二周目アルトリアと転生元マスターの逆行譚   作:アステカのキャスター

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 とりま、面白半分で書いたぜ。


一話

 

 アーサー王伝説を知っているだろうか?

 聖剣カリバーンを引き抜き、卑王ヴォーティガーンと戦い聖剣エクスカリバーを手に入れたアーサー王が円卓と共にブリテンを守護し、そして最後には悲しい結末で終わってしまった物語を。

 

 そんな未来を回避する為にアーサー王、アルトリア・ペンドラゴンは死後の魂を売り渡し、聖杯を手に入れる機会を得た。望むのはブリテンの救済。滅びを覆す為に亜種聖杯戦争を駆け抜け、聖杯を手にする事が出来たのだが……

 

 

 

 

 

「ラスカ! そろそろ卑王ヴォーティガーンとの決戦が近づいてます!」

「よし盛大にカリバーン折ってこい」

 

 

 まさか亜種聖杯戦争でマスターになっただけの転生者の俺が、巻き込まれ二周目に突入するなんて誰が予想出来た?

 

 此れは二周目のアーサー王と、巻き込まれた転生者マスターが送るブリテンの救済物語である。

 

 

 ★★★★★★★

 

 

 この世界に転生してから十年。すくすく育った俺は生まれた世界に絶望していた。生まれがちょっといい所の魔術家系で、魔力量もかなり多い上に、四属性(クワトロ)持ちに魔眼持ち。魔術師として結構な才能を持って生まれてしまったのだ。大分チート気味で。

 

 と言うか此処型月かよ! 好きだったけども! 好きだったけれども!! 死亡フラグが満載の世界に来たいとは思わねえよ!!

 

 アニメは全部知ってるし、Fate系なら記憶に自信はある。まあ俺FGOの二部六章の前編までしか知らんけど。

 

 かくして、イギリスで亜種聖杯戦争に巻き込まれてしまい、仕方なく英霊を召喚したらエミヤの嫁が来た。

 

 流石に絶望した、が事態はサクサクと進み亜種聖杯戦争に勝利。聖杯ゲットだぜと半分現実逃避しながら、聖杯を持って仮宿の工房まで足を運び、それぞれの願いを明かす。因みに俺は特になかったのだが、問題はセイバーである。

 

 

「私はブリテンの滅びを変える」

「無理くね?」

 

 

 聖杯に願う想いを告げたセイバーに結構素で答えた。

 信頼していたマスターがここぞとばかりに裏切るような発言に苛立ち、アルトリアは聖剣を向け、顔を引き攣らせながら両手を上げるマスター。

 

 

「落ち着けアルトリア。滅びを覆す願いはいいと思ってるが、どうやって?」

「どうやってって、私が王にならなければ……」

「それこそ無理だろ。お前がやらなければ王座につくのはお前の姉だぞ」

 

 

 ハッ、とアルトリアは気付いてしまった。

 そう、歴史的に考えるならウーサー王の次になる後継者の権利があるのはモルガンだ。あの毒婦を分かっているからこそ、アルトリアも押し黙る。モードレッドはあくまでモルガンが戴冠できなかったゆえに造られたホムンクルスだ。そのモードレッドもアルトリアの戴冠の時には存在しない。

 

 というより、そうなってしまえばカリバーンを誰が引き抜く? モルガンじゃ引き抜けないだろ。多分。

 

 

「そもそも、昔のブリテンって金欠だろ。食料難、医療体制も然り。王が変わったら土壌も医療体制も変わるのか? なんならBANZOKUに攻められてんのに」

「そ、それは……」

「俺はまあ異聞帯のモルガン(似ている存在)を知っているけど、アレは支配こそ悦びの奴だし、追い詰められたらモードレッド創ったんだろ? やべぇ奴じゃん。国任せられるの?」

「………」

 

 

 ぐうの音も出ない正論にセイバーは膝をついた。

 モルガンの性格もそうだが、どうあっても幸福な未来が訪れる気がしない。妖精の血を持つモルガンは人としての常識にズレが存在する。人間と妖精の考える価値観は大分ズレている。

 

 そして何より、アーサー王が居なければ円卓のうち四人がいるかも分からない。ガウェイン、ガレス、アグラヴェイン、モードレッドが居ない可能性が高い。何せ、王座に執着する理由がなくなり、ロット王との子を産む可能性が低くなる。そうなれば、四人も円卓が欠ける。間違いなくBANZOKUの餌食である。

 

 

「俺だったら二周目として現代知識を持って行って王になれば、少なくとも最悪の未来は回避できると思うんだが」

 

 

 まあ特異点になるか抑止力の排除対象になるかは知らんが、あくまで国を守るというならそれが一番だろう。今の世界、医療体制も食事も変態的に進んでいる。まあ神秘が薄くなっているのが対価みたいなものだが。

 

 

「聖杯よ。その願いを叶えよ」

「えっと、とりあえず二周目頑張れ?」

「いえ、進言して頂きありがとうございます。出来れば貴方にも参謀としてきてほしいものですね」

「おい待て、それフラグ――――」

 

 

 その願いに応えるかのように聖杯が輝き、光が満ちると同時に俺の意識が途絶えた。

 

 

 ★★★★★★★

 

 

 目が覚めると木々で出来た家のベッドの上だった。

 ベッドと言っても現代の物と比べて硬く、寝辛さがあり、腰に意外と負担が強いられる。少し汚れた獣の皮で出来た毛布を取り、起き上がって額に手を当て魔術回路を調べる。異常はなく、魔術回路の断線もなく、体調もオールグリーン。だが、此処がどこだか分からない。

 

 

「……ここ何処だ?」

 

 

 ギィ、と木のドアが開くとお粥を持った可憐な少女がそこに居た。ベッドの横の机にお粥を置くとそこらにあった木の椅子に座る。何というか、可愛い系のお嬢様に見え……

 

 

「目が覚めましたか、()()()()

 

 

 いや違った。盛大なフラグ持ってきた大馬鹿野郎だった。

 

 

「おい、若返ってんぞ」

「聖杯が起動し、歴史のやり直しのせいでこうなってます。知識や精神はちゃんとインストールされてます」

「されてます、じゃねぇ」

 

 

 ん? 聖杯が起動した?

 おいちょっと待て、コイツの願いって確かブリテンの滅びを覆す為に現代知識を持って二周目だよな。インストールされた今、願いが叶ったという事なら……()()()()()()()()()()()()()

 

 

「え、つまり? ここまさかと思うがブリテン? と言うかカリバーン抜く前のアーサー王物語のアレ?」

「まあそうですね」

「……帰る方法は」

「……ありません」

 

 

 額に青筋を浮かべ、身体強化の魔術を使いアルトリアの両頰をギリギリと強くつねりながら叫んだ。

 

 

「何て事してくれたんだアホ毛王!! 厄ネタにしても抑止力とか人理が関わるやべえ案件に俺を巻き込むな!!」

「ひだだだだだだっ!! 両頬をつねるのやめへくだはい!!」

「つかアレか!? 帰還の可能性があるのはギャラハッドの聖杯探索の時だけか!? それまで帰れねえのか!?」

「……たぶん」

「てめええええええええっ!!」

「ぎゃあああああああああ!?!?」

 

 

 この後ケイが来るまでの一時間、アルトリアの頰をつねっていた。何せ難易度ルナティックを超えてナイトメア級の歴史の救済。土壌問題、医療問題、食料問題に外交問題、なんなら内輪揉めまであるアーサー王物語。二周目のアドバンテージがあるからって簡単に乗り越えられる話じゃない。

 

 どうやら転生者は二周目のアーサー王伝説に巻き込まれたようです。

 

 

 

 

 ………笑えねぇわチクショウ!!!

 

 

もし番外編がもう一つ書くとするなら?

  • 妖精郷の女王モルガンと賢者ラスカの一日
  • 神聖キャメロットでの槍王とラスカ
  • カルデアでのラスカの奪い合い
  • モルガンかアルトリアの純愛物語
  • IF もし逆行した原因がモルガンだったら
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