頑張ってオリ主君!   作:イイッ↑ッタイ↓メガアアア↑

2 / 7
大地は振り返る

 転生者である俺こと明石大地がリリカルなのはの世界に来ていると気づいたのは幼稚園を卒業して小学1年生になったばかりの頃だ。

 

 いつもの様に朝を迎えた俺は前世があったこと、この世界が有名なリリカルなのはの世界であることに気づいた。

 自分が特典をもらっていること、ここはリリカルなのはの舞台である海鳴であるということは自然と分かったのだが、どのような経緯で転生したか、前世は何だったのか、そのことに関して靄がかかったように思い出せない。

 

 特典をもらいアニメの世界に転生したということでとにかく浮かれていた俺は喫茶店「翠屋」のマスターが事故にあって入院したことを聞き、即日『俺オリ主?よし公園でテンプレしてヒャッハーだ!』等と考え、翠屋に一番近い公園へと足を向ける。

 そしてそこで俺はその日から長い付き合いとなるマックスとオルガに出会ったのだ。

 

 

 意気揚々と出かけた俺はあと一歩で公園だという所で妙に見慣れない金髪頭と銀髪頭を見つける。

 公園の出入り口で偶然ばったり遭遇した俺たちは互いに互いの顔を見合わせ、各々がこの世界において特異な存在であることを理解した。

 そして最初はメンチを切り合っていたのだが、暫くして思わず顔を覆い思い思いに羞恥に悶えたのだった。

 今思い出しても当時の衝撃は忘れられないものである。

 

 テンションが有頂天となり、俺様さいきょーみたいな状態で同じ人間に二人も遭遇して一瞬『『『何だこいつ、痛々しいやつ』』』と思い、はたと自分の今の状態に気づき愕然とした状況。

 どう見ても目の前の二人は自分と同じようなものです、本当にありがとうございました。

 

 そうして暫く3人で今までの自分の行動を振り返り頭を抱え転げまわっていると、何処か陰鬱な空気を纏った栗毛の少女がとぼとぼと俺たちを素通りして公園に入っていくところが見えた。

 それで我に返った俺たちはあの原作で有名なブランコシーンが今日であることを思い出し、慌ててブランコの近くの茂みに身を潜めたのだ。

 

 きーこ、きーこと年季が入り錆びついた物特有の悲しげな音を響かせてブランコを漕ぐ高町嬢(仮)を横目に同じ茂みに潜んだ俺たちは押し合いへし合いしつつ、互いに目で『お前が先に行けよ』『お前が逝ってこい』『……文字が違う気がする』等と会話していた。

 

 我に返った今、高町嬢(仮)に関わってまた新しく黒歴史を作ろうとする勇気はもう俺たちには微塵も残されていなかったからだ。

 不毛な争いを続けていた三人を尻目に誰かが高町嬢(仮)に近づくのが見えて、再び俺たちは停戦状態になる。

 

 近づいた誰かは幼いながらに実直そうな面影がある探せば黒髪黒目の何処にでもいそうな努めて平凡な少年だ。 

 息を潜め俺たちは二人の様子をうかがう。

 

 少年と彼が近づいたことに気づき顔を上げた高町嬢(仮)は互いに言葉を交わし合っていた。

 そして高町嬢(仮)は呆然としていたかをしたかと思えば急に笑顔を浮かべ公園から走って出ていった。

 断片的に聞こえた二人の会話は『――っぱり迷惑――?』『――んなわけないって――だろ?』『――かな?』『おう!』、あの栗毛の少女はやはり高町嬢(確定)である。

 少年は予想が正しければ無自覚系オリ主なのであろう。

 原作には俺たちと同様に彼のような存在はいなかったのだから。

 

 ちなみに公園から出るときには高町嬢(確定)は少年へと満面の笑みを浮かべながら大きく手を振っていき、対する少年も照れくさそうに手を小さく振替していた。

 

 ……どう見てもカッコいいオリ主様です、もう勘弁してください。

 片や左右を見れば金髪赤目の傲岸不遜そうな少年と銀髪オッドアイの美形すぎて人形じみた少年。

 そして自分は黒髪青目とそこまでは良い物の、幼いながらに既に目が腐っておりやる気なしオーラ全開の年齢詐称疑惑の少年。

 

 誰がどう見てもどう考えても踏み台'sです、ははっ。

 

 同じことを考えたらしい陰鬱なオーラを漂わせレイプ目になっている金髪赤目の少年と銀髪オッドアイの少年とふと目が合う俺。

 

 暫しの時間を経て俺たちは再び互いに顔を合わせ、陰鬱なオーラを吹っ飛ばすかのように頷き合った。

 

 もうそこには言葉なんて要らなかったのだ。

 

 互いに互いの手を繋ぎ既に少年も去った公園へと繰り出し、童心に返って様々な遊びをした。

 全員服が泥まみれとなり、空がすっかり暗くなった頃、心配した俺たちの両親に見つかり盛大にお叱りを喰らった。

 叱られて家に帰るとき、笑顔でまた遊ぶ約束をしあったことは本当にいい思い出である。

 

 もう原作に囚われずに生きていこう、あの少年にすべてを任せようと三人で誓い合ったあの日、どうして今そんなことを態々俺が回想しているのかというと―――

 

 

「神条悠人だ、お前らよろしく頼むぜぇ」

 

 

 過去の俺たちが間違いに気づかずそのまま成長したかのような白神赤目というどっからどう見ても一方通行を幼くしたような少年が俺のクラスに転入してきたからだ。

 

 ちょ、おま、原作組は隣のクラスだぞ!?

 面倒事はマックスに全部任せてるんだから勘弁してくれ!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。