光炎憧憬   作:花見崎

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最近、同じような夢を見る

顔は暗くて見えない、声も名前も知らない誰かが僕に向かって知らない名前をち呼びかけてくる夢

 

 

『ベル君!』

 

 

『ベル殿!』

 

 

『ベル様!』

 

 

『ベル!』

 

 

『ベル様。』

 

 

『ベル。』

 

 

名前も顔も、声も知らないはずなのにどこか懐かしさを感じていた

瞼を閉じていても、耳を塞いでも流れてくるその声にどこか懐かしさを感じていた

 

 

『君たちは誰?』

 

 

『おいおい、僕たちを忘れたのかい?しょ〜がない子だね君は〜。』

 

 

『仕方ありませんよ--様。これは夢の中ですから。』

 

 

『しれっとメタいことを言うな・・・』

 

 

『貴方はいずれ私達のことを思い出すことでしょう。それは貴方にとって最も苦痛でありそしてくぐり抜けるべき試験です。これだけは覚えておいてください。』

 

 

『そ、それであなた達は一体?』

 

 

『大丈夫です。ベル様はいずれ知ることになります。』

 

 

『あぁ、そうだな。俺たちのことはまだ知らなくていい。』

 

 

『そうですね、もう()()ですし。』

 

 

気づけば周囲の人達は足元から消えていく

 

 

『最後だ、後悔のないようにな!』

 

 

「・・・」

 

 

僕を囲っていた人達が完全に消失すると僕の意識は現実に引き戻される

見覚えもないし誰ひとりとして僕の名前を呼んではくれなかった

ただ1人、見覚えのある人がいた

僕たちがこれから相手にしようとしている冒険者のエルフの人

 

 

「起きたか。」

 

 

「アルフィアさん?」

 

 

「他に何に見える。」

 

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 

「謝るくらいならその雑音を消すことだ・・・と言いたいが少し付き合えるか?」

 

 

「はっはい。」

 

 

「そう緊張するな。別に今すぐ物言わぬ塵芥に変えようと言ってるわけじゃない。」

 

 

灰色の髪で黒いドレスを身にまとった女性

それがアルフィアさんだった

黒いドレスに身を包んでいてる

 

 

「ゼウス様から聴きました。倒れていた僕を介抱していただいたのはアルフィアさんだと。」

 

 

「・・・あの好々爺め。余計なことを。」

 

 

「応えてもらわなくても構いません。ここから先は僕のわがままにすぎません。雑音だと切り捨ててしまっても構いません。これは僕の独り言ですから。」

 

 

彼女から返答はない

無言の肯定と解釈して僕は続けていく

 

 

「あの日、僕がアルフィアさんと初めて出会った時。何故かどこかで会ったようなそんな気がしたんです。」

 

 

ポツ、ポツとゆっくりと言葉をこぼしていく

誰に語るでもない、口の中に溢れ出る言葉をぽつりぽつりと落としていく

そんな感覚だった

 

 

「エレボス様から全てを聞いたあの時、彼の案に乗ることの意味を理解できないわけじゃ無かった。それでも、着いていかない選択肢はありませんでした。」

 

 

「後悔してないか?」

 

 

「いいえ。以前の僕とオラリオに何らかの因果があろうと僕はあなた達と手を取ったことを胸は張れなくたって後悔だけはしません。」

 

 

「本来ならば親として先の長いお前の芽を潰す様な愚行を止めるべきなのだろうが・・・何故だろうな、私はお前と共に戦うことを何よりも望んでしまっている。そんな私をお前は嗤うか?」

 

 

「いいえ、まさか。初めて邂逅を果たしたあの時、僕は貴方に懐かしさを感じました。昔どこかで会ったのではなく僕はあなたの優しさを、温もりを僕は知っている。」

 

 

「・・・ヘマはするなよ。」

 

 

「はいっ!」

 

 

アルフィアさんには言わなかったけどもうひとつ、僕は夢を見た

たくさんの人達に囲まれる夢とは全く違う

旅人のような格好をした男性に連れられてどこかのお墓を訪れる夢

 

 

他のお墓から離されていてかつみずぼらしいお墓が三基

明らかに他のお墓とは扱いが雑だと分かる

そんなお墓に目の前の男性は用があるのだという

 

 

『・・・他の子達と一緒にしたら、絶対に怒るからなぁ。』

 

 

彼は『誰が』とは言わなかった

それは今を生きる()()なのか、それとも共に眠る()()なのかはたまたここに眠る()()なのか

 

 

『・・・ベル君、オレは今日、君に出会えて『運命』を感じてる。だからじゃないが、この二輪の花、君が手向けてくれないかい?』

 

 

そう言うと彼は僕に花束を手渡してきた

彼もまた僕のことを『ベル』と呼んでいたけど何故か自然と受け入れていた

 

 

『名前も顔も知らない相手で、君には困った話だと思うけど・・・どうか、頼むよ。祈ってあげてくれ。』

 

 

『・・・わかりました。』

 

 

何一つ理解なんて追いついていない

なぜこんな夢を見たのか

なぜ僕なのか

このお墓に埋葬されている人は一体どんな人なのか

それでも、僕は自然とその言葉に従っていた

 

 

『ありがとう。オレの我儘に付き合ってくれて。』

 

 

『別にいいんですけど・・・それで、この最後の1つは?』

 

 

『あぁ、アストレアがいなくなった今、オレくらいしか花を手向けにこない、残念で嫌われ者の神でね。』

 

 

『そ、そこまで・・・』

 

 

『そもそも神相手だから、こんな墓を用意してやる意味も義理もないんだが・・・下界にいる間は、せめてこうして感謝くらいしてやろうと思ってね。』

 

 

『大切な方だったんですか?』

 

 

『いーや?どうしようも無いヤツだったよ。カッコつけで、独りよがりで。

・・・それでも、神友だったんだ。』

 

 

『さて、オレはここから野暮用があるから、行くよ。』

 

 

そう行って彼は1人飄々と立ち去っていった

彼がなんなのか、僕には分からない

ただ、どこかエレボス様と似たような匂いがした

それだけだった

 

 

・・・・

 

 

そうして僕はここに立っている

怪我をした住人たちを助けたのも心からの『善意』から出たものだった

 

 

「さぁ、来なさいオラリオよ!僕を倒したい、否、世界を救いたいというのならばその力見せてみろ!」

 

 

彼らのために動けるのならばこの命賭してでもその神威に答えて見せよう

かつて人々の絶望のために立ち向かった『大英雄』のように

彼女達の礎と僕はなろう

 

 

 

 

 

「ファイアボルトォォォォォ!!!」

 

 

 

 

さぁ抗って見せろ冒険者

真の絶望とはここからだ

 

 

 

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