目が覚めると、ほだらかな日差しの中。
いつも見ている庭には、見ている夢は春頃なのだろうか?櫻が咲き誇り花弁を散らしていく。人工的に整えられた池には、錦鯉が水面を揺らしながら泳いでいた。
僕は女性になってるようだった。髪は短いが髪飾りがつけられている横には友達なのかそれとも恋仲なのかよくわからない短髪の恐らく呪術師であろう男がいて縁側で談笑している。
体が、勝手に動く。そして、思うようには動かせない。
この感覚を僕は知っている、あの時は幼い僕から見た風景だったけど。
「■■君、頻繁に来なくていいよ。」
映画をとても現実的に、そして主観的に見れるのならこうなるだろうかと僕は思いながら彼女が口を呆れたような声色を出して開く。
湯呑にちらりと移った彼女の表情は、何回か見た先代の顔にとてもよく似ている………まぁ僕が見た彼女写真はモノクロだったけど。この継木が生きていた時代は大正辺りだっただろうか………
女が当主とは呪術師としても珍しいし、この時代の価値観としても珍しいがまぁ家にとっては相変わらず関係ないのだろう。
それが継木家の当主たる素質を持っていれば、関係ない当主かそれ以外かの価値観の家だ。だからある意味での男女差別も、呪術が弱かろうと良くも悪くも何も無いのだが………
隣にいる男を見れば、どこか彼女の機嫌を取るようにそれなりにいいお店で買ったことが分かる袋から小綺麗に整えられたお菓子を出してくる。
カステラに似ているが、間にアンが挟まれているように見える………見た目的には羊羹だろうか。初めて見たけれどもこんな風に出すものならよっぽど良い品何だろう。
「近くだから来てるだけだよ、櫻ちゃん。はいこれお土産、シベリア。」
お菓子の名前は、シベリアと言うらしい。洋菓子みたいな名前ではあるが………ロシアとは全く関係なさそうだ。羊羹なんて日本生まれの極みの菓子だろうし。
にしても、この屋敷は僕の現代でも全く代わり映えはない。まるで時が止まって人だけ入れ替わったみたいに退屈でつまらなく何も音もなく静かだ。
だから………
「………ハイカラなお菓子持ってくるけど、こういうのって高いけどちゃんと貯金してんの?
気に入ってる味だから、いいけど。」
彼女もきっと同じ事を思って、笑っているのだろうか………口に含まれた菓子は夢の中でも洗い物で使うスポンジで柔らかい練り消しのような物を挟んだような感覚だった。吐きそうになる。
夢ぐらいちゃんと昔のように普通の味を感じることが出来ると思ったのだがそれは僕の見当違いの思い上がりだったようで、実際は現実と何も変わりなく同じだった期待して損をした。
それとも、今この時代の継木も今の僕と同じような味覚だったんだろうか………?これを気に入ってる味とは、なかなかに言ったものだ僕のパンケーキが好きなのと似たような理由かも知れないけど。
「呪術の給金は、いい方だからね。それが良くなかったら土方とか他の激務でも給金いい場所選んでるよ。頭はないけど、体力はあるしそれに呪力使えたからそのなかで一番良かっただけだし。」
「ふーん」
金銭面の心配はないと男は、言いながらお茶を啜った。今も昔も呪術師は進んでなるものでもないようだ………進んでなるような物だったら偶像として祀り上げられる事あるだろうしそれもそうか。
そもそも呪術師になれる人物が少ないし、その割には危険性があるから給金など弾みやすいのも変わらない。平安時代ならば色々と数も状況も異なって違うのだろうが………
そう思っていれば、彼女は彼の言葉をつまらなそうにふーんと一つつぶやき聞いた後。
「で■■ちゃんとの進展はどうよ。抱擁の一つでも済んだかい?」
「いやっ!■■とはそんなんじゃないって!急にびっくりゴホっゲホッあつっ」
その後の言葉を彼は聞いた瞬間に、ちまちまと呑んでいたお茶を吹きこぼした。
その後に暫くむせていた、急に聞いたらそりゃそうなるだろうと僕は真衣のことを思って感じたが彼女は楽しそうにケラケラと笑いながら。
彼の背中を擦る。妙に手慣れている様子で………継木の仕事として精神ヤバイ人達相手にすることもあるからそう言うのは自然と身に付くのだろう。
僕の代からってのはなくて、いつのまにかとかそう言うのが分からなくなる程色々続いてる。
「そんなに慌てることでも無いだろう、落ち着け。
まぁいいさ、君達の様子が相変わらずなのは分かったよ。せめて私の目が黒いうちには、結納ぐらいは済ませてくれまどろっこしい。」
彼女は、楽しそうにそして呆れたような口調で彼と仲のいいらしい人とさっさと結びついてくれまどろっこしい話す。
嫉妬も何もなく、呪術の世界はいつ死ぬかわからないそういうこともあるのだろう………。それに呪術師が長生きする場合なら、僕と同じく彼女も早く死ぬ。一緒の段階で死ねるなんて贅沢はない。
先に逝く人を見るか、それとも置いて逝くかそれが殆どだ。継木 櫻 継木当主に限らず普通の呪術師でもそういうことも多いのだが。
「俺とあいつともほぼ同い年の癖に、目が黒いうちってもうババ………」
「女性に年齢を問うのは、礼節が成ってないといつ言ったらわかるのだろうなぁ………」
「イダダダっどこで覚えてくるんだよ!そういうの………櫻ちゃんろくに外出てねーのに!」
お茶を吹き出した男は、憎まれ口を叩く。ババァと言いかけた辺りで、彼女の体は素早く動き体格としては遥かに劣るが、その劣りを感じさせないほどに見事に締め上げぎりぎりと音が聞こえそうな程に締め付けていた。
表情筋が張っており、彼女の声は先程までとは違いドスが効いていて確実な怒りがこもっていた。自分の祖先の様なものだとしても、女性って強いなと思っていた。
………僕は絶対に女性に年齢関係に触れないようにしよう、あんなふうに締められたくない。死ぬ。
「■■君も、私も呪術師だ。絞め技ぐらいできなくてどうするのだよ。あと相変わらず不意に弱いな、神経尖らせておけよ。
それにろくに外に出てない事には同意するが、国内なら回ってるぞ。」
「櫻ちゃん程じゃないけどちゃんとしてるわ!呪力の感じ方が可笑しいんだよ!」
飽きたのか、もう反省したと思ったのか彼女は手を話して欠伸をしながら昼寝すると言ってお前も帰れと言って手を降った。
開放された男は、やれやれという様子をしながら人間関係をからかわれたせいか顔を少しザクロの実のように赤くしていた。
***************
………彼女が、寝室に入り眠りについた時。
「…………やっぱり先代の記憶だよな、アレ。」
まるで入れ替わるようにして、俺は目が覚めた。普通の夢よりもかなり鮮明に記憶に残っている………、あのほだらかな春の陽気も会話の声色や表情の動きや風もさえも。
僕は、初夏の蒸し暑さが出てきた朝に頭を冷ますために時期としては早めに冷房をつけて普段よりボケた頭で、準備をしていたが。
いつものように朝継木家から送られてくる情報を確認するために、スマホを見れば………
「うわっヤバ遅刻だ。」
1時間も呪術高専の始業の時間から遅れていた、思わず歯ブラシを落としカランと音が響く。今までこんな事は、無かったのだが………
昨日のこともあるし、疲れてるのかな………?
「おはよう野薔薇 恵。遅刻した。」
「遅っそ。
珍しいわね、毎回あんたが一番早いぐらいなのに。」
「ハハハ」
いつも使っている教室の扉を、開けるといつものようにではないか………悠仁はいない。いつもの位置に二人はいるが、悠仁いつも座っていた机には花瓶の花が一つ寂しく揺れていた。
野薔薇も、恵も、いつもより遥かに調子は悪そうだ………僕もそうだけど同級生が死んだ事なんて簡単に受け入れられる事が出来たら呪術師の素養は持ち得ないだろう。
別れとは、負の感情の最もわかりやすいものの一つなのだから。何も感じないなら他の事象でも、火種は出ない。僕はこの空気を誤魔化すように、隠すように笑えば………
「………………遅れてるが大丈夫だ。」
「自習って、たしか五条先生の授業だったはず………だよね気の所為?」
「かなりの案件だったから、休んでねー僕も休むーって教室出ていったわよ。」
恵は、遅刻しても対して変わらないというように黒板を見ろと僕に向けて指を指した。
そこには………
(自習 昨日は皆お疲れちゃん!!)
と大きな文字で書いてあった。僕はそれを見て思わずため息をついてしまったが二人もこれを見た時のいや目の前で書かれたときの心境はほぼ同じだったらしく。
野薔薇が呆れたように、五条は黒板に書いたその後教室からどっか行ったと付け加えた。
「教師としてどうなの?」
「五条先生だから仕方がないだろう。」
暫く気まずい沈黙が、三人だけいる教室を支配する。それを破るかのようにガタリと椅子から野薔薇は立ち上がる。
そうして教室の扉に手をかけた。ガラリと、音がする。その音に何故だが、悠仁がここにいたらきっともっと騒がしかったんだろうなそういう確信を持ってしまって花の花瓶を見つめ寂しくなった。
「………私少し、外に空気吸いに行ってくる。休めって言われてるんだから教室の外出てもなんにも言われてないでしょ。」
「そうだな、俺もそうする。継木お前はどうするんだ。」
恵も野薔薇について行くように、教室から出ようとする。その時に僕はどうすると、言われる。
たしかにこのまま一人は何も、収穫も進展も無いだろう少し考え込み。
「ちょっと彷徨くよ、学長に会おうかな。」
学長に会おうと思うと、返答を返した。
本当なら、嫌だけど五条先生に訓練頼もうかなと考えてもいたがいないなら学長なら付き合ってくれるだろう。僕は正直に言えば、戦うことはあまり求められていない欲も抵抗もなく只呪力を吸い上げるそれだけなのだが………
弱ければ、手を伸ばそうとそのはしから水のようにすり抜ける。だから今までも強くなろうと思ってやってきた、それはこれからも変わりはしない。
後ろを向いて立ち止まる時間なんて僕には、最初っからその権利すらない。
今まで何人も見捨ててるし、殺してるのにわざわざ後ろを向いたらきっと屍の山を眺めることになる。
そうやって二人にちょっと笑っていってらっしゃいと見送ろうとすれば………
「今日一日は な ぜ か 五条先生全て担当だ、全部自習になってると思う。
………ゆっくり休めよ、いつもより顔色酷いぞいつも酷いが今日は特にな。」
「寝坊しちゃったしねー疲れてるんかなぁ………」
恵に、何故か心配をされた。珍しいな心配してくれるの、たしかに寝坊したし色々調子が悪い………。調子が悪いのはいつものことだけど、いつもよりも調子が悪い。
「そうじゃねぇよ。」
「そっか。恵も野薔薇も、ゆっくりね。」
…………僕にはこれ以上なんとも言えなかった。
***************
それなりに広い演習用の空間に、バシンバシンと物を撃ち落とす竹刀の音が幾重にも響く。
普通の人間ならばこの音を聞けば、この空間に何人も熱心に剣道などの訓練をしていると思うだろう。だがここにいるのは、継木と夜蛾と夜蛾の操る大量の呪骸のみ。
呪力を全身に巡らせ、音が重なるほどの速さで自身に向かっていく呪骸を竹刀で打ち落とす。確実に今日は調子が悪いのに妙に何度もやったかのように体が、自然についていく。
何回も付き合ってもらってるしやってるから、かっては分かってる。だけれどもそれ以上に………まるで知らない経験が僕を引っ張って動かしているようだ。
「もっと早くした方がいいか?いつもより馴れてるようだが。ここまで一つもお前に呪骸が当たってない。」
「いや、ちょっとお話いいですか?」
夜蛾学長は、襲ってくる速さやパワーを一段階あげるか?と僕の打ち落としている様子を見て聞いてくる。一度も打ち落としはぐれはなく全て叩き落とせていたから当然と言えば当然か。
ずっと夢のことについて、心配してくれてたし一番最初にお話しした方がいいかな?そう思って僕は、打ち落とすのを止めずに動き続けながら口を開いた。
「言え。」
「すいません、昨日の夜に多分歴代継木らしい夢見たんですよ。でちょっと遅刻しました。」
「………急だな、普通は継木は見れることが当たり前とは謳っているが。今か………」
「いやー不思議ですよね。なんとなく全部は見てない気がするのでしばらく続きそうです。って勝手にスピードあげてません?学長!?」
僕の先代の夢を見た、ということを聞けば良かったなとは返らなかった。今なんで起きたのかを少し考え込むように夜蛾は、頭を少し回した。
理由は、僕にも分からない。人死にを見てしまったのが条件ならもうとっくのとうに夢は見られているはずだ。条件が分からない限り偶然と言うしかない。
………だけどもなんとなく、先代の夢はまだまだこの一回で終わらず暫く続きそうな予感だけはあった。
急に呪骸が、加速する。
「軽口叩いてるだけの余裕はあるみたいだしな。」
「速いですって!」
もはや弾丸並みの速度とも、思ってしまう。これ打ち落とすまでにいかなくてもかすらせてそらさないと呪骸の衝突で僕の体に穴が空きそうだ。
………でも学長の言うとおりだ、不確定をよくよくか考えても仕方がない。
「ところでいつまでコレを続けるんだ、申し訳ないが俺はそろそろ職員合同会議で離れたいのだが。」
「時間がある限り、なので呪力最後に込めて動かなくなるまでやりたいですけど大丈夫ですかね?」
「わかった夜明けまでぶっ通しになると思うが、後で後悔して文句言うな。」
「大丈夫です、埋まってたら笑ってください。」
やれるところまでやろう。
学長には、よく訓練付き合って貰ってるのでとても感謝してます。
どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)
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継木&虎杖
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継木&釘崎
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継木&伏黒
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一年ズ+継木
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継木単体