染まるセカイ   作:零奥0

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序章の終わりと一章のプロローグです。


1章:白紙のセカイと実力
リスタート


 

 今までこのセカイをしっかり歩いたりしなかったから気付かなかったけれど、思ったほど広くは無いようだ。

 

 所々に水色が水玉柄にセカイに彩られた。それによって今まで周囲と同化していた天井や壁が分かるようになった。

 

 「やったね!セカイに色が戻ったよ!」

 「うん。白石さんのお陰だ。」

 

 いや、今は杏と呼ばなきゃ怒られるな。

 

 「君にどんな変化があったのか、良かったら教えてくれない?」

 「……あぁ、もちろん」

 

 ミクに、杏と向き合った事で自分が孤独ではなく周りに自分をちゃんと見ている人が居るという事がわかった事。

 自分の立っている場所の認識が大きく変化した事を伝えた。

 

 「そっか!とってもいい友達だね!」

 「うん。恩人でもあるよ。」

 

 あのまま考えを貫き通してたら遅かれ早かれ多分僕は腐っていただろう。その事が今ならハッキリとわかる。

 

 「ミク、このセカイは確かに染まったけど、余白があるって事はまだまだ色が付くってこと?」

 「うん!君の考え方や行動次第でこのセカイは何色にでもなるよ!」

 「そうか。」

 

 

 じゃあ目指そう。僕の心を映し出したこのセカイを、何色にでも染まることの出来るセカイを、多くの色で満たそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 序章【白紙のセカイと立場】

 

 

 

 完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 GO TO THE NEXT STAGE

 

 

 

 

 

 

 

 

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 第1章【白紙のセカイと実力】

 

 

 

 

 

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 「……………………ごめん。」

 

 マイクを持った右手は力を失ってダランと垂れる。

 

 「ドンマイドンマイ!しょうがないよ、まだ克服できた訳じゃないんでしょ?」

 「つーか、訓練2日目だろ?いきなり歌えるようになったら俺らがいる意味ないだろ。」

 

 カラオケの一室、杏・東雲・僕は人前で歌う訓練のためそこを訪れていた。

 

 杏のお陰で自分がしたいことを明確に理解した僕はリハビリを開始した。セカイが彩られた時、僕の心境は大きく変化した。

 

 孤独からの脱却

 

 それに尽きる。自分を見てくれている人、認めてくれている人、仲間だと思ってくれている人が身近に居ることを理解した。

 

 そんな僕に芽生えた想いは、【人前で歌うこと】。それが今の僕がやりたいこと。目標である。

 

 ただ、治そうと思っても簡単に治るものでもなく、それを杏に相談した所ビビバス全員に話が伝わり、リハビリに付き合ってくれることになった。今日の相手はこの2人という訳だ。

 

 「一昨日はこはねと冬弥とやったんでしょ?その時はどうしたの?」

 「歌う事は出来なかったけど、歌詞を読み上げることはできたよ。」

 「それ歌唱じゃなくて朗読じゃねぇか」

 

 どうしたものかと、3人揃って考え込む。

 

 三人寄れば文殊の知恵と言うが、あれはなんらかの問題に対して誰かが解決策を持っているから解決出来るだけであり、問題の原因から解決の糸口まで、何もかも見つかっていない今の状況では全く機能しない。

 

 「その歌えないって言うのはどういう感じなんだ?」

 

 唐突な質問に少々間が空きながらも答える。

 

 「"人前で歌う"って事を意識すると、声が出なくなるんだ。こう、詰まるって言うか。失声症とも違うし、多分何かしらの精神的ストッパーあるって医者に言われたよ。」

 

 

 

 その要因が何なのかはわからない。自惚れではないが、歌にはそこそこの自信はある。人前に立つことに対しても多少の緊張はあれど声が出なくなる程ではない。

 

 

 ただ、ストッパーが働くたびに出てくるこの感情は……………

 

 

 

 「通話は?」

 

 

 杏が突然そう言った。

 

 

 「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「行動早すぎない?」

 『いいからいいから、それで?歌えそう?』

 

 杏が提案したのは通話越しでの歌唱。たしかにこれなら人前と言えるか微妙な所だけれど……、思いついて数分で君らだけ場所移動する行動力凄まじいなぁ

 

 「……やってみる。」

 『……無理すんなよ』

 

 東雲からの忠告には無言を返す。無理してでもやらなきゃ僕の目標は達成できないのだから。

 

 

 デンモクで楽曲を選び送信。……これで行こう。

 

 イントロが始まり、やがて歌のパートが始まる。

 

 「……?」

 

 いつも感じる圧迫感や声の詰まる感じが、今回はなかった。

 

 (これ、なら?)

 

 歌える……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「……やっぱこいつバケモンだな。」

 「友達としてその言葉を認めるのは抵抗あるけど、否定できなよね。」

 

 杏がそう返すと、俺たちはまた透野の歌に耳を澄ませる。

 

 『踏ん張ってりゃいつか笑えるのかい? 頑張ってりゃいつか報われるのかい?』

 

 今電話の向こうで歌っているのは、【未完成タイムリミッター】。今のアイツの状態を表現するには相応しい楽曲だろう。

 

 「これを原キーで、尚且つアレンジまで……」

 「やっぱりシンは凄い……負けてられない。」

 「あぁ、そうだな。」

 

 基本的にこれを作曲した方はキーが高いことで有名だし、およそ人間が歌う用に作られているとは思えない程だ。

 

 それをこうも容易く歌い、より魅せるためにアレンジまで加える。

 その歌唱力はカラオケ音源で聴くには勿体無いと思える程。

 

 透野は俺の、俺たちの遙か先を行っていることを改めて認識させられる。

 

 

 

 『時間ならあるさ』

 

 

 

 電話越しに最後の歌詞が聞こえる。歌詞とは言え、コイツにそんな事を言われると、意地でも追い抜かしたくなる。

 

 「杏」

 「ん?何?」

 「追い越すぞ」

 「…当たり前じゃん!」

 

 

 誰に、とは言わずとも伝わる。

 

 待ってろ透野。俺たちは必ずお前と張り合って勝ってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あれ?おーい、2人ともー。………通話切れてないよね?』

 

 やべ、忘れてた




序章のメインサブは杏でしたが、一章は彰人になります。
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