二周目アルトリアと転生元マスターの逆行譚 作:アステカのキャスター
日刊ランキング三位ありがとうございます。
もう感想くれたりね、感激です。さて第四話まで来たぜ。独自解釈を入れておきました。では行こう。
これはまるで聖杯の泥だ。
そこに立つならば汚される事は確実、その異臭から立ち寄りたさを無くし、その穢れから誰もこの泉を元に戻そうなんて考えない。
そもそも、この穢れは
ブリテンがいずれ滅ぶと考えるならば、神秘の枯渇の原因として存在するものなのか、もしくは
「妖精がいる気配はねぇが……やるか」
今の俺なら習得した『
「はっ?」
思わず目を擦ってしまう。
泉から泥を被り這い出た存在が到底信じられない存在だったから。そこにいたのは妖精だ。見た感じ反転しているのも分かる。それは予測がつくものだった。そこまでなら想定はしていた。
だったら、何故自分の魔眼は……あり得ないものを捉えている?
「何で
妖精だとかは神秘に慣れた今の俺ならある程度の見分けは付く。妖精である事は間違いない。だとしたら、何故その妖精に
「(確実に白き魔竜ではない。妖精と竜の混血?いや、ブリテンで
だが、実際に目の前に居るのも事実。
竜の血を飲んだとかそんなパターンなのかもしれない。とはいえ、分析に頭を回している暇もないのもまた事実。
だって、敵意マシマシでコッチをガン見してるし。
「うおっ!?」
蒼い炎が浮かんだ魔法陣から射出される。
嘘だろ!?竜化ジークの宝具を
「ええい、クソッタレ! マーリンこの事黙ってたな!? 後で絶対髪剃ってやる!!」
俺に出来る魔術は植物に関する事、結界に関する事が殆どだ。魔杖はこの世界に来る前に存在していた宝石の錫杖だけだ。他に宝石とか、都合のいい触媒はない。剣に関しては騎士が使う剣をアルトリアから護身用にと貰ったのだが、神秘が全く付与されていないため、絶対に斬れない。
他だと身体強化やガンドとか基本的に習いそうなものは習得してるが、この竜化妖精には焼け石に水だ。ほらまた撃ってきた!!
「どわっ! アチチチチチッ!? ステーキになるわ阿呆が!!」
こんがりした俺の出来上がり☆
なんて事にならないように必死こいて頭を回す。とりあえず、俺を攻撃する理由は恐らく、汚染された泉にあるのだろう。アレのせいで怒り狂っているし、近づくもの全てを敵視している。反転の原因がアレなら、浄化すればどうにかなると思いたい。幸い、マーリンの魔術の劣化再現は可能、だがその前にコイツを止めなくては話にならない。
「このっ、いい加減にしろ!!」
地面に思いっきり拳を叩きつけ、魔術を展開する。
此処の場所の汚染のせいで、魔力抵抗が凄いが言っている場合ではない。想定していた倍は魔力を取られるが、もう此処までジリ貧なら仕方がない。
汚染された泉から這い出た黒い魔樹。
俺の魔術は土と水さえ有れば展開可能。アレは汚染されてるとはいえ、水っちゃ水だ。直ぐに枯れてしまうものだが、木は水を吸い取り成長する。と言うかあんなドス黒い魔樹が生えるのは予想外だが、汚染された泉から生えたせいか命がない枯れ木同然だが、それでも充分だ。
「GAaaaaaaa–––––!!」
俺を隔てるように黒い魔樹で竜を縛り、残った部分を盾に詠唱を始める。ブチブチと魔樹が折れていく音が聞こえる。多分十秒も保たない。錫杖を握りしめ、領域を設定する。
「
この宝具はマーリンの宝具の劣化再現。
とは言え、真名までパクるのはなんか癪だったので改名し、偽装宝具として習得したソレは、普通の戦いに於いて何の効力も持たない。
「『いずれ星となる不朽の花よ、我が箱庭にて咲き誇れ』!」
だが、この汚染された泉ならば話は別だ。
かつてマーリンはティアマト神の生命の泥すら無害な花に変えたという出鱈目な事をやってのけた。
これはその一部、マーリンのいる場所は理想郷が常に存在する故にアレほどの出力で発揮できたのだが、当然俺はそんなものはない。だが、『
その名に
それはこの宝具には重い名だ。だが理想郷の再現に最も近いその宝具を発動した。
「――――『
俺の『
いくら才能があれど、冠位まで手に出来るマーリンを超えられない。理想郷の完全再現は俺じゃ無理だと判断し、劣化再現に収まったのがこの偽装宝具。
所詮劣化でしかないが、その効果はとても強力。
展開したら最後、
「GAaaaaaaa――――!!」
「ぐっ、暴れん、なっ!!!」
万物が融解する炎を大樹を生み出して防ぐが、焼き払われる。圧倒的な熱量を咄嗟に展開した結界で遮っているのにこの熱さ。深呼吸したら肺が灼ける。
「ぐ…おっ!! 大人しく、しやがれっ!!」
全魔力を解放。
自分の立つ場所から大樹を思いっきり成長させる。箱庭に割いていたリソース以外の全てを魔力を大樹に集約させる。この大樹も箱庭で生み出されたものだ。絡みつき、その穢れを吸い取る力が存在する。
湯水の如く流れる魔力。
身体の負荷も尋常じゃない。つか、これやばい、意識持ってかれる。
「GAaaaaaaaa──…………」
時間にして五分、アレだけ暴れていた竜の妖精は漸く力を無くしたかのように大人しくなった。それを確認すると、力が抜けたかのように地面に大の字で倒れた。
「ゼー…ゼー…あー、魔力空っぽだクソ……」
なんとか生きていられる程度の魔力を残して空っぽだ。
もう魔術は撃てない。此処でまた暴れられたらもう命はない。と言うかもう一歩も動ける気がしない。
「もう…限界……」
後でマーリンの髪を剃ろう。
そう恨み言を呟き、辛うじて保っていた意識が此処で途絶えた。
★★★★★
雲一つない空、輝く太陽。
そして自分を覗き込む整った顔立ち、精白磁の瞳と紫がかった綺麗な髪。そして後頭部に柔らかい感触が……
「あっ、目が覚めた」
「天使?」
「まだ寝惚けてるのかな? 妖精だよ?」
どうやら膝枕をしているようだ。
ああ、このまま二度寝してしまいたいくらいに疲弊してるし……いや待て、コイツ俺を攻撃してきた妖精じゃん。反転化が解けて大人しくなっているのか。
「そろそろ退いてくれると嬉しいかな? ……脚が痺れてきた」
ニヤリと笑い、俺は頭を膝の上でグリグリと動かした。それに驚いたのか頬を赤くして足の痺れを必死に我慢する美少女。
「うにゃあ!? ちょ、ああ、ビリビリ来る!? 来ちゃうからぁ!?」
その反応、どう見ても事案です。
ちょっと涙目になって頬を赤くする妖精。我々の業界ではご褒美とも呼べる可愛らしい反応。でもちょっと罪悪感が湧いたし、しっぺ返しが怖いので満足すると起き上がった。
「よし、とりあえず攻撃してきた事はチャラにしてやる」
「……君って案外根に持つタイプ?」
「当たり前だ。死にかけたんだぞコッチは」
あんなヤベェ蒼炎を連射されたんだ。
間違いなくミディアム通り越して焦げ死体になってたわ。
「それで? 癒しの泉に棲む竜の力を持つ妖精。俺はラスカ。お前は?」
「私は……うーん。名前は無いかな。
「はっ? いや、妖精は子孫繁栄は出来ねぇ筈……まさか母親は人間と妖精のハーフか?」
「そうそう」
妖精に子孫繁栄は出来なくはないのだが、あくまで人間と関わった時だ。妖精は万能だが、妖精同士で子供を作る事は出来ない。人間と関わった時は、ハーフという存在で生まれてくる事がある。モルガンもそうだし。
「母親とか、父親の名前は?」
「えっと、お父様は知らない。けど、お母様はメリュジーヌって名前がある」
「メリュジーヌ? ってなんだ?」
瞳の色が紫に変わり、頭に情報が叩き込まれる。
久しぶりに使ったせいか直接情報を頭にぶち込まれた痛みに顔を顰める。
「えっと、フランス出典の水妖であり、人間と妖精のハーフで母に土曜日に竜化する呪いを植え付けられた、その後十人の子供を産んだ妖精……おい此処ブリテンだぞ?」
「知らなかったんじゃないの?」
「
俺の魔眼は
戦闘に使える歪曲の魔眼や直死の魔眼とは全く違う。知識を得る事だけに特化した魔眼なのだが、父親が言うには
とは言え、使い勝手がいい訳ではない。
名前や原因さえ知ってさえいれば調べる事が出来るが、初対面だったり、どうして起きたのか原因が分からなければ使えない。実際亜種聖杯戦争ではまるっきり役に立たなかったし。
「何でブリテンにいる?」
「……お母様が私達の前から消えちゃって、探してたの。そしたら、この泉に辿り着いて」
「穢れに喰われて穢れを纏った……って訳か」
そもそもこの穢れは何処から来ている?
聖杯の泥並みに穢れきった魔力。俺が直で浴びてしまったら魔術回路そのものが汚染されて使い物にならなくなって死ぬだろう。
ブリテンそのものに何かあるのか?
神秘を滅ぼす全く別の存在があるとするなら、もう卑王目覚めてる? 卑王以外だと……キャスパリーグとか? 災厄の獣が目覚めただけで、こうなるのもあり得る。いや、ここまで全部推測だ。所詮妄想でしかねぇ。
と言うかメリュジーヌの呪いを引き継いでいるのか。半人半竜……いや、正確には半妖半竜。妖精の血を濃く受け継いだせいか竜化する呪いを引き継ぎ、半竜となってんのか。
「と言うかラスカはどうして此処に来たの?」
「妖精に加護を貰いに来たんだよ」
「そうなの。じゃあはい」
頭にポンと手を乗せられると、自分の中に莫大な神秘が流されていく事が分かった。ただ決して害は無く、むしろ心地いいくらいだ。右肩辺りに魔術回路の上に独特の紋様が浮かぶ。
「加護と同時に君に私の神代紋様を刻んだ。私と同調して魔力を分け与えたり、この泉の『癒し』を再現出来るようにしたから」
「神代紋様? ……ああ妖精の魔術回路みたいなものか。となると、魔術刻印の移植みたいなものか」
「多分それ、私の魔術も紋様さえ通せば使えなくはないよ」
ちょっと待て。
コイツの魔術、竜の特性を基盤にしてるよな。あの蒼炎が撃てるとなるとヤバすぎないか? そもそも、半竜化していて人間の力もあり、妖精のハーフって時点でもう凄いんだけど。なんなら何故汎人類史の歴史に存在しなかったって疑問まである。穢れていたから討伐されたとか?
「お前、名前は…無いんだよな」
「うん」
「じゃあ俺が付けようか?」
「えっ! いいの!?」
「それくらいお安い御用だ。加護も貰ったしな」
名前、どうしようかなぁ。
出来る限りこの妖精に似合う名前を送るとするなら、可愛い系の名前か? メリュジーヌの子供……そうだな。似た名前だけど思いつく限りこれがいいか。
「メアリージェ、なんてどうだ?」
メリュジーヌの子供、癒しの泉に棲まう竜の妖精。
そして可憐な美貌に、神さえ羨むような美しさ。いや、後者は大体同じか。魅了がないのに美しいと思えるような妖精、メリュジーヌの子供としての名前はピッタリかも知れない。
「メアリージェ…うん。気に入った!」
「おう、それでメアリージェ、この後はどうすんの? 母親探し?」
「んー。とりあえず此処に棲むかな。今はこの泉は気に入ってるんだ。私とは別の子がお母様を探してるし。帰る場所は定めとこうかなって」
「じゃあ結界張っとくか」
「うん、よろしく!」
今や『
こうして、俺はメアリージェの加護を手にした事により、マーリン直々にウーサー王の推薦を手に入れ、アルトリアより先にブリテンの城に向かい、宮廷魔導師及び文官の補佐役としての地位を手に入れた。
それと同時にマーリンの髪が短くなってたとかくだらない噂がキャメロットで流れていたとか。
Q.従者って立場、ベディヴィエールいるんじゃね?
A.映画見たのにめっちゃ忘れてた。
Q.ヴォーティガーンが顕現してウーサーが死を悟ったからこそ、ウーサーはマーリンと画策して選定の剣という選択をした訳でして、それにアルトリアが選定の剣を10年抜く前に先王ウーサーが死亡したからこそ、次代の王を選ぶ必要があると選定の剣を抜いた者が次代の王になると呼ばれている訳で、まだウーサーが生きているなら、次の王を選ぶ必要が無い為選定の剣を引き抜くという全ての条件が崩れるのですがおかしくありませんか?
A.そこまで知らなかった。もう既にヴォーディガーン目覚めてた故に画策してたのはアーサー王伝説詳しくなかった私のミスっす。ウーサー王が歳であった事で後継者となる人間を選定する為に聖剣を用意したという設定で通してくれるとありがたいです。戴冠については今後の物語で修正していきます。
Q.アルトリアってばまだ理想郷に行けるの?世界と契約して聖杯を手に入れちゃった以上、死後は守護者確定な筈じゃない?
A.これについてはアルトリアは既に英霊となっています。ですが伝承通りなら、アルトリアが理想郷に行くと死後の魂は世界との契約が為されない。なので、座に登録されているのは英霊となる前のアルトリアの状態で、全ての生涯を経験した状態で召喚されています。守護者として契約してもなお、願いは変わりません。
★★★★★
良かったら感想評価お願いします。
もし番外編がもう一つ書くとするなら?
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