新世界の海に陽炎、抜錨します!   作:yutarou

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元々の文章が読みにくいとレイアウトを変えても読みづらいことに気が付いた。

絶望した。

更新が遅くなり申し訳ありません。

書き溜めがあと一話しかありません。

今回はちょっとギャグに走りすぎてしまったかもしれません。

不快だと思ったらごめんなさい。



第五話 提督、スクール水着になるかも?

 陽炎は一時的に呉鎮守府に戻っていた。

 

 彼女は新設されるマイハーク出張所の秘書艦となることが内定しており、呉鎮守府の筆頭秘書艦

 

 を降りることになっていた。

 

 今日は引継ぎの手続、そして留守にしていた期間、何があったか報告を受けていた。

 

 報告しているのは川内型軽巡洋艦二番艦神通である。

 

 陽炎を鍛え上げた教官であり、その訓練は地獄の責めすら生温いと言われる。

 

 実際神通は駆逐艦娘の限界を熟知しており、本当に限界ギリギリまで訓練させるのである。

 

 その訓練を目の当たりにした航空自衛隊のある部隊の隊長は

 

「わが空挺団と同等の訓練をしているとは恐るべし、我々も負けていられないな。よし、帰ったら

 

 訓練を倍にしよう」

 

 と言った。それを聞いた神通は

 

「ではうちは4倍にしましょう」

 

 と言った。それを聞いた陽炎以下駆逐艦の悲鳴が空に響き渡った。

 

「皆さん嬉しいのですね、さらに8倍にしましょう」

 

 駆逐艦たちはもう何も言えなかった。涙などとうに涸れ果てた。

 

 そんなこともあり陽炎が幾多の死線を乗り越えられたのは彼女の訓練のおかげなのである。

 

 神通が自分を上位者として報告書を読み上げる。その状況に陽炎は表面上冷静に対応しているよ

 

 うに見える。しかし実は緊張しまくり心臓バクバクで今にも逃げ出しそうなのだ。なんとか平静

 

 を装っているのがやっとだった。

 

 それでも神通相手にこういった状況でまともに話すだけでも、二水戦所属の駆逐艦娘が見たら驚

 

 愕して目を見張るだろう。流石陽炎だと。

 

 一方の神通は自分の弟子の成長が嬉しくて仕方が無い。

 

 本来この報告は別の艦娘が行うはずだったが神通がお願いして代わってもらった。

 

 教え子の下で働くのは教官冥利に尽きると彼女は考えている。

 

 

 

「まず一つ、工廠内に建造したファティマファクトリーが稼働し,多くのファティマが開発されま

 

 した」

 

 クワトイネに出発する前、ラキシスは工廠の一角に怪しげな設備を作り上げた。

 

 大まかに説明すると人間が入れるくらい3つの大きなガラスの容器が3つ並んでいる。

 

 左右のガラス容器に材料を入れ、妖精たちがカーテンの裏でビスケットらしきものを齧る音を

 

 響かせながら何かを作業したりしなかったりする。

 

 そうすると中央のガラス容器の中に立ち会った艦娘と相性の良いファティマが妖精に転生し、

 

 現れるのだ。

 

 まずは第14駆逐隊のメンバーはそれぞれ

 

 曙、ファティマ、エスト

 

 潮、ファティマ、町

 

 長月、ファティマ、クーン

 

 皐月、ファティマ、パルスェット

 

 霰、ファティマ、静

 

 をパートナーとした。

 

 また軽巡洋艦夕張がファティマ、バスクチュアルを娶っている。

 

「私もファティマを娶ることが出来ました。紹介しましょう」

 

 神通の肩からショートヘアの妖精が現れた。

 

「彼女が私のパートナー、スパルタです」

 

 陽炎はたっぷり溜めて言った。

 

「これ以上ないってくらいお似合いですね」

 

 

 

「次に工廠でゴチックメード(GTM)の建造が可能になりました」

 

 ファティマを娶った艦娘が立ち会って建造すると某ジ〇ンのメカニズム宜しくGTMが建造で

 

 きるようになった。

 

 男性提督が子供のようにはしゃいでいたが幾つか問題があった。

 

 まずこれらのGTMはコピーであるため本来の性能の40%程度しかもってなかった。

 

 しかも一回戦闘しただけで壊れて修復不能になる。これは日本(というより妖精)の技術が

 

 ジョーカー星団のレベルに達していないからである。

 

 提督たちがこの一度しか使えない兵器をどう運用するのか悩んでいるとラキシスはこう言っ

 

 たのだ。

 

「近代化改修に使うのです」

 

 まさかの近代化改修餌だった。提督たちが慌てて詳細を聞くと、

 

「だって私たちが乗るところを造らなくちゃいけないでしょう」

 

「きみらファティマは何に乗るのかね?」

 

「それはもちろん艦娘の皆さまですよ」

 

 艦娘にGTMを近代化改修(艤装合成)することによりファティマコックピットを増設し、

 

 電装系も強化する。そうして初めてファティマが艦娘に搭載できるようになるのだ。

 

 

 

「陽炎さんが倒したシーサーペントですが、調査の結果食べられることが分かりました。味は高

 

 級地鶏に似て美味しいとのこと、さらに滋養強壮に優れていて精がつくと評判だそうです」

 

 提督の夜戦能力向上の効果を期待してケッコン済み艦娘からもっと欲しいと要望が出ている。

 

 シーサーペントは魔物に分類されてる。

 

 魔物とは体内に未知の元素、魔素を蓄積していてその肉を食べると体内に魔素が蓄積する。

 

 魔素が蓄積すると、魔力や身体能力が上昇する替わりに、頭痛や吐き気などの症状が現れる。

 

 更に進行すると首筋や耳に文様が現れる。最終的に臓器不全を起こして死に至る。

 

 これを変質魔素中毒症と呼ぶ。

 

 かつては死に至る病であったが現在では治療法が確立している。

 

 ただしこれはこの世界の住人達に限ったことであり、魔法が使えず、魔素を溜め込む体内臓器

 

 のない日本人はそもそもこの病気に罹らない。

 

 ただし艦娘が魔獣肉を食べた場合、魔素が体内に蓄積し、身体能力の強化などの現象が確認さ

 

 れた。

 

 また、体内に過剰にたまった魔素は艤装の煙突を通じて排出できることが分かった。

 

 魔獣肉を食べても艦娘には命の危険はない。

 

 強力な敵と遭遇した時に有効な手ではないかと提言されているのだが、一部の艦娘によると

 

「変質魔素中毒症の感覚は深海棲艦だった時の感覚に近い気がします。暴走する可能性は否定で

 

 きません。そして魔素を取り続けると深海棲艦に戻ってしまうかもしれません」

 

 と釘を刺されたため、魔獣肉の利用は慎重を期することとなった。

 

 また魔素と深海棲艦の繋がりについては今後の研究課題とされた。

 

 

 

「最後に一つ、近海を哨戒していた敷波さんが魔魚と称する巨大肉食魚に喰われかけました」

 

「なんですかそれ!」

 

 

 陽炎がクワトイネ公国を訪れていたその日、敷波、綾波、磯波、浦波はかつて太平洋と呼ばれ

 

 ていた海(現在はロデニウス沖)を哨戒していた。安全を確認しなければ民間船は航行できな

 

 い。漁師たちや海運業者たちは生活の危機であり、海産物の供給が止まったり、国内の物流が

 

 滞るなどしたら国の一大事である。

 

 浦波が未知の海を進みながら素直な感想を述べる。

 

「すごいですね、本当に水平線が遠くなっています」

 

 磯波が不安を隠しきれない様子で答える。

 

「異世界、もしくは違う惑星に来てしまったというのは本当だったのですね」

 

 歴戦の駆逐艦である綾波もこの事態には戸惑いを隠せない。

 

「これからどうなってしまうのでしょう」

 

 敷波はきっぱりと言い切る。

 

「難しいことは提督がなんとかしてくれるわ、私たちはやれることをやるだけよ」

 

 その言葉に3人はニヤニヤと笑った。

 

「もう、本当に敷波ちゃんは提督が大好きなんですね~」

 

「な!違うし!」

 

「そんなこと言っても提督のことを話してる時の敷波ちゃんの顔は恋する乙女の顔ですよ」

 

「もう!違うっ」

 

 ダン!

 

 敷波の足元から全長6メートルを超える魚が、鋭い牙を持った口を開けて迫ってきた。

 

「てばもう、あたしは提督のこと何とも思ってないんだからね!」

 

 敷波は巨大な魚をひらりと躱し、手に持った主砲で頭部を打ち抜いた。

 

 そして照れながら弁明する。

 

 これほど説得力のない言葉があろうか、いやない。と三人は思った。

 

「こういうところが敷波ちゃんの可愛いところなんですよねー」

 

「この強大なツンデレ(ちから)、学ばせて頂きます!」

 

「うふふ」

 

「あんたたち何なのその顔は!」

 

 

 

「どうするこの魚?新種だよね」

 

 地球でも艦娘が活動を始めた当初は鮫などに襲われることが度々あった。

 

 ただし艦娘には勝てないと理解されると襲われる頻度は激減した。

 

 鮫などは群れを作る種類が多くあり、仲間が返り討ちに遭うさまを見ると、もうその種類は

 

 艦娘を襲わなくなった。

 

 この惑星でも同じことが起こるのだろうか。

 

「持って帰って学者さんに調査してもらいましょう」

 

「食べられるのでしょうか?」

 

「見た目はあんまりおいしくなさそう。私が曳航するわ」

 

 敷波はそう言って魚の死体にロープを結ぼうとした。すると綾波が自分がやると言い出したので

 

 敷波は綾波に曳航ロープを渡した。その時、先ほどの魚とは比べ物にならないほど大きい魚が

 

 敷波を銜えて海中に引きずり込んだ。綾波たちは必死に敷波のロープを掴んだ。

 

「誰か助けて!」

 

 鎮守府に救援信号を打とうとしたとき海中から何者かが現れた。

 

「お困りのようでちね」

 

 鎮守府の古参潜水艦、ゴーヤこと伊58である。

 

「ゴーヤさん、と呼ぶでち!水上艦ども」

 

 さらに古参の伊19、新人の伊47と伊203が援軍にきた。

 

「イクたちもたまたま近くを哨戒してたのね」

 

「助けて、欲しいの?」

 

「伊203です。あだ名はフーミィーですこれ以外のあだ名はNGです」

 

「ありがとうございます!」

 

「このロープの先に敷波がいるでちね。これを手繰っていって敷波ところまで行くでち。

 

 そしたら敷波に怪魚の口を開けさせて魚雷をぶち込むでち」

 

 

 

 四人の潜水艦娘がロープを手繰って海中に潜ると、敷波を銜えた怪魚(後日クワトイネ政府関係

 

 者からこの世界で魔魚と呼ばれていることを知らされた。)が見えた。

 

「うわ、でっかい」

 

「しかもフーミィーと同じくらい速いです」

 

 この魔魚は地球の魚とは似ても似つかない。白と黒の体色をしていて鱗はない。

 

 細長い口ばしをもち口内には鋭い牙が生えている。体長は50メートルはあるだろう。

 

 頭部と思われる部分にはなぜか人の顔を簡略化した仮面のようなものがついている。

 

「これやばくない?」

 

 

 

 仲間が恐怖に支配される中、旗艦である伊58が檄を飛ばす。

 

「恐れるなでち!あんな魚、クソガキに比べれば大したことないでち!」

 

 クソガキこと新潜水棲姫は体こそ小さいがその高い雷撃能力によって何度も艦隊を道中撤退に追

 

 い込んだ難敵であり、海域に存在するだけで対処に数隻を割かねばならず、基地航空隊の一部隊

 

 をこいつ一隻のために編成することも考えねばならない。

 

 全員が重度のロリコンである提督達でさえこいつには萌えない。むしろ〇ね。

 

 

 

「でもこれは深海棲艦とは違うし、何があるか分からないです」

 

 新人の伊47と伊203はこの異常事態にすっかりおびえてしまった。

 

「恐れるなでち!機能美あふれる提督指定の水着を、スク水を信じるのでち!」

 

「えええ!」

 

「己の心の中のスク水と対話するのでち!」

 

「なんか変なこと言い出したんですけど?!」

 

「スク水は今着てるんですが?!」

 

 伊47と伊203は伊58の言っていることが理解できずさらに混乱する。

 

「まあまあゴーヤ、いきなりそんなこと言われても分からないのね」

 

 伊19が助け舟を出す。

 

「ゴーヤはね、今までの共に戦いをくぐり抜けた装備を信じろと言いたいのね」

 

「あ、はいわかりました」

 

「それにね、想像してみるのね。スク水を、そして、、」

 

 

 

 

「それを着た提督を」

 

 

リィィィィィィィィィィィィィン

 

 

 海中に歌うような声が響き渡った。

 

 水が振動する音ではない、魂そのものが震えるダイレクトヴォイス。

 

 歓喜のウタゴエ

 

「目覚めたのね」

 

「これぞ日本海軍潜水艦でち」

 

 

リィィィィィィィィィィィィィン

 

 

 伊47と伊203はともに額の一点からから光をあふれさせている。

 

 それは正の生命力の光である。

 

 負の生命エネルギーの塊である深海棲艦を打ち破るには正の生命エネルギーを

 

 ぶつけるしかない。

 

 正の生命エネルギーとは人を愛する気持ちから生まれる。

 

 好きなことを好きと素直に言える気持ちが力になるのだ。

 

 ちょっと変わった愛し方になってしまうのはご愛敬。

 

 

 

 一連のやり取りを無線で聞いていた敷波は体から力が抜けそうになるのを必死で

 

 抑えていた。

 

「何なのよあいつら~」

 

 敷波は上顎と下顎の間で踏ん張っていた。すんでのところで飲み込まれずにいた。

 

 顔面に激しい水の流れを感じ、不安が心を支配する。意識が朦朧となる。

 

 ⦅もう提督のところに帰れないのかな、、いやだよ会いたいよ、、⦆

 

 そのときどこからか声が聞こえた。

 

「敷波よ負けるな、提督の下に帰るのだろう」

 

「誰?どこから話しかけてるの?」

 

「私はお前の中のツンデレだ」

 

「、、、はあぁ?!!」

 

 気付くと敷波は光の中にいた。

 

 そして目の前には光るウニのようなものがいた。

 

「ツンデレだから針の集まり、ってか、うおおい!」

 

「よいツッコミだ、聞け敷波よ我は常にお前と共にある」

 

「なんかヤダ」

 

「恐れるな、愛する提督の下に帰るのだろう。イチャイチャするのだろう」

 

「なに言ってるの!しないわよ!」

 

「プ~クスクス、それでこそツンデレの戦士」

 

「なに笑ってるのよ!〇ろすわよ!」

 

「いいのか、ここで死んだらお前の愛しい提督は他の艦娘に獲られてしまうぞ」

 

「うっせ!」

 

「あまつさえあんな事やこんな事を、スク水や島風服を」

 

「うっせえ!うっせえわあああ!!!!!」

 

 

 

 敷波はツンデレ(ちから)を全開にして魔魚の口をこじ開けた。その口に潜水艦娘が魚雷を打ち込み

 

 魔魚は爆発四散した。

 

 

 

「敷波ちゃん、大丈夫ですか?」

 

 仰向けで海面に浮かび、ぐったりしている敷波を心配して綾波が顔を覗き込む。

 

「綾波、こんなときどういう顔をしたらいいのか分からないの」

 

「?笑えばいいと思いますよ」

 

「ははっ」

 

 敷波は乾いた笑いを浮かべた。

 

 

 

 敷波は自分の所属する鎮守府(呉ではない)に帰還した。

 

 桟橋には提督が待っていてすぐさま医務室に連れていかれた。

 

「敷波あーん」

 

 敷波は魔魚の牙で両手にけがをしていて包帯でぐるぐる巻きにされた。

 

 なので提督直々「ハイあーん」任務に従事している。

 

「提督そんなことしなくても食べられるから~」

 

「ダメ、ハイあーん」

 

「うう、あ、あーん」

 

 顔を真っ赤にしながら提督の匙からお粥を食べる敷波であった。

 

 そして陰から艤装されたロッカーから天井裏から綾波と浦波と磯波がのぞいていた。

 

 その様子は監視カメラで全方位から撮影されていた。

 

 

 

「というわけです。詳細は別途レポートにまとめ提出するとのことです」

 

 神通から報告を受けた陽炎は机の上に突っ伏していた。理由はいろいろだ。

 

「危険生物をどうにかしないと、至急海上護衛任務の計画を立てなくちゃならないわね」

 

「島国である日本は、海上輸送の安全は絶対に守られねばなりません」

 

「提督の頭頂部の毛根が死滅するわね」

 

「それが提督の仕事ですから」

 

 

 

「あと、敷波のハイあーんの様子はもっと詳細に報告させて、動画も添付させて提出する

 

 ように通達してください」

 

「分かりました」

 

 陽炎も大概鬼である。

 

 

 

 その後水龍と呼ばれる生物の協力を得たことで日本近海の海上輸送は安全を確保した。

 

 その後即位した新たなる水龍王の妃は元潜水艦娘だったという噂があったが真偽は定

 

 かではない。

 

 




 第14駆逐隊のファティマの説明文は後の話に載せます。

 魔魚のモデルはエヴァンゲリオンの第六使徒ガギエルです。

 魔帝によって改造された特別な魔魚です。

 俺、ツインテールになります。が大好きなんです。

 登場人物は出ませんが俺ツイネタは出していこうと思っています。

 次回からはマジバトルに突入にます。

 拙作では基本的に登場人物の生死は原作通りにする予定です。

 但しモイジ隊長には漢の死に様を見せて貰ってロウリアの連中をビビらせてやりる予定です。

 次回第六話「シャマシュ様が見てる」

 お楽しみに待っててね。


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