今回はかなり長いです(毎回5000から6000あたりまでが目標だけども無理やった。)
「今日が、顔合わせの次かぁ………」
最初にあった時と同じ服に着替えさせられ、湯気が立ち上る淹れたばかりで温かいことが、見てわかるお茶と一人前に切り分けられた羊羹がある和室で待つ。
お見合いと言っても、ほぼ両家にとって確定事項のようなものであるがお互い形式を格式を気にする。僕や真依さんの年齢だと、法律的に結婚はアウト。
大丈夫な年齢となるまで、イイナヅケで放置しておくってのがセオリーだろうか。
「結構間空いたな、仕方ないか何処もかしこも呪力貯まるし………普通の呪術師と違って呪霊発生してからやる訳じゃないから繁忙期閑散期なんてないに等しいし。」
僕の顔見て誰だこいつとか、言わないだろうか?特に劇的に変わってる訳じゃないけどいつも通り白髪増えてるし………頭に円形脱毛で十円ハゲできてないだけマシか?
もしできてたら、丸刈りにするぞ?
こんな時ぐらい髪染めしとけばよかったかな………面倒くさいけど、かなり時間空いたからなぁやっと作れた暇に打ち込んだような構図だし今回
繁忙期とか、休みの緩急がなくいつも何かしら入っている。県外とかの今まで出来なくて貯めていた物が減れば少しは違うだろうか………高専に行けるって話は聞いてるし。
「ここで待つけど………来なかったら来なかったで良いか、僕か真依さんにナニかを思い伝えることはしても。
この状況も何もかも全て、真依さんの意思なんて入っていないから。」
ボソリとつぶやく、庭からカコンカコンと一定のリズムを取りながら響く音が聞こえるほど長く静かだ。
家の者も近くにはいない、いたらいたで鬱陶しいことが多いので別にいいが。
「(ねむい………昨日寝たはず何だけどなぁ、いつもと違って。)」
最初の頃は家も、気分が悪かった今でも気分悪くなるし気持ち悪く苦しくて仕方が無いがヨソへ行くよりはマシだと感じる。呪力の漂う量の違いなのだろうか………
結局人なんてすべて相対的に評価するものだ、楽だからといってここに留まらなくてもいいなら、なるべくなら出て行きたいと強く思うが。
「………………………」
真依さんもきっとそうなのだろう。
「いらっしゃいませ、継木家へ。当主継木 櫻です、今日はごゆっくりリラックスしてお過ごし下さい。
気張らなくても大丈夫ですよ。」
勝手な同調に過ぎないが、襖を開けると綺麗な着物を着ていた。
肩につかない程度に整えられた髪に髪飾りをつけている。此方の黒と白だけの服とはまさしく正反対だなと結納の儀と考えるならあちらのほうが服装的にはあっている何となく思いながら。
僕の正面にある座布団に誘導した。
「では遠慮なく失礼します。」
「今日は仕事はないので、途中で上がることは無いです。前回は早めでしたしね………話題がないと静かですよね。」
その場で座り、お互い何気なく話を進める。
禅院家の時よりは、話しやすいことも多いだろう………かなり継木家はよくも悪くも異端な部分が多いことはお互い分かっていると思う。
「………毎日毎回欠かさずに、手紙書いて送られてきたことには、私驚きましたよ。」
コレの発言も本来なら不敬と、裏で一喝される物となるだろう。只の感想で想いなのに。
やっぱり呪術ってろくなことないな。
分かりきってたけど。負の感情を操り扱う、呪力が強大な方がいいならそれを生み出す環境も悪い方が負の感情は溜まりやすい。
呪術師を生み出し集団として纏められるほど数を身内の内々で確保しているなんて、それ相応の悪環境。
いくら子を生み出し、いくら子を捨ててるのだろう。そんな事を考えてもどうせ絵空事の一つとして数えられる。
「こうしてお会いする機会が、僕の関係もあって少なくなってしまって………後僕こう見えても割と人並ですし?」
「どうしてですか。」
「あくまで継木家当主として据えられているってだけで、人と何ら変わりがないですし。
人と話がしたい、僕の事覚えてほしいとかそんな単純な願いが多いんですよ。大体の人は継木家当主が先に来て萎縮してしまうのが多くて。
普通に話せる知れないだけでも嬉しかったんです。」
当主として据えられる前、おじさんと色々お話を聞いて寝ていた。名前すら忘れた学校で、友達と日常を過ごした。
親はいない知らないけど、ありきたりな3行で済む平穏な日々を過ごしていたと思っている。
今こうなっても呪術の世界に足を踏み入れることを余儀無くされても、奪われたとは思ってはいない。正直仕方が無いことと思うより良い感情の処理の仕方が分からなかった。
真依さんのほうがそこらへんの呪いには、長く触れているだろう………だけれども慣れるとか慣れないとは別問題本人自体の気質だ。
僕的には慣れないほうがいい、触らぬ神に祟りなしとは言うが悪いことに慣れると毎回ソレが基準になる。段々と基準自然と下がっていくこととなる。
最終的には幸せが分からなくなる。
ソレが、苦痛への慣れの代償。
「変わってますね。最初に会ったときから、手紙の時も思ってたけど。」
そう言うと真依さんは、目を細めて変わっていると話した………。人それぞれ変わっている部分は当然あるが、口に出されるとはナニかがよっぽどなのだろう。
「そうかな?」
呪術師としては、一般よりな性格は持ってるきはするが………手紙だって僕個人をしって貰うためにはまだ情報不足になるだろうし。
「はっきり言って呪術師に向いてないわよ、私が言うのもなんだけど。庇護がなければ、呪詛師や呪霊にとっくに殺されてそうに見える。」
………それは、僕でも思っている。
非呪術師で呪霊も見えなかった、あの頃を今でも追想してしまうのだから。もうモノクロで、色褪せてるのに擦り切れたテープを再生するように何度も何度も。
呪術師としての強さも、あるはずの記憶の引き継ぎが行われていない……継木として積み上げてきたものが無い状態。
庇護が無ければすぐに死んでるだろう。笑えてくるよね本当に、呪力を吸い上げる勝手に与えられた僕を苦しめているであろう性質故に生かされているのだから。
「やっぱりですか。」
「……………………」
僕がそう呟けば、真依さんは口を噤んだ。お話することは楽しいのでこうなってしまうのは悲しい………こういうふうにさせようとしている訳ではない。
笑い話ぐらいにはなるとは思ってたんだけど、そもそもそんなに重くなるようなものでもない気がする。
人の気持ちなんて分かるわけがないけれども、分かってたらソレはきっと個人ではなくなってしまうし。
「正直僕今譲れないものが無いんです、多分呪術師として向いてるのは大なり小なり譲れない物
金でも、自由でも、大切な誰かでも、生き方でも、自分自身でも
何でもいいそれを持ってる人だ思うんですよ。付き添ってくれた呪術師達を見ての勝手な僕の、思い込みですけど。」
正確には譲れないもの自体は僕にもあるが、名前を忘れないことはきっと、呪術師として生きる為呪術師として強くなるための核には繋がらない。
強いて言えばこうやってまだ最後まで人と関わっていたいが呪術師として自身の存在を強くしたいに繋がるかもしれないと感じる。
きっと名前を忘れるなというおじさんの言葉は、僕をこの世界に繋ぎ止めてくれる杭の一つであるから。
その杭が多ければ多くなるほど、僕という一つのあやふやな思考が安定するのだろう。
「そうね、貴方にはそういう人が向いてるって思うのね。私は…………どう言えばいいのかしら。」
真依さんは、目を開けて此方を見る。言葉は真依さん自身に言っているように見えるか………本質は此方への問いかけ。
なのだろう、僕も真依さんのことは知らないことばかりだ。だから対話をもってお互い理解した気になるしかない。
「………そういう答えは早く見つけなくてもいいんだと思います、僕が言ったことだって 今 の僕が思った事なので。
そういえば、お昼頃でしたね。お話に霧中になってすいません、手紙だけで直接話すのは久しぶりなので。
家の者に用意をさせます。苦手な物等は………ありませんかね?」
互いが互いに分かり会えるなど、そんな事はない幻想はもう見ることはなくなった。だけど歩みよりをする価値は変わりはしないそう信じている、だから真依さんのことを分かりたいし分かろうとしている。
身勝手で何処までも傲慢だ。
あぁ本当に吐き気がする。
**************
初めての継木家に、行った。
まったくといっていいほど、よくみられる低級の呪霊も辺りに漂う呪力すらここは外界とは違うと無言で圧力をかけるかのように無かった。
呪術家なら、呪力は多いはずなのに……いや普通に人がいる空間ならば呪力は少なからずあるはずなのに。
意思なく全員死んだかのように。ぽっかり突然消えて物だけ残ったかのように。
あの世というものがあり。人が認識できるのならば、こんな感じなのだろうか。
「禪院 真依様ですか?お待ちしておりました、当主継木櫻様の元へご案内いたします。」
私がそのある意味異様な景色に呆気を取られていると、継木家の女中らしき和服の女性が声をかけた。
そこの声は生気があり、見た目も全くやつれた様子はなかった。それだけでも女性の扱いとかもここでは違うのだろうと区別できた。
最初から分かってはいたが、継木家は他の呪術家と同じに見てはいけない事を改めて認識する。
「本日はよろしくお願いします。着いていけばよろしいですかね?」
案内してくれるであろう彼女に、頭を下げて案内をお願いする。きっとそれは禪院家の特に男の前でやったら、格下の家に頭を下げるとはとどやされるだろう。
きっとその行為は、彼女への感謝ではなく誰も見てない所で行う自身が産まれた家に対する意趣返しを多く含んでいた。
「凄いですね………」
そして今………目の前には、懐石料理ではない西洋の食事が広がっていた。
案内され、こじんまりとした部屋で暫くゆっくり話していたのだが昼時だと言われ。簡単に苦手な物とか無いかと聞かれ、その後しばらくしてから出されたのがコレだった。
「そりゃお客様ですし、家の者も張り切りますからね。いや洋食方面に行くとは僕にも思いませんでしたが。和食の方が良かった………ですかね?」
しばらく目の前の料理を見て、彼はう~んと悩んで私に聞いた。
私としては、家でずっと出てくるような味のしない精進料理じみたものが出てこないだけで和食でも洋食でも中華だろうと気にはしない。
洋食とか中華とかは、口にもしたことが無いから味の想像が全くできない。
「家では、精進料理みたいなものばっかりだったので新鮮ですね。」
「精進料理好きなんです?」
「嫌いです。あんな味がしない料理。」
「そうですか、ならゆっくり頂いてください。スープとかならお替りありそうなので。」
目の前の、彼はニコニコ笑って。スープなら代わりがあるといい。私の顔を見た、その時に空気にどことなく流されそうになったが………
「あの継木櫻さんは?」
私の分しか、昼食として配膳された物が無かったのだ。彼のスペースはカランと何も無い。
それについて彼に聞いた。
すると、バレたかーとお茶目で誤魔化すように頭を少しかいて。困ったかのように目を伏せた。
「あんまりお腹減らないんですよね、食べきれないので昼食は取らないことにしてて。
あっでも朝食はちゃんと、頂いてるので問題ないですよ。今日も元気です。」
「お客様を安心させるのも、当主の仕事では?これでは腹を壊しそうです。貴方が、スープの一つでも飲んで下さればある程度安心できるのですが。」
「!ぁっそうですよねすいません、急いで貰ってきます。」
お腹が減らないと本人がいって余らすのが勿体ないから、と言うのは良いとして。
私だけ、というのがどうにも居心地悪い。食卓という言葉があるようにそういうのも一種の習慣だ。
居心地の悪さを軽くするために少しでもいいから、取らせよう。
そう思い、毒味が無いものは食わないとそういう類の発言をすれば。
アイツはすぐさま、さっき余っているといったスープを取りに急いでかけていった。
それに…………
「あの死人ギリギリの病人みたいな体見てると、こっちがヒヤヒヤすんのよ。いつもどういう生活してるんだか………」
見ているといつ折れるのか、心配になってしまう程見るからに痩せ細っている。骨と皮だけで肉がなく、生きている。
生 と 死 の合間を自らの身体を持って、体現している様に。
いつも着ている服も その事を前提に 造られている、そんな気がしてならない………
「(元気というより、辛いのに苦しいのに慣れすぎて嬉しいとか楽しいとかの感覚が麻痺してるだけでしょ。)」
「…………お帰りなさい。」
「おそくなってすいません。じゃあ飲みますね、大丈夫です温かいです何も入ってないですよ。真依さん。」
私が、彼を外に出したとはいえ割とたどたどしく何処から慣れないように入って正面に座った。
そして手に持った器には、持ってきたスープが入っている。
そしてそれを一気に毒酒だとわかりきっている液体を身体に入れるかのように飲み込んだ。次の一言には、温かいと何も入ってないと言うことだけ………
普通少しぐらいは味の事を言わないのか?それともアイツの思考が独特なのか。
「…………頂くわ。」
「えぇごゆっくり。」
でもこれで、私にはこの状況を断る理由はなくなってしまった。スープをゆっくり飲むと思いこんでいたのだ、気まずいことには変わりがないが仕方が無い。
「ご馳走さま中々だった。」
………とても美味しかった、こんな場所じゃなかったら一品口に入れる度に騒いでお姉ちゃんにきっと注意されていたと思う。
今まで口にしたことない料理ばかりで、戸惑いが多かったけど………
只牛肉を焼いたもの、色とりどりの野菜を寒天のような物で固めたもの、生地で魚と香草が包まれたもの、具が入ってない琥珀色のスープ、黄色みがかってたお粥に似たもの、滑らかな茶色の氷菓
そのどれもが、技巧を凝らした逸品だと分かる繊細さと美味しさがあった。
お姉ちゃんにもコレ食べさせたかったな、そう思いながら口を用意された布で拭う。ガツガツ食べるのは、品が良くない事は分かっている。
スープ余ってるかもという思考が頭をよぎるが……辞めておくことにする、純粋にはしたないと言う事もそうだが私個人として食い意地がはってるようで恥ずかしいという思いがあった。
「……………まだ時間ある見たいだけどうするの?私なにも出来ないけど。」
私は、すっかり空になった膳を見てから彼の方を見たする。彼は少し考えるようにして………この部屋から太陽を見た、そしてその後何故覚悟を決めるようにひとりでに頷き切り出し。
そして一つの呪物らしきもの袖からを取り出す………呪力が全く無いから気が付かなかったが見ただけでも禍々しい雰囲気を漂わせている。
ナニカの死蝋
人の指の形はしているが、人の物とはとても思えない悍ましいナニカ。
「あぁ確か真依さんは、見たことなかったでしょう?僕が継木家当主と呼ばれている理由。いや継木家当主としてこの家に据えられている理由。
大したことじゃ無いんですけどね、呪力がある程度分かればやってることはすぐに分かりますよ。仕事は入れない様にとはしてたんですけどね………
本来よりは少ししてる行動ズレますけど、見ている事そのものが人か土地になるだけなので。」
よく見ると膨大な呪力の流れが、彼にすべて流れてきている。あの得体の知れない呪いをその身で全て受け入れている。
「(何よアレ……まるで……。
あれは祓ってるなんて、言わない。呪われているという方がよっぽど)」
「ぁっ…………」
「すいません気分悪くなりますよね、家の中ご案内するのはまた次にしましょうか
禅院家よりは比べ物にならないですけど、しっかりはしてるので…………」
「今日はこれでお別れって事ね。」
最後にとんでもないものを見られた見せつけられた気がする、あの呪物もそしてその強大な呪いを自らを生贄のようにして受け流す事も。
呪いの方向性を自らに絞り込む、それが継木家当主としての素養なのだろう。そして………使い潰される。
「そうですね、あっコレコレ今日の手紙です。会うのだから直接渡したくて………」
「んっありがとう。」
「真依さんからの、貰ったお手紙も大切にしてます。ちょっと手紙書き始めてから、色々書くために見るようになったんですよ。あの花綺麗だったなとか、店の品物新しいの入ってたんだなとか…………
それをくれたのは真依さんです。」
…………そんな恐ろしさや得体のしれなさよりももっと根本的なこと。
「………………重いっ!」
私は継木櫻を哀れだとは思わない。
「???」
「色々としてる行動とか感情がひたすらに重いのよ!悪意がないのは分かってる、だけどね………
何事にも、限度ってものがあるのよ。
悪意も!善意も!
受け容れられる限度ってものが。」
それを哀れの一言で切り捨ててしまったら、そこにある彼自身の呪いはどこに行くのだろうか。久し振りに思いっきり声を出す、慣れなくて喉が痛い。
彼を見ていると、今まで私自身の為に殺してきた声が喉から怨嗟の声を上げて出てきそうになる。
「限度………?」
「確かに、人にしてもらった事だったり教えてもらわなきゃ分からないかもしれないわね。特に貴方なら、だってそういう思いしたこといや………
はっきり出したことないでしょ。
イカれてるわよ、貴方の継木家。」
彼はびっくりした表情をして疑問符を浮かべた。コイツは呪力と言う名の悪意をずっと際限なく受け入れることを余儀なくされた。
そしてこいつの家は、ソレを歓迎し奉っている。同等のクソな家だ。
「いや僕は……………あれ?」
反論を返そうと、彼は口にしようとした時にぽとりと水が落ちた。彼は泣きながら笑っていた、守っていた物が壊れたのかそれとも付き物が落ちたのかそれはよくわからない。
「やっとちゃんと泣いたわね継木櫻。感情が読み取りにくくて分かりづらいのよ、笑った時も能面みたいで。
そう言う風に、笑って、泣いて、怒って、生きなさいよ。今の貴方私は会った中で一番好きで素敵だと思うわ。」
………私は彼の対等であろう。
思いっきり喧嘩して、くだらない事で笑って、必要なことをつまらないと無視して。
そんなのでいい。
立つ場所は違う、こっちは女でバカにされる。そっちは勝手に祭り上げられ利用された。
でも、感情まで栓をしてあいつらにお互い尽くす必要なんて全く無いのだから。
次話主人公の現在の設定を挟んでから現在時空に移ります。0話とか玉折あたりの物はそのうち番外章として挟むつもりです。
因みにあの呪物は皆さんご存知のアレです、封印が間に合わないので一旦呪力吸い取って貰う応急処置してもらう為預けられたイメージ。吸い取ったらまた高専にリリースされます。
どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)
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継木&虎杖
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継木&釘崎
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継木&伏黒
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一年ズ+継木
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継木単体