ドラえもん 響と戦姫絶唱シンフォギア   作:はんたー

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ドラえもん誕生日スペシャル 走れ!銀河グランプリ⑧

響side

 

 

「響ちゃんしっかり…。」

 

何だろう…声が聞こえる。聞き覚えのある声だ…。

ドラえもん?あれ?私何をしていたんだっけ…?

 

「よかった。気が付いた?」

 

「ドラえもん…。私は…。」

 

私の意識は浮上するように覚醒していく。それと同時にある程度のことを思い出してきた。

そうだ!私たちは確か大きい芋虫に食べられて…。

 

「うわあああああああああ!俺の車がバラバラだああああ!」

 

「こっちもアル。」

 

「ひどいアル。」

 

大きい声のするほうを見ると、師匠のように体格のすごいレーサーさんの車が無残にもバラバラにされていた。

あそこにいる姉妹のレーサーさんの車も同じだ。

 

「どうやら私たちのマシンも同様のようだな…。」

 

「つ、翼さんのバイクもですか?」

 

見るとそれだけじゃない。弓美ちゃんたちの車もキャロルちゃんの車もみんな誰かに壊されていた。

壊れて車をドラえもんはまじまじと見つめる。

 

「間違いない。これは分解ドライバーだ。」

 

確か、どんなものでも分解できるひみつ道具だっけ?でもいったい誰が…。

そう考えていると、別の誰かが私たちに近づいてきた。

 

「俺以外の猫耳の誰かがあっちに行っているのを見たぜ。」

 

「本当、シロえもん?」

 

そういったのは見たことのない白いネコ型ロボットだ。

どうやらドラえもんの知り合いみたいだな…。聞くとロボット学校時代の同級生なんだと。

シロえもんさんの言葉に従い、私たちは猫耳のいたという場所へと向かうことになった。

するとそこには切歌ちゃんたちの車をいじくる誰かの姿がそこにあった。

 

「そこを動くなデス!」

 

「逃がさない…。」

 

確かにあれは猫耳だ。でも、衣装がデポンさんとは全く違う。

切歌ちゃんの車をいじっていた誰かはゆっくりと後ろを振り返る。

 

「やれやれ、この録画映像を委員会に持っていくだけでよかったのに、お子様は思い通りに動かないから困るね…。」

 

「っ…。やっぱりあなただったのですね!ベンガルさん!」

 

そこにいたのは猫の被り物をしたベンガルさんだった。

さっきの詩織ちゃんの推理を聞いて予想はしていたが、それでも切歌ちゃんたちは動揺を隠せないでいる。

 

「猫耳ロボットに攻撃されている~。ハハハ、名演技だっただろう。」

 

「お前が俺のふりをしてこんなことを…。俺の車に爆弾仕掛けたのもお前か…。」

 

く、車に爆弾!?この人そんなこともしていたの!?

ひょっとしてマグマの星でデポンさんが車をいじくってたのって…。

 

「君に小細工は通じないのでね、こうして失格になってもらおうと思ったわけさ…。予備の策でシンフォギア装者を使おうとも考えたけど、上手くいかないね。」

 

「なんでこんなことを…。」

 

調ちゃんの質問には答える気がないようだ。

でも、予備の策?ということは…。

 

「ひょっとして、レースに誘われたのって?」

 

「偶然だと思ったかい?僕たちが招待状を送ったのだよ。デポンの証拠映像を効率よく届けるためにね。

もっとも、子供なら簡単に信じ込むと思っていたけど、失格になったり真相に気付いたりは予想外だったね。」

 

見渡すと此処にいたレース参加者全員がここに集まっていた。

ベンガルさんの言葉をすべて聞いていたらしく、敵意をあらわにしている。

 

「なめた真似を…貴様、生きて帰れると思うなよ。」

 

「おお怖い怖い、さすがは世界を敵に回した最強の錬金術師だな…。」

 

キャロルちゃんの強い言葉を聞いてもベンガルさんは余裕の笑みをこぼさない。

すると突如としてたくさんの虫が地面から出てきた。

すると驚くことに、虫たちは風の息や炎の息、水の息などを吐きだしてきた。

これって…四大元素(アリストテレス)!?

 

「貴様!錬金術師か!?」

 

「そうさ。この虫は私が作った特別製でね。四大元素(アリストテレス)などの錬金術を使うことができるんだよ。この虫を使い、私はこの星の虫たちの頂点に立った。

ここの虫は私の言うことは何でも聞くのだよ。ではさらばだ。」

 

そういってベンガルさんは車を走らせ外へと出て行ってしまった。

 

「逃がすか…くっ。」

 

追おうにも虫たちが邪魔で追うことができない。

私たちはただ相手を見送ることしかできなかったのだ。

 

 

**********

 

ドラえもんside

 

「ごめんなさい(デス)…。」

 

「気にしてないって言ってるだろ…。」

 

ベンガルが出ていってからしばらく、僕たちは今だこの巨大な芋虫のお腹の中に閉じ込められていた。

 

「くそ!!」

 

キャロルちゃんが怒りに任せて錬金術による攻撃を試みる。

しかし、その攻撃は巨大芋虫の腹を貫くことはなく、あえなく霧散してしまった。

 

「なんで…。」

 

「…おそらく錬金術由来のものをはじく術式でも施されているのだろう。」

 

確かに、それにしてもキャロルちゃんの錬金術をもはじくとなると相当強固そうだ。

 

「ならば私が…。」

 

そういうや否や、翼さんは首にかけてあるペンダントを取り出し、聖詠を歌い出した。

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

瞬間、翼さんの体をペンダントの光が包み込み、日本神話の名刀“天羽々斬”のシンフォギアとなった。

彼女は剣を構え、居合の要領で胃袋を切り裂こうとする。

 

「防人の剣、受けてみよ!」

 

一閃。翼さんの剣が胃袋に直撃する。

しかし、胃袋はまるでゴムのようにぐねって翼さんの斬撃のショックを吸収してしまったのだった。

 

「私の剣でも斬れんとは…。」

 

「どうすれば…。」

 

「どうしようもない。そもそももう誰の車もつかえないんだからな。」

 

悔しそうにうつむくデポン。確かに、此処にいる全員の車がベンガルの分解ドライバーで壊されてしまったのだから、このレースはベンガルの……。

…アレ?

いや、残っているぞ。一台だけ。

 

「まだだよ。」

 

響ちゃんが強い目でそういう。そう、この場に車が実は一台だけ残っているんだ。あの時芋虫が地面ごと僕らを飲み込んだ際、ほかの車と違い、小さいから埋まった車が。

 

「私たちのアヒル号は地面に埋まっただけでまだ生きてるんだ!」

 

響ちゃんの言葉にみんなが騒然とする。その表情は驚愕に満ちながらもどこかうれしそうだ。

 

「そういうことははよ言わんかい!」

 

そういったのは強そうなムキムキレーサーであるダイス・チョボイッチさんだ。彼はすごい力で地面に埋まっていたアヒル号を見事に引っこ抜いて見せた。ギアを纏っているわけでもないのにすごいパワーだ。

軽く確認してみたけど異常はなさそうだ。

 

「あとは脱出するだけだな。」

 

それが一番の問題だな。どうすればこの芋虫の胃袋を貫くことができるんだろう。

 

「みんな、絶唱だ。」

 

そうか。S2CAを使えばこの強固な壁を貫くことができるかもしれない。

 

「その手があったデス。」

 

「やるか。」

 

「ハイ。」

 

それを聞いたみんなは覚悟を決めたらしくうなずき合い、シンフォギアを纏うための聖詠をとんなえだした。

 

Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl(人と死しても、戦士と生きる)

 

Zeios igalima raizen tron(夜を引き裂く曙光のごとく)

 

Various shul shagana tron(純心は突き立つ牙となり)

 

瞬間、皆のペンダントが美しい光を放ち、シンフォギアを生み出した。

五人は響ちゃんを中心に手をつなぎ、シンフォギアにとっての奥の手を歌い出す。

 

「「「「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl」」」」

 

瞬間、すさまじいエネルギーが五人の体からあふれ出す。

そのすさまじい力にみんな思わず後ずさってしまう。

だが、エネルギーを制御するアガートラームを持つマリアさんやセレナちゃんがいない分、負担がかなり大きいみたいだ。

皆かなりの苦悶の表情を浮かべている。

そこでなんとファウストローブを纏ったキャロルちゃんが加入してきた。

 

「キャロルちゃん!?」

 

「俺が代わりにフォニックゲインを制御してやる!そのままぶちかませ!!!」

 

そうか、70億人の絶唱をも上回るフォニックゲインを生み出せるキャロルちゃんならS2CAの制御もできるかもしれない。

響ちゃんは笑顔でキャロルちゃんを受け入れ、エネルギーを拳にためる。

 

 「「「「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl」」」」

 

そして彼女たちは見事、絶唱を歌い切ったのだった。

 

「セット!ハーモニクス!S2CAセクステットバースト!!」

 

六人分の絶唱の力が響ちゃんの拳に集まり、響ちゃんはそれをもって思い切り芋虫の胃袋をぶん殴る。

その衝撃だけで僕らは吹き飛ばされそうになり、圧倒的なその破壊力の前には絶刀をも受け止めた壁でもあらがうことすらできず、大きな風穴を開けたのだった。

 

「やったでられた!」

 

これでレースに戻ることができ…、ん?なんだ?

何やらたくさんの羽音が僕たちのもとへと迫ってくる。あれは…。

 

「見て、ドラえもん。虫たちが…。」

 

そう、たくさんの虫たちが僕たちのもとへと殺到してきたのだ。おそらくさっきの爆音で…。

まずい、今の絶唱で皆まだ消耗している。このままじゃ…。

 

「どいてろ。」

 

そういったのはシロえもんだ。そこらにあった石ころを追って何やら独特の構えをしだす。

 

「Worldボール!」

 

瞬間、すさまじい速度で石を投げるシロ。すると石はW字のようなギザギザの軌道を描きながら分身したのだ。

分身したボールに当たり、虫たちは驚いたように退散していった。

 

「どういう原理で分身を…。」

 

「あれくらいなら俺が追い払ってやる。ドラえもん。お前は早くあいつを追いかけるんだ。」

 

「うん。」

 

そういって僕たちはアヒル号に向かう。

するとギアを解除した響ちゃんのポケットから何やら紙が落ちていった。

何だろう…と思い、見てみると、それは僕が切り抜いた猫耳特集の雑誌の写真だった。

 

(ひょっとして響ちゃん…。)

 

響ちゃんは僕の耳のためにこのレースに参加したのか…。

僕は響ちゃんの気持ちを知り思わず泣きそうになってくる。

 

「僕のために…。」

 

「愛されてるんだな。お前。」

 

「デポン…。」

 

デポンは笑って僕に激励を告げる。

 

「行け、行ってネコ型ロボットの意地を見せつけてやれ。」

 

「うん!」

 

絶対に優勝してやる。デポンのためにも、響ちゃんのためにも…。

僕たちは再びレースの舞台へと舞い戻ったのだった。




なお、芋虫には再生能力があったらしく、無事でした。
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