形代の呪術師   作:夢食いバグ

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おしまいおしまい


交流 3

仕事用に少し服を整える。

 

この服は堅苦しくはあるが、ちょっとした休日用だけあってかなり緩くしてある………戦闘時にはダボダボすぎる服は向かない。

 

毎回着させられる時はに2、3人でしないととてもじゃないと出来ない服装だが、その後の簡単な調整ぐらいであれば僕一人でも出来るようになんとか練習を繰り返して慣れさせた。

 

見た目は地味な割に色々手順など色々多くて面倒くさい服だ、ちゃんと着れば動きやすくはあるけど。

 

「はぁ休みなのに、仕事入れられたんだがやっぱりろくなこと無かったな。」

 

一人で整えながら、ぼやく化粧室に行く前に家の者を一人ひっ捕まえて本当かどうかを聞いたら本当のようで…………

 

なんというか疲れる。いつも疲れて入るけど、体じゃなくて心のほうが。

 

「仕方がない、本当に権力なんて無いに等しいからないくか。」

 

お飾りというがなんというか、崇め奉りはするがそこに個が存在するとはあんまり思われてない感じがある。神様へのお祈り、遠い存在そうだからこそ。

 

ただそこにアリ 見ているだけ。

 

まぁ僕にとってはもうどうでもいいけど、そんな事を思いながら玄関へと長い長い廊下を古い木造建築特有のギシギシと音をたてて向かう。

 

壊れてるわけではなく、防犯目的があるということをなんとなくテレビで流れていた番組の内容であったなそう関係のないことを頭の隅に浮かべていた。

 

「戻りました、さっさと済ませましょう。この時間なら一箇所ですよね?」

 

玄関から出ると、伏黒恵と五条悟が車の前で待っていた。運転席にいるのは家の者だろう、さっさと終わらせよう。

 

呪力を取るのは気分が悪くなる。

 

だけれどもそれがこの名に与えられた、家から決められた役目としてあるのだから。どこかに行こうとしてもこの体でどこに行けるのだろか?

 

車に乗り込む。

 

いつもの車だ、座る場所も同じ。

 

「うんそうだよー、本当はもっと回りたかったんだけどねー流石に無理だったわ。恵も同伴なのがまずかった?」

 

車に乗るとき五条悟から発された言葉に伏黒恵が、怪訝な表情をした。突然の、呪霊退治だそんなふうにもなる。

 

あと一箇所なのは、体裁を保つだけで突然来て仕事取り付けた奴相手には結構な温情だと思う。

 

そう思いながら窓の外を見た、日が暮れ始めているつく頃にはもう夜になっているだろう。

 

「……………」

 

「それ以前の問題では?」

 

取り敢えず、伏黒恵が同伴だから巡れないことを否定する。それもあるとは思うが理由の大半は突然来たことそれのみである。

 

そこらへん反省してほしい。

 

「なにか言った?」

 

まぁ五条悟には無理だろうが。

そういう人間なのだから、きっとこの精魂が治るとしたら霊的に生まれ変わる以外に無いのだろう。

 

呪術師として狂気に呑まれず務めていられるのは大なり小なり、こういう性質だ。だからただでさえ素質を持つものが少ないのに更に減っているのだろう。

 

すべての物事は悪い方を水準に合わせられるものだ、桶だって横に穴が空いていたらその穴の高さまでしか水は入らないそうそれだけのこと。

 

「今日行くのは集合墓地しかも、手入れ放棄されてるやつ何か田舎って感じの場所だねー

 

放棄されてるとか人減ってるの極みって感じで、まぁそれなりに人は来るみたいだけど肝試しとか遊びでね。」

 

五条悟は、移動中手持ち無沙汰なのか今回行くであろう場所を話し始めた。それはどこかつまらなそうで………当然ここに強力な呪霊が現れそうな場所など、思いつかない。

 

継木家の周辺でそんな呪霊が発生しそうなところなどそんなものしかない、人が少ない所に構えているのだ。都心とは逆の意味で比べ物にならない、田舎と呼べるのかすら怪しい。

 

村すらない廃れた土地だ。

 

昔の栄華も何もかも忘れ去られた、その後の残骸しか残っていない。そんな物だ。

 

「伏黒君もさっさと行きましょう。完全に巻き込まれた形になりますが面倒な仕事は早く済ませるに限ります。」

 

ボーと外を眺め続けると、静かに停止したことに気が付き直ぐに降りて袖から呪具を取り出す。

出ると呪力の気の強さを肌で感じた、心臓に水を垂らされている気分だ。

 

冷気含んだ夜の風で、頭を覚ます。

 

終わらせよう、今回はいつくも回る必要はない。そう思い込ませ伏黒恵に声をかける、するとそれに反応を返すように影絵を作るような素振りをすると

 

「そうだな……………玉犬、まだ弱いですけどコレで。」

 

黒い黒い闇から狗が二匹いつの間にかもとからそこにいたかのように、光を示すような白と影を示すような黒の毛皮を纏って出てきた。

 

これはきっと禪院家の相伝十種影法術なのだろう………やっぱり伏黒恵は禪院家関係なのだろうか。

無理やり血縁辿られて引き取られそうになったとか?御三家は相伝至上主義みたいな部分もあるし。

 

まぁもし強い術式が途中で生まれたらそれが相伝として格上げされる事例もあるにはあるだろうけど。

 

「その必要は薄いみたいですね、流石というかなんというか。他称も自称も最強は伊達では無いですね、なら早く終わるかどうかは僕次第ですか………

 

少し時間かかるかもしれないです。」

 

伏黒君はピリピリしてるようだけど、五条悟は一瞬で出てくる呪霊を蒸発させていく。

そこに戦いではない、純粋な殺戮というよりはもはや当たり前という現象と言えるほどに…………最強をありありと見せつけられるようだ。

 

呪霊相手の時間は計算しなくていいだろう、後はこっちがどれだけ早く呪力を取れるだけ。

 

「無理はしなくていい、無理させてるのはむしろこっちの方だからな。」

 

表情で察されたのか、伏黒恵がこちらを心配してきた。確かに休みの時に来ているから、休まってそれなりに回復した時ではない………

 

本調子とはいかないか。

 

「うんー?少し弱い呪霊でも残したほうがいい?でもまだねー恵式神出してるみたいだけど今はまだ僕の戦ってるとこで学んでて。」

 

「呪霊のこしたほうがいい?そんな事ありません、むしろ漏らさずお願いします。僕だけじゃないので………最低限の自衛は今学習中です。」

 

そんな中、五条悟は淡々と呪霊を倒していく。軽口を叩く余裕も有り余ってるのだろう。あぁ足取りが重い、歩くときにジャリッジャリッと土と石が混じり合った音が響く。

 

「なぁ継木、その武器はなんだ呪具か?」

 

「………その通りで呪具です、本体は柄だけなんですけどね。まだ伏黒君の術式みたいに使い慣れてなくて。」

 

そんな時に伏黒恵がこちらを覗いてきた、コレが気になるのだろうか確かにあまり見ない呪具だろう。

 

伏黒君は、多少でも呪術師の生命線の一つでもある術式を晒したのだこっちも手を明かさなければ不平等だと思った。

 

「戦うのはお互い今時点では殆ど経験なしか…………柄が本体の呪具か、初めて見た。」

 

「ちゃんた刃物見たいな見た目ですけど、物は切れないんですよねこれ。

 

すり抜けるんです、でも式神は呪力からできてるので気をつけてくださいね…………うっかり玉犬二匹に怪我させてしまったら。」

 

物が斬れない呪具、呪いを斬る呪具。

 

刀身は恐らく呪いを、扱える才があるものしか見えないだろう。物質に付属しているのではなく文字通り呪力のみでできているのだから。

 

…………正確に言うなら斬るというより、固まった呪力を溶かす方が近いのかもしれない。性質を変化させられた呪力を元の只の呪力に戻すのだ。

 

式神は呪力のみでできているからこの呪具は、かなり危ない代物だろう。

 

「…………………わかった、玉犬はお前の持ってる呪具から少し離す。」

 

「そうしてくれると僕も安心です。」

 

呪力でてきているとはいえ、動物とかは斬りたくない。呪霊もできるなら斬りたくない、正直戦いたくない。そんな思考を喉で殺しながら懸命に表情を作る。

 

「二人して結構話してるねぇ話でもあった?」

 

僕達二人が仲良さそうに見えたのか、五条悟が嬉しそうにどんどん進んでいく。

仲良くというよりは、なんとか二人して空気を取りまとめようとしているような感じではあると思うのだがやはり精神の構造自体が違うのだろうか? 

 

伏黒恵も、僕も真っ暗な夜の中おいていかれないように必死に追いかけていく。呪力にあてられ気分が悪いがこれで終わりだと思えばなんとか休まずに行けそうだ。

 

そうして暫くあるき回るうちに、五条は六眼を開けて周囲を見渡した。

 

「やっぱり継木は、僕の目から見ても凄いね溜まり淀んでた呪力がすっからかんだ。

 

吸い取るだけでも、結構な事なのにこの量となるとね僕も驚き。」

 

そうすると、手を叩くパチパチとした弾ける音がする。白々しい、けれども呪力が見える眼で見ているのだから文字通りすっからかんなのだろう。

 

適当な部分が多いが、五条悟でしか見えないモノには価値がある。

 

「なんですかその白々しい拍手は面倒です、気分が悪いので早く車に乗り込みますね。一箇所だけなので……もう真夜中ですしね、一泊だけしてあとは帰ってください。」

 

もう虫すら鳴かない真夜中だ、五条悟はどうでもいいが伏黒恵をそのまま返すのは忍びない。

 

風呂と寝床を貸してから朝に返そう………きっと僕の意見でもそれぐらいなら家の者は聞き届けてくれるだろう。

 

「やっさしーねぇ」

 

「五条さんは反省してください。」

 

伏黒君とは、五条悟についての愚痴なら確実に話が合うだろうな。

 

***************

 

俺は、結局日帰りにはならず朝継木家を出ていくことになった。夕食もご馳走になって、帰りに継木家当主 継木 櫻 から何日分かになりそうなカステラや羊羹煎餅等など大量に袋に入れて渡してきた。

 

雑多に入れてはいるが、かなり格式が高そうなお店の物だろうと素人ながら分かる。

 

お菓子を渡された時、直接玄関まで出向いてきた彼はとても申し訳無さそうにしていた…………

 

断るにも断りきれず受け取ったが………この大量の菓子や開けていた時間を津美紀にどう説明しようか、とそんなことを考えていたときに。

 

「恵継木家当主見て、どう思った?」

 

俺の目から見た、当主の印象などを聞いていた。俺としては悪い人間ではないとは思うが………

 

「病人としか思えませんでした。ちょっと触ったらポキっと折れてしまいそうな。」

 

力があるとはいえ、とてもそれを負担させるようなそういう人物には見えなかった。自分の意志でやってるように見えないのだ、だけれども無理やりされてるようにも見えない。

 

もしそれを表す言葉があるとするならば、選択肢を与えられずいやそれを問う前に奪われきってるような。

 

俺にだって選択肢はあった、実質無いに等しいものだったが………

 

「あーそれ僕も思った、前見た時よりもほんのちょっと体の方はマシになってる様だけど。それ以外何か悪化してない?目つきとかアレ年頃の小学生のやつじゃないってー

 

それはさておき、アレが継木の力ってのは分かったかな?聞くだけじゃ伝わりにくいと思ってね。」

 

五条悟は、笑いながら肯定した。

 

その後に俺を連れてきた本当の目的であろう、継木の当主の力について聞いてきた。

 

「その為だけに連れていったんですか。

 

確かに嘘ではありせんでしたね、呪力を根こそぎ持っていくって話は。あの場自体に溜まりきった呪力が探そうとしても感じ取れないほど無くなっていた。」

 

確かにあれは、直接見たら異常現象という他ならなかった。まるで空間の呪力が栓の抜かれた風呂の水のように当主の元へ吸い取られていくのだ、呪力は五条悟のように見る事は出来ないが。

 

継木の仕事が終わった跡は、何もなかった。文字通り五条悟が術式や呪力を使った痕跡である残穢も俺の残穢も何もかも呪力の全て。

 

「あんなのトンデモ現象だからねぇ、僕も先代の継木の呪力を集めるところ見るまでそんな事信じてなかったし。見たらすぐにわかったけど。」

 

「呪力を呪霊という一つの形となって発生する前に場所から取り無くしてしまうか………」

 

聞いた話だとアレを何十箇所も巡って行っているのだろう………呪霊の発生を前の時点から抑える。その仕組みが分かった気がした、生まれる前に祓っているのだ。

 

…………釣り合いは何処で取っているのだろうか、アイツのあの病人のような様子がこの代償か?

 

「実際それで、やった場所からは呪霊完全に発生抑えることは出来ないけどかなり発生率減るんだよね。

 

あっちへ行ってこっちへ行って、ある時は呪力発生させてそうな悩みある人集めて人から取ってとコツコツコツコツ毎日毎日ジミーな作業繰り返してるワケ。」

 

真面目な事だよねぇ、と何処が呆れたように言った。何かを祓う実感もなく呪力を奪う。

 

それはとても虚無に溢れている行為なのだろう、それをずっと続けている。

 

「普通の呪術師でも人手不足で、休み殆ど無いのにそういつもの取れないな………学校にも行かなくなったと言っていた。」

 

「呪術界では、継木家当主はこう言い換えられる事がある。呪いの身代わり、善き生贄、呪いの受け皿、呪いの放棄先、優秀な形代、呪われた血などなどとね。

 

継木家当主として据えられた瞬間否応なく呪力を吸い上げるためにお役御免……死ぬまで、人生缶詰確定ってコト。

 

いやー僕から見ても酷い酷い。呪術家は糞なの多いけど、また別方面の糞だね。利用しているという認識なんてしておらず奇跡だ功績だと崇めてるのが尚更質が悪い。

 

まぁそうしないと純粋に呪霊の数今より確実に増えるからね、今の数や強さの質で済んでるのは継木の影響は確実にあると思うよ。」

 

「………………………」

 

やっとわかった気がした、分かっている気になれた気がした。あの継木は近くにいる人間に、人として見られていないのだ。

 

それは決して蔑まれて行われるものではなく、寧ろ崇められ讃えられ行われているのだ。五条悟の言うように質が悪い、純粋な劣悪な悪ならばまだ救いがあった。

 

追い詰めているような行為が、呪術的に呪霊を無くす善でもあるのだ。

 

そんなモノを表す言葉なんて。

 

生贄

 

しか思い浮かばなかった。

 

「でそんな家の当主の唯一言っていいほどのモラトリアムが、呪術高専に通う4年いや3年間………同年代との交流や自衛手段を高める目的でもあるみたいだけど。

 

僕が聞いたところ東京高専に行くことになったみたいだから、恵も良くしてやってね。」

 

「それ完全に行く場所指定させてますよね?」

 

何処に向けるのかも分からない感情に口を噛んでいた時に、東京高専に行くと五条悟は話した。

 

あの席を外したときにこの事も話したのだろうか、…………ひょっとするとあの呪霊退治を急に入れたのもコレを誤魔化すためだったのかもしれない。

 

「嫌だなーちょっとオネガイしただけだよ。」

 

「…………………」

 

「そんな顔しないでよ、恵。」

 

「貴方からのオネガイなんてほとんどの人間からしたらほぼ命令みたいなもんですよ。」

 

俺の禪院家行きを止めたのだ、継木家は当主は東京高専か京都高専に行く事になる。それをどちらかにするかなんて五条悟の力を使えば朝飯前だろう。

 

「ヤダ俺ってそんなに強い………

 

まぁ最強だからね☆

 

戦いだけじゃないのさ。」




五条がしたかったこと

伏黒恵と継木櫻の顔合わせ

伏黒恵に継木のちからを見せる

継木櫻を京都高専ではなく東京高専へと進路固定

どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)

  • 継木&虎杖
  • 継木&釘崎
  • 継木&伏黒
  • 一年ズ+継木
  • 継木単体
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