頑張ってオリ主君!   作:イイッ↑ッタイ↓メガアアア↑

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飛べない奴はただのホモ

 大地、マックス、オルガの三人がクラブラで盛り上がっている中、海鳴でも腕の良いで有名な槙原動物病院で事は始まっていた。

 昼間の喧騒が嘘のように静まり返った住宅街に赤い宝石を携えた1匹のフェレットを追い現れた黒い獣。

 窮地に立たされたフェレットは藁をもすがる思いで念話を発する。

 それを受け取ったのは心優しい少女と三人組に目を付けられてしまった少年。

 彼らが動物病院へと向かう中、白い影もまた嗤いながら己の歪んだ欲望を叶えるために行動を開始する……!

 

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「って思いついたんだけど、どうだろう?」

「知るかアホ!変な事言ってると掴まってるその手を振りほどいて叩き落とすぞ!」

「オルガえもーん、マックえもんが苛めるよー」

「……ネコえもん役が二人?」

「あら、本当だ。不思議だね」

「お前が言い出したんだろう!?」

 

 ユーノと思しき人物からの念話を受け取った三人は慌てて身支度をして動物病院へと向かった。

 デバイスを持っているのは親が管理局員であるマックスと先祖がベルカ騎士だった大地だけだが、大地のデバイスは初期の初期ともいえる骨董品のアームドデバイスのため飛行魔法を制御するだけの性能は無い。

 そのため大地はマックスの腰にしがみついた状態で移動しており、傍から見ると少し心が腐った方々には大好物の光景が繰り広げられていた。

 ちなみにオルガはウルク王のスペックをフル活用してデバイス無しで飛行魔法を制御して空を飛んでいたりする。

 慢心王は伊達じゃないらしい。

 

「てかなんで最初のユーノのSOSに三人もいたのに誰一人として気づかなかったんだよ!」

 

 マックスは大地が腰にしがみついている騒ぐことへの苛立ちから吠え気味で原作開始の合図であるユーノのSOSを聞きのがしたことに愚痴を漏らした。

 すると大地が知ったか顔で理由を推測する。

 

「昨日は念話で夜中まで騒いでたからね、ボロボロのユーノ君のか細い声なんかマックスの怒鳴り声でかき消されちゃったんだろうね」

「怒鳴らせたのは誰だよおい!」

「……そろそろ静かに、もうすぐ目標の動物病院周辺空域に到達する」

 

 いつものノリで騒ぎ出した大地とマックスをオルガが抑える。

 動物病院の近くに着いた三人は感知能力の高いユーノに見つからない様に距離を置き、オルガが簡単な認識阻害で三人を覆うように張って上空から監視を始めた。

 

 ……どうやらちょうど間に合ったようだ。

 動物病院から突然爆発が起こり二人の人影が転がるように出てくる。

高町なのはと相良竜馬だ。

どうやらあの神条悠人はまだ到着していないか、どこかで経緯を見ているかのどちらかのようで今の時点で介入をする気は無いようだ。

 

「お、フェレットを抱えた高町さんを相良君がお姫様抱っこして走ってる。青春だねー」

「……ラブコメ臭がする」

 

 二人を追って黒い獣が煙が漂う動物病院から飛び出してきた。

 逃げる二人と一匹、黒い獣は獲物をいたぶり遊ぶようなことをしながら彼らを行き止まりへと誘導していった。

 未だに魔法を使う気配がみられない状況にマックスは眉を顰めなのは達を心配する。

 

「おいおい、大丈夫か」

「大丈夫だ、問題ない」

「……わーお死亡フラグ」

「大地には聞いてないんだけどな…!」

 

 俺とオルガがマックスを茶化しているとなのは達が逃げ込んだ行き止まりがピンク色に光った。

 ぺろっ、これは―――

 

「魔砲少女なのはさん爆誕ですね、はい」

「……これで勝る」

 

 あ、黒い獣が吹き飛ばされた。

 これは酷い。

 

「……結局取り越し苦労だったな、帰るか」

 

 魔法を始めて使ったにもかかわらず凄まじい威力を発揮したなのはの砲撃魔法を見て、『もしかしてこのまま踏み台続けてたら俺もあんな風に!?』という嫌な未来を幻視したマックスが滝の様に冷や汗をかきながら他の二人に帰ろうと促す。

 同じくとばっちりで自分たちもあの砲撃を喰らわなくてはいけないのかと考え、顔を青くした二人も直ぐにマックスの意見に賛成した。

 

「だ、だねえ、もやし君も来なかったようだし帰ろう、直ぐ帰ろう!帰ってクラブラの続きしようか!」

「……賛成、大賛成」

 

 一切無駄口を叩かず、行きよりも速く自己最速記録を更新しながら三人はマックスの家がある高級マンションへと飛んで逃げ帰った。

 

 ……家に着いた三人はその後、この強烈な出来事と最悪の未来のビジョンを忘れようとして夜中までハイテンションで騒ぎ仲良く揃って大遅刻をし、各々の担任から大目玉を食らった、と追記しておく。

 

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「ふん、モブにしては頑張ったようだなぁ」

 

 さて、三人の関心の的であった神条悠人はどうしていたかというと実はサーチャーを飛ばして大地たちとは反対の方向からなのは達の動きを見ていた。

 そのため三人組とは互いに気づかずにいたのだった。

 彼は『ご、ごめんなさーい!?』と言って逃走するなのは達を尻目にサーチャーを解除する。

 

「しっかしモブも俺と同じ転生者かと思ってたが、単なるイレギュラーだったみてぇだな」

 

 今回、神条悠人が何もアクションを起こさずに絶好の介入の機会であるシーンを見逃したか、その理由は不安定要素である相良竜馬が一体何者で己の物語にどのような影響が出るか測り兼ねたことだ。

 

 つい最近、原作開始間近に転生したことに気づいた神条悠人だからこそ戸惑いであった。

 

 もし、神条悠人がもう少し早くこの世界の事を知覚し相良竜馬の素性を調べることができていればここでアクションを起こしたし、力を持たない相良竜馬の様に不恰好に逃げ回らず颯爽と助けに行けると本人は考えていた。

 

「ま、モブが何の力も知識も持たないのは確定した、これで俺も心おきなく介入できるってこったぁ。しっかしこのシーンを逃しちまったのは痛かったなぁ」

 

 本来は王道ルートを通ってリリカルなのはの世界を楽しもうとしていたが、今回の件で彼的には王道は限りなく難しい物だと判断した。

 アクセラレータの演算能力を駆使し、己の都合の良いように物事を前提として捉え彼は彼にとって一番面白い絵を描いていく。

 そして、暫く顔を伏せ思考の海に沈んでいた彼は突然顔を上げ赤い瞳を輝かせた。

 

「しゃーない、これも転生の醍醐味って事でぇ」

 

 

―――時の庭園、行くとするかぁ

 

 

 何も家具が置かれていない窓もない空虚な部屋、けたけたと嗤い声が響いた。

 

 盲目の白きモノは一歩一歩と闇の中を迷わず躊躇わず歩んでいく、その先が彼の思い描いた物だと信じて。

 

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