「コレが本題の6人の生贄を投じられた橋だ、後で検証のため渡ることになるかも知れないが………それは最後の最後の手段だ。
分かってるな?」
「呪力量の放出が凄まじいですね、そりゃ禁足地になりますわ。………あの指ほどじゃないにしても、今の状況も十分に不味いですけど。」
道を完全に登りきり、無意味に放置されることとなった橋を間近で見る。淀みの中心点となるものであるが………ずっと感じてきた嫌な予感妙な違和感が思考に亀裂を作る。
ここまで来た中で本当に見落としは無いのだろうか、拾い溢しは無いのだろうか。
コレだけを無くすだけで、終わるのか。
事実もないまま、予感は自身の中で確証へとじわじわと変質していく………なのに当てはまる部品が足りない。
膨大な呪力それだけに注視してると、物事の本質が本来見るべきであったものが見れなくなりそうだ。もし僕が思う嫌な予感の通りにもう一度生贄が投下されていたのなら………
「あの特級呪物に上回る呪物がもしあったら呪術界崩壊するぞ、呪術全盛期に倒せなかった呪いのなれ果てだからなあの指は。
そう言っても今の状況が、不味いのは疑いようもない事実だ。なるべく持ち越さず本日中に事を終わらせた方がいいな。
………継木顔がすごいぞ、怖気づいたか?」
くるくるくるくる同じところを回るように、考えていたら。学長が真剣にでも何処かからかう様な口調で僕に話しかけてきた、怖気づいたかにそんな事はないですと言い返してみたい好奇心もあったが………
正直に言えば、この己のうちにあるものはきっと怖気にも近いものではある。ぴったり意味が当てはまるなんてコトは無いんだろうけど。
学長から渡された調査情報のメモを少し見返して、ちゃんと折りたたんでからポッケに再度入れた………渡された呪骸がグニィッとして少し行動には出てないとは思うがビクッとした。
我ながら今の行動物凄くカッコ悪いな………バレてないと思ったけど学長少し震えてるけど笑ってるよねコレ只寒いだけかもしれないけど………なんでもいいやもう。
「それには、僕も完全に同意見です。ちょっと舐めていた部分がありましたね。今まで安定感していたと聞いていて不安定になったらコレですか。
とりあえず要を見つけることにしましょう、生贄が捧げられていた場所は彼方ですかね。こういう物って、バラバラな地点でやるイメージでしたけどまとめてやったんですか。」
とりあえずメモで確認した内容の通り、あの呪物の要になってそうな地点に足を向け地面を蹴った。
そこにいたらしい虫が危険を感じたのか、ぴょいぴょいと僕達が向かおうとしている所の反対側に逃げていく…………そして暗い暗い夜の完全にその一つの虫は見えなくなった。
なんとなく目で、その虫を追っていた。嫌悪感を感じそうな見た目をしていて妙に記憶に残った。
虫よけのシール結構貼ったのにな、とか思いながら何処か飽きたように淡々と進む。
「口減らしも兼ねていたんだろう、人売りもこない程の田舎としてあったそうだからな探して見つけた文献をみたところ。むしろそっちが目的だったかもな………
オイ聞いてるか?」
「…………着きましたよ、墓暴きでもします?墓石すら造られてないとは思わなかったですね。」
そうして着いたところは、緑いや雑草が生い茂るぽかんと空いた空間見るからに墓石も無く碑石もない。弔い等する必要がないと言う意思が見え隠れするように。
確かに生贄は使うのであれば、本当の意味で死んでもらっては困る存在だ。
中途半端な状態で縛り付ける、生かしはしないが旅出すことを許さない。もし存在がなくなったらそれは用いた意味が無くなる。生贄は死体を使うのではない、生きた人を用いるからこそ、その性質は効果を得る。
「余裕がなかったと言うことなのだろう、掘るのはしない周囲を探す異変があったら教えてくれ。」
「何かあるかもですしね。」
学長はそう一言言うと、いつでも戦闘になっていい様に戦闘用らしい呪骸を周囲に集めてからあたりを探り始めた。
僕もそれに習って辺りを見回す。
流石に墓を掘り返すのは、呪術師でも最初からは避けるらしい。倫理観なんて無いのがこの職の世界だ、呪いに踏み入るのが必ず必要にはなるが………触らぬ神に祟りなしという言葉がいつしか人から生まれでたように、不用意に弄くり回すのは錆が出る。
その事ぐらいはわかっているのだろう。
まぁ僕から見たら呪いを扱う人間なんて呪霊と同じく、世界の予め敷かれた理を弄くり蹂躙し己から出た錆のような新たな規則を押し付ける存在でもあるのだが。
…………おっといけない、嫌な思考が出てしまった。これ以上は鍵を掛けてしまっておくように底に沈めておこう。考えれば考えるほど、僕が僕を嫌いになる。
「………完全に壊れているな。コレは………、壊されたのほうが近いか。オイこっちに」
「!!!!!!!!!!」
お互いの、位置を見失わない程度に離れた位置でそれぞれ伸びすぎた草を刈り取ったり。石をずらしたりなどなどのしながらなにかないかを見つけようとしていた時に、学長が僕を呼ぶ声にまるで呼び寄せられた様に6つのどろどろに溶けた死体のような夜にできるはずも無い影が姿を表した。
そうして音もなく、気配もなく襲い掛かってくる。強い呪いは効果が広く衝撃が強いと思われがちだが………音が無いそういう強い呪いも存在する。
理不尽に与えられそして奪われる死は、死の瞬間がさしずめ静かな轟音なら、その死へと向かう先は耳障りな静寂なのだろうから。
僕はすぐさま、柄を引き抜き巻物を開いた。巻物からシュルリと紙が擦れる音が耳障りな静寂の中に響く。
「呪物に引き寄せられた呪霊」
「いや違うぞ、いるのは六体恐らく呪物に結び付けられた人間達の思念だ………過呪怨霊とは、少しいや大分性質は違うみたいだがな!
俺達が入ってきた時に、反応して活性化したんだろう。」
「はぁ、ゆっくりとまともに調べる予定通りにとはいきませんね!」
学長と軽く目を合わせてから、互いに背を合わせる………学長自体の体格が大きく背も高いのもあるけど今思うことじゃとても無いがこうすると僕の身長が低いことがはっきりわかって中々に心に来る。
成長期がまだ来てないだけなの事を信じてる。
四方八方から来る影のような思念その一つ一つが、殺意という鋭さを持っている。
全てが死に至るような影の棘だがそれが呪い………呪力のみで、構成されているのならソレはこちらの領分だ。
棘が向かう速さや、順番……それぞれから見て巻物で弾くように食い止め呪具から顕現した刃で只の呪力に還していく。
背中合わせに刃を使っているが人を傷つけていないか気にする必要はない………
上下左右四方八方絶え間無く、バラバラに僕達に迫ってくる棘をしばらく弾いたり叩き通していると………流石に学習したのか。断続的に続いていた攻撃は嵐の前の静けさのように止んだ。
その間に手にある戦うための手段を、思考を整えていく。ご都合主義のように当然、ナニカが目覚めるなんてことはなく僕もそれに期待することはない。
今ある手札の中で何が出来るのか、そして何を出しきれるのかそれのみに意識の量を割く。
「………防ぐのは、僕がしますので。信用しているのなら防ぐ事考えずにやってください学長。」
器用な方ではない事は分かっている。
だから僕と学長に向かう攻撃を防ぐ事に………特に学長へと向かう物に神経を注ぐ。
この望んでもないのに与えられた特殊な物が無ければ、呪術師としてはとてもやってはいられない。呪力の総量含めた生まれ持った才能が8割の世界とは言い過ぎではなく、僕自身の状況から分かっていた。
僕自身の生まれ持ったと、言える事は0にも等しいだろう。引き継いだ物、積み上げた物で成り立っているのだ。
「(……………アレ、払う程にもう一方の気配が強くなってる気が。)」
「学長!」
「戦ってる最中になんだ!」
一体ずつ確実に祓われていく呪い、消えて呪力となり僕に還るように向かって吸い込まれていく。その度に、己の中で他の呪いの存在が鮮明になっていく、小さなヒビは見つけづらくてもそこから割れていけばはっきりと分かってしまうように。
分かりきってはいたが嫌な予感は、悪質なジョークと吹き飛ばせるものでもないようだ。
「ここ学長に任せてもいいですか、もう一方に僕は行きますので
要の呪いは、ここの他にもう一つあります。ずっと言っていた嫌な予感そのものです。」
「おいっ勝手に走っていくな!櫻 ちいッ」
ここまで数が減ったら、離脱は容易だ………学長のザガ的に僕の事はすぐさま追わないだろう。場所を詳しくいうより、直接行ってこの渡された呪骸を使ってでも知られたほうが早い。
わざわざ自身の、身を危険な状態にして場所を知らせる使い方は想定してないというより物凄く怒られるだろうな。
「……………」
暗い中、感じたどんどん大きくなっていく呪力を誘われるように導かれるように来た道を戻っていく。
そして目的の橋へとたどり着き………渡り中程あたりで頭から飛び降りた。自身という質量が、重力に従い落ちていくそんな中でも心臓の鼓動の音は高鳴ることなくいつも通りで何処か安心した。
「(そう言えば今日六月か。)」
身体に雨が当たる、ポツポツとしとしととそれが瞬きの瞬間に大雨へと豹変する。
あのページの料理で使われていた材料は、6月が旬の物はばかりだった。こんなところだ家族で自身の食料を作っていたのだろう…………
「君達が殺された日もそんなような感じだったのかな?実際にいた訳じゃないから妄想に過ぎないけど。他の人と分かり会えるはずがないしね。」
完全に体が地面に衝突する前に、呪力を体に細胞の隅にまで巡らせ廻す。手をつくと水の膜が僕の周囲に立ち上った。それと同時に、黒いモゾモゾとした物体は上へと場所を知らせるように黒い鳥のようななにかに変わって登っていく。
…………すぐに向かう為とはいえ無茶をしたなぁと僕でも思う。手のひらを見れば、鋭い石が手にいくつか刺さり赤い血をそこからボタボタ垂らしていた。手自体は動くが細かい骨等は折れているかもしれない………なんの痛みかすらわからないけど。
「オマエタチノセイ オマエタチノセイ ドウシテ ドウシテ ァアアア」
「同じく六人か………」
橋の生贄として出された人達より、遥かに呪いの強さとしては劣る事は感じ取れる。それでも呪術師を平気で殺せるような強さは一人一人持ち合わせている。
呪いを抑えるために、呪いを上乗せした………ソレが事実なのが今ここで確定した。
「(人としての意識は、もうないだろう。今話してるのもは今までの犠牲者の反射かそれとも最後の意識の再生か。)」
なら僕がやるべき事は………
「シネオマエガ シネオマエモ」
「今から楽にしてやる、無へと眠りへと還り永久の安らぎを。安心してくれ、お前達がここ今ここに存在していたことは僕が覚えておく。忘れやしない。」
この精神を思いを、祓い清め安らかに開放してやることだけだ。
僕はやたらと伸びた髪の毛一部を掴み、ザクッと小刀で切り離した。そして手から放せば散った髪の毛が篭められた呪力を糧に実態のない幻にも似た蝶へと姿を変えていく。
告死蝶と呼ばれる、ある程度学べば誰でも使える簡単な式神の一つだ。それを髪の毛一本一本に練り込むように仕込んでいる………とても戦闘で使うものではないが、消えたら分かる背後などの見えない場所への察知ぐらいにはなるだろう………
地面を踏みしめ前に進むたびに、水飛沫があがる。ただ向かってくる一つの呪……縛られた意識を斬り伏せた。最初だから通じる、その一手を迷う事なく撃つ………上より反応は遥かに鈍い。
「(それぞれは一級下位程度だが、六体纏めるなら………中々ヤバイな学長が相手してるのよりは遥かにましだろうが。)」
黒い棘のような、攻撃はない……只苦しみを表すかのように泥が石が混じった水が迫りくる。きっとこの人達は誰にも助けられず冷たい中肺に泥水を貯めて死んだのだろう。
この呪具で防げるのは、呪力で構成された物だけそれ故に濃い呪いだけでできた黒い棘のように切ることはできない。巻物を広げ自らのみを覆うように動かした………これで防げても学長といるときとは違う。
自ら攻撃に転ずるその一手を考えなければ通じない進まない。洪水のようにずっと同じ苦しみを味わえというかのようにそれらは襲う。
……………死ぬ時はあくまでも下で死んだのだろう。なら僕は上だ。
「(足が雨でぬかるんできた。)」
脚に力を込め、上へと飛ぶ………そうして残った5つの呪いの位置を見定める。
そちらも僕が抜け出したことに気がついたのか、再度呑み込ませようと水を迫らせる………が巻物を開き水を覆うようにしてそれを蹴って移動する足場に変える。
テレビで流れる、水走りその仕組みと大体一緒だ。僕の、力だと水そのものを蹴る事は無理いや呪い自体の効果もあって飲み込まれるように沈む。
だから間に不純物を挟み込んで、それで蹴る。巻物単体ならきっと足場に出来なかった。
「(一人づつ確実に祓う。もし学長が上の呪いを倒しきったら僕の考えだとこいつらがその立場になる。
今のまだ力が与えられない内に。)」
そうやって呑まれないように地を足をつかないように、告死蝶で空中における位置感をなんとか掴むようにして移動しながら。一体一体通り魔のように祓っていく、その度に攻撃の激しさは無くなり…………
残る一つになった時に完全に攻撃はやんだ
「ドウシテ ハヤク キ」
「…………もう終わってしまったんだよ、ごめんな。僕には」
これしかできない
僕は逃げないように、抱きしめ自身の心臓ごと突き刺すように刃で最後の一つを貫いた。
「…………呪術師は、いつも手遅れなんだよ。ヒーローが来るのは被害が起きてからでしかないように。」
「勝手に離れるなといっただろ。この馬鹿者が!死んだらどうする。」
「大丈夫ですよ、死にませんから。僕の肉片見つけて帰ってくれたらやくわり特に問題はないので。」
「全くお前は………食べ物食わせるぞ。」
「吐きますよ。」
「罰だからな、ちゃんと物を食え。」
「ウヘェ鬼畜ー鬼ー悪魔ー学長ー。」
「何とでも言え。」
告死蝶は、ちゃんと戦闘でバリバリ使えるような利便性はあるけど反転術式前提なので記憶の引き継ぎが無い今代継木は今の所場所のしるし付けと消えたらわかるぐらいしか特にないです。
後正直呪霊には武器もあって滅法強いけど、呪阻師には決定打がなさ過ぎるので(倒せはしないけど倒れはしないことが多そう。)
どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)
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継木&虎杖
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継木&釘崎
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継木&伏黒
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一年ズ+継木
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継木単体