奏side
「ふう、流石に演技は疲れるな……」
私は今、映画の撮影をしていた。ツヴァイウィングが世界に羽ばたき、沢山の人が私達を応援してくれるようになった。
それはつまり、沢山の仕事が舞い込むということでもあり、この映画の撮影もその一環だ。この映画は監督もこだわりが強い人で、中々撮影が終わらない。
(でも、この台本凄く面白いんだよな……何より、私が演じるこのキャラは……なんていうか、他人とは思えない)
私が演じるのは主人公の側で共に戦うヒロインの役。彼女はある日不条理に家族を奪われ、その復讐でとある組織と対立、主人公に出会うことで、仲間の素晴らしさを知り、仲間のため、世界のために命を懸けて戦った……そんな感じの役だ。
……まるで私の写し身だな。私も、翼という片翼に出会えたから、歌を信じることができた。仲間を信じることができた。
(だからこそ、この役を完璧に演じたい!)
私にそっくりなこの役を演じて、私達を知ってほしい。そんな思いから、私は更に演技の稽古に熱を帯びる。
「カット! 少し芝居がかってるから、自然な感じを意識しよう!」
「くっ、駄目か!」
まただ。この部分で私は自分の気持ちを芝居に表すことができない。
そもそも、演技自体あまりしたことがないし……一体どうすればいいんだ……。
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「ふう……」
取り敢えず、ジュースを飲んで一息つく。流石に疲れたな……。ノイズとの戦いやライブとはまた違う疲れだ……。
「ガウ」
「ん?」
犬のような声に目を向けると、そこにはドラえもんズのメンバーである“ドラニコフ”がいた。
こいつは丸いものをみると狼に変身するという力を持ち、辛いものを食べることで炎を口から出すという凄まじい猫型ロボットだ。……もはや、猫型ロボットってなんなんだよって感じだけど……。
「久しぶりだね。こんなところで何してるんだい?」
「ガウガウ」
「え、え〜と……」
……なんて言ってるのかわかんないな。ドラえもんズや響達ほど付き合いが長いわけでもないからな……。
なにか伝えようとしてるのはわかるんだけど……。というか、皆はよくこれで会話ができるよな。
「あ、ドラニコフさんと奏さん! 珍しい組み合わせですね!」
「響!」
「ガウ♪」
よかった! 響ならドラニコフの言葉を翻訳できるはずだ! 私は響を手招きし、ドラニコフがなんて言っているのか耳打ちで教えてもらうことにした。
「なるほど……わかりました!」
「ガウガウ! ワオゥ!」
「あ、なるほどね〜、わかったよ!」
本当にわかるんだな。私は少し呆れながら楽しそうに会話をする二人を眺める。すると、響はドラニコフの言葉を私に伝えてきた。
「演技のコツみたいなの教えてくれるらしいですよ!」
「……え、演技のコツ?」
「ハイ! ドラニコフさん、実は未来ではハリウッド俳優をやってるんですよ!」
「っ!? ほ、本当か!?」
なんでも、ドラニコフは未来では“スーパーウルフマン”という映画で主演を演じる大人気俳優らしい。
人は見かけによらないって言うけど、本当なんだな……これは本当に驚いた……。
「よかったら、私が通訳しましょうか? ドラニコフさんの言葉はだいたい分かるんで」
「ああ! 是非とも頼むよ!」
「ガウ♪」
こうして、ドラニコフと響を交えた私の特訓が始まった。
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ドラえもんside
「……と、いうことがあったんだ!」
「へえ〜、それは楽しみだね」
僕は響ちゃんと一緒に奏ちゃん主演の映画を見に来ていた。この映画の撮影にはそんな裏話があったんだな〜。
「あ、そろそろ始まるね」
僕はポップコーンを片手にスクリーンに目を向ける。
そこには、まるで別人と思えるほどの迫真の演技をする奏ちゃんの姿があった。
すごい演技力だ。その姿からは、並々ならぬ努力の跡が見て取れる。
「奏さん、凄く綺麗だね……」
「うん、そうだね……」
僕は未来でこの映画を見たことがある。
後にこの映画は日本の歴史を塗り替えるほどの大ヒットを記録することになるんだ。でも、それは今は別のお話だね。
ドラニコフ
ドラえもんの親友。ザ・ドラえもんズの一人
出身はロシア
別名、氷の大地ロシアさすらいの星
好きな食べ物はどら焼き
苦手なものは寒さ、野生化の制御
ザ・ドラえもんズのメンバーの一人で首に巻く四次元マフラーと狼の耳や尻尾が特徴的な猫型ロボット(?)
丸いものを見ると、狼に変身するという力を持っており、辛いものを食べることで炎を口から吐くこともできる。狼になると制御が難しいらしいが、スーパーウルフマンとして活躍する際は割と大丈夫。
ロシア在住だが、寒さにはめっぽう弱い。職業は俳優で、職業柄ハリウッドに行くことが多い。
基本的に狼のように「ガウ」「ワオ」としか話すことができず、意思疎通は筆談。しかし、今回は紙やプラカードを忘れていた。
色々ある今、ロシア関連のキャラであるドラニコフを出すかはかなり迷いました。しかし、キャラクターに罪はないかなと考え、今回投稿しました。
ひみつ道具博物館の続きはもう少しお待ちください。