響side
ぐぎゅるるる~
「……大丈夫? 響ちゃん……」
「ぜんぜん……」
無音の空間に鳴り響く腹の虫……。
ドラえもんの心配する声が私の耳に届いてきた。
ああ~、お腹へった~。
今日は未来が盛岡のおばさんの家に行くことになり、そのおかげで現在、未来の作ったご飯が食べられないという事態が発生してしまった。
そんなことを考えながら私は今朝の未来との会話を思い出していた。
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『本当に私がいなくて大丈夫なの?』
『大丈夫大丈夫。私たちに気兼ねせず楽しんできてね』
『うん。お土産買ってくるから楽しみにしててね』
『うん。行ってらっしゃい』
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前言撤回。
全然大丈夫じゃない……。
こんな時間じゃ「フラワー」もしまっているし……、なにか食べられるものないかな……。
私は少しでも消耗するのを防ぐため、ベッドの上に寝転がり、じっとすることにした。
ベッドはふかふかだしシーツも心地がよい。
ん、そういえば……
「ねえドラえもん。確かどんな食べ物でも出してくれるシーツみたいなのなかったっけ?」
そうだ、確か小学生の時そんな道具を使ったような記憶がある。
かなり昔のことだからあやふやだけど確か「グルメなんとか」とか言う名前の……。
「そうだ。あの道具があったんだ」
それを聞いてドラえもんもハッとした顔となり、四次元ポケットの中を探る。
しばらくするとお目当てのものが見つかったのか勢いよく秘密道具を天にカカゲタ。
「グルメテーブルかけ!!」
そうそうグルメテーブルかけだ。懐かしい。
確かこれに向かって食べたい料理の名前を呼ぶとその料理が出てくるんだよね。
「じゃあ何を食べようか」
う~ん。カツ丼、天丼、親子丼どれもすてがたいな……。
シンプルにご飯にしようかな……。
よし、決めた。
「じゃあ、焼き肉丼。大盛りで」
するとグルメテーブルかけが発光し始める。
その光の中でどんどん何かが形を作り始め、発光が止むとそこにはホカホカの焼き肉丼があった。
「わー美味しそう。いただきます」
ガツガツムシャムシャ
うん美味しい。焼き肉とタレがご飯にとても合って滅茶苦茶美味しい。
私はあっという間に五杯のどんぶりを平らげたのだった。
ドラえもんもどら焼を大量に出して食べたおかげか満腹そうにお腹をさすっている。
「ごちそうさまでした。あー、美味しかった」
「ほんとにね~」
……でもなんだろう。何か物足りないな……。
「? どうしたの? 響ちゃん?」
「……わからない」
お腹は満腹になっているのにどうしてだろう。
私は不思議に思いながらも空となったどんぶりを見つめる。
「……未来」
……そうだ。未来がいないからだ。
いつもは未来の作ってくれるご飯を未来やドラえもんと一緒に食べてる。
でも、今は未来がいない。
だからこそこんなに物足りないんだ。
「早く帰ってこないかな……」
「……響ちゃん」
でも、帰ってくるのは明日の予定だし、今日は会うことができないんだ。そう考えると無性に寂しくなってくる。会いたくなってくる。
会いたいよ~。未来~。
うう、まだまだ早いけどもうお風呂に入って寝てしまおう。
♪ ~♪ ~
そう考えていると突如私の携帯が鳴り響いた。
誰だろう?
「もしもし……」
『あ、響』
「!? 未来!!」
携帯を開くとそこには無性に会いたかった未来の顔が写し出されていた。
「ど、どうして……」
『もちろん響が心配になってね。ご飯大丈夫? ドラえもんの道具に頼ってない?』
「ウッ!?」
さ、流石未来。鋭い。
ギクリとなって動揺した私を未来は画面越しからジトッと見つめる。
『そんなことだろうと思った……。ドラえもんも甘やかしすぎないの』
「面目ない……」
ドラえもんもジトッとした目を向けられてかなり凹んでいる。
す、少し怖いよ。
『まあ、お説教はこれくらいにして……。響、ドラえもん。少しお話ししようよ。今日何があったとかさ……』
「「うん!」」
この日はビデオ通話で未来と名一杯お話しをした。
今日何があったか。何を食べたか。宿題はしたのか。
そんな他愛のない会話をしながら私は未来がいないと何もできないんだと改めて思いしった。
もうさっきまでの寂しさはない。
私は幸せな気持ちで布団に潜り眠りにつく。
明日は未来の帰ってくる日。
待ち遠しくてしかたがないよ。