懐から札を取り出し、灯りとして燃やす。ほんのりと甘ったるい香の匂いが辺りに漂い、まるで燃えた煙の中から現れるようにいるはずのない蝶が散る。
いつも使ってる式神、使いたいなら髪でも切って使えばいいかもしれないが………伸びるまで時間はかかるから急ぎ出ない場合は札から使うのが一番いい。
少し邪魔されたくはないから、場を整えよう。そう思って何処か迷ってる振りをしてそれを誤魔化すように歌を口ずさみながら歩いた。
歌が終わる、それと同時に悠仁の方に顔を向けた。呪力の流れが変わるある程度場は整った。
「………結構遠いけど、大丈夫かな?」
場を整えるのにそれなりに、時間を使ってしまった為それを怪訝に見られてないか確かめるためでもあるが………歩くのにも体力は使うそれに今歩いている所はとても整備されているとは言えない。
まぁあえてその道を使っているのだが。
「大丈夫だって、俺高専内回ったけど見たことねーとこいっぱいあるんだなやっぱり。」
高専内部は、基本的に呪術的に防壁を張られている。呪霊も来ないし安心と本当に言えるのだろうか、それによって監視されているかもしれないと僕は思った。
まず最初に比較的結界が曖昧でゆるい場所を探し回った、そこが………
「あっここだよ、開けてる場所。」
ここだ。
鬱蒼とした木々の中に、ポカリと空いた開けた空間………きっと昔僕と同じような考えをした人が作ったのだろう座れるようにか切り株が2つだけ残されて後は綺麗に整えられていた。
あんまり人にはこの場所は話さない、話したら秘匿性が失われて価値が目減りする。
きっとマトモな高専の人間が知っていたら、それを欠陥としてこの場所の結界を再度強固なものにされるだろうから。なるべく薄くなるように日々ちょっとずつ細していった………それが積み重なった結果でこの場所が作られたのだろうか。
「おー!星よく見えんな。」
悠仁は、空を見上げている。
喜んでくれてよかった、そう僕は思いながら切り株を叩いて悠仁に向けてここに座れば?と促しながら、荷物に入れていた望遠鏡を組み立て横に設置しようとする。
敵地を遠方から見るために、組み立て慣れてはいる。普段から星見るために使ってるわけではないけど………やっぱり本格的に見るならこういう物も使ったほうが気分は上がるだろう。
双眼鏡ではなかなか無い、気分の上がり方が望遠鏡にはあるものだ。
森の中に近いから葉で、少し安定しない………手で葉をどかせば虫が手に登ってきたので払った。その拍子で何匹か潰れた透明な汁が体についた。
設置し終わった望遠鏡の中を覗く、ちゃんと拡大されて見える………ちょっとぼやけて入るからカチカチと調整をしていると。
「………思ったより本格的だな。」
悠仁は、興味を持ったように話しかけてくる。せっかくやるのならひとりじゃないし盛大に行こう。一人で準備して盛大ってのも可笑しいけど。
僕は準備が終わったので、悠仁が座ってないもう一つの切り株に腰を掛けた。
辺りが光一つもなく暗いのもあって、星の光が強い光で掻き消えることもなくよく見える。………でもやっぱり、6月とはいえ夜は冷えるな。
「明り少ないからね山奥だし、星は暗いほどよく見えるし輝くんだよ、東京高専で夜時間ある時にボーッと星見ることも好きなんだ。
開けてるし、いいでしょ。昔の高専の人達が使っていたのかもね。」
指先が寒い、息を吐いて温める。手袋ぐらいはつけてくればよかったとちょっとした後悔した。ふと見れば手がちょっと紫に染まっている………、本当に弱いなぁ僕の体。
なんで、生きてんの?
いや僕だって分からないけど、きっと体質上の影響が大きいんだろうし。
ここには空を遮るものは何もない、星がキレイな場所だ。嫌な事から切り替えるように思うことにした、僕にはよくあることだ。そうしなければ、やっていけなかったからなぁ。
肉体から見れば、30年の使用期限の折り返しだし………最初よりボロが出るのは当然だよね。
「星座とか知ってたりするのか?」
「簡単なものなら。」
「なら教えてくれよ、俺あんまりそういうの知らなくてさ、星見るならどうせなら知りたくなんね?」
隣の悠仁は、星を指さして笑った。
言った言葉に確かにそうだな、と僕は思いながら星座の本の6月の星のページを開いて悠仁に渡す。受け取るとページを開いた意味がないなと思うほどパラパラと見返している。
その間に二つの水筒から、それぞれお茶とお湯を出して悠二にお茶の方を差し出す。
湯気が出てはいるが、熱すぎはしないはず………急いで熱湯から入れはしたけど。そう思いながらお湯を飲んだ、まぁこのぐらいの温度なら大丈夫だろう………お茶も同じぐらいだろうし。
「…………話すからこれ見るといいよ、星見るの誘ったの僕だしね。指さしだけじゃ、星座って分かりにくいでしょー。」
「サンキュっと後これお茶か?せんべい貰うわ。
ゴミは………」
お茶を受け取って、切り株の間に置いたせんべいの袋を開けた。
あーゴミ捨てる場所ってわからなくなるよね、ちょっとおかしくなって笑いながら。悠仁からゴミ取ってコンビニ袋を取り出して入れた。
「外で飲む、暖かい物は格別だからね。クッキーも持ってきたよ。好きに食べなよ。
ゴミはここにいれてね、コンビニ袋。」
基本的に不味いとしか思えない、口に入れる物だが。水は別らしい不快感はないし寒いところで呑むお湯は身体にしみるような気分になる。
ありきたりな言葉で言うなら、美味しいなのだろうが………空気が美味しいと同じ様に味覚として美味しいと言うのと違う気はする。
「継木は白湯かこれ?」
僕のコップを覗くと悠仁は、何処か不思議そうに尋ねてくる。
それもそうか、中々お湯のみは珍しいといえば珍しい………コーヒーやら紅茶やらココアとか他に好きで選べるものは多い中でのお湯だ。
「味のついた物が苦手で………」
「あーなんか、おじいちゃんみたいだな。」
………いや、おじいちゃんって。
「いや、僕まだピッチピチの15才だからね。」
確かに年取ると食細くなったりとか、普通に絶好調というようなきぶんがほぼ無かったり色々と老化した人に近い部分あるけど。
まだ僕若いからね、悠仁と同い年だよきっと正確な誕生日よく知らんから思ったより年上だったり年下だったりするかもだけどおじいちゃん呼びされるほど年は離れてないよ。
カラオケとか色々活発だし………活発だよね僕。新しいこと好きだよいやそれは関係ないか。
なんか、焦ってるな。
「俺とタメでピッチピチ使う奴始めてみたわ。」
………えっ、そうなの?
僕は思わず口をぽかんとさせて、悠二の方を見れば。彼はぁーと何処か遠い目をさせていた。
「………何で同年代なのにジェネレーションギャップみたいなの感じなければいけないんだろコノ。」
そういえば、きちんとハイカラな子と話す経験はほぼ悠仁だけだ………大体頭とか精神が弱い人達とか、企業のお偉いさんとか、御三家とかの呪術のお偉いさんとか………
お偉いさんばっかじゃねーか。
お兄さんは、御三家の人だし………真衣も御三家だし。どうしてもそういうの、古くなりがちだよねあえて古くしてる人とかもいるし俗物的とかで。
………いや最新みたいと、思ってたんだけど。古いんだコレ。
「大丈夫だって、俺の友達にも似たような奴多分いたし。」
そう思って、お湯を眺めていれば肩をぽんっとされる。うん………慰めてくれてるんだろうけどね。
「そのフォローありがとう、心にきたよ。」
寧ろダメージくる、いっそのこと嘲笑ってくれそんな気分になった。本当にメガティブ寄りだよなぁ僕………
切り替えようそうだ、星を見に来ていたんだ。その話にする、深掘したくない。
「じゃあ6月の星の話ね。大三角形を見つけるのが、わかりやすいんだけど………」
キラキラ光る星それを指を指して、2つの三角をなぞるように動かした。
6月は、夏の大三角形と春の大三角形2つ見える。
夏は ベガ デネブ アルタイル
春は スピカ デネボラ アルクトゥールス
それぞれを繋いだもの、それを起点に他の星を探しやすくする。間にはオリオン座が、ある等空を見て渡した本を見て、色々と話す。
本当の意味で、興味を持ってるのかそれともただ話を合わせるためだったのか………まぁ人の思考なんて分かるわけないんだけど。
「分かりやすいな!小学校の時のプラネタリウム以来だこんな真面目に、星見んの。
と言ってもそういう校外学習でだから、本物の空見てじゃねーけどな。」
説明しながら空を見ていれば、悠仁は何処か熱があるように感激を籠めるように………望遠鏡を、覗いてはこの星座はどこだそこだ!
等色々と楽しんでいた。僕も悠仁が言う見たい星座に向けて、望遠鏡を何度も調整していた。
「皆あんまり気にしないからね、綺麗なのに。」
最初からそこにあるものを、わざわざ使わず人工的に同じ様なものを見るのはよくあること。本物は多くの人に気にされない。
偽た物でも、それが本物に近ければいいし本物すら見えなくなれば偽物が本物として扱われるのだろう。絶滅した生物の剥製のように、そんなものだ。
「確かにな、俺も気にしてなかったし。改めて見ると悪くないなってのは思うけどな。」
「それは良かった、誘ったかいがあったよ。」
僕は、笑顔を造りながら。
「僕として君、悠二に聞きたいことがあるんだ。もう学長から言われてるかもしれないけど。
何のためにここに来たの?」
僕にとっての、本題を切り出した。
最大の懸念それは、宿儺の指を宿儺の器となりうる素養を持った人間が飲み込んだことそのものが、ある程度仕組まれた事象であるそのものだ。それに関する全体的な嫌な予感、とでも言った方がいいかもしれない。
何処までの範囲なのか、何処まで仕組まれているのか僕には分かりようがない。
悠仁を処刑し、中にある宿儺の影を処理したとしてもそれが仕組まれたことであれば、一度問題を単純におさめてもすぐに何かの目的のために次の器………器とは限らないか。
きっとそれだけでは、終わりはしない。
「宿儺の指を全部喰う。俺にしか出来ないことだしそこから逃げたら宿儺の指のせいで誰かが死んでんのかなとか、そんなことずっと思って生き様に後悔が残る気がするんだ。」
「そっか。」
例えそれが仕組まれたこと、そうだとしても悠仁そのものは悪いものではきっと無いだろう。
呪いで起きる悲劇は、宿儺の指だけのものではない。全てが偶然だったとして全部の宿儺の指が器に収まり処刑にてめでたしめでたしで終わったとしても。
あくまで宿儺の指での呪いの被害が無くなるだけ、他の凶悪な呪いなんて星の数ほどある。
悠仁の話を聞いて、そんな冷えた考えがまず浮かぶ僕が心底嫌だなぁとか思いながら口に出そうと思った言葉を喉で潰す。下手に出すと不味いものは、流石に僕にも識別はつく。
「継木は?」
「僕かぁ………」
聞かれても、立派な物ではない………立派だからどうした貧相な理由だからどうしたという話でもある。そう思いながら、う~んとちょっとどういう言葉を使って表そうか悩んで僕は黙った。
「伏黒には聞いてないからさ、継木には聞きやすいような気がするんだ。それに俺が言ったんだから、聞く権利はあんだろ。」
暫く気まずい沈黙が流れていれば、恵にはまだ聞いてないそう言って俺が言ったんだから聞いてもいいだろと悠仁は何処かいたずらっぽく笑っている。
本当に、会話のテンポを読み紡いでいくのが僕なら見て上手い人だ………それも計算ではなく真正。そりゃ恵も短い間に、深入りするし気に入りもする。
「それもそうだね、悠仁。
いいよ、僕が高専にいる理由教えるよ。」
僕は、頭の中で纏めた理由を一つ息を吸って声に出す。とても立派なものではないと、内心苦笑しながら。
「君が言う使命というものから、少しでも逃げられるから。」
「………継木も宿儺の指でも喰ってんのか?でも俺だけって言われてるしな?」
………考えて言ったんだけど、かなり説明が足りなかった見たいと少ししょげた。そりゃそうなるかと思い訂正を加える為に悠仁の方を向いて何でもないように、精一杯笑って話を続ける。
別に、心底つまらないそういわけではないちょっと人より気兼ねなく話すときに表情筋をつい使い忘れる事が意識しないと多いだけだ。
お兄さんや恵とかと話してる時に、真顔を注意される言葉を何回言われたんだろう。
「軽く言うとモラトリアムってことだよ、後流石に喰ってはないよ呪い抑えていることはあったけど………」
安心すると、取り繕う事を忘れるのかな?それとも本当に極度に表情に出にくい個性なのか。まぁどうでもいい、ちょっと面倒なだけで、本気で考えるほど支障あるわけじゃないし。
にしても、あの宿儺の指を抑えてきた………おじさん含めて抑えることしかできなかったを宿儺の指を喰らいその身に納める、呪術界の中でも異端寄りの僕が言えた話じゃないけど………悠仁に起きている現象は異常。
呪術界は才能が、8割とはよく言われる話だが。それに纏わる理由は割とあることが多い、五条なら六眼と無下限の組み合わせ菅原道真の血………乙骨先輩も菅原道真の系譜の一つか、一般家庭と言っても現代だ自身の体にナニが混ざってるか分かりようがない。
「封印って奴か?」
悠仁は僕の話で、宿儺の指を喰ってるわけではないと分かってはくれたようだ。
呪力を吸い取ることによる押さえ付けだから厳密に言えば、封印とはまた別の枠なのだが………
「呪術界に入ったばかりだし、そんなふうに封印ってざっくり考えていいよこんがらがるだろうし。そんな感じで、僕は呪いを対処できる力を持っている。
直接祓う以外のね。」
入ったばかりの悠仁に、そこらへんを詳しく言うと頭がこんがらがるだろう………僕の性質は基礎の呪術の知識がある時のほうがいい。
初手で例外を知るのは、全体を勘違いさせかねない。………まぁ五条という存在をしっている時点で全体にかける期待というか戦力のアベレージは上がってるだろうけど。
それに伏黒も、今回は ナ ゼ か ヘマというか任務が合わなかっただけで基本呪術界で見れば心配することの無い実力持ちだし。
本当に考えれば、考えるほど嫌な感じがするなコレ………いや悩んでも僕の立場じゃどうしようもないけど。
虎杖くんがよくわからない、いい子って以外わからない(文字を打ち込みながら。
どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)
-
継木&虎杖
-
継木&釘崎
-
継木&伏黒
-
一年ズ+継木
-
継木単体