「学校に行きたい。」
おじさんが使っていた、大きな部屋から溢れた言葉は虚空へ消える。日数も時間もたち、何もかも慣れてきた呪術師をつけられ訳のわからない場所を彷徨きより気分を悪くしたり。
救いとやらを求める人の、呪力を取ったり大体取ると気分がスッキリするのかお布施とやらをしてそのまま帰っていく。
勉強はちゃんとさせられてはいるが、学校には行かせてもらえない。
「まぁでもこんな事にならなければ行きたいなんて思わなかっただろうなぁ。」
同年代の話し相手がほしい、ちゃんとまともに話せる相手がほしい。家の者はいつも通りだしなにか目的がわからず来る人は精神病んでたり心酔してるようなのばっかりだし。
ちゃんと僕的に話ができるのは、かなり年の上の人か加茂家の次期当主さんぐらいしかいない。次期当主さんは立場があるからな、簡単にお友達ってわけでもないし。
「敬語?いつ外せばいいんだろう、いつも使ってるけどその内外せるかな。」
もっとこんな砕けた言葉をいつも使ってたような気がする、それも遠い夢の様にそういうこともしてたと思い出の一つになりそうだ。
そう言えば、僕の通っていた小学校の名前は何だっけ………………
「………もういいか。こんな事やってても仕方が無いよねおじさん。今日も一日頑張っていくだけそれでいいんだよ。」
そうやってなんとかのそのそと寝具から出て、襖を開けるといつも通りに家の者に一から十まで身支度をさせられる。
今日は、特に珍しく何も予定が無いそうだが当主として基本的にするべき事や人間としてするべき事はその分溜まっているので実質休み無しと言ってもいいだろう。
なんというか上の人たちが全員が全員優雅に暮らしてるとかほざいてるのいたら殴りたくなりそうだ。
「………………頂きますね、今日も朝からありがとうございます。」
「本日は、継木 櫻様に何も予定などは入っておりませんので疲れを休めてください。家の者達に何なりと所用などあればいつも通りお申し付けください。」
朝食を頂くとき、どうにも味はするのだが美味しいとは感じることができない。精進料理の様なものでは決してなく、寧ろ味としても人として好むような整ったもの。
出る品も毎回違っている。
………裏で嘔吐することは、なんとか辞める事ができたが油断すると胃から迫り上がってきて吐きそうになるのには変わりがない。
唯一違和感というかそういう感覚薄いのは、ほぼ水だけという揚げ物はこれは無理と初手で頼んだ為今の所は、当主となって最初に揚げ物が出てきたとき以外は出ていない。
油が多い肉も駄目になった。
「…………」
ただひたすらに、口に物を入れ胃袋に流し込む。そうしないと動く為の熱量が得られないとは嫌になる。いっその事光合成でもできてそれで済めばいいのに。
やくわりを背負ってなかったら、この食事も美味しいと食べられたんだろうなきっと。
「………今日もお口に合いませんでしたでしょうか……」
「いや僕の方の問題だよ、気にしてなくいい。お水ありがとうもうなくなってたみたいだね。」
今日も同じ、そんな定例文のような会話をする。後味の悪さを消すように継ぎ足された水で流した。
様子を見ると何処かバツが悪そうにしているが、理由がわからない紛れもなく僕個人の原因でしかないのに………
「所で今日は本当に何もないようだけど、変わった事は無いかな………新聞やテレビよりも聞くのが早いから。」
「継木 櫻様にとっては下らないのとの一つでしょうが………」
そう言われ、淡々と昨日の出来事や今日の天気を聞く。不思議とそういうものを忘れることが少なくなったような気がする。
細かいところまで思い出そうと思えば思い出せるのだ、何故か思い出せない部分が不穏にも残るが。
勉強も、一度した事があるかのように行えばすぐにできてしまう。これも継木故の事なのだろうか。
継木になってからのすべての事が出来事が書架から、本を引っ張り出しているかのようだ。
………なんでこの例え使ったのだろう、僕あんまり本には触れてなかったと思うけど。
「ありがとう、下がっていいよ。僕コレ入れるの時間かかるから仕事に戻って。僕にだけ、時間使わせたら大変だろうから。」
まだ料理は半分以上残っていた。
****************
なんとか朝食という、普通の人間ならば軽い食事とも言えるものを何時間かかけて終わらせた。
本当に最初の頃は昼も一般的には豪勢で整った昼食が出されていたが、僕の様子をみてなのか出ないことのほうが多くなった………そちらのほうが楽だし嬉しいが。
夕食もなくなってほしい。
「………………………」
屋敷の中をうろつき、桜の木に向かう。今は咲いてはいないが………
周りもゴミなど一切なく、大きさも相まって何処か神聖な雰囲気を漂わしていた………この家の核となる呪物らしい。
桜が花をつける春には、近づいてはならないと言われているが………
当主と同じくこの継木家では、信仰され崇められているらしい。
「………おやすみ。」
僕は桜の根本で、眠りにつく。
目を開けるとそこには広大な草原が広がっており、桜の花びらが散っている。
視線を上に向ければ、大きな桜の木が満開という言葉が似合うようにすべてが淡い花で満たされていた。
「…………ここだと具合悪くならないんだよね、でも時間は過ぎないし何も持ち込めないから現実逃避にしか過ぎないんだけど。」
ここは皆の精神に必ずあると、信じられている場所らしい。簡単に言えば、死ぬ前個としてあるときは別々だが肉体から精神の崩壊後ここに一旦戻ってくる。
その後にまた個として生まれ落ちると。
肉体が先が魂が先がという話があるが、こちらに言わせるならどちらも無からきており魂も肉体もさしたる違いがなくどういう記録や、記憶が刻まれているかというらしい。
無に近づく事こそ………とね。
アホらし
「…………にしても、折れたの治らないな精神世界 ある種の共有された生得領域なら壊れること自体がある意味異常事態なんだけど。」
上書きされて全く別空間としてやられてるならともかく、文字通り一部とはいえ破損している。
あの桜の大樹からここに来れる存在は、僕のように継木の当主の資格の一つらしい。適正……ある種の浸食多い人は現実に生得領域を植え付ける楔から行かなくても直接ここにこれるそうだけど。
ここの空間を家とするなら、その鍵やキレイに整えるための選定をするハサミを持っていてある種の管理の役目があるのが当主だろうか。本来開いていない空間を無理やり開けさせるための只の穴の気がしなくもないけど……招待するだけで誰かを拒絶するとかないようだし。
生まれながらに生得領域は決まってると言われているが、現実に同じような光景を生み出しそれを多くの者に小規模でも埋め込んで同一化させる。
春に近くに行かないようにと家の者全てに周知させれるのは、ここの空間とあまりにも重なってしまうからなのだろう。
現実のこの木を桜としてこの空間をある場所の同一座標の別空間と固定する、良くできた実体のある現実と区別がつかない集団幻覚のようなもの。
だから本来破損することなんてありえない。
「ここまで時間がある程度立っても治らないとはね………集団で同じ夢見ているような存在なのに。全員が全員桜が壊れるようなそういう認識もしてないだろうし。」
継木家の書物として残してあった記録でも、こういう事は無かった。僕と同じく悪い意味でイレギュラーが起きている。
まだ30になるまで時間がある、それまでにどれだけのハプニングがあるかと考えそうになるが今から頭が痛くなりそうなのがいやで思考を放棄した。
「はぁ………とりあえずここで時間なんて気にせずに休もう。物理的な時間経過はないし、それはそれで辛いんだけどね。」
ここは気も体も楽だし、苦しいものではないがここで過ごしても現実では全く時間が過ぎていない。
幾らいても現実逃避にすらならない、只の虚像だし虚栄なのだ。
おじさんは、ここに来ているところは見たことなかった。使わずとも来れたからに構いないと感じる、だってあったら普通に使う僕だって使っているし。
なんとか精神を保てているのは、逃げられないけど立ち止まれる場所があるからなのだろう。走り続けるのは疲れるのだ、走らなければいけないと知っていても。
「壊れたら元も子もないだけかもしれないけどね、寄生者が寄生元殺すなんてわざわざしないだろうし。」
僕だったら殺さないように、同時に生かさないようにゆっくりじっくりやる。継木なんてそんなもんだろう。
「ゲームや漫画本でもある程度の面白い事持ってこれたら、いいんだけどねあっちでやると色々うるさいし………人招待できそうだけど普段は一人だけだし。」
使えるならそれでいいか、心を無にして楽にするにはここよりいい場所はなく使えないよりはいい。
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「………………」
目を覚ました、こっちかは見ればまばたきしている一つのシーンと同じようなものだろう。
腹にまだ物が入ってる感覚があるのがその証拠にほかならなかった。
「何もやることは無いしなくていいとは言っても、コレからあんなとこずっと彷徨く事になるんだし………稽古ぐらい必要だよね。
体の具合は相変わらず、なんかいいって感覚忘れた。いつもと変わらない。」
僕は腰にある、一本の棒を見た。コレが呪具らしいあの木から一回だけ切り出されそれを形にしたもの。
刃はなく、呪力を込めることで刀身を顕現させる。この投信は物理的な干渉はできず呪力のみに影響を与える物らしい。つまりこれで呪霊は切れるが、人間や物は切れずに透過する。
人を死なせることは無い武器
と言い換えられる、斬られた相手は内部から呪力が奪われるまたはポッカリと消失する感覚はあるらしいけど。
等級は確か………聞いても、当主様が代々受け継ぐ物等級等の尺度ではかりえるものではありませんと熱っぽく盲目的にいわれて聞けなかったし。
故に呪詛師との戦いでも、代々当主は殺す事は無かったらしい殺さないだけともずっと言われ続けてもいるらしいが
道具がいくら良くても、使い手が今は僕だしね。
「何もかも宝の持ち腐れって奴なのかな、または道具は使い手を選ぶ。」
それに見合うだけの使い手にならないと、コレの本領はとてもじゃないけど出せない事は確実にわかっている。呪力のみに影響を与えるという事は、純粋な呪力しかこれで防衛することができないとも言い換えられる。
呪霊であれば、呪力でのみ作られた攻撃や技を使うだろうが呪いを扱う人間だと話が違ってくる。殆どの人間は呪力が宿った物を扱う、つまり物体に呪力を宿して技を繰り出すのだ。式神は例外として、呪力による身体強化術式による物体への干渉などなど………
コレで呪い部分のみ切り取っても残りの物理的な物で、負傷を受ける。正直防弾チョッキ着てる方がこの場合の攻撃にはよっぽどいい。
そういう呪具だと思う。
「やれるだけやってみるか、護身程度にでもやれる方がいい。本当ならそういう立ち回りとかも元々最初っからあるんだろうけど………
見れないならそれはそれでね。」
1から積み上げていくしかない、改めて心に決めて一人誰も使ってない座敷の一つに入り。
刃がない、得物の柄を握った。
そして武器を使っていた呪術師の見様見真似で何度も何回も力を込めて振るう。
きっと当主には、型が無かったんだろうきっと戦い方にもし型があればそれが記憶で得られるとしても教えてくれただろうから。
教えてはならないのだろう、型ではなく何十年何百何千もの積み重ねこそが本来得られそれを振るっていくのだろう。
だけども僕にそれは無かった。
そこに近づくために、なんの為に近づくのかわからなくても効率的でなくてもがむしゃらにまずやってみるそれから始めた。
まだ、外で呪力吸い取る時には呪霊と戦わせてくださいなんて言えてないけどね………もしもがあったら責任はあっちにいってしまうし。
「やっぱり、ないものは無いんだな僕 これで何処かへ一歩進んでるのかすらわからないや。」
教えを請うには、やっぱり呪術高専からかなぁ………京都校に今からちょっとずつ通ってみてもいいのかな。だけど当主としての色々があるし………呪術を学ぶというよりは唯一のモラトリアムとしての面が強いような気がした。
家の者に呪術高専について話した時に
継木家はこのように呪霊を、払い鎮めますが他の者たちの一般的な鎮め方があります。それを見て知る為に高専に入ることになります。
任務が与えられますが、もし危なくなったらすぐに逃げてください。………でも基本的には危険度があるものは与えられることは無いです。
と、行っても結局継木家の当主として防衛はされるらしい。任務が呪術高専から直接になるかんじだ。
「……………やっぱり教えは必要だよなぁ、行くなら4年間その時間を大切にしたいし。」
「継木 櫻様っ五条様が一人男の子供を連れていらっしゃっておられます!」
あの時来るならアポ取れっつったよな、五条家当主こっち珍しい休みだぞ。
そう思いながら顔を覆う、五条当主以外にも一人子供がついているらしいあいつの様子だと好き好んでついてきたわけじゃないだろう。
知らずに流されてか、無理やりかの二択。
「………分かった僕が出る、君達は客室に御茶とカステラでも用意しておいて。で場所は?」
「玄関で今の対応しております。」
せっかく比較的静かに過ごせると思ったのに。
基本的にひらがなとかカタカナだけものもは複数の読み方するようにイメージしてたり。
桜の空間=誰かを招待可能な東堂の妄想空間みたいなやつ
集合的無意識や観測がこの家の得意技となっております。
どの組み合わせがみたいですか?(展開影響アリ)
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継木&虎杖
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継木&釘崎
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継木&伏黒
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一年ズ+継木
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継木単体