新世界の海に陽炎、抜錨します!   作:yutarou

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 前回から期間が開いてしまい申し訳御座いません。
 仕事でミスをしてしまい、首になりかけてました。


第二十一話 肝練りの宴 ロウリアの始末

これまでの粗筋

 異世界初の友邦を救援する為自衛隊と艦娘を派遣した日本国。

 ロデニウス沖海戦で勝利し、ギム奪還にも成功する。

 

 しかし異世界から転生した魔導師ボスヤスフォートとその一味により蓮の庭園は炎上、霧島艦

 隊も大打撃を受ける。

 殿を務めた陽炎は見事その役目を果たす。

 

 しかし彼女は異物として神界へと連れ去られてしまう。

 一方霧島はファティマ・インタシティと出会いパートナーとする。

 ボスヤスフォートが祖国ハスハを滅ぼした張本人だと知ったインタシティは復讐の女神と化

 したのだった。

 

 

 

 此処はロウリア王国王城。

 大広間では先日の作戦成功を祝ってパーティーが開かれていた。

 

 開戦前の予想では圧倒的大戦力によって鎧袖一触に勝利するはずであった。

 しかし蓋を開けてみれば勝ったのは初戦だけ。

 ノーマークだった日本国が参戦した後は海戦でも陸戦でも敗北が続き、占領したギムも奪還さ

 れてしまった。

 

 敗北の事実は高級幹部を除いて秘密とされたが、完全には隠すことは出来ずにいた。

 特に王都の竜騎士の家族からは、夫や息子が一向に帰ってこないと心配する声が日に日に大き

 くなっていた。

 苦戦しているという噂が徐々に王都に広がっていき、その結果王国に対する不信感が日に日に

 高まっていた。

 

 しかし蓮の庭園を奇襲し、カナタ首相を討つことに成功した。

 実際にはその死を確認したわけではないが公国も行方不明と発表しているので、殺害に成功し

 たということにした。

 

 今回の勝利で日本国とクワ=トイネ公国の動きを止めることに成功したと言えるだろう。

 後はパーパルディア皇国の増援が到着すれば勝利を手にすることが出来る。

 

 王国の反撃が始まる、そのことを知らしめるため国王ハーク・ロウリア34世は大々的に戦勝パ

 ーティーを開催する事にしたのだった。

 

 

「さあ!我が国の英雄の登場だ!皆の者拍手で迎えられよ!」

 パーティーの司会はパタジン=アッカーダマン将軍自ら行っていた。

 

 宰相マオス=バーミキュライト侯爵と大魔導師ヤミレイ=フヨードル卿も控えている。

 文武そして魔導それぞれの分野で王国を支える三重鎮が勢ぞろいした。

 

 大魔導師ボスヤスフォートと魔法剣士デコース・ワイズメルが大広間に入場する。

 

 二人の後には黒いドレスを着た女性が一人続いていた。傭兵団の副主宰ビューティー・ペール

 である。彼女は周囲からボスヤスフォートの妻だと認識されている。

 

 パタジンは一瞬だけボスヤスフォートにすまなそうな視線を送る。

 

 ボスヤスフォートは片腕に大怪我を負い、包帯で巻いて固定している。

 また腹部に浸透剄を喰らい固形物はおろか水も飲めないほど内臓にダメージを負っていた。

 

 外見では分からないが相当苦しいはずである。なのにそんな素振りを見せない彼にパタジンは

 尊敬の念を贈っていた。

 

 王には負傷した彼らを休ませるべきと進言した。

 しかし王は国威発揚のため祝勝会は必ず行う、と言ってパタジンの意見を却下した。 

 

 

 

「勝利の立役者ボスヤスフォートの言葉を聞くがよい」

 パタジンの案内の元、ボスヤスフォートは拡声の魔道具の前に立つ。

 

「皆様、今回私たちは敵に対し勝利を挙げることができました。これも皆様の支援のお陰であり

 ます。この場を借りて厚く御礼申し上げます」

 勝者とは思えない謙虚さに王国の人々は賞賛する者と侮る者、二者に分かれた。

 

「王国の国民が一致団結していれば勝利は確実である、と私は確信しております。皆様これから

 も王国に対し、自分が出来る事を最大限なしていってくださることをお願い申し上げます」

 

「しかしながら敵も必死の抵抗をしてくるが予想されます。我が国は亜人根絶を国是としており

 ますれば彼らも窮鼠と化し、我らに思いもよらぬ痛手を与えるやもしれません」

 

「我らはこの先あらゆる事態に備え、あらゆる選択肢を揃えて行かなくてはならない、と愚考し

 ます」

 

 出席者は息をのんだ。

 クワ=トイネ公国と講和する可能性を残せ、と遠まわしに進言したのだ。

 全員の意識が大王に向く。

 

 

 

 ボスヤスフォートは下がり、ハーク=ロウリア34世が拡声の魔道具を掴む。

「ボスヤスフォートの言や良し」

 

「我が国はこの先どのような困難が待ち受けようとも、何としてでも先々代の遺志である亜人撲

 滅を成し遂げねばならぬ!」

 

「一丸となってロデニウス大陸から忌まわしき亜人共を駆逐するのだ!」

 

 会場は歓声に包まれる。

 ハーク34世は進言をきっぱりと否定した。

 

 王国の方針が変わらなかったことに安堵する者が多かった。

 この会場には亜人奴隷の売買で利益を上げている者、領地にて亜人奴隷を使役している者が多

 く居る。

 もし亜人排斥政策を止めてしまったなら、この国は経営が成り立たなくなってしまうかもしれ

 ない所まで行きついていた。

 

「我らは立ち止まるわけにはいかぬのだ」

 会場に歓声が響く中、ハーク34世は小さく呟いた。

 

 

 ハーク34世は言葉を続ける。

「先の戦の功労者である貴様には、褒美を与えなけれならぬな」

 

 大王は先ほどの進言を罰するするつもりはなかった。

 この三人が他国を行ってしまうことを危惧していた者は一応安堵した。

 

「貴様の希望は爵位と領地であったな」

 ボスヤスフォートは片膝をついて跪いた。

「有難き幸せに御座います」

 

「さてどこをくれてやろうか」

 貴族たちは彼らがどこの領地を賜るのか真剣な面持ちで見守った。

 今後の権力争いの勢力図が大きく変わるかもしれないため、先ほどの話題より真剣に耳を傾け

 ている。

 

 その時、ロウリア王国筆頭魔導師のヤミレイが進み出た。 

「恐れながら陛下、後継者不在の貴族家に養子に入るのはいかがでしょう」

 

「ふむ、それがよかろう。して候補となる家はあるのか?」

 

「ちょうどフヨードル侯爵家が優秀な魔導師を後継者に、と望んでおります」

 貴族たちはその家名を聞いてどよめく。

 ハーク34世は笑いだした。

 

「確かに代々筆頭魔導師を輩出してきた家であるから彼奴に相応しかろう。フヨードル侯爵現当

 主ヤミレイよ、貴様の望みをロウリア王国国王たる我が許そう」

 

「ははー、有難き幸せ!」

 

「え?」

 

 ボスヤスフォートは困惑した。元々辺境の小さな領地を貰えればよいと考えていたので。

 王国の政権中枢に近い大貴族家に入るなど想定していなかった。

 

 ヤミレイにはかつて一人息子が居た。自分よりも魔法の才に恵まれた自慢の息子だった。

 彼はある時戦場で父をかばって重傷を負ってしまった。

 ヤミレイは手を尽くして息子を治療しようとしたがその甲斐なく、傷が悪化し亡くなった。

 

 その後ヤミレイは多くの孤児院を建設し、身寄りのない子どもを預かって育成してる。

 その中で魔法の素養のある者は彼自身が魔法を手ほどきする。

 王国の魔導士には彼の経営する孤児院出身者が多く在籍していた。

 

「ボスヤスフォートよ、これからは父と呼んでくれぬか?」

 

「私は実の父の顔も知りません。そのような者を侯爵家の跡取りになどして宜しいのですか?」

 

「構わぬ、ロウリア王国は実力のある者を重用することで発展してきたのだ」

 

 王国が実力主義なのはやむを得ない理由がある。

 ロウリア王国はロデニウス大陸から亜人を駆逐することを国是とした。

 財産を持つ者は全て没収のうえ国外追放、持たざる者は奴隷に落とした。

 

 さらに純血主義を打ち出し、十代に遡って先祖に亜人のいない事を証明できない者は公職から

 追放した。

 その結果、技能を持った多くの人間が国外へと流出し、軍人、官僚、職人などあらゆる分野で

 人材が不足してしまった。

 

 王国にとって誤算だったのが、亜人達と親交のあったヒト種まで国外へ出て行ってしまったこ

 とである。

 職人たちの横のつながりを甘く見た結果、物づくりの現場で技術者が不足し国の技術力は大き

 く低下した。

 

 その結果、ヒト種であれば前歴を不問、実力さえあれば良いという方針を取らざるを得ない状

 況になってしまった。

 

 

 亜人は得意分野ではヒト種が敵わない高い能力を持つ。

 亜人排斥政策を打ち出すと、亜人に冷や飯を食わされていたヒト種が王国に集まってきた。

 

 結果としてヒト種に限って言えばそれなりに良い人材は確保できた。

 また王家はヒト種の国民からは絶大な支持を得ている。

 

 それでもロウリア王国は周辺国に比べて技術力は高くない。

 結局人口が多いだけで技術力が低い、という印象は払拭出来なかった。

 

 

 ボスヤスフォートとヤミレイ、二人の手をとってハーク34世が宣言する。

「王国を支える新たなる柱の誕生だ!皆の者祝うがよい!」 

 会場は拍手に包まれた。

 

 

「やはり上手くいかなかったか」

 これまでのやり取りを見てデコースが溜息をつく。

「前世で私たちは戦争を長引かせることは得意でしたけど、止めさせるのはしたことがなかった

 ですわ」

 ペールもわが身を振り返ってこめかみを抑えている。

「敵の苦労が今になって分かったぜ」

 

 

 続いてデコースの叙勲式が行われた。

 デコースが跪いて王国製の剣を34世に渡す。

 

「私デコース・ワイズメルはロウリア王国に忠誠を誓います」

 34世は剣を抜いてデコースの肩に当て宣誓する。

 

「デコース・ワイズメルよ、汝の剣を受け取ろう」

「恐悦至極に御座います」

 

 

「デコース・ワイズメルよ、貴公の徒名である黒騎士、その名を正式に名乗る事を許す」

 

「貴公に『黒騎士』の称号を与える。バッハトマ魔法傭兵団はバッハトマ黒騎士団と改名、正式

 に我が国の騎士団と認める。」

 

 さらに東征軍を再編したうちの五千人の兵を任されることになった。

 その上で引き続きボスヤスフォートの指揮下でいることを許可されている。

 王国が彼らを重視するが故の好待遇であった。

 

「有難き幸せ(ここまでされたら途中でトンズラできないな)」

 

 出来れば日本国との戦争は避けたかった。

 最低でも近代以上の技術力を持つかもしれない国家と中世レベルの兵を率いて戦うなど無理ゲ

 ーにも程がある。

 

 そして艦娘とかいう謎の存在が気にかかる。

 あれらが仮にエンハンスドヒューマンの類だったとして、製造するのに最低でもジョーカー国

 家レベル、最悪超帝国並みの科学力が必要だ。

 

 しかし艦娘が持っていた武器は火薬式の大砲とレトロな機関銃であった。

 

 またギムを空爆した航空機は何故かレシプロ機だった。

 

 生き残りにジェット機とレシプロ機のイラストを描いて見せたら、レシプロ機の方を指し示し

 たので間違いない。

 何故わざわざレシプロ機を使ったのだろうか?

 

 このちぐはぐさが日本国の技術レベルを判らなくしていた。

 ブラックスリーは日本国についてもっと調査が必要だと意見が一致していた。

 

 

 デコースは王から剣を受け取ろうと顔を上げたが、慌てて下を向く。

 

「なんでこのおじさん裸にバスローブなんだ!?」

 大王様の王太子とお稲荷さんが見えそうだ。

 

 この王様は服に毒針を仕込まれ暗殺されそうになったことがあるのだろうか?

 その体験がトラウマになって服が着れなくなったの違いない。

 

 そんなことを考えていたら叙勲式は終わっていた。

 

 デコースは晩餐会の料理にあるものを見つけた。

 

 黄豆の搾り汁をにがりで固めたものを油で揚げ、袋状にした物に米を詰めた料理があった。

 イナリズシという太陽神の使者が伝えたロデニウスの名物料理であるらしい。

 

「嫌がらせか!」

 あれは通過儀礼のようなものだったのだろうか?

 デコースは考えがまとめられず困惑したままであった。

 

 

 よく見るとペールがイナリズシを頬張っていた。

「良く食えるな、それ」(小声)

「美味しいわよ?」

 

「そうじゃない、あの王様の恰好を見て良く食えるな、と言ってるんだ」(小声)

 

「王様の恰好?特に変な所は感じないわね。私から言わせればもっと上級者を目指せるかも」

「何言ってんの!?」(大声)

 

「今度ボスヤスフォート様の名前で服を献上してみるわ」

「オイオイ問題を起こすなよ」

 

 前世でペールに指導されたダニスカ神聖連合とヨーグン連邦の騎士達がおしゃれ上級者であっ

 たことと、彼女の5号ボディ自身がかなりセンシティブな恰好をしていたことを思い出しデコ

 ースは不安になった。

 

「お姉さんに任せなさい」

「不安しかねえよ」

 デコースの野生の勘が危険信号をキャッチした。

 

 結論から言うと、あとで大問題になった。

 しかしこの後それどころではなくなったため、結果として放置せざるを得なかった。

 

 

 デコースは喉を潤そうと酒を運んでいたメイドに声を掛ける。

「おい、一杯くれ」

 

「ひえー!かしこまりました!」

 背の高い短髪のメイドは慌てながら大声でこたえた。

「声でけえな、おうありがとよ」

 

 デコースはそのメイドの身のこなしから戦える人間だと見抜く。

「お前さん騎士か何かか?」

 

「違います!私はただの料理人志望のメイドです!」

 

 そのメイドは慌ててあたふたしている。

 敵国の間者の可能性を考えたが、こんな嘘のつけない者に務まるわけないと考え直した。

 

「疑って悪かったな、お前さん名前は?」

 

「王城調理人の親戚でヒエイと申します。いつか晩餐会に出せるくらいの料理が作りたいです!」

 

「そうか頑張れよ」

 

 

 ペールはとあるメイドの服装が気になって声を掛けた。

「あなた左右で靴下の長さが違うけど、それはファッションなの?」

 

「そうだ、わが友ヤマトと仲間達の友情の証なのだ」

 釣り目で黒髪ロングのメイドが答える。

 

「ふーん、変わっているわね。あ、スイーツは何処かしら、案内してくださる?」

 

「ふ、このイソカゼに任せておけ」

 ペールはパーティーの料理を堪能した。

 

 

 酒を飲んで一息ついたデコースは小さな声で呟く。

「トモエ、いるか?」

 

「はい、御前に」

 不意にデコースの前にメイドが現れた。

 彼女は東洋人的な平たい顔つきの女性であった。

 

「うーーーん」

 年齢は30台半ばに見える。その年でメイド服はきついだろうとデコースは思った。

 メイド服は足が大きく出ている。彼女の膝を見ると若い子とは違う事が分かる。

 

「何か?」

 トモエと呼ばれた女がジト目で睨んでくる。

 デコースは話題を変えた。

 

「ジンハーク城に敵の間者は潜入してないだろうな?」

 

「ご安心を、配下の者が監視しております」

 

「お前も耳と尻尾を出して見つからないよう気を付けろよ」

 

「ご心配ないコン。私はプロですコン」

 

 トモエ・センコーケは諜報と破壊工作を得意とする斥候である。

 元は神聖ミリシアル帝国の貴族の娘であったらしいが、何故か家を出奔し冒険者となった。

 正体は幻惑系の魔法を得意とする狐の獣人である。

 

 

「それよりも仕事がある、別動隊を招集する」

 

「彼らはロウリア王国に入れないのでは?」

 

 別動隊とはバッハトマ魔法傭兵団の団員の内、とある事情で王国に入国できない者をまとめた

 部隊である。デコースは彼らを近隣諸国に待機させていた。

 

「四の五の言ってられん、手が足りなさすぎる」

 

「実はケサギとカエシから、明日の日没前にはジンハークに到着すると連絡がありました」

 ケサギとカエシの二人は傭兵団の中でも副将格の武人である。

 デコースは自身の補佐役であるバギィと並んで信頼を寄せている。

 

「何?どういう訳だ?」

 

 

「フ・リエとル・ゾラの二人から何やら嫌な予感がする、直ぐに援軍に迎えと予言があったそう

 です。彼女らもこちらに向かっているらしいです」

 

 デコースは歓喜した。

 フ・リエとル・ゾラの二人が居れば勝算はかなり高くなる。

 

 前世でボスヤスフォートの護衛をしていた魔導師と同じ名前を持つ、こちらの世界の凄腕魔導

 師、二人が居れば仮に艦娘があと五十人、いや百人いたとしても勝てるだろう。

 

 なにせ戦闘力だけならばボスヤスフォートと同格かそれ以上なのだから。

 

 しかしデコースは考え直した。

 

「つまり奴らの手が必要な事態になる、ということだな?」

 

「私は占いに詳しくないので分かりません」

 

「ほかに何か言ってなかったか?」

 

「占いの文言はこうだったそうです。『ジン=ハークの都が炎に包まれる時、我は帰還する』」

 

 何者が戻ってくるのか、不吉な内容にデコースの心は不安に包まれた。

 

 

 

 パーティーも後半へと移り、ボスヤスフォートは疲労が激しいという事で退席となった。

 会場では貴族が酒と料理を楽しみながら談笑している。

 

 パタジンは会場の端の席で目的の人物を見つけた。

 相変わらず黒いフードを被ったパーパルディア皇国の使者である。

 

「という訳で追加の支援をお頼み申しますぞ、パーパルディア皇国の使者殿♡」

 パタジンは人生最大のドヤ顔で使者に話しかける。

 

 使者はフードを目深に被っているにも関わらず悔しがっているのが分かる。

 

「ぐぬぬ、分かっておるわ!我らはこれで失礼する!本国への報告書を書かなくてはいけない

 からな!」

 

 使者は踵を返してパーティー会場を出て行ってしまった。

「今から報告書を書くとなると、増援が来るのは早くて半年か一年後か」

 

 

 それまでどうにか軍を立て直しクワトイネ公国と日本国の攻撃を凌がねばならない。

 

 そして勝利した後は、皇国には速やかに出て行ってもらう必要がある。

 

 軒先貸して母屋を盗られることにならないためにも、王国軍自ら戦功を立てねばならない。

 パタジンは使命の重さを再確認し、決意を新たにするのだった。

 

 そのためにはまず日本国の強さを再確認する必要がある。

 

 早急にあの三人から話を聞く機会を作らなくてはならない。

 パタジンは従卒に、デコースを休憩室に呼ぶように命じた。

 

 

 

 皇国の使者は彼らに与えられた宿舎に戻った。

 ジンハーク城離宮、ここはパーパルディア皇国国家戦略局にあてがわれた宿泊施設である。

 本来は他国の王族が利用するためのもので、列強とはいえ役人ごときが使用するべきではない

 はずである。

 

 しかも彼らは正式な使者ではない、本国には無断でここにいるのだ。

 なのに彼らは当然の様にここを利用し、王国の誰も文句を言わない。

 この世界で列強国と文明圏外国の差は余りにも大きい。

 

 パーティーを抜け出したフードの男は離宮に戻ると会議室に直行した。

 そこには部下たちが集まっており真剣に話し合っていた。

 普段であれば使用人や娼婦のお姉さんなどが大勢いるのだが、今日に限っては関係者しかいな

 い。

 

 ナンバー2の男が出迎える。

「お帰りなさいませ、係長どの」

 フードの男は国家戦略局の係長の役職にあった。

 

「うむ、分析の結果はでたか?」

 出迎えた係長補佐は技術畑の出身である。

 

 

「はい、ギムの戦場で鹵獲した日本国のマスケットでありますが、驚くべき事が分かりました」

 国家戦略局の最大の関心事は、クワ=トイネ公国が使用したマスケット銃がどこで生産された

 ものなのかという事である。

 

「このマスケットは皇国で生産されたものではありません」

 係長は胸をなでおろす。

 彼は母国のどこぞの機関が自分達と同じようにクワ=トイネ公国を支援しているのではないか

 と考えていた。

 最悪の予想が外れて安心した彼であったが、続く部下の報告に仰天する。

 

「ムー製で間違いありません」

 

 ムーはこの世界で第二位の列強国である。彼らの母国パーパルディア皇国よりも国力が上であ

 り、戦争になったら皇国は敗北すると言われている。

 

「ムーは永世中立のはず、第三文明圏の圏外国家に武器を供与するはずがない」

 

 

「証拠はこのマスケットに使われている弾丸です」

 係長補佐はテーブルに証拠の品を置く。

 それはギムで回収した未使用の弾丸だった。

 球形をしている皇国のマスケットとは異なり、先のとがった椎の実の形をしている。

 

「これには『火薬』が使われています」

 

 火薬とは科学立国であるムーのみが使用する薬品である。

 

 かつてムーは魔法の技術力が低く、他民族に国土を切り取られていた。

 しかし科学の力を発展させることにより侵略者を押し戻すことに成功したのだった。

 

 ムー反撃の重要な発明の一つが火薬である。

 

 魔石を含有していないにも関わらず粉末魔石と同じ現象を引き起こす、魔法を基礎とするこの

 世界の人々にとって異質で不気味な物質である。

 

 

「しかもこれに使われているのは煙の多い初期タイプではなく、煙が少なく威力の大きい最新の

 タイプです」

 

「弾丸も鉛の表面を銅で覆っております。これはムーの最新の弾丸と同じです。銃の構造も簡略

 化されておりますが最新の技術が使われていると思われます」

 

 係長はある可能性に気付いた。

「まさか日本国というのは隠れ蓑で、実はムーが裏で動いているのか?」

 

 

 ムーは日本国という架空国家を名乗ってクワ=トイネを支援しているということか?

 

 何故列強第二位のムーが遠く離れた第三文明圏の圏外国家を支援するのだろうか。

 

「まさかムーが本格的に領土奪還に動くのか?」

 

 ムーはかつて大陸全てを支配していたが異民族の流入によりおよそ半分の領土を失った。

 

 その後科学の力を得て異民族を駆逐しようとしたが、科学を危険視した神聖ミリシアル帝国を

 始めとする第一文明圏の主要国は秘密裡にレイフォルを支援した。

 

 文明国に毛が生えた程度のレイフォルが最下位とはいえ列強に名を連ねているのは、神聖ミリ

 シアル帝国が後押ししているからである。

 

 

 もしムーがレイフォルに戦争を仕掛けた場合、神聖ミリシアル帝国が参戦することになってい

 る。そうなればムーは東西から挟み撃ちになるだろう。

 

 しかし第三文明圏でムーの支援を受けた国家が誕生し、騒乱を起こしたならばどうなるか。

 神聖ミリシアル帝国は背後を気にして大規模な援軍を送れなくなるのではないか。

 

 

 考えてみればこのロデニウス大陸はムーの傀儡国家を建設するのに最適ではないのか?

 

 クイラ王国が産出する燃える水は機械兵器の燃料に、ロウリア王国は多くの人口を抱えて兵士

 の供給源となる。その兵士を食わせる食料はクワ=トイネ公国が作り出すことが出来る。

 

 考えれば考えるほどロデニウス大陸はムーにとって都合が良い。

 

 

 もしやパガンダ王国を滅ぼした第八帝国も艤装したムー軍だったのではなかろうか?

 

「これは世界大戦の予兆なのか?」

 

 係長の推論を聞いて部下たちの騒然としている。

 

「これはもはや我らのみで判断できる域を超えている!直ちに本国に連絡を、イノス局長の判断

 を仰ぐのだ!」

 

 

「万一の時は我らにお任せあれ」

 奥の部屋から七色の鎧を着た騎士達が現れた。

「おお、そなたらはブーレイ傭兵騎士団、来てくれたか!」

 

 ブーレイ傭兵騎士団は主に第三文明圏で活動する傭兵団である。

 その正体は謎に包まれているが、実はパーパルディア皇国の軍人である。

 

 彼らの任務は皇国にとって都合のいい開戦理由を作ることである。

 過去には油断した皇国の竜騎士を襲撃して殺害し、皇国が開戦する口実を作った。

 

「我ら『あのお方』の命により参上しました」

 赤い鎧を着たリーダーが皇国式の敬礼をした。

 

「おお、それは心強い」

 国家戦略局は精力的に職務を再開した。

 

 日本国はムーの創作で実際には存在しない。

 係長の推論は後に皇国関係者の中で共有された。

 そして皇国の敗戦が不可避となるまで、多くの皇国民がそれを信じたのだった。

 

 

 

 ここはジンハークでも人気の酒場『竜の巣』

 王都でも人気のこの酒場は氷でキンキンに冷やした麦酒が名物である。

 冬の間に降った雪を固め氷を作り、氷室に保管しておいて一年中冷やした酒が飲める。

 

 勝利を記念して王都の臣民には麦酒とつまみ一品が下賜されることになり、王都の酒場ではど

 こも賑わいを見せていた。

 しかしこの店に限っては物々しい雰囲気に包まれていた。

 

 店のとある席に客の視線が集中している。

 その席に座っているのは二人の若い男、一人は耳が長く、もう一人は丸い耳で髪の毛が鋭く尖

 っている。

 

 彼らはエルフとヤマアラシの獣人であった。

 この国では排斥される亜人が何故堂々と酒を飲んでいるのか?

 

 それは彼らがこの世界で最大最強の第一位列強、神聖ミリシアル帝国の人間だからである。

 

 その証拠に二人はミリシアル人の特徴であるパピヨンマスクをし、エルフはジャケットに堂々

 と神聖ミリシアル帝国情報部と記している。

 

 本来国の情報部は正体を明かして行動しないのだが、この世界では神聖ミリシアル帝国は列強

 第一位であり他の国とは隔絶した力を持つ。

 だからこそこの国の情報部員は所属を堂々と明かして活動している。

 

 もう一人の獣人は第一文明圏の冒険者らしくミリシエント大陸にしか生息しないクリムゾンフ

 ォックスの足の剥製を身に付けている。

 

 クリムゾンフォックスはミリシエント大陸南部の山奥にしか生息しない希少な魔物であり、そ

 の毛皮は王侯貴族に大変人気である。

 しかし警戒心が強くその上強力な幻惑魔法と火炎魔法を使う。

 クリムゾンフォックスを狩るにはA級以上の冒険者に依頼することが必要、と言われている。

 

 

 周囲は衛兵が取り囲んで周りの客に睨みを聞かせている。

 最初は通報を受け亜人を取り押さえるために出動した彼らだが、犯人がミリシアル人だと知る

 と一転して他の客が二人に因縁をつけないよう監視し始めた。

 

「隊長、あいつら本当にミリシアル人なんでしょうか?」

 新人の衛兵が上司のベテラン兵に確認する。

 

「間違いない、あのパピヨンマスクは間違いなくミリシアル人特有の物だ」

 ベテラン兵は自信を持って断言する。

 

「偽物の可能性は?」

「ない。他国人ならあんな恥ずかしい仮面を長時間被ってなどいられないはずだ」

 せめてもの抵抗に、文明圏外国人がさりげなくミリシアル人をディスる。

 

「なるほど、でもいったいなぜミリシアル人がこの国に何の用なのでしょうか?」

 

 

 エルフ男性、ライドルカ・オリファントは酒を飲みながら明日の予定を確認する。

「明日の朝にこの国の外務部に行って意見書を提出するぞ」

 

 ライドルカが持っているのはロウリアに提出するミリシアル外務省の意見書である。

 戦争によるクワ=トイネ公国内の遺跡の破壊を懸念する、という内容である。

 

「遺跡を破壊をするなと言って、この国は戦争を止めるのか?」

 

 ハリネズミの獣人でありA級冒険者でもあるヴィンス・ウィズが疑問をぶつける。

 彼は恩義のある獣人から頼まれロウリア王国に圧力を掛けられる方法を探していた。

 その獣人も遠い親族から頼まれていたのであった。

 

 ロウリアから脱出した亜人達は細い伝手を辿って神聖ミリシアル帝国を頼った。

 ミリシアルからロウリアに圧力を加えてもらえるよう懇願したのだった。

 

 ライドルカとヴィンスは同郷でありヴィンスの父親とライドルカは幼馴染であった。

 

「それは分からん、しかしこれが精一杯だったよ」

 

 

 列強であるミリシアルが、たかが文明圏外国の争いに首を突っ込むなどあってはならない。

 そういった意見がありロウリアを直接に批判することは出来なかった。

 

 そこで考え出された口実が遺跡の保全である。

 

 ライドルカは大学で魔王と太陽神の使者の歴史を研究しており、第三文明圏には何度も訪れて

 いる。

 

 ロデニウス大陸で確認されている古の魔法帝国の遺跡は多くない。

 代わりに太陽神の使者の遺跡が多く見つかっている。

 

 もしクワ=トイネにあるのが魔帝の遺跡であったら表と裏両方の力で介入出来ただろう。

 しかしミリシアルにとって太陽神の遺跡は、魔帝の遺跡より優先度が下である。

 

 それでも魔帝の先兵である魔王に抵抗した勇敢な祖先たち。

 彼らの遺跡は保存されるべきであると上層部を説得した。

 

 最終的にライドルカの上司アルネウスが皇帝ミリシアル8世の許可を得て、意見書の作成にこ

 ぎ着けのであった。

 

「しかし間に合ってよかった」

 

「ああクワ=トイネ公国の戦力ではロウリア王国の大戦力に抵抗できず、短期間で敗北すると分

 析されていたからな」

 

 二人は文書の作成に時間が掛かったため、提出するころには戦争が終わってしまうのではない

 かと危惧していた。

 しかしクワ=トイネ公国に手を貸す国家が現れたことで事態は一変した。

 

「日本国か、また訳の分からない国が出てきたな」

 

「噂によると科学文明の国らしい」

 ヴィンスが集めた情報によると日本国は高い技術力をもち、羽ばたかない飛竜と黒い煙を出す

 船を使う。

 クワ=トイネから食料を、クイラからは燃える水を輸入し、対価としてインフラの整備をして

 いる。

 日本国のお陰で二か国は急速に発展している。

 相手が文明圏外国でも対等に取引している。

 某皇国のように奴隷の提出や領土の割譲を要求していない。

 

 数年前に海魔と舟幽霊の大量発生で大きな被害を受けた。

 艦娘と呼ばれる水系の女魔導師がいる。

 転移国家である。

 

「科学文明に転移国家だと?もしかしてムーが裏で糸を引いているんじゃあるまいな」

 

 ライドルカはそれらの情報からムーの関与を想像した。

 この世界で科学立国はムーとムーに影響をうけたマギカライヒ共同体ぐらいなもの。

 第三文明圏でムーの影響力が増すのはミリシアルにとって都合が悪い。

 

「そういえばクイラ王国にムーの石油精製会社があったな、たしかスピードワゴン石油という名

 前だったと思う」

 

 スピードワゴン石油はムーのスラム出身の青年ロバート・スピードワゴンによって設立された

 石油会社である。

 クイラの良質かつ大量の石油を目当てに設立されたが、本国まで二万キロという距離はいかん

 ともしがたく、多くの投資は集まらなかった。

 それでもアルタラスとシオスの空港、そして第三文明圏各国のムー大使館で使用する石油の需

 要があり、それらを細々と精製している。

 

「日本国についても調べる必要があるな」

 ライドルカとヴィンスは飲みながら会話を続けた。

 

 

 

 現時点での各国の戦力

 

 ロウリア王国

 陸軍 総指揮 パタジン=アッカーダマン将軍 70000人

 海軍 海将 ベーコン=ホエイル 100000人 軍船3000隻

 空軍 原種ワイバーン竜騎士 150騎

 魔導士隊 筆頭大魔導師 ヤミレイ=フヨードル 100人

 

 諸侯軍 380000人

 

 バッハトマ黒騎士団 

  指揮官 ディス=ボスヤスフォート

  魔導部隊隊長補佐 ビューティー=ペール 5人

  行動隊長 デコース=ワイズメル

  隊長補佐 バギィ・フーブ

  中隊長  ハイドン ゴーン マルティン

  斥候部隊 トモエ=センコーケ 

  一般兵 350人

 

 バッハトマ魔法傭兵団別動隊

  副将 雲龍のケサギ 疾風のカエシ

  客分 シグダ・フ・リエ ホーリン・ル・ゾラ

  一般兵 150人

 

 パーパルディア皇国

  国家戦略局

  ブーレイ傭兵騎士団 7人

 

 

 

 クワ=トイネ公国

  カナタ首相 行方不明

  城塞都市エジェイ 司令代理 ガマイシ=ハンキ将軍

  クワ=トイネ公国海軍 100隻

 

 クイラ王国

  援軍 ユーリア・バシュチェンコ 2000人 鉄甲車

 

 日本国

  マイハーク出張所 一ノ瀬アツシ提督

   秘書艦 鳳翔

   所属艦娘 赤城 三日月

   

   第14駆逐隊 駆逐艦5隻

 

   霧島艦隊 戦艦1 重巡2 軽巡2 駆逐艦4

 

   ロデニウス沖派遣艦隊  

   正規空母2 航空戦艦2 重巡1 軽巡1 重雷装巡洋艦3 駆逐艦3

 

   補給艦隊 補給艦2 駆逐艦4

 

   揚陸艦1 工作艦1 ワイバーン野生採取個体 1尾 

   ファティマ 16体

 

  陸上自衛隊第七師団 6000人

 

 陽炎の協力者

  ラキシスと愉快な仲間達

   自己進化機械兵器3

   ヴィーキュルの女魔帝1

   神 1柱

   ラキシスの娘カレンとその夫

 

  超帝国ユニオ 第9代総帝 ネードル=ナ・イ・ン

   セントリー パルサー・フローラ

   超帝国総旗艦『(シング)

   ヘリオス剣聖騎士団 7名

   焔星緋帝騎士団 純血の騎士 数百人 GTMシュッツィエン

 

 

 中立勢力

 神聖ミリシアル帝国

  情報部部員と護衛の冒険者 各1名

 

 この世界の神族

  太陽神

  緑の神

  

 

 

 舞台は変わって神界の入り口、神のしもべ達が働く神域に移る。

 

 この世界の創造神の元から帰ってきた太陽神の手には長柄の武器が握られていた。

「ふっふっふっ、天地創造の神器、アメノヌボコを借りてきたぞ!」

 太陽神は矛を掲げ自慢する。

「お姉さま凄いです!」

 

 二柱の神は神域に誰もいない事に気づいた。

「なんで誰もいないの?」

 

 神域には天女たちが一人もいなかった。

 またテラスではテーブルと椅子が用意され、誰かがお茶を飲んだ形跡があった。

 

「お姉さま、来客用の高いクッキーが減っています」

 緑の神が何者かに出されたであろうクッキーの缶を持ってきた。

 別の世界線の日本の菓子屋から取り寄せた高級クッキーである。

 

 しかもわざわざ新しい缶を開けたようだ。

 どうやら高位の神がいたらしい。

「誰が来た?何があった?」

 

「分かりません。ボリボリ」

 緑の神は古い缶に残ったクッキーを食べている。

「食べてる場合か!」

 

 

「まあいい、早くこの異物を始末しよう」

 太陽神は磔にされた陽炎に向かい、神器アメノヌボコを構える。

 

「ツインテールか」

 

 ツインテールは神々にとって特別な髪型である。

 何故かは分からぬが最初の宇宙を創った全宇宙全次元創造神がこの髪型を好んでいる

 と言われている。

 

 太陽神はそれが気にくわない。

 全宇宙全次元創造神は別にツインテールを強制していない。

 神の髪型は自由であり、太陽神はストレートである。

 

 それでもごくまれにツインテールの者が恩寵を受けている事例を知っている。

 だからこそ太陽神は目の前の異物を排除する事に喜びを感じていた。

 

「くだらぬ髪型だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プッツン

 

 その時何かが切れた音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

 

 

 

 

 

「あんた」

 

 

 

 

 

 

「いま」

 

 

 

 

 

 

「なんつった」

 

 

 

 




後書き
 拙作のパタジン将軍は一人で一個旅団に相当する戦闘力を持っています。
 ボスヤスフォートが親の顔を知らないというのは私の解釈です。
 原作では超帝国第六代総帝に似ている気がしますが明言されてません。

 クリムゾンフォックスは「魔道具師ダリヤはうつむかない」に登場する魔物です。
 同作は以前から読んでいた作品なのでアニメ化が決定して嬉しいです。

 また拙作で多用している水操作の魔法の引用もと、「理想のヒモ生活」もアニメ化決定おめ
 でとうございます。

 一般通過提督様、いつも感想有難うございます。
 返信を書く機会を逸したのでここに書かせていただきます。
 インタシティの企みには穴があります。
 それは国家の代表者たる詩女になれる女性が居ないことです。
 この世界に超帝国総帝ナインの記憶を受け継いだ者がいるはずないですよね、ね?
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