秋の艦これイベントが過去最悪級鬼畜難易度だったのがいけないのです。
それにコロナワクチン接種が重なってしまい、ほんのちょっとずつしか執筆できなかったので
す。しかも今回ではまだドンパチしてません。前置きばかりです。
話の展開遅いタグをつけた方がいいかしら、瑞鶴?
クワトイネ公国の政治部会に出席した閣僚たちの表情は沈鬱だった。
国境の町ギムが陥落、住民のほとんどが虐殺されるという一大事が起こった。
さらに諜報部からの情報は彼らの希望を粉微塵に粉砕するのに十分だった。
「総兵力50万だと!?」
50万という数字はクワトイネ公国の予備兵力を合わせた数の10倍である。
「ワイバーンが500騎!?」
「軍船が4000隻以上!?」
文明圏外国家としては大国、と言われるロウリア王国でもこの二つは一国では準備出来ない。
未確認ながら世界で5つしかない列強の一つ、パーパルディア皇国が支援しているとの情報が
ある。
ロウリア王国は本気で我が国を獲りに来ている。我々にそれを防ぐ術はない。
絶望が一同の心を支配した。
「クイラ王国は援軍を出してくれるのか」
「彼らも国を防衛する必要があります、それでも2千人を派遣してくれるそうです」
人口の少ないクイラ王国には2千でも相当の無理をして集めたのだろう。
クイラ王国の友誼に感謝しつつも数が少ないことに絶望していた。
「リーン・ノウの森のハイエルフに支援を求めることは出来ないのですか」
列強国の大魔導師にも匹敵する魔力を持つハイエルフなら、ロウリア王国の侵略に対抗できる
かもしれない。
「確かにハイエルフの魔力は高い、しかし彼らの数もやはり少ないのだ。50万という圧倒的数
の暴力には対抗できん」
立場上ハイエルフ達と付き合う機会の多いカナタが苦い顔で言う。
「付け加えるなら彼らの会議は途轍もなく長い。ハイエルフはその性格から同じ議題を何回も繰
り返し議論していつまでたっても終わらん。会議が終わるころには戦争が終わっているよ」
リーン・ノウの森に立て籠もればロウリア王国でも手が出せないのかもしれない。
以前はそう考えられていた。しかし軍務卿は今日その考えを改めていた。
ロウリアがこの手を採る可能性は低い、と前置きしながら恐ろしい未来を予測した。
「もしロウリアが我が国の国民を虐殺せずに敢えて逃がせば、難民となってリーン・ノウの森に
押し寄せるでしょう。何十万という難民が集まれば如何に大地の神の森であっても、食糧が不
足し飢餓状態になるでしょう。あとは離反工作を仕掛ければ我々はお仕舞いです」
軍務卿は日本から戦術や戦争の歴史に関する書籍を取り寄せて学んでいた。
そして難攻不落の要塞を落とす作戦にこの様なやり方があると知ったのだ。
ちなみにその書籍とは「キン〇ダム」である。
皆が絶望していたその時、外務卿が手を挙げた。
「政治部会が始まる直前に日本から通達が届きました」
日本国ならロウリアの侵攻を跳ね返せるかもしれない。皆の心に希望が戻った。
「日本国はギムの町で発生した武装勢力による非人道的行為を到底容認できない。クワトイネ公
国には徹底した武装勢力の取り締まりを要望する。また、クワトイネ公国からの要望があれば
日本国は武装勢力排除に協力するため自衛隊と日本海軍を協力する用意がある」
「つまりどういうことだ?」
議員の一人が疑問を浮かべるので外務部のヤゴウが説明する。
「日本国は国家間の紛争解決手段としての戦争を放棄しています」
「本来であれば我が国に援軍を送ることが出来ないのですが、ロウリアを国家と認めず武装勢力
とすることで憲法を拡大解釈し、援軍を派遣することを可能としたようです」
「そのうえで我が国が求めれば援軍を送ると言っているのです」
「日本は近年人口が急増したため、クイラ王国と同じく我が国から食糧を輸入出来なくなると困
るようです」
「直ちに日本国に対して武装勢力排除に対して協力を要請しろ!陸海空全ての領域の通過の許可
と作戦中の食糧の無償提供を約束すると伝えるのだ!」
カナタ首相の号令とともに出席者たちはそれぞれの役目を果たすため動き出した。
日本海軍マイハーク出張所では提督がある人物とリモートで会議していた。
「つまりあの通信は出兵の理由にならない、ということですか」
「一ノ瀬中将が仰っていた通り、前線部隊の副将程度に外交交渉ををする権限は有りません」
リモート会議の相手は日本海軍司令長官を務める鶴矢ジンである。
彼は呉鎮守府の初代司令官であり一ノ瀬とは同期の提督である。
(鶴翼の絆、に登場した提督です)
旅館を改装した鎮守府から艦娘たちを指揮し、ソロモン海でのヘンダーソン飛行場の攻略、
ALMI作戦、西方諸国救援作戦など数々の功績を挙げた名将である。
反面上層部と衝突することもしばしば有り、上層部からは睨まれている。ただし功績が多大な
ため更迭はできず、かといって艦娘たちから引き離さないと軍閥を作る恐れがあった。そのた
め仕方が無く海軍のトップに据えざるを得なかった。彼が司令長官に就いたのにはこのような
背景があった。
ちなみにセクハラ提督の走りとしても知られている。
「つまり僕のやったことは無駄だったということですか」
「そんなことは有りません。少なくともこの世界の倫理観の最低ラインの見積もりを大きく引き
下げざるを得なくなりました」
ギムの虐殺は日本人に衝撃を与え、日本人が持つ異世界人のイメージは大きく変えられた。
最低限このくらいの倫理観は持っているだろう、という考えは甘いと突き付けられたのだ。
クワトイネの人々が中世よりも成熟し、近代に近い文化の持ち主だったため他の国の人々もそ
うだろうと考えてしまっていた。
「消極派、この世界に対し影響を及ぼすのは最小限にするべきと考える人達もクワトイネ、クイ
ラ両国が亡べば日本は立ち行かなくなることくらいわかってますからね」
クワトイネとクイラに好意を抱いている国民は多く、世論の派兵に対する反発は思っていたほ
ど大きくはないようだ。
「やはりこの二国が日本にとって重要だと国民の皆様は分かってらっしゃるようです」
「もしあの通信を正式な外交交渉と認めたら一ノ瀬さんの責任問題になります」
「私はそれでも良かったのですが」
「貴方の悪い癖です。すぐ責任を取りたがる。艦娘たちが悲しみますよ」
「すいません」
「それに貴方には私の後に司令長官の椅子に座って頂かなくてはなりませんから」
「小官には司令長官の椅子は荷が重いです」
「いやいや、高価なだけあって座り心地はいいですよ。鳳翔の膝枕と交換しませんか?」
「絶対嫌です(即答)」
「くっ、私が貴方の立場だったらそう答える!」
鳳翔のパートナーを巡って争った二人だが今でも仲のいい親友同士である。
しかしこの二人にはある懸念があった、自衛隊の戦力不足である。
海上自衛隊の艦艇はいまだ定数を満たしていない。
海上保安庁に協力して貰い、やっと日本近海を哨戒できる数が揃う。
可能性は低いが、パーパルディア皇国が介入してくる場合に備えて海上自衛隊は本土に控えて
おかねばならない。
陸戦の主体は本職である陸上自衛隊が担うことになっている。
しかしロウリア王国の4千4百隻の軍船には艦娘の艦隊を当てなくてはならないだろう。
二人の提督は艦娘たちに対人戦に駆り出さなくてはならなくなったことに、済まないという気
持ちでいっぱいだった。
鶴屋司令は苦虫を嚙み潰したような顔で言った。
「今回は人道支援の任務中に武装勢力に遭遇、自己防衛したという名目でいきます。過去のケー
スに照らしてあの事件の例を引用します」
一ノ瀬中将も忘れたかった苦い思い出を思い出してしまい、絞り出す様に言った。
「ヤマネコ島事件ですね」
「というわけで日本国政府はクワトイネ公国の武装勢力排除に協力するため陸上自衛隊と日本海
軍を派遣することを決定しました」
ニュースで発表され、国民の間で活発な議論が交わされた。
とある新聞社では初老のベテラン記者と新人記者が話し合っていた。
「艦娘と人間の軍隊が戦うなんて前代未聞ではないですか?」
「そうでもない、深海棲艦との戦いが始まったばかりの混乱期には、艦娘と通常の軍隊の戦闘は
何度か起こっているぞ」
「そうなんですか?」
艦娘が登場した初めのころは、艦娘を持たない国が国力の均一化という名目で、何名か艦娘を
譲れと要求していた。
しかしいくら戦力が有っても足らないこのころ、ただでさえ不足している艦娘を運用する能力
のない相手に渡すわけにはいかなかった。
「その国々は艦娘を解剖するだの、彼女らと自国の軍人と交配させて繁殖させるなどとか言って
いたらしいぞ」
「なんて奴らだ!許せない!」
新人は激しく憤った。ベテラン記者はため息をついて落ち着くよう言った。
「その要求を突っぱねたあと、我が国のヤマネコ島である事件が起こったんだ」
日本国の西方にあるヤマネコ島に武装した集団が上陸し、島民を人質にある要求を日本国政府
に突き付けた。
艦娘を引き渡せ、さもなくば島民の生命は保証しない。
艦娘を持たない国の支援を受けたテロリスト、もしくは正規軍人であったかもしれない。
更には軍艦を出撃させ、深海棲艦との戦闘を終えて帰途に着いていた艦娘艦隊を襲撃した。
艦娘と武装勢力、自衛隊そして深海棲艦の四つの勢力が入交り、事態は混迷を極めた。
島民の救出作戦は成功したものの、結果として島民の半数が殺害されるという悲惨な結果に終
わった。
目的を達成出来なかった国々は、艦娘と日本国もろとも深海棲艦に核ミサイルを撃ち込んだ。
しかし深海棲艦は核の爆発エネルギーを吸収し、ミサイルの発射方向に跳ね返した。
武装勢力の支援国は壊滅し事件は一応の決着を迎えた。
この事件を機に艦娘の身柄の保護を目的とした法律が整備され、艦娘の日常生活は監視され、
行動は制限されることになった。艦娘がインターネットなどを使えないのは情報の流出を防ぐ
目的とともに誘惑され出て行った先で誘拐などされないようにするためである。
(陽炎、抜錨します!では艦娘は連絡を取る手段が手紙に限定されていました)
自衛隊には艦娘の身を守るための秘密の特殊部隊がいるという。
最も妖精たちの目を盗んで艦娘を誘拐することは不可能ではある。小さく普通の人間には見え
ない、しかも練度は旧大日本帝国軍なみを誇る。妖精こそ地球最強の軍隊であろう。
「では妖精がヤマネコ島事件を解決したのですか?」
「いや違う、妖精は事件にかかわってはいない」
「では艦娘と自衛隊が武装勢力を排除したのですか?」
「、、、それもあるが、とある協力者がいたんだ」
「協力者ですか?」
「ああ、なんでもドラゴンの尻尾の様なツインテールをした小柄な女性だそうだ」
「??!」
「その女性が人質となっていた島民を開放し、生き残りを先導して自衛隊の救出部隊の待つ場所
まで無事に届けたそうだ。炎を自在に操っていたという話もある」
「まさか魔法少女ですか!?」
「少女というには威厳があり過ぎる、と救出された人達は証言しているな。まるで全人類を支配
する超帝国の女皇帝の様だと言われている。何故か皆彼女の言うことに従ってしまうらしい」
「名前は分かっているのですか」
「ヘリオス=ナ・イ・ンというらしい」
「点が入るのですか?変な名前ですね」
クワトイネ公国で最大の港湾都市であるマイハークの港では公国海軍第二艦隊の50隻の軍船が
出撃準備を整えていた。クワトイネ公国が保有する軍船の約半数がここに集結していた。
第二艦隊司令パンカーレはその様子を誇らしげに眺めていた。
常日頃からみな厳しい訓練を潜り抜け、文明圏外国家としては最高に近い練度を持つと自負し
ていた。
しかし相手は4千4百隻、万に一つも勝ち目など在りはしない。しかし自分たちが逃げ出せばマ
イハークの一般市民が、そして公国国民の全てがギム市民のように蹂躙されるだろう。
「一体どれだけの兵が生きて戻って来られるのだろうか」
パンカーレは不安を感じていることを部下に見せないよう必死に抑え込んだ。
海軍本部からの魔信伝文を携えた部下が走ってきた。
パンカーレの側近でもある第二艦隊所属の若手幹部ブルーアイが報告する。
「明日早朝、日本国からの援軍が到着します」
「うむ、して日本国は何隻よこしてくれるのかね?」
「は、聯合艦隊12隻、並びに補給艦2隻とその護衛艦4隻、計18隻です」
「何?たった18隻だと!彼らはやる気があるのか?」
「ええと、彼らの説明によれば戦闘に参加するのは聯合艦隊12隻のみ、補給艦隊は後方で弾薬等
の補給と戦闘終了後の生存者救出を目的としており、戦闘には参加しないとのことです」
「生存者の救出だと!?奴らは戦いを舐めているのか?!」
海戦に敗北すればその様なことは出来ない、日本国は勝つことを前提にしている。
パンカーレにしてみれば日本国はロウリア王国海軍を舐め切っている。
日本国の作戦は素人が立てたのではないかと本気で思ってしまっていた。
「海軍本部からの命令です。日本国が先行してロウリアに攻撃するため、観戦武官を一名、日本
国の艦隊旗艦に搭乗させるように、とのことです」
「18隻しか来ないのに観戦武官だと、死ねと言っているのも同然ではないか」
国交が結ばれたとはいえ、日本国の実力を知る公国民は少ない。
せいぜい便利な魔道具の様な物を作れる国という認識である。
軍事力について詳細を知る者は実際に日本国に行った極少数の外務官しか知らないだろう。
パンカーレは彼らが訓練に使用す実習船を見学したことがあったが、良く分からない不思議な
材質で造ってあったが、耐久性は公国の木造帆船と大差ないと思っていた。
観戦武官を派遣すれば確実に死ぬ、大切な部下をむざむざ犬死させたくはなかった。
「私が行きます」
ブルーアイが重々しく口を開いた。
「私は剣術では海軍主席で、生き残る可能性が最も高いのは私です。それにタラスクをいとも簡
単に退治することが出来る艦娘のいる日本海軍なら何とかしてくれるかもしれません」
ブルーアイは特に期待の若手だったため、パンカーレは身を引き裂かれる様な痛みに耐えなが
ら命令を下した。
「そうか、すまぬが…頼んだ」
翌日早朝、マイハークは蜂の巣をつついたような騒ぎに包まれていた。
沖合には見たこともない巨大な船が何隻も集結していた。
「なんという大きさだ!まるで城を浮かべた様だ!」
マイハークの住民達は日本国の商船であったり、海軍出張所の駆逐艦や軽巡洋艦を目にしたこ
とは有ったが、大型の軍艦は見たことがなかった。
赤城や加賀などはクワトイネ国内で実艦を展開したことは今までなかったりする。
今回マイハークに派遣されたのは戦艦と正規空母を含む本格的な空母機動部隊であった。
第一艦隊
旗艦 駆逐艦 霞
航空戦艦 伊勢 日向
正規空母 赤城 加賀
重巡洋艦 妙高
第二艦隊
旗艦 軽巡洋艦 球磨
駆逐艦 神風 初風
重雷装巡洋艦 大井 北上 木曾
補給支援艦隊
旗艦 補給艦 速吸
補給艦 神威
駆逐艦 暁 響 雷 電
「これは、なんという、、」
パンカーレは開いた口が塞がらない状態だった。
「凄い、これならばロウリアを撃退できるかもしれない」
ブルーアイは期待に胸を躍らせていた。
港に比較的小型の(それでもクワトイネ海軍の軍船より大きい)船が近づいてきた。
そしてその船から青みがかった髪を片側に纏めたつり目の少女が降りてきた。
「初めまして、聯合艦隊旗艦の駆逐艦霞です。観戦武官の方をお迎えに上がりました」
十代初めくらいの少女がこの艦隊を率いるということに、パンカーレもブルーアイも一瞬思考
停止状態に陥った。
霞も彼らが何を唖然としているのか察して、憮然とした表情を浮かべた。
その時一ノ瀬提督が艦娘たちを出迎えるためにやって来た。秘書官として陽炎も一緒だ。
「提督、なんであたしが旗艦なのか説明なさいよ!」
「それは前回の海戦に引き続いて旗艦を務めて貰おうと思ったからだよ」
「前回の戦って地球の、深海棲艦との最終決戦のこと?!あれは戦艦も空母の人たちも戦いに集
中したいから私が代わりをやっただけよ!」
「そう、大和から旗艦を引き継いで見事な指揮を見せてくれた。今回の戦いも期待しているよ」
「よ!国連軍総旗艦、霞!可愛くて指揮もできる、凄いね!」
陽炎が囃し立てる。霞は顔を真っ赤にして叫んだ。
「違うわよ、全然凄くないんだから!」
周囲の軍人たちは霞が見かけによらず優れた指揮官だと知って驚いていた。
一ノ瀬提督は周囲には聞こえないよう霞の耳元に小さな声で囁いた。
「もう一つの理由は君がファティマ・魔邪(マージャ)を娶ったからだよ」
「今回の海戦は日本にとって初のファティマの実戦投入になる、くれぐれも慎重に頼むよ」
「分かったわよ」
霞のパートナーになった魔邪は彼女にとって大切な人になっていた。
それはただ単に仕事を手伝ってくれるというだけでなく、いろいろな悩みを相談できる相手に
なってくれる存在であった。
普段はしっかり者なのに、自分と関わると途端にポンコツになるあの二人とは違っていた。
もちろん自分をママ呼ばわりする
魔邪は霞が初めて出会った大人の女性であった。
秘書艦の陽炎が聯合艦隊構成員と第14駆逐隊の面々に説明していた。
「以上がヤマネコ島事件の概要になります。今回の作戦はこの事件のケースを基に対応すること
になりますので覚えておいてください」
「へえー、昔はこんなことがあったんだね、僕の先々代が参加してるよ」
皐月が先々代の苦労を想像しながらも明るく言った。
「でも陽炎妙に詳しいね。君が着任するずっと前の出来事だろう。誰かから聞いたのかい?」
皐月は何気なく聞いたつもりだった。だか陽炎はいつになく厳しい表情をしていた。
「陽炎?どうした?」
「、、、何でもないわ」
皐月はただ事ではない雰囲気を察して黙ってしまった。
「あの事件は良く知っているわ。あの時、あの場所にあたしがいたから」
その言葉に提督が反応した。
「陽炎、君はあの当時ヤマネコ島にいたのか」
「はい、私がいた児童保護施設が武装勢力に襲撃され、山の中を逃げ回っていたところをナイン
さんに助けられました」
「そうだったのか」
「ナインさんの雄姿は今も瞼に焼き付いてます。そうこの髪型もナインさんの不思議な髪形に近
いからしているんです。どうなってセットしているのか分からないけどせめて近い形にしたか
ったんです」
提督が悔恨に耐えるの表情をしているのを見て陽炎は付け足す。
「あの時のヤマネコ島は地獄でした。でも同じくらいの地獄は艦娘になってから何度も経験しま
したからから気にしないでください」
「フォローになってるのか、なってないのか良く分からないわよそれ」
曙がぶっきらぼうに突っ込んだ。
改めて艦娘たちを集めて一ノ瀬提督が訓示をする。
「すまん、我々の力不足で君たちを対人戦の投入するほかなかった」
冒頭から謝罪した一ノ瀬に艦娘を代表して赤城が答えた。
「顔を上げてください提督。貴方は自分の務めを果たそうとしただけです」
一ノ瀬は顔を上げ、一同を見渡す。艦娘の誰一人として彼を非難する者はいない。
「ですから我々も戦います。仕事ですから」
「日本国の平和と国民の安全を守るのが私たち艦娘の仕事です」
「友好国を救うことが日本国の安全に繋がるなら私たちは友好国のために戦います」
艦娘たちに迷いはなかった。
「ですから提督、命令を出してください」
提督は肩に重い荷物が背負わされた感覚がした。かつて何度も感じたことだ。戦争が終わりも
う感じなくてもよいと思っていたがそうはいかないらしい。
「聯合艦隊出撃。武装勢力からクワトイネ公国を防衛せよ。新たなる水平線に勝利を刻め!」
ヘリオス=ナ・イ・ン
旧設定名ネードル=ナイン
星団歴以前に全人類を統治した超帝国の第八代皇帝、通称炎の女皇帝。
騎士、魔導師そしてバスター砲を創った人。
ドウターチップという珪素結晶にすべての生体情報と記憶を保存することにより不老不死を実
現した。(もしかしたら新設定で変わっているかも)
スタント遊星を調査しに向かって行方不明になり超帝国は混乱し空中分解する。
その後度々現れ自身の記憶を継承する詩女システムを残したり、星団に取り残された最後の純
血の騎士スバースのハイブレンコントロールを解除したりしている。
魔導大戦では詩女ムグミカの命を犠牲にした「血の召還」により復活した。
ボスヤスフォートは自分の子孫とは認識していない。
彼女の目的は人類の記憶を未来永劫伝え続けることである。しかしスタント遊星の次元の狭間
で邂逅したモナークセイクレッドは彼女の理想とはかけ離れていたため衝撃を受けてしまう。
人間らしい人間に人類の記憶を受け継いで貰いたい、というのが彼女と詩女の願いである。
小説陽炎、抜錨します!では過酷な過去を持つと匂わされていた陽炎ですが、私なりに想像し
てみました。
期間が開いてしまい申し訳ありません。
私頑張るから、見捨てないでー。