痛みしらずのブラックスワン~やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。より~ 作:伊勢村誠三
第四部 ダイヤモンドは砕けないより
1
六本目のスタンドの矢の奪取、又は破壊。
それがムーロロに与えられた真の任務だった。
何故今後組織に絶対に必要になる矢を彼が取りに来たかと言えば、ジョルノ・ジョバーナがジョナサン・ジョースターやディオ・ブランドーの血を引くからに他ならない。
かつてアメリカであった空条承太郎とその娘が巻き込まれたあるスタンド使いと矢が起こした事件に手ジョルノと『始まりの同じ二人』の血を引くものが大きくかかわっていた事も有り、今ジョルノは杜王町のスタンド使い達や波紋戦士、スピードワゴン財団などあまりにも多くの連中に要らぬ警戒をされているからだ。
「……『ピュアリティー・オブ・ダイヤモンド』」
雪乃の呼びかけにたった今名付けられた彼女のスタンドが雪乃の肩に触れる。
瞬間、雪乃は地面がえぐれるほどのダッシュでムーロロの懐に飛び込み、
華奢で運動不足の体力なしの彼女には凡そ似つかわしくない打撃を叩きこんだ!
「『ウォッチタワー』!」
ムーロロは何とか♣のKを身代わりに内臓破裂こそ防いだが、
そのまま吹っ飛ばされ、その先にあった郵便受けにに叩きつけられる。
(ミスタ様の『セックス・ピストルズ』やマッシモ・ウォルペの『マニックス・デプレッション』のように物質や本体にスタンドパワーを与えることで初めて能力が発揮されるタイプ!)
なんとか帽子に隠したリボルバーを取り出し全弾放つが、
全て本体の前に出たスタンドヴィジョンに軽々防がれてしまった。
(本体のパワーまであるのか…これは…厄介…)
意識を手放す寸前、ポケットに入れたケータイの着信音が鳴り響く。
ムーロロは何とか電話に出た。
『もしもしレオーネ?
あなた、いつも僕が学校から帰るのが遅いと苦言を呈する癖にいざ連絡すればこれですか?
家にもいないし車もないし…今どこです?
もしもし?アンタ本当に今どこですか!?
まさか…スタンド攻撃に?レオーネ?レオーネ起きてますか!?
……今のは、エレベーターのドアの音ですね?
意識が有ったら僕のところに一枚寄越してください。
いいですね!?きりますよ?』
通話はそこできれる。
雪乃はそのケータイを拾い上げると、どこかに電話をかけ始めた
2
『ねえ比企谷君…彼、何者なの?』
「ギルガのことですか?何者って…。
ただちょっと切れたら怖いイタリアからの転校生ですよ。
後付け足せば俺にとって貴重な知り合い以上友達未満。」
ドーナツ屋を後にしてすぐ。
八幡のケータイに陽乃から電話がかかって来た。
電話越しの声はひどく怯えていて、
何時もの彼女とは150度ぐらい印象が異なる。
『嘘つかないで!あいつ…私の事っ!
………殺すとか殺さないとかそんなことちっとも考えてなかったッ!
ただどこまでも攻撃することしか!
死ぬとか死なないとか!全く考えてなかったじゃあないの!』
つまり彼女は仮に相手が死んでも怒り続く限り暴行をやめなかったと言いたいんだろうか?
スタンドは使用者の内面を表す。
フーゴのスタンド、『パープル・ヘイズ・ディストーション』。
直訳で歪みの紫煙。凶悪かつ攻撃的なスタンド。
結衣が自分の内面をスタンドから占ったように彼を分析するなら、
内側に押し込めた凶暴性がある時噴き出る。
そうゆう事だろうか?
「まあ、だったら雪ノ下さんが不必要に絡んでこない方がいいってだけの話じゃあないですか?
触るな危険は触らなきゃいいし、ライターは上手に使えば火傷しませんよ。」
『それは…そうだけど……』
「あいつ、アンタの事、精々迷惑かけた相手程度にしか思ってないですよ?
それに雪ノ下家のこと、知ってても知らなくても、
あいつならどうにかしちゃいますよ?多分。」
『ほんとうに何者なの?』
「……見えないんなら、
見なくていいんじゃないですか?」
いつも変ななぞかけや宿題ばかり出される意趣返しにちょっと意地悪く言って八幡は電話を切った。
もしスタンドの事を素直に言えば『増長』とか言われそうだが、ちょっと自信がついただけだ。
自分を、見てくれる人もいるんじゃあないか?、と。
「あれ?小町今から出かけるのか?」
「お兄ちゃん!なんか雪乃さんから来てほしいって。」
「そっか。あんまり遅くなんなよ?」
「わかってるよ!」
そう言って小町は入れ替わりで家から出ていった。
八幡は手洗いうがいを済ませると、早速持ち帰ったドーナツを頬張る。
(にしても小町を雪ノ下が?珍しい事も有るな。)
久しぶりにテレビをつけてニュースなど眺めてみる。
『えー、速報です。
今日未明、千葉県千葉市の〇〇マンション前で発見された死体の身元が判明しました。
発見されたのは市内に住む建設会社専務の「元町智樹」さん。39歳…』
(おいおいこのマンションモザイク掛かってるけど雪ノ下のマンションじゃあねえか!
それに建設会社って…)
八幡はすぐさまスマートフォンで雪ノ下建設について検索した。
(さすがネット民。もう調べ上げられてる…。
雪ノ下建設のライバル会社所属で、どうにも年下趣味あり…まさか…)
嫌なものを感じる。
八幡はドーナツを齧りながら家を飛び出した。
3
「あ。雪乃さん!お久しぶりです!」
指定された彼女のマンションの前。
小町は制服姿のまま待っていた雪乃を見つけた。
「来てくれたのね。うれしいわ。」
雪乃は柔らかな笑みを浮かべて小町を迎えた。
そしてその手を取り自分の部屋の方に招く。
そしてエレベーターホールまで来た時、その以上は分かった。
「え?こ、これ…」
人間が倒れているのだ。
一人二人じゃない。ざっと十人。
「は、早く助けないと!」
「必要ないわ死んでるもの。」
どうゆう事ですか?と、聞こうとするより、強烈な左ストレートが小町の頬を打った。
「うぼぉおおお!」
小町はきりもみ回転しながらその死体の上に転がされた。
見ると次撃でかかと落しを食らわせようとしてきている。
「『ドリーム・バイ・エンジェル』ッ!」
小町は持ち前のスピードでどうにか回避し、
立ち上がるが、雪乃の怒涛の連撃は終わらない。
生身にも関わらす殴った壁はへこみ、地面には亀裂が入る!
(お、おかしい!こんなの絶対おかしいっ!
どう考えたってスタンドの形も雪乃さん自身も貧弱なのにこんなパワーが!?
なにか、何かからくりがあるはず!)
小町は自身のスタンドを前に出し、その羽を羽ばたかせる。
爆発性のある羽の遠隔起爆。
スタンドそのもの攻撃力を削っている分、その威力は発動さえすればダメージを狙える。
「ちょっと痛いですよ!」
「無駄よ。射程距離3メートル。
そこにいる限り勝ち目はない!」
雪乃は冷徹にい放つ。
そして羽を一切無視して小町に接近。
小町は羽を起爆させ、バランスを崩させようとする。
だが!人を吹き飛ばせるだけの威力を誇るはずの羽の爆発、そよ風程度しか起きなかったのだ!
「え!?な、なんで!?うべばぁあああ!」
『バルバルバルバルバルバルバル…ッ!』
懐に潜り込んで来た『ピュアリティー・オブ・ダイヤモンド』にラッシュを叩きこまれ飛ばされた。
「やっぱり三つ以上やると威力が落ちるわね。」
そう感動なくつぶやくと雪乃は小町を引きずって『矢のエレベーター』に彼女を放り込む。
「待ってるわよ。比企谷君、ギルガ君…。」
STAND MASTER 雪ノ下雪乃
破壊力 ?
スピード ?
射程距離 E(本体、能力共に)
持続力 C
精密動作性 B
成長性 C
STAND NAME ピュアリティー・オブ・ダイヤモンド