『―――というわけで、明らかにヤヴァいオリ主()が俺のクラスに転入してきたんだけど、どうすればいいかな?助けてマックえもん!』
『知るかっ、お前のクラスのオリ主()だろ!たまにはお前が何とかしろや!』
『そんなー(´・ω・`)』
『……念話で顔文字を送ってくるなんてハイレベル、素晴らしい』
『それほどでも(`・ω・´)』
「(なんでこいつらこんなにマイペースなんだあああ!俺なんて相良が原作組に関わる様に毎日ORENOYOMEコールをして相良と原作組から冷たい目で見られるわ、他のクラスメイトから一歩どころか十歩引かれた対応されて、まだ小学生なのにストレスで禿にならないか戦々恐々してるんだぞコノヤロウ!)」
隣のクラスにいる大地からいつも通り駄弁るための念話が来たかと思えば、新しい問題が告げられマックスは頭を抱えた。
ここ最近は先生からも腫物を扱うような反応をされ、先日朝起きて枕を見たら自慢の銀髪が少し付いていた。
もう踏んだり蹴ったりな状態なマックスに大地が伝えてきたオリ主()という新しい爆弾は壮絶な威力を発揮した。
思わず机に突っ伏したマックスを隣の席に座っている月村すずかが訝しげな目で見てくるのも少々胃に応える。
『それでそのオリ主()とやらは今どんな様子なんだ?』
気合で持ち直したマックスは件のオリ主()の状況を探るべく、同じクラスの大地に問いただす。
対して大地は原作に関わる大きな問題に構わずいつもと同じのんびりとした様子で返答を送ってくる。
『暇そうに机の下で携帯弄ってるねえ。あ、農場経営のアプリだ、懐かしい』
『そこまで報告せんでいいわ!』
返って来た返答は予想したくは無かったが見当違いな回答だった。
思わず念話で怒鳴るマックスにオルガがふと思いついたかのように念話を送ってくる。
『……そんなにカリカリしない、最近マックス髪が薄くなってきた気がするから』
『!?』
『マジデカ、マックスさんお疲れ様でした』
茶化すように追撃してくる大地、しかしマックスにはそんな戯言は気にも留めなかった。
オルガからもたらされた情報がマックスに絶望を与え、何も考えられないほどのダメージを負わせたからだ。
三人組の中で容姿に反して最も良心的な存在であるといえるオルガからの情報は非常に重く、信憑性が高かった。
『え、え、冗談だよね?最近ちょおっとなんか軽いなあとか思ってたんだけど、え、マジで、嘘だと言ってよオルガァァァ』
特攻するMSを止めようとしたアル少年のように悲鳴を上げるマックスにオルガはぽつりと告げた。
『……ウソ、ジョーク、冗談、ついからかいたくなった』
『もう、オルガはお茶目だなー』
『 』
オルガの一言に魂が抜けたかのような状態に陥るマックスとマイペースに笑う大地。
はらりとマックスの頭髪から光る何かが舞ったのは目の錯覚だろう。
呆然としているマックスを傍にいつも通りの会話を続ける大地とオルガ。
暫くすると昼を告げるチャイムが鳴り『またいつもの所で』と念話は打ち切られた。
三人は昼飯は原作組と鉢合わせないようにいつも一緒に中庭で食べることを決めているのだ。
二人からのいつも苦労しているマックスへの細やかな気づかいだったりするのだが、本人は知らない。
ただ、『やっと解放された』と安堵するばかりなのである。
◇ ◇ ◇
「で、例のオリ主()はどうしてるんだ?」
「さっきも伝えたとおり授業中も休み時間もずっと携帯弄ってるねえ。きわめて平和だよ、うん」
「俺の取り越し苦労かよバカヤロウ……!」
「……ドンマイ」
中庭で弁当をつつきながら先程の件で話している三人。
マックスはストレスで食が細いのか弁当を少し残しており、大地が横から手を伸ばして食べていく。
オルガはもそりもそりと小動物が食べるかのように弁当の中身を減らしていく。
このような容姿と正反対の行動からオルガは一部女子から人気を集め、原作組と同じように秘密裏にファンクラブが出来ていたりするが本人たちも露ほども知らなかったりする。
いつもと同じように和やかな時間を過ごしていた三人だったが、その平穏な時間も屋上から放たれた魔力波で終わりを告げた。
一番最初に我に返ったマックスは二人に念話を送る。
『!?今のって魔力だよな』
『……うん、これはざっと目測でSランク程度はあるね』
オルガは冷静に先程の魔力波を解析した。
それを聞いて大地はのんびりと、しかし真面目な声色で判断を下す。
『Sランクか、俺とマックスはBランクだから違うし、オルガはSランクだけどそもそも真横にいるね。相良君は抜き打ちで調べたときAランクだったから除外するとなると、あのオリ主()かねえやっぱり』
『だな、まさか初日でやらかしてくれるとは非常にメンドクサイことになりそうだ……』
この魔力が今日転入してきたばかりのオリ主()と断定した三人は素早く弁当を片付け足早に屋上へと向かった。