは夕立です」
初めて出会った日本国の軍人がこんな可愛い少女であったことは驚きだった。
ただし分からない単語が一つあった。
「艦娘とは?」
夕立と綾波は艦娘について説明した。
ホークもその説明を聞き入っていた。
「はあ!?太陽神の魔船を擬人化美少女化しただとう!?日本人は何を考えてやがる!」
一万年前魔王軍を潰走させた太陽神の魔船が可愛らしい姿で目の前にいる、そんな説明は受け
入れがたかった。ホークは怒りに震えた。
ムーラは唖然として呟いた。
「日本人は未来に生きているな~」
「畜生!畜生!畜生!」
ホークは地団太を踏んだ。魔王軍の生き残りとして絶対に受け入れられない事実を突きつけら
れ、怒りで血管がぶち切れそうだった。
「ぶっ殺す!」
怒り心頭のホークに対し夕立と綾波が背中合わせになって構える。
ムーラはもしかしたら逃げられるかもと思い相棒に飛び乗った。
相棒は小柄だが垂直離陸することができる。ギム本陣に戻って上層部に戦争を止めるよう訴え
る、そう決心した。
しかし白いワイバーンが戻ってきてムーラの横に並んだ。ロデニウス大陸共通のハンドサイン
で誘導に従うように指示された。自分より技量の高い竜騎士であると分かったムーラは諦める
しかなかった。
その時東の彼方から土煙が見えた。
「こらー!何やってんの!」
陽炎が艤装をつけてやって来た。
「陽炎さん」
「げえ!夕立、そして綾波!」
陽炎は二人を見て顔をしかめた。
「何ですか撤退中に関羽に出会った曹操的な反応をするなんて」
「おんなじ様なものでしょうあんたらは!」
ふと見ると夕立が落ち込んでいた。
「最近妹たちにもそういう反応をされるっぽい」
近頃白露型後期の海風型の妹たちの態度がよそよそしいのだった。
最も夕立の戦いを目にすればそうなっても仕方が無いのである。
「俺を無視するな!」
ホークが怒りのパンチを打ち下ろす。しかし3人はひらりと躱す。
「俺はこの一万年の間沢山の人間を食って力をつけた!もうあの頃の様な若造じゃねえ!」
「今まで何人の人間を食べたっぽい?」
「てめえは今まで食ったパンの枚数を覚えているのかよぉ?」
陽炎のハートが怒りに震えて燃える。
「新戦法を試してみるわ!」
陽炎は距離を取ると呪文を詠唱し始めた。
「水よ集まれ、そして我が意に沿う形をとれ、ウォーターコントロール!」
地面から地下水が噴き出し水の柱を作り出す。
水の柱は蛇のようにうねりホークを取り囲み下半身が水に沈む。
「なんだ!?」
敵を拘束したいのなら低い魔力消費量でもっと強力に拘束できる魔法は多種ある。
実際ホークの上半身は動ける。わざわざ大量の水を使う必要はないはずだ。
見ると水が空にアーチを引き、空中回廊を造り上げていた。
「KAREM(艦娘活動範囲拡張機構)解除!」
陽炎は艦娘が地上でも活動できる装置をわざわざ解除した。
そして自ら作った水の空中回廊に飛び乗った。
『水圧調整良し、いける!』
艦娘は何故か元々の艦が航行出来ない浅瀬では航行出来ない。
そこは魔法で水圧を調整し、直径約2メートルの空中回廊を航行可能にしたのだった。
「駆逐艦陽炎、出撃!砲雷撃戦用意!」
陽炎が白波を立てて突き進む。
ホークは恐怖を感じ魔法で迎撃する。
「来るな!ヘルファイア!」
直径80cm程の火球が形成され陽炎に向かって投射された。
「主砲発射!迎撃するわ」
連装砲が火を噴きヘルファイアを霧消させる。
外れた弾の着弾を見てホークは恐怖する。
「これはカンポウ!やっぱりあれは太陽神の魔船なのか!」
「93式酸素魚雷一番発射!続けて二番発射!」
陽炎の魚雷発射管から計二発の魚雷が水の空中回廊に投下された。
『いけるか?』
魚雷はデリケートな兵器であり直進するか不安であったが、航跡を立てずに問題なく水中を進
んでいた。
ホークは陽炎が放った物体が何であるかは知らなかったが、強力な武器であると確信していた。
何故ならわざわざあれを使うために水の空中回廊を造ったのだから。
「うわああ!来るな、来るなぁ!」
ホークは逃げようと足を動かす、しかし水に邪魔されて動けない。
酸素魚雷が近づく。
「ひいいぃ」
「じかーん!」
ホークの腹部に酸素魚雷が命中する。大爆発が起こりホークの巨体は跡形もなく吹き飛んだ。
「凄いっぽい?どうやってやるっぽい?」
夕立がきらきらした目で質問する。
「地上戦でも魚雷を使えるようにするとは、私もすごいと思いますけど手間がかかるだけでは
ないですか」
綾波は一歩ひいた目線でそう評した。たしかに無駄が多い。
「酸素魚雷は日本駆逐艦の魂なのよ!」
「おー」
夕立と綾波は揃って拍手した。
ムーラは捕虜になった。私刑や拷問の類はしないと言われたが不安は隠しきれない。
しかし故郷で待つ妻と娘のためにも、何としてもこの戦争を止めようと決心していた。
一方ギム本陣ではムーラが魔導通信をオンにし続けていたため、一連の会話が聞こえていた。
もたらされた情報の多さそして重大さに魔導通信士官が困惑していた。
一つ、ロウリアは魔王軍残党に利用されていること。
二つ、日本国の正体は太陽神の使者であること。
三つ、艦娘という強力な戦力がいること。
どれも上層部に報告しなければならない重大な情報だ。
しかしどうやって説明したらよいのかわからない。それ以前に自分が理解できていない。
そして彼は最もありふれた選択をした。
「聞かなかったことにしよう~」
それは最悪の選択になった。
なんかなのはAsっぽくなってしまった。うーん。
もうお判りでしょうが、ホーク改変の元ネタはベルセルクのワイアルドです。
三浦建太郎先生のご冥福をお祈り申し上げます。
魔帝四貴族は原作より早く光翼人を登場させることは出来ないかなと考え、ロマサガ3の四魔
貴族から設定をパクりました。CMの曲がかっこよすぎます。
収束動力熱線砲の元ネタはうしおととらの黒炎後期型の技『穿』です。
くしゃみのネタは魔法陣グルグルからです。
艦娘の防御フィールドを直接ぶつける戦法は鶴翼の絆にあります。技名はゾイドからです。
水の空中回廊を艦娘が航行できるかどうかは水圧をいじっただけで可能になるか確信を持てな
いのですが、後は魔法で解決したということでお願いします。