形代の呪術師   作:夢食いバグ

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釘崎ちゃんと二人行動、大丈夫ですきっとうん。


インク漏れ 2

私は正直に継木 櫻時間がある程度たった今でもこいつの事が苦手だ。

 

伏黒と虎杖と別れて熱病に犯されたときに見る悪夢をそのまま形にしたような場所をこいつと揃って淡々と歩いている。呪霊は、何故だが現れてはいないいや的確に何かを感じ取って避けているからなんだろうか。

 

「本当に入り組んでるわね。」

 

私は呪霊が作る生得領域という空間には初めて入った、一旦戻って引き返すときには道すら変わってる。まるで入った獲物を奥へ奥へと誘うようにそうなっているのではないか?と思ってしまうほど。

 

もし呪術師として、呪い知識がない人間にとっては入った時点で恐怖に陥り何もできなくなるそういう想像に至るのは難しくない。

 

初対面の印象

 

距離が近そうに見えて、胡散臭い。片手に刃物を持って握手しそうな奴。

 

それがまだ変わってない、他の二人と違ってそもそもの交流の機会が少ないってこともあると思うけど………高専の授業にもほぼ任務やらなんやらで継木は欠席してるし食堂すらほぼいないし。

 

虎杖と同じぐらい表情は豊か………に見せているが、伏黒よりもこう見せた方がいいという様子が先行している。そんな感じがひしひしと感じてしまうのだ。継木のやることなすこと何か別のために使っているような、話している内容と違うことを頭に隠しながらやっている。

 

立場が上とか下とかじゃない、外れているのが妙に苛立つ。

 

「呪霊の生得だしね、ハハハおっと呪霊来たね。」

 

「流石に私でもわかるわよ、祓う………」

 

「いや無視する、襲ってこないみたいだし大量で襲ってくるならまだしも撒けるなら撒く。いちいち相手にしてたら時間がない。

 

走れないならいいけど。」

 

後純粋にそれ抜きでも、悪い意味で割といい性格してる。自覚しているのかしていないのかそれは私が知る由もないけれども、一言多い。

 

基本的に文脈からは気を遣ってるまた確認なんだろうとは思うのだが。

 

「走れるわよ!?いちいち本当に言い方が癪にさわるね!」

 

「その調子だよ、ビクビクしているよりはよっぽどいい。さて逃げるよ野薔薇ちゃん。」

 

継木は、怯えているよりはよっぽどいいとケラケラとからからと笑いながら私の様子を見て駆けていく。それに引っ張られるように私も着いていった、はぐれたら一人では迷うしかない事は流石に察している。

 

そして継木は、この生得領域中である程度の危険を認識してそれを避けて進んでいることも。

 

良くも悪くもこういう自体に慣れきっているのだろう、何回か伏黒から任務が多くなるのはどうしてもあいつの仕事上仕方ないと聞いている。軽く聞いただけだけど、呪力そのものをどうたらこうたらとか。

 

「………私も、あいつらと同じ様に呼び捨てでいいわ。」

 

「そう?じゃあ野薔薇。」

 

完全に呪霊の群れを撒いた後、また奥へ奥へと進んでいく。探索なのだから同じ場所をぐるぐるしないほうがいい…………今更だけどこいつの回り飛んでるやつチカチカと鬱陶しいわね。

 

「で何今書いてるのよ。蝶も飛んでるし鬱陶しい。」

 

これのせいで、呪霊に見つかったんじゃないかしら。そう思いパッパっと手でその継木の周りをくるくると飛び回る邪魔な蝶を振り払ってノートでもなく巻物に何を書いてるのか気になって継木の手元を覗き込むと………

 

「地図、生得領域だからほぼ意味ないけど無いよりはマシかなって。後その蝶式神だから…………潰さないでね。」

 

「潰さないわ、それで私の手が汚れるのは嫌だし。ずいぶん呪術師としては、メルヘンなやつね。

 

おどろおどろしい呪霊みたいな式神も多いけど、蝶って………伏黒は色々種類あるみたいだけど。」

 

歩いた歩数まで書き込んで、マッピングをしていた。

 

頭パンクするでしょこんなことしてたら、アホじゃないの?と真っ先に思ったが大体継木は素でバカな事をやらかすことが多い通常運転だとこれ以上その事について考えるのは止めた。

 

毎回やる行動のリソースをつぎ込む量が、普通の考えよりも遥かに多いのが本当にアレ。私は軽く見ただけだけど、伏黒が毎回目をそらしながら答えるって相当よね。にしても簡易的な式神ね………私おばあちゃんにちょっと気になって教えて貰おうとはしたけどそんなものに手を出す時間があるなら、生得術式を極めた方がいいと言われて結局分からなかった。

 

純粋に労力と効力の割が合わないってのと、時間は有限って耳にタコが出来そうなほどにさんざん言われた。

 

呪術師で、そんなもの極めてるのはそれ以外やることがなにもないから仕方なくやってる奴だって。そういえば、継木って生得術式あるのかしら?

 

呪術師でも無い奴は、珍しくもないけど。

 

「………幻想的と言ってほしいなぁ、流石にメルヘンって言われるとちょっと恥ずかしい気分になる。

 

あぁここに二人居たみたいだね、流石にこの状態じゃ生きては居ないか。この状態で、生きていたら寧ろ苦痛だろうけど。」

 

そうやって、進んでいけば。血が貯まったドロリとした水溜まりが真っ先に目に入りおずおずと前を見ればまるでミキサーにかけられたかのように骨や臓物が混じったミンチが目の前にあった。

 

「惨い………。」

 

「形があるだけ、まだましかもね。」

 

そう一言言うと、継木はその肉塊の前にすっと歩いていきしゃがめば………しばらく眺めて首を傾げた。私が瞬きした次の瞬間に一切躊躇する様子を見せずその二人の犠牲者の肉塊に片腕を肩が埋まるぐらい突っ込んでいた。

 

?

 

ちょっと私こんなところにいるから疲れてるのかもしれない、と思い一度反対の方向を向いてからまた見る………

 

「うわっ唐突に、何してんのよ!」

 

「探し物ここにあるかなって………」

 

私が見た継木の奇行は、幻覚ではなく現実だったようでぐちゅりぐちゅりと中をまさぐる音が静かな空間のなかで小さく響いている。

 

それに探し物って、捜索対象はあるけど捜索物は無かったはずだけど………落とし物もしてないでしょこんなところで。それにこの中にあると思うってどういう思考回路してんの?

 

そう呆然としていれば、継木は少ししょんぼりとした顔をして目玉を二つ赤黒く肉片もへばりつき染まった腕で取って引き抜きそれぞれのポリ袋へ捜索対象の後々の人物確認のためなのかいれていた。

 

「暫く私に触らないで、絶対に触らないでいや近づくな。本当衛生概念なってないやつばっかりなの?虎杖然り。」

 

「まぁ悠二は迫られていたからねぇ、焦ってうっかりみたいな感じで。」

 

私は、片腕を肉片で染め上げた継木を見て2,3歩後ろに思わず下がった………宿儺の指食べた虎杖といい東京高専の呪術師はこんなやつばっかか!そうじゃなくても同年の同期にこんな集まってるって本当に改めて環境に恵まれないわと思わずため息混じりに言葉を吐き連ねる。

 

それに制服の上からかけられた外套の中を汚れた手を気にしていないように探りながら、お香のようなものを取り出し床においてライターのカチリという音とともにゆらりと細くか弱い煙が立ち上った。

 

「………安らかな眠りを、永久に祈ります。」

 

「そりゃそうね。」

 

穏やかにそして心を込めるように静かな冷えた声音で冥福を祈る継木の様子を見ながら、さっきまでその遺体に手突っ込んでまさぐってたのに切り替え早いわね………と心の中で思っていた。

 

だけれども継木の言葉に私も、それはそうだと思いながら簡単にだけれども目を閉じて冥福を祈った。

 

「僕達に出来るのは、ここに居たことを証明することぐらいだよ。うんちゃんと写ってる、呪霊の術式によるものではないね。

 

正真正銘の人間の死体だ。」

 

「そう、後三人も見つける必要があるわね………伏黒と虎杖の方はどうなってるでしょうね。

 

かるーくみかけたようなレベルの呪霊にヤラれてるとは思わないけど。」

 

その後、継木が念の為なのかポラロイドカメラで二人の死体の写真を撮ってそのすぐに印刷された写真を見て人間の死体だと分かりきってることを言っていた。

 

その後何かを振り払うように、空を握りつぶすような動作を2回継木はとった。

 

札やらお香やらライターやらさっきのカメラやら外套にどれだけ物仕込んでいるだろうか………外して床に落としたらズシンと音を立てそうだ。

 

さてと、私は次の事を考え始めた。任務で言われたのは五人残念だけどその内の二人は死亡しているのを私達が発見した。後の残りの三人を見つける必要がある………この二人の犠牲者の様子を見ると、もし生存していたら奇跡ねと暗い予感がたってしまう。

 

下手に期待すると、精神的にダメージがくる。それはどんな時でも同じ………にしても伏黒と虎杖の二人は上手くやってるのかしら?

 

継木はなにか避けている様には見ていたから、本来より呪霊に遭遇してはないだろうけれど見てきた呪霊はすぐに祓えそうなぐらいだったし………大丈夫だろうだけれども。

 

「それなりに、やれてるんじゃないかな?遺体はここに置いておくしか無いけどね………他の三人探しに行こうか。」

 

「…………………」

 

私達は、二つの遺体を置いてきぼりにして進んでいく。早く改めて残りの三人も探して行かないとね。早くこの任務を終わらせたいという気持ち以外にも、あの無残な死体の様子も探しに向かうための強い動機になっているのだろう。

 

東京じゃなくてクソ田舎の地元でも、呪術はおばあちゃんに習っていたし、ここに来る前にも呪霊に殺された死体も何回か見たことある………けれどあそこまで酷い死体は生まれて初めてだった。

 

なんとなくおばあちゃんが、この東京高専に行く事を止めていた理由がなんとなくわかったきっと私にあぁなって欲しくないからなのだろう。

 

でも、後悔はしてない。

 

それが私として生きるために必要な事であるのは分かりきっているから。改めて思って生得領域を強く踏みつけるようにして進んだ。

 

「おいっ勝手に行くなっ危な」

 

入って伏黒と虎杖と別れて二手になって行動してから、ずっと付いてきていた黒い伏黒の犬のような狼のような姿をした式神が何かを察知したかのようにどこかに向かっていく。

 

私は思わず、追いかけようとするが………

 

「あっ玉犬が、走ってくね。あっちも見つけたみたいだし、野薔薇帰ろうか。」

 

「見つけたって、継木何をよ?あの伏黒の式神がどっかに行った理由知ってんの?」

 

継木の一声に、静止させられる。

 

あっちも見つけたって………あんまり良く聞いてなかったけどそういえばここに入る前に継木と伏黒なんかコソコソ話していたわね。

 

「恵と二手に、分かれる際に合図を決めたからね。出る時に犬を送り返すか戻すって。僕はあの玉犬に帰ってとら指示してないから、恐らくあの黒い玉犬は恵の操作で恵と悠二の元へと向かっている。」

 

「あの二人がこの生得領域から、出る合図って事ね。もう捜索対象の五人見つけたのかしら、早いわね。

 

後そう言うことは早く言いなさいよ、私びっくりしたわ。」

 

なるほど………二手に別れたときの連絡手段だったって事ね。であの式神は今伏黒の方に行ってるから私達もこの生得領域から出るって事で…………

 

もう全員捜索対象見つけたのかしら速いわね、と言うことはあの死体も見つけたのでしょうね。

 

………ここから出られるからいいものの、出るための合図とかは私も教えてほしかった急に式神がどっか行ったかと思って肝が冷えたわ。

 

「ごめんごめん、野薔薇。

 

二人見つけたことこちらから知らせもしたし、向こうは三人だったのかもね。恵と悠二が出るならこんな嫌な場所僕もここから早く出たいし………横から空けようか。

 

後ちょっとやばいかも?」

 

そう私が文句を垂れれば、頭をかきながらごめんごめんと軽く私に向けて謝ってきた後………早く出たいとケラケラと空に向かってぼやいてどこかに向かったかと思えば。

 

足を止めて私の方を向いた、継木の一瞬見えた表情は虚無その後にどこか分かっていた様に木出てきた柄だけの呪具らしきものと歩いてるときに使っていた巻物を広げるようにして取り出していた。

 

その直後に、ぬらりとねたりと首筋に冷水の水滴が伝うような感覚が私の体を襲い後ろを振り向けば。

 

「ちょっとどころじゃないわよ!継木呪霊が、急に活発になってる。出るにしてもコレ何とかしないとこの生得領域から出るに出られない!?」

 

ここにつながる、ありとあらゆる場所から呪霊共が何に感化されたのか皆目検討もつかないが私達を獲物としてギラギラとした目をこちらに向けている。

 

すぐさま、芻霊呪法を使えるように仕事道具に手をかけるが………

 

呪霊の個々のレベルなら倒せばするがこの量を私達だけで、捌ききれるとはとても思えないその前に確実に私達の呪力切れが来る。そう思って継木になにかないのかと目配せをした。

 

「そうだね、野薔薇。

 

囲まれてるし全部は相手にするのは、ムリだから道を作りながら行く。僕に着いてきて。」

 

継木は、そう言えば呪霊の中に突っ込んで行った。一瞬自殺志願者なのか!?と肝の抜かれたが、声色から様子何もかもが生き残る為の行動でしていると私は確信できた。

 

なら私が今するべきなのは。

 

「分かったわよ!私は、ここを抜けるまであんたを信じて着いてく。」

 

ここで立ち止まらないこと、そして出口があると信じて進んでいくそれだけだ。ここで震えて待ってるだけなのはあいつ等にも合わせる顔がない。

 

危険度の差はあれあいつ等もこの生得領域から出ている最中なのは間違いないのだから………これであっちが安全にノウノウと帰ってるならメシの一つでも奢らせよう。

 

「ありがとう、こっち!」

 

「本当に慣れてるわね!継木。」

 

継木は、こちらにも振り向かずただひたすらに分かっているのであろう出口に走り出していく。呪霊の間を抜けて振り下ろしてきた腕をいつの間にかあった木の柄から生えた刃で切り裂く。

 

私も簪で呪霊の足を潰していく。

 

不快な呪霊の鳴き声や断末魔がこだまし続ける、空間をお互いにろくに呪霊の相手もしないで走る。

 

この状況では共鳴りは、とてもじゃないけど使えない………多数の呪霊を一掃できる方法もこれから考えたほうがいいわね。

 

こんな状況でよく立ち止まらずに走り続けられるわね、こんなに大量にいると呪霊の合間って見つけるの難しいと思う。

 

慣れてるわねという私の漏れた発言に。

 

「逃げること、多かったし。」

 

継木は逃げることが多かったとだけ口にしていた。




何人も一流の呪術師が死んでくの見てきたし、何回も見捨てて一人ぼっちで逃げてきたのでそりゃ慣れるよね。

どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)

  • 継木&虎杖
  • 継木&釘崎
  • 継木&伏黒
  • 一年ズ+継木
  • 継木単体
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