ミステリーX'マス大作戦! 前編
ドラえもんside
「皆、集まってくれてありがとう」
僕は忙しい中、集まってくれたメンバーを見渡しながらお礼を言う。
特にタイムパトロールのドラ・ザ・キッド、ハリウッド俳優のドラニコフ、プロサッカー選手のドラリーニョには頭が上がらないよ。
「今日、皆に集まってもらったのは他でもない。久々にあれをやろうと思うんだ」
僕の言葉に約一名を除き、皆が目を見開く。無理もない。あれをやるのは何年ぶりだろうか……。
「えっ!? あれ!?」
「あれ……というと……」
「ま、まさかあれのことであるか!?」
「あれ? あれってなあに?」
「あれって言ったら、あれしかねえだろ……」
「ガヴ」
……うん。やっぱり、約一名わかってないみたいだ。まあ、ドラリーニョはわかってなくても問題ないでしょ。
「……本当にやるんだな?」
「やる!」
ドラ・ザ・キッドは鋭い目つきで確認する。だけど、僕は頑なだ。
「本気のようですね……」
「本気さ!」
「覚悟はできてるであるか?」
「できてる!」
王ドラにドラメッド三世もまた、僕の覚悟を問う。あれをやるのは何年ぶりだろうか。少なくとも、響ちゃんのお世話係になって以降はやったことはなかったはずだ。
「あっ! 思い出した! あれって、あれのこと?」
「そう。あれのこと!」
ドラリーニョはようやく思い出したらしく、リフティングしていたサッカーボールを僕にパスする。僕はそれを受け止めリフティングをしながらドラリーニョの言葉に応え、ボールを返す。
「マジでやるんだな……」
「やる!」
「ガル?」
「ガル!」
エル・マタドーラとドラニコフもまた、僕の覚悟を受け取ったらしく、神妙な顔で頷いた。
「しかし、なんでまたあれをやろうと思ったんですか?」
王ドラのもっともな質問に僕は答える。あれをやる決断をした理由を。
「実は、ドラミはまだ、あれをやってないらしいんだ!」
僕の言葉にキッドの目つきはさらに鋭くなる。いや、キッドだけじゃない。ドラえもんズ全員の目つきが鋭くなったんだ。
「そいつはいけねえな」
「この学校の卒業生は、皆あれをやっていますからね」
そう、あれとはロボット育成学校の卒業生にとって、伝統とも言える行事だ。でも、ドラミは卒業後、割とドタバタがあって(大半は僕達絡みの厄介事なんだけど……)あれをやる機会がなかったんだ。
だから、決めた。ドラミにもあれをさせるべきだと。
「ねえ? ドラえもん。あれって何?」
────時が止まった。
ゆっくり後ろを振り向くと、そこにはキョトンとした顔の響ちゃんと未来ちゃんの姿があった!
「わあ!? 響ちゃんに未来ちゃん!?」
「び、びっくりしました……」
「あ、ごめんごめん」
「空き地で何話してるんだろうって思って近づいたんだ。声かけたけど、全然反応なかったし……」
ど、どうやら割と最初の方から二人ともいたらしい。
誰も気づかなかったあたり、皆集中してたんだろうな。
「ねえねえ、ドラえもん! あれってなんなの? 教えてよ!」
「い、いや……でも、コレはロボット育成学校の恒例行事であって……」
「私も気になるな。もしかしたら、私と響にも手伝えることもあるかもしれないし、ね?」
響ちゃんと未来ちゃんの圧に押されては、さすがに隠し通せないか。
仕方がない。僕はあれのことを響ちゃんと未来ちゃんに話す。すると、二人とも嬉しそうな笑顔で応えるのだった。
「わあ、面白そう! だったらさ、皆も呼ぼうよ!」
「え? でも……」
ど、どうしよう。流石にそれはロボット育成学校の伝統としてどうなんだろう……。そう考えて、迷っていると、ドラ・ザ・キッドがポンと僕の肩に手を置いた。
「ま、ここまで来たらいいじゃねえか。俺としても、あれでクリスと決着をつけてもいいと思うしな」
ドラ・ザ・キッドは獰猛な笑みを浮かべる。な、なるほど。確かに、キッドとクリスちゃんのライバル関係に終止符を打ついい機会かもしれない。
「俺としても、異論はないぜ。たくさんのセニョリータ達に囲まれてのあれも悪くないしな」
エル・マタドーラはプレイボーイらしく、ブレない様子だ。
「私もいいと思いますよ。響さん達の成長も、見れるかもしれませんからね」
「僕も僕も! 創世ちゃん達とあれやりたいや!」
王ドラとドラリーニョも賛成みたいだ。
「やれやれ。まあ、構わないのである。きっと、皆でやったほうがあれも楽しいであ〜る」
「ガウガウ」
ドラメッドもドラニコフも呆れながらも賛成に回る。やれやれ、仕方がない。確かに、アレは皆でやったほうが盛り上がるし、僕一人意固地になっても仕方がないもんな。
「よーし、じゃあ私皆を呼んでくるね!」
「あ、待ってよ響」
響ちゃんと未来ちゃんは皆を呼びに行ってしまった。
よし、じゃあ今のうちに役割分担くらい決めておくか。
「で、どうやって決めるんだ?」
ふむ……役割分担どうするか。
ここは公平にしなければならないからね。
「よし、ジャンケンにしよう」
ジャンケンなら、シンプルだし公平だ。これなら役割分担もスムーズに行くだろう。
「面白え!」
「負けませんよ!」
好戦的な笑みを浮かべる王ドラとエル・マタドーラ。
僕達はお互いにお互いを睨み合い、運命の役割分担を行う!
「「「「「「ジャンケングー!」」」」」」
瞬間、僕たちは大事なことを見逃してることに気づいた。
僕達は────グーしか出せないんだ……っ!
「「「「「「だめだこりゃ!!」」」」」」
気づくと、皆が皆、ジェドーラのシュッポシュッポダンスを踊りながら縦横無尽に駆け出した!
ああ、こんなんで役割分担できるのかな……。
あれを行うと決心して僅か数時間。早くも僕たちの目の前に暗雲が立ち込めたのだった。
ひみつ道具博物館はもうしばらくお待ち下さい。