けたたましい、ギターの音が完全に防音されている音楽室の遥か遠くから聞こえてくる。
後もう少し、きっと学長はそこにいるだろう。誰もいなかったら楽器の音はするはずもなく、さらにその楽器の音がギターなのだから。
「音楽室まで後すこ………ぁっ」
「継木 櫻ー!今度こそ高田ちゃんのライブ一緒に行ってくれるなッ!」
ギターの音が掻き消されるような大声で、僕の名前を呼ばれる。
東堂さんに見つかってしまった。
用事がない時ならば、いくらでも時間を使っても僕としては問題ないのだが………生憎今日は純粋な休みではない。
「こんにちは、東堂さん今日もお元気そうでなりよりです。新曲のお披露目があるとは聞いてますよ楽しみですね。
CDの予約はもうしました?高田ちゃんの歌いいですよね、気分をあげたいときに聞いてます。新曲はどんな感じなんでしょうか楽しみです。」
上手く切り上げられるように、そして機嫌を保つようにうまく話す。今とても頭を回転させてる気がする、仕事の時でも毎回こうなってること多い気がするけど。
東堂さんは、ちゃんと考えをもって動くタイプだ。法律とかよりも自身の指針を主として。
よく言えば自我をもってしっかりしている、悪く言えば行動的なマイペース。
「あぁそうだな、高田ちゃんの新曲のCDもちろん限定特装版を保存用も含めて買う………とっお前の話に流されるところだったそういう話ではない!
生ライブの感動を、お前にも味わってもらいたいのだが毎回何かと付けて居なかったり断られたりしている。」
「ハハハ、ソレは本当にすいません………本当に中々暇が取れなくて取れててもずれている日付で。」
二人っきりだとどうしても自然と切りにくい、どちらかが別れる素振りを見せる必要がどうしてもあるから………そう言えば高田さんのテレビ出演の時間は今から二時間程度か、最高それぐらいで済むならまだいいな。
今日出ているテレビあって良かった。
きっと東堂さんは、僕との会話より当然そちらを優先するだろうし。
「そんなもの一回でもいいから、その日に合わせて取れるように調整すれば良いだろう!俺のこと避けてるのか!マイフレンド悲しい俺はとても悲しいぞ。」
物凄い量の涙を流されながら、首根っこ捕まれてガクッンガクッンされる身長差も相まって浮遊感が凄まじい。
多分ここにお兄さんがいたら止めに入りそうな気がする………、とっここから抜けられそうかな。
そう思いながら東堂さんの腹を蹴り、掴まれている手からではなく二の腕部分から離して抜け出す。正面からの力強いな………やっぱり筋肉の問題?プロテイン一度飲んでみたけど駄目すぎて吐き出した。
「そういうわけじゃなくて………基本的に合わせての休暇取ったことがないんですよ。まず最初に仕事というか役割入れて空いていた日が休みとなるだけで。」
本当は僕だって楽しそうだし行ってみたいけど、まだそういうことを赦される期間ではない。高専生として入ればまだ緩やかにはなるだろうが………今はそうではない。
モラトリアム前の詰め時でもあるのか、ここ一年は何も呪に関わらない様な休息は無かった気がする。
………今みたいに比較的休みに近い、緩いものも入ってたりしているが。
「………マイフレンドよ、人生は一回だぞ。少しぐらいは我だけで行動しても文句は言われまい。」
離れて抜け出したのはいいが、ちょっとジリジリ東堂さんが迫ってくる。少し怖い………距離感の差が激しい方はこういう業務柄何人かあっているが。
基本マイナス要因が多いのに対して、東堂さんはプラス要因できている。多くの人間には会って入るが似たようなサンプルが少ない………
「その一回を繰り返す事が怖いんですよ、僕はきっと弱虫ですからね。心配してくれてありがとうございます、けどそこまで言うなら何とかしてみますね。」
高専に入れば、一時の休息としてそこら辺は緩和されるだろう。唯一のモラトリアムなのだから、その後はずっと呪いの除去の為に僕の行動を仕組まれるとしても。
曲ばっかり聞いて本人に、会ったことは全く無いと言うのも僕としてもアレだし。純粋に声綺麗だし、作曲は別だけど作詞はしている曲も含まれてるし。
三年間でやり残しの無いよう、精一杯見て感じてそのままに動くつもりだ。
「ストイックで勤勉なのが、お前の長所だが同時に短所でもあるな。最初はつまらん男とは思っていた、だが何者の加害にも我関しない鉄壁の鱗を持っている………だが牙を出せない。
牙を出せるようになれば、一皮向けるぞ。お前は確実に。この俺が言うのだから確実だ。」
そうして、東堂さんを見れば何処か満足したのかジリジリと寄ってくることをやめてウンウンと勝手に自己解釈をするように腕を組んだ。
僕にもその自覚はある、他の人間を害を与えるその前に強制的にストッパーが入るようなまるで自分の意思じゃないように怒りが嫌悪が憎悪がどれだけ深く淀んでいたとしてもスッと冷えて虚無に消えるように収まってしまう。コレはコレで良いこともある、冷静でいやすいから………けれども東堂さんから見れば牙を抜かれたつまらなさがあると感じるようだ。
それをカバーする、東堂さんから見た面白さもあるようだけど理解はできないしあまりぴんとこない。
「次回は………お前の首根っこ引っ付かんでも必ず高田ちゃん生ライブに連れていく!」
行くまでの記憶失うような、連れて行かれ方しそうだな………アレこれ誘拐?
「人から見てうまく使えるのが利点、扱いにくいのが欠点でしかないのでそんなものですよ。後チョコとかいりますか?消費しきれなくて差し入れとして持ってきたんですけどね。」
まぁいいや早く話を切り上げたい。
しばらくして頭に浮かぶのはそんな単純で軽い気持ちだけだった。
「なら、一つ貰っておこう。でお前に一つ聞きたい、禪院真衣とは今どんな感じだ!」
「唐突ですね、びっくりしました。」
「好みのタイプと聞かれて、個人名を出されたのは今の所マイフレンドぐらいだからな。
更に即答でだ。」
好みのお話しまだ覚えてたんだ、頭良いからな………にしても九十九さんと最初の質問自体は同じなんだよね。
弟子っていう面もあるのだろうけど。
九十九さんに、決まってない時何度も同じ事聞かれたから驚かなかったけど普通に慣れてない人だったら一瞬でも硬直する類いの質問だよね………
いやそもそも10才児にも満たない相手に好みのタイプ聞くのは、だいぶヤバイよね九十九さん。なんかそういうちょっとずれた人達ばかり関わってきたから呪術師はキチ………少々個性的な方達が多いし個性のインフレ起きて大分一般的な感覚麻痺してたけど。
「………一緒に散歩しました、楽しかったです。今度は落語とか行ってみたいけど水族館から先かなぁとか思ってたりします。」
「驚くほど、進展ないな継木。つまらん。」
「進めようとして、進めるものでも無くないですかね?例え僕の目が焼かれようとも、手足がもげても、真衣がどれほど変わろうとも思いは変わりません。」
キスとか、性行を伴えば進展してるというのはどうか思う。家の縛りとして子をもうけることはしないというのを散々教えられた影響もあるにはあるが。
想いはお互い通じてなくてもいい、僕は真衣さんに幸せになってほしいがそれは僕の手そのものでなくてもいい。むしろ最終的には、離れていってほしい。ちゃんと生きられたら僕の死によって縛ることになるかもしれないのは呪いでしかない。
精一杯の僕に出来るだけの祝福を真衣に、そういう気持ちはきっとこれからもこの先も短い生の中変わることの無い………いや決して変えたくない想いだ。
想うことは赦して欲しい、だが真衣は縛りたくない思うがままで幸せであって幸せになって欲しいそんな身勝手な事だ。
「俺の高田ちゃんへの思いと似ているな、聞けば聞くほどそう思う。だが思いと、行動と思いはきちんと伝えたほうがいい俺みたいになっマイフレンド!」
「是非とも伝授してほしいですね、東堂先生。」
***************
「………物凄く時間使った。」
結局、東堂さんのファンとしてしていることや高田さんの想いの話を高田ちゃんのテレビ出演が始まるギリギリまで続いた。一緒にテレビ番組を見ようと連れていかれそうになったが、それはなんとか抵抗できた………
まだ学長はまだ音楽室にいるだろうか。
ギターの音は、もう消えている。
「継木か?夜蛾から聞いておる、処理しきれない貢物の一部を差し入れとして渡すという話じゃろう?」
「……………………………」
はぁ………、音楽室に居なかったら前の東京高専みたいに自力で探すことになるのか高専って広いからな。
学長が行動する範囲は、ある程度限られるとしても………学長室に戻ってたりしないかなでもギターのチューニングとかそういうものの後だし術式の鳴らしも兼ねて軽い呪霊祓いに行ってる可能性も………
そう考えていると、誰かにポンっと肩を叩かれた。
「大丈夫か?お主疲れておらんか?」
叩かれた方に視線を向ければ、かなり心配そうな顔をした京都高専学長の姿があった。
………僕は大分疲れているように見えていたようだ、この学長の様子だと。普通の様子だったらきっと叱責の方が先に来るだろうし、目上の人に非礼してしまってるからね。
学長はそのへんきちんとしてるし。
「反応できなくて申し訳ないです、正直ちょっと疲れてます………お話しするのは楽しいんですけど久しぶりに来たので高専の人達に声かけられたりとかですぐに学長の元に来れなくてあはは。」
ちょっとした疲れでボートしていた頭を切り替えて、すぐに話を返す。
実際にお兄さんや、三輪さん与さん西宮さん東堂さん沢山の人達に会えて話せた。真衣はまだ見かけてないけど会いたいなぁ………京都高専にいるってことは分かってるし。
「結構親しい友人も継木は多いじゃろう、よいよいはっはっはっその様子だと座っておらんな………学長室まで案内するぞ。そこでお茶の一つでも出してやろう。」
そう僕が言えば、頭にぽんっと手を乗せられた。………なんだかやらたと頭に手を載せられる気がするが、なんでだろう丁度いい位置なのだろうか。
その後に着いてこいと言うように、前を学長は歩いていく。歩く速度は遅く僕を気遣ってくれるのがすぐにわかった。
「ありがとうございます。」
僕はそれに着いていく、ここからは学長室はそう遠くはない………一度来たときは東京高専と違って和室のような風貌の記憶があった。
「失礼します。」
促されるままに、先に入った学長の跡をついていき。入り口で挨拶してから中に入る、目に入る光景は前と一切変わらないしいて言えば盆栽が丁寧に手入れされて成長しより立派になっていることぐらいだ。
補助監督さんなどの事務の方がしているのか、それとも学長が直々に選定などをしているのかは知らないが………丁寧に大切にされている物であるということは確実だろう。
「遠慮せずゆっくりしなさい。」
「はい。」
そんなものを見ながら、少し古ぼけたソファー腰をかける。目の前には、僕が味がついているものが駄目なことを分かっているのか氷も何も入ってない常温にしてあるだろう水が置かれていた。
それに手を付けて、胃に入れる。
そういえば朝以外は、食事に手を付けていない学長室にある時計を見れば時間はもう昼を過ぎていた。夕食は継木家に帰るから食べさせられることになるが………昼食はうまく行けばしなくてもいいかもなぁ。
「京都高専ではなく、東京高専の方に通うようになるのか継木………少し寂しいような気もするなぁ。」
「まぁそれは、僕が決めたことじゃないので正直に言えば京都高専の方が僕個人としては良かったかなぁと。
東京高専がいやっていう訳じゃないですよ、パンダさんも狗巻さんも乙骨さんも義姉さんも向こうの学長さんもとてもいい人達ですし…………
他にも色々な方がいると聞いてますけどその方には会っていないですし。」
もう決まってしまったし、その決定を変える権限はない。それが継木家の当主としての在り方、当主が家の在り方を決めるのではなく家が当主の在り方を決定づける。
僕個人としては、お兄さんや真衣がいるこの京都高専で唯一与えられたモラトリアム………3年間の一時的な自由な時間を過ごしていたかった。別に東京高専がいやというわけでは全くない、皆いい人達である。
只、京都高専と東京高専で別れて離れて必然的に会う機会も少なくなるのが、目に見えて分かるのが何処か寂しく辛いような気がするだけで。
「そう言わんでもいい、暇な時ならいつでも京都高専に来てもよいぞ。場所が違うだけで同じ呪術を学び呪術師としての心構えを知るための場だ極度に区別する必要も無かろうて。」
学長は僕の事を真っ直ぐ見て、真剣に一つ一つ紡ぐように話し出す。
変わらないなぁ、最初にあった時から………擦り潰れるまで使うものには、同情しすぎると後が辛いのに。そういう所が好きな所のひとつなのだが。
「ありがとうございます。コレ一応お酒入りのチョコなので学生さん達………未成年の形はうっかり分けないように先生方とか高専経由で依頼受けている呪術師達で分けてください。」
とりあえず話を今日の本題に戻そう、そう思いながら心を込めるようにありがとうございますとお礼を言って。持ってきたものを分けてくださいと話す………東京高専の時とは違い呪骸が終わらせてくれるわけではない、僕も当然話の区切りが付けば荷物を運ぼうと思う。
「フムわかった、保存が聞かないのは冷蔵庫を貸そうそこに入れておけ。このお酒のは補助監督等で分けるとする、毎回のこの時期になると妙にソワソワしだす者がおってなぁ。」
「庵歌姫先生ですかね、やっぱり甘い物は好きな女性の方多いですし。是非ともお茶の時間にでも使ってください。」
特に減らしたりとかしなくていいようで安心した………期限がある消耗品費の扱いには困るのがある、いっそのこと渡された物が、全てペンとか洗剤などの保存しやすい消耗品費だったらなぁ………
そういうものは、継木家として使わせてもらってるけどキャラものだと飾りで書きにくいっていう意見あってそれはこうやって分ける物に混ぜてるけどね。
にしてもコーヒーとか紅茶の方が、西洋菓子に合わせるのはいいと思うが………ずっと緑茶なのだろうか。結局は僕はあんまり飲んだり食べたりしないから想像はつかないけど。大体の気持ち悪くなるしどんなもの食っても。
「そうさせてもらおう、後関係の無いそして野暮な話にもなってしまうが…………向こうの夜蛾からも聞いた、記憶の件について焦らなくても良い。焦って体調を崩したり不調を起こす方が」
そうやって手元に半分残った水を眺めていれば、向こうの学長から聞いた僕について気になる話しでもあったのだろうか話し出す。
何となく、その先の言葉が分かって。
「呪術界では、損失だですよね学長。」
そう言葉を差し込んだ、何となく声を出したがよく考えればかなり失礼になってしまうだろうか。………本当は、ちょっと嫌だったのだろうか。カッとなって、てことはないけど。
僕でも、よくわからないな。
もっとうまく隠さないと、ちゃんと自分自身を制御出来るようにしないとな………継木当主として特に必要な事だから。
「うむ。」
「分かってますよ、僕が求められているのは呪いを呪力の淀みを、吸い取る性質ですから。」
「呪術師の一端として継木櫻お主は、呪術界には大事な存在じゃ、居なかったらどれだけの呪霊の発生や呪いよる被害それによる呪術師や無辜の市民の犠牲が出ていることか。」
学長は何処か悩むように、噛み潰すように、祈るように、呪霊………ひいては呪いの被害を語っていく。使えるの物は使うべき、………特別に何ができるわけでもない、与えられ望まれたなら動く。そういう風に、皆が望んで生まれ組み込まれた仕組みだ。
当たり前という思考停止に、心地よく身を委ねている。………まぁ呪いに当たり前そしてあり得ない事なんてないのだが。
正直、自分の身の上そして仕組みについては嫌ってはいない………僕としてはどうでもいい。おじさんが居なくなってから考えすぎて、マイナスにもプラスにも思わなくなった。
「弁えてます、そのへんは高専に行っても変わるつもりはありませんから。今までもこれからも、むしろこういう一時的にでも高専生という時間を与えてくれた事に感謝してます。
本来ならば、こういう期間を与えることも惜しい程に人々の呪いはすぐに溜まり淀む。
それに僕にできるのは無辜な方向性のない呪いだけで呪霊として形を得た物や呪祖師の方は、どうにもできませんから…………」
それにこれから何度も言うし、何度も思うが、あくまで時折生まれる特殊であるだけで万能ではないし最強にもなれない。
呪霊を祓う事において、右に出る者はいないとも言われることもあるが………本来の呪術師が祓う呪霊を呪いという胎で育まれた赤子かその後ある程度育った子達とするなら。
継木 櫻………そう名を与えられた者達の呪霊を祓う行為の意味は、呪いという胎自体を壊して、なり損ないの未熟児を断末魔すら出せないうちに外に無理やり引き摺り出すようなものだろう。
人間の出産と同じだ、赤子として産み落とし殺す事となれば殺人となるが、堕ろす事そのものは周囲の目は厳しくなるだろうが殺人にはならないそんなものだ。
「………だが同時にお主自身も大切だと思っておる、30年じゃろう継木としての余命は………」
「言いふらすと色々と面倒なので、言わなくなりましたがそうですね………今がちょうど折り返し地点というところですか。
いやはや、時間が過ぎるのは早いものです。」
「呪術師としては、すぐ呪霊に襲われ短い生を終えるものも少なくはない。だが30はとてもじゃないが長いとは言えない………だから。」
そうだ、それはとても実感している。
何度も逃げて、足止めした呪術師が後で死んだことを知らされた。庇われて頭から一緒に来た呪術師の血と内蔵を被った事もあった。
何人も何人も何人も、死んだ。
名前も覚えている、最後になんて言ったのかも覚えてる、手足の動き何もかも。。
………呪術師として力がある、一級呪術師でもこうなる。
呪いが溜まる淀みを、歩くのならそうなる。狩る者と狩られる者の話はあるが、狩るならば狩られもする。それに尽きる。
初めて僕が呪霊から逃げて、そして死んだ時。最初は、なんにも食べてないのに吐き出した。頭から血を内蔵を被った時は体温の暖かさすら嫌になって。ひたすら人の手を執拗に払ったそんなときもあった。
でももう慣れた。
「大丈夫ですよ、高専の3年間色々やってみようと思います。これで話は終わりですよね、時間取らせてしまってすいません。」
最初の時より、辛くはない痛くはない。
「そうだな、いつでも来るといい継木櫻………わしには相談に乗ることぐらいしか出来んが。一人で、悩むよりはよっぽど良かろう。」
「ありがとうございます、学長。」
そうやって僕は笑った。
***************
時間は夕暮れ、冷蔵庫や冷凍庫に消費期限が短い菓子類を詰めるだけ学長や補助監督さんたちと詰めているうちに時間がこんなにもたってしまった。
本当に何かをしてるとあっという間に、1〜2時間平気で過ぎてしまう。
かなり詰め込んだが、それなりにまだお菓子は余ってしまった。一応常温保管できないものはなんとか工夫したり整理して空いたスペースに入れたりなどで全部入ったけど。
今はそんなこんなで入りきらなかったお菓子を、補助監督さん等会っていなかった人に配り歩いている所…………なのだが真衣見かけないなぁ。他の高専生の人には大体会ったと思うんだけど………任務に行っている人を除いて、真衣も今日任務だったのかな?
そう思いながら、なんとなく進んでいくすると真衣の呪力を感じた。その呪いを辿るように導かれるように人数が少く使わなくなったであろう教室の一室の扉を開ける。
「………真衣!こんなところにいたんだ。」
そこには紅色に染まった窓の外を、ぼんやりと眺めていた真衣がいた。
どことなく視界が、鮮明で艶やかで夕日のせいか眩しいような気がした。扉を開けてから、椅子を借りて真衣が座っている机の近くに腰を掛ける。
すると真衣は、少し目を細めて何かを呟いたかと思えばこちら見て何処か呆れたような分かっていたような神妙な表情を見せた。少し考えるように、時間を取ってから彼女は口を開く。
「三輪とか西宮先輩とかの、高専生があんたが来たってみんな騒がしいから、避けてたのに。見つかったわね………見つかるとは思ってたけど。」
そう言えば、少し舌打ちのようなチッと音がなった。それに僕はなんとなく可笑しくなって思わず笑ってしまった。
そんな僕を見て真衣は、本当に理解ができないと首を振りならぼやいた。
「京都高専にいるって話は、聞いてたからね。後真衣らしい呪力が何となくね。任務に行って無かったみたいだし。
中々僕忙しくて直接は行けなかったけど。はい、これ今日の手紙。」
そりゃ結局は他人だから、理解できる事はない。そう僕は思っているのだから………まぁでもそれでも知りたいと思うのはヒトのサガ………僕らしくないことを言うなら。
やっぱり好きだからなのかな。
そんなことを思いながら、服の横についているポケットから昨日書いた手紙を取り出す。直接話せるのならいいんじゃないか、いらないと相手も思ってるかもだが………
毎日の区切りの一つとなったから、やらないとなにかしっくりこない。それに………言葉には出さないが、遺書みたいなものでもあるから。
いつでも、大丈夫。
僕が居なくなっても、真衣を守れるできる限りの用意はしてある。………まぁ僕にできることぐらいだけだけど。
「………任務入れればよかった。
内容はマシになったけど、頻度は何度行っても変わらないわね………後呪力私出してもいないんだけどそれで見つけてくるって本当頭にイカれてるんじゃないあんた。
下手に言うと引かれるわよ。」
………僕にとっては、もはや遺書の一つのようなものだしね。他の人に渡せば、見えずに消えるということもない………捨ててるかもと思ってるし実際捨ててくれてもいいとは毎回思ってるけど。
ちゃんと真衣は見てくれてる。
そう思うと、この行為はきっと男が好きな子に反応してほしくていたずらを仕掛けるそんなくだらない心も含んでるのかもと思えば、また笑えてきた。
それに呪力は、呪術師なら殆ど漏れがないって言うけど全く出ないわけではない。おかしな話ではない、それに真衣の呪力だし。どれだけ微かであろうが、僕には分かる。
「何ちょっと色々あんたがアレで気が逸れてたけどナニこのお菓子の量、あんた食わないでしょ。」
そう言って真衣は、僕から見てかなり減った菓子の山を怪訝そうにつついた少し崩れてカラカラ紙と中の物がぶつかる軽い音がする。
いやアレって、僕は他のエキセントリックな呪術師達(東堂さんとか五条とか)よりだいぶまともだとは思うんだけど………体質とかそこらへんのどうしょうもない部分は省いて。
とりあえず僕は崩れて床に落ちたお菓子の箱を拾って、地面についた汚れはわからないがパンパンとはたいて。
「ちょっと色々もらって、家で消費しきれなくてアハハそれで配って歩いてる。冷蔵庫とか借りて入れたりとか、後みんなに配ってこれなんだけどね。
真衣もいる?」
真衣に、向かってこれいる?と手に持ったお菓子の箱を差し出す。中身は丸いチョコが、紙に包まれた物。味が色々あるみたい、食べたこと無いけど。
実際に食わないから配り歩いて…………冷蔵庫借りたりして色々配った後でもこの量かぁ。まぁここにあるのは常温で放置できるから空き教室に突っ込んで保管してもらえばいいかな。
「選ぶなら勝手に選ぶわよ、戻しなさい。
昨日のバレンタインデー関連か、そりゃあんたの家がやってることとしていること考えたらそうなるわ………」
「まぁちょっとしたご挨拶として貰うものが多いからね、食べてほしいってわけじゃないし。」
とりあえずいらないと真衣に手で払われた、お菓子を再度山に突っ込む。
………コレは好みじゃなかったのかな、まぁこれだけあれば真衣が好きなものあると思うし。僕が選ぶよりもいいよね、美味しそうとか分からないし。
宗教みたいなことしてるからっていうのが真衣の考えている主な理由なのだろう、実際そうでもあるのだが。
会社からも貰ってるからなぁ、会社としての付き合いを実際に、ゴリゴリ僕自身はしてないけど家の者達がやってる事だし………一応纏められた書類は毎月全ての継木家に関連する会社の見せられる。その時に書類に違和感感じたて頼んでしばらくして、横領発覚したらしくビックリしたなぁ。
「羽化した蚕みたいに、ろくに食べないものね。」
「いやっ昔よりはまだマシだって、会食とかそこらへんは胃に入れられるし。普段はまぁ………」
「そんなんだから、ひょろいのよ………身長も私よりも低いし。」
「まだ成長期きてないだけだよ、真衣。同い年の男の子と比較しても低いことは僕にも分かるけどさ、気にしてるんだよ低いこと。」
「ならちゃんと食べて動きなさい………
ちょっと見たけど、何なのあのゼリー飲料のゴミとサプリメントの容器?あんたが食事嫌いだとしても流石に限度があるわよ。」
手厳しい、正直にあまり反論ができない。
会食では、ちゃんと食事を取っているように見られるようやってるのは本当だが毎日そういう付き合いがあるわけでもないし。
後身長は女子のほうが伸びるのが早いってこともあると思う、僕はまだ成長期が来てないだけ………うんそうだよきてないだけだよ。
あー、ゼリー飲料とかサプリメントとか………完全栄養食の飲み物とかの。
もっと昔は、美味しそうとか色合いとかそういうの見れた気がした様な感じはしてるけどもう皆気分が悪くなるけど取らなきゃいけないものでしかないからなぁ。
「ハハハ」
「笑って誤魔化さない。」
「タっ……ハイすいませんでした。」
都合が悪くなると笑って誤魔化すのは、僕の悪い癖だな。嫌になる。
真衣に頭からチョップを食らった、言い訳がましいけど栄養自体はちゃん取ってるよ………サプリメントとゼリー飲料でも正直あんまりしたくないし。
ちょっとじんじんする頭を抱えて、真衣の方を見る。すると腕を組んでこちらをいつもように呆れたようにでも中に心配を含んだような顔をしていた。
僕そんなに生活できてないのかな………、ここまで極端なのは中々無いとしてある程度忙しい人なら似たりよったりだとは思うんだけど………家の人達の中でも僕と似たような生活忙しくてしてる人いるし。
その人には給金は、多くしてるけど。
確かに一人で、ほっぽりだされたら生活できない自覚はある。
外からコツコツ音がする。
「全く、栄養バランスうんぬんかんぬん以前の問題。医者がいたら、殴られてるわ。」
「真衣も義姉さんと同じくジャンクフード好きだもんね。ハンバーガーとか、ピザとか。」
医者にはよくお世話になってるけど………健康体じゃなくてよく生きてられるねいつ倒れても同じくない身体状況不思議と毎回言われてる。おじさんも同じ状態だったらしいし、これ正直継木故のアレコレみたいなもんだと思う。
呪を溜め込んで普通と同じで居られるわけがない、普通じゃないのは良い方向と悪い方向の2つがあるがその悪い方向に普通ではない方を引いたのがこっちというだけ。
まぁ真衣が言ってるのはそういうことじゃないんだろうけど、サプリメントやゼリー飲料とかで済まさずちゃんと食えということ。
栄養バランスだけというのも、歪なのだろう。ジャンクフードとか僕は全く食べられる気がしないが………好きな人も多くいる真衣もそうだし義姉さんも。
「どういう意味で言ってるのあんた?喧嘩売ってるなら買うけど。」
「うんそのままだけど………、普段から気をつけてるんだなぁって姉妹揃って。」
でも、カロリーがやたらと高かったり脂質が多かったりで肥満になりやすかったりで生活習慣病が主であるが、病気の原因になることもあるとは聞いている。
完全な食事というよりは、ここに積んであるお菓子のように生活に色を付ける酒肴品に近いものなのだろう。
だからこそそれを食べて体型とか健康とか保ってるから、他にも色々気をつけてることあるんだなーってそう思ってるし僕はそういう所も尊敬している………それ以外にも沢山あるけどね。
義姉さんは力持ちだし、真衣は細かいところに気を使ってるし。
後、教室の外に人いそうな感じだけど用事なのだろうかなら少し邪魔かもしれない真衣といられるから退きたくないけどそれぐらいはいいだろう。
「はぁ………なにずっとニヤニヤしてんのよ気色悪いわね、忘れるところだったはいコレ。
どうせあんたなら食べるんじゃなくて保管しそうな気がしないでもないけど。」
そう言って一つの箱を机から出したのか、上にのせられる。僕はそれを、受け取った。
飾りっ気のないシンプルな箱、バレンタインとしてはかなり地味に見られるだろう。だけれども、どの高級菓子の志向が凝らされた入れ物よりも僕には輝いて見えた。
「好きな人といられてそうならないのも、可笑しいと僕は思うけど真衣。
ありがとうコレはチョコかな?バレンタインかなもう終わってるけど。大切にする。」
「バレンタインの日に受け取りたかったらその日にに来なさいよ、たく………高専に来てから周囲が五月蝿くてね。
東堂に好みのタイプ聞かれたからって、ほぼ全員の生徒の前で私の名前上げる?頭おかしいでしょう、あんた知ってたけど。」
………………?
「別に、そのに人がいるか居ないかは関係ないよ。僕は真衣さんが好きというだけだよ。恥ずかしがる必要も隠す必要も無いでしょ?」
真衣を好きだ、と心の底から思って言うのに何処を恥ずべき所は無いのに恥ずかしがる必要があるのだろう。人の時間は有限だ、なら良い事いい事なら隠さずに伝えるべきだろう後悔が少しでもないように。
ただでさえ、呪術師は死に近いいや呪術師としてでなくても人は死ぬに限らず突然の引越や離職とかどんな時でも居なくなるかもしれないのだから。
………なんだか騒がしいなぁ、何やってるんだろ。
空き教室なら他に沢山あるけど、忘れ物かな?
「手紙渡されたこともあって、あんたが京都高専に来るたびに私からかわれてるのよ………
京都高専ほぼ全員から!あの場に居なかった人たち含めてねっ!」
真衣は僕の話した、言葉にしばらく黙ると。腕や額に青筋を浮かべ少しいや結構腹を立てたように一息で捲したてた。
かなり大きな声で、耳がキーンと鳴る。
「それはごめん………」
「まぁいいわ京都高専じゃなくて東京高専行くんでしょ、なら私の事案内できるぐらいにはなりなさい。
それで許してあげるわ。」
「東京観光かな?」
僕は俯き、謝る。
その後、デコピンされた………いつものことだけど何回か妙に僕に対して軽い暴力行為多くない?なんかそういうふうになるナニカあるのかな考えてもどうしようもないけど。
「そうよ、記憶力がいいことがぐらいしか取り柄無いんだから朝飯前よね。」
「真衣が行きたい所あるなら、そこにつけていけるようにするよ。まぁ東京高専に行く前から、仕事で何回か行ってるから大丈夫。」
「あんたのそういう所、ホンっと生意気。」
東京なら呪いの、淀みが溜まりやすい関係でよく行って案内なら出来るだろう。案内って言っても、ちゃんとホラースポット的なものは避けるけど………普通の観光名所よりそういう知識のほうが溜まってるんだよな………
「チョコこんなんなんだ、ガトーショコラかな………?」
僕はこうやって話せる事がとても楽しいと、思いながら貰った箱を開ける。すると入っていたのは一切れの茶色いお菓子………ガトーショコラなのだろう。
「私の話少し無視したでしょ、作ったのはガトーショコラよ周りが騒ぐから大人しくさせるためにね。3日たったら捨てるつもりだったわ。」
「幸せだな。」
ケーキを一口に齧る。
ねっとりと濃い味なのは分かる、すぐに吐き出して水で口をゆすぎたい気分になる。でもこの不快感すら、幸福に感じる。
「………本当に美味しいとか言わないわね。食事してる時とか食べ物の話とかで聞かないわ。」
「……………」
いやだって、大体が不快だし。
そう思って真顔で、真衣を見つめた。
「ほんとそういう所よ。」
「特に真衣に嘘はつきたくないんだ。」
そう僕が言えば、真衣は席を立ち教室のドアの前に立つ。
「謝ることでもないわ。で………あんたらいつから見てたの?」
「お出迎えですか?ありがとうございます。生チョコとかの溶けやすいのは職員室の冷蔵庫におかせてもらったので………」
真衣が開けた扉の先には、京都高専の人達が学長や補助監督さんを除いて大体いた。
ここまで人数いるとは思わなかったけど。
「………あんた気づいてたでしょう?」
「言う必要あるかなって?」
「はぁ………、ちょっと付き合いなさいあいつらのからかいあんたならうまくかわせるでしょ。」
今日のお昼は、ガトーショコラ一口か栄養バランスもクソもないなそう思いながら真衣につれられ夜になり月が綺麗に見える教室を後にした。
東堂のつまらん男でもあるが面白い男でもある認定は
最初の質問で
ポケモン初期で、オーキド博士から貰ったヒトカゲが好きです。リザードでもリザードンと姿が変わってもずっと好きです。
新しい新作が出ても楽しみはしますがそれは変わったことないです。
と言ったような感じ。(それ+周囲の目の前でも真衣さんとか本人がいる上での即答)
それと攻撃力は現時点でほぼないが、色々な面での防衛能力が飛び抜けている事も東堂が光るものあるなーって見てる。けど攻撃力どうにかしろよとも思ってる。
後なぜ禪院真衣をこころの中でも真衣呼びなのは、まぁこれから継木になるかもだしね。(だから重いと言われるんだよ)
番外編は正直、真衣との絡みを書きたかったが書いた理由の大半を〆ております楽しかった。
次本編頑張ります、駄文ですがお楽しみに。
どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)
-
継木&虎杖
-
継木&釘崎
-
継木&伏黒
-
一年ズ+継木
-
継木単体