ドラえもん 響と戦姫絶唱シンフォギア   作:はんたー

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映画ドラえもん 響とひみつ道具博物館③

響side

 

 

 

 

 

『超空間へ突入します』

 

タイムマシンの音声を聞きながら、私たちは“時空間”へと突入した。

私たちの周りには時計がたくさん浮いていて、とても幻想的な風景だ。

いつ見ても、“時空間”の中は少し不思議な感じがするな~。まあ、私はもう慣れているけど。

 

「これは……」

 

「あら、なんだかすごいわね」

 

「不思議な光景なワケだ」

 

「あ、そういえば、サンジェルマンさんたちは初めてなんでしたっけ?」

 

私の言葉に三人とも頷いている。サンジェルマンさんたちは時間移動をするのは初めてだったらしく、この不思議な光景に目を奪われているみたい。

 

「みんな、そろそろ“時空間”を突破するよ」

 

ドラえもんの言葉に前を向くと、黒い穴みたいなものが見えてきた。

穴を抜けるととってもまぶしい光が目を覆って……

 

「こ、ココが?」

 

「そう、ここが僕たちの世界から少し先の未来の世界……“22世紀”さ!」

 

未来の都市が私たちの眼前に広がった。

もう何回も来てるけど、やっぱりすごいや!

空を飛び車にタケコプターで空を楽しむ子供たち。何もないところに映し出されているテレビの画面やたくさんの大きい建物!

いつ見てもドラえもんのいた時代はすごいな……。正直、私たちの世界がこうなるだなんて想像できないや。

 

『皆様、前方をご覧ください』

 

タイムマシンのアナウンスを聞いて私たちは前のほうを見る。

すると、そこにはキャロルちゃんの“チフォージュ・シャトー”を思い出す空を飛ぶ大きな建物が浮かぶ島が見えてきた。

 

「なんだありゃ?」

 

「と、とてもでかいのデス……」

 

「大きい……」

 

『あの島の頂上に浮かんでいるのが“ひみつ道具ミュージアム”です』

 

ほえ~、あれがそうなんだ!すごく大きいや。

よく見ると、島のほうにはたくさんの建物があるみたい。

 

『あの島には、世界中から集まった“道具職人”や“錬金術師”達が住んでおります。島にはここでしか手に入らない素材や機材なんかもそろっており、皆素晴らしい道具を作ろうと日夜研究に励んでいるのです』

 

「「ほほう、それは興味深いな(ワケだ)」」

 

アナウンスを聞いたキャロルちゃんとプレラーティさんは同時にしゃべる。

すると二人とも怖い顔しながらお互いをにらみつけ合ってきた。

 

「貴様、俺の真似をして何のつもりだ?」

 

「それはこちらのセリフなワケだ!」

 

「あわわ……」

 

ど、どうしよう、喧嘩が始まっちゃった!止めたほうがいいのかな?

 

「気にしないほうがいい、立花響」

 

「そうそう、二人とも楽しそうだし、ほっといたほうがいいわよ♪」

 

え?そうなのかな?

サンジェルマンさんもカリオストロさんも止める気はないみたい。

確かに二人の言うとおり、なんやかんやで楽しいのかもしれないし、いいのかな?

そうこうしているうちに、私たちが乗るタイムマシンは森を抜け、大きな門をくぐった。

────そこにあったのは大きな宮殿のような建物だ。

 

「うわぁ」

 

「すごい」

 

「アニメみたい!」

 

私たちはタイムマシンから降りると、タイムマシンは元の招待状に戻ってひらひらと宙を舞い始めた。

 

「にゃご!にゃご!」

 

「ど、ドラえもん!?」

 

それを見たドラえもんは招待状を取ろうと、まるで猫みたいに飛び跳ねだした。

一体どうして……って、ドラミちゃんが言ってたじゃん!?

ドラえもんは鈴がないと野良猫みたいになっちゃうんだって……。

 

「ど、ドラさん、大丈夫ですか?」

 

「本当に野良猫みたいだ……」

 

そんなドラえもんにセレナちゃんと創世ちゃんが駆け寄る。ほかの皆も心配そうにドラえもんを見ている。

 

「全く、未来の“自立ロボット(オートスコアラー)”とやらもこうなれば形無しですね~♪同じロボット(オートスコアラー)として情けないですよ~」

 

「ちょっとあなた!そんな言い方はないんじゃないですの!?」

 

「そうよそうよ!」

 

「……性根の腐ったガリィらしい」

 

ガリィちゃんのあんまりな言い分に弓美ちゃんと詩織ちゃんが憤慨して注意をする。

キャロルちゃんは呆れているけど、さすがに今のは私も少しカチンときた。

 

「まあまあ、僕は大丈夫だよ」

 

そんな私たちをドラえもんが宥める。

やっぱり早くドラえもんの鈴を見つけてあげないと……。

そんなことを考えていると、建物にポッカリと丸い穴が開く。

何度も見たからわかるけど、あれって“通り抜けフープ”だよね?

穴から顔を出したのは、赤毛の優しそうな男の子だった。

男の子はあたりを確認するや否や、恐る恐る“通り抜けフープ”から抜け出して、そろりそろりと何処かへ行こうとしていた。

 

(何してるんだろう?あの子?)

 

すると、今度は扉から立派なお髭を生やした偉そうな格好の人が出てきた。

その人は赤毛の子を見つけるや否や、怒ったような顔で赤毛の子に近づいていく。

 

「クルト!!!」

 

赤毛の男の子はその大きな声にビックリしたらしく、鬱屈そうに男の人の方へと振り返った。

 

「や、やあ館長……どうも……」

 

「どうもじゃない!!ガイドの仕事をサボって何をしてるんだ!?」

 

館長?じゃあ、あの人がこの博物館の館長さんなの?

赤毛の男の子は少ししょんぼりしながらも、すぐに切り替えて嬉しそうな顔でなにかを懐から取り出す。

……それは可愛い鳩の顔がついた長靴だった。

 

「そんなことより、館長見てください!新しいひみつ道具を作ったんです!」

 

「ほう、また変なへっぽこ道具を作ったのか?」

 

「今度のは自信をもって博物館に推薦できる……その名も“クルクック”です!飛べ……と言うだけで気軽に空を飛べる道具なんですよ!」

 

「タケコプターでいい気が……まあ、そこまで言うなら試してみるか」

 

そう言うと館長さんは長靴を履いて「飛べ」と靴に言う。

すると……

 

『クルック~ッ!!!』

 

「へ?うわあああああああああああああああ!!!?」

 

靴は翼をはためかせながら、全く別々の方向へと飛ぼうとして、館長さんはタケコプターみたいに回転してしまう。

しばらくすると、靴は館長さんから脱げて、何処かへと飛んでいってしまった。

 

「あだっ!?」

 

「か、館長!?」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

館長さんが頭から落っこちたのを見て赤毛の男の子と私は思わず館長さんへ駆け寄っていく。

怪我はないようだけど、大丈夫かな?

 

「あ、ありがとうございます……。コラ!クルト!!」

 

「ひぃ!?」

 

館長さんは私にお礼を言うと赤毛の男の子を叱り出した。

赤毛の男の子は眼を泳がせているし……。

 

「アヒャヒャヒャヒャ!!何ですか今の!?」

 

「わ、笑うなガリィ…… プフ」

 

「フッ、無様なワケダ」

 

「こら、プレラーティ!」

 

そう言いながら皆が私たちに近づいていく。どうやら皆も見ていたみたい。

 

「な、何が可笑しいんだ!!」

 

館長さんは顔を真っ赤にしながら怒鳴るも、笑いを堪えるドラえもんの招待状を見ると、咳払いをして笑顔になる。

 

「これはこれはお見苦しいものをお見せしました。私、当館の館長、“フィークス”と申します」

 

「あ、立花響です。なんか、皆がすみません……」

 

「いえいえ、さっきの醜態を見せれば……まあ、仕方がないでしょう。クルト、ガイドの制服を着てご挨拶しなさい」

 

フィークスさんはそう言いながら赤毛の男の子……クルト君を凄い顔だ睨み付ける。

クルト君はそれに対して怖がりながらも緑のジャージを着ながら挨拶をする。

 

「アルバイトでガイドをしてます。“クルト・ハルトマン”です。よろしくお願いします」

 

「僕ドラえもんです」

 

「キャロル・マールス・ディーンハイムだ。コイツは……」

 

「ガリィちゃんで~す☆」

 

「私は小日向未来。よろしくね」

 

「雪音クリスだ。よろしく」

 

「セレナ・カデンツァヴナ・イヴと申します。よろしくお願いします」

 

「初めまして。月読調です」

 

「暁切歌デース!」

 

「私はサンジェルマン。こちらはカリオストロとプレラーティだ」

 

「よろしくねん♪」

 

「……フン」

 

「私は板場弓美。よろしく!」

 

「初めまして。寺島詩織ですわ」

 

「安藤創世だよ。クルト・ハルトマンだから……“ルトルト”だね。よろしくね」

 

「ルトルト!?」

 

クルト君は創世ちゃんのニックネームにちょっと驚いたみたい。

驚愕したような表情になっている。ここでフィークスさんが何か驚いたように眼を見開いている。どうしたんだろう?

 

「ひょっとして、世界を救ったシンフォギア装者にパヴァリヴァ光明結社の錬金術師の方々ですか!これはとんでもないお客さまがいらっしゃったものですね……」

 

「え?私たちのこと知ってるんですか!?」

 

「それはもう……。貴方達のことはこの時代では非常に有名ですからね……」

 

そうなんだ。そういえば、“ギャラクシーカーレース”の時も私たちのこと知られてたような……。

なんか、少しだけ気恥ずかしい感じがするな……。

 

「それで、本日はどのようなご用件で?」

 

あ、そうだ。早くドラえもんの鈴についてを聞いてみないと。

 

「実は、僕たち博物館に探し物に来たんです」

 

「探し物?」

 

「はい。僕の鈴が盗まれちゃって……怪盗デラックスっていう人が犯人なんですど……」

 

「「か、怪盗デラックス!!??」」

 

「!?知ってるんですか?」

 

「知ってるも何も、この博物館も奴にやられたばかりなんです。ライト館に飾ってあった“ビックライト”を盗まれてしまいまして……」

 

「凄かったんだよ!警備の部隊や錬金術師達をバッタバッタと薙ぎ倒して……」

 

「クルト!!」

 

怪盗デラックス……。やっぱり“手がかりレンズ”の通り、ここにいたんだ!

でも……

 

「なんでビックライト?」

 

別にビックライトなんてこの未来じゃああまり珍しい道具じゃないんじゃないかな?

ドラえもんもスモールライトと一緒によく出してるし、この間、未来のデパートに遊びに来たとき結構お安い値段で売ってたし……。

 

「それが全くわからないんですよ。調査中でして……。別に貴重な初期製作品というわけでもない……どこにでも売ってるただのビックライトですからね……」

 

「“ビックライト”に“猫集め鈴”……共通点は特にないよね?」

 

「うん……」

 

未来の言うとおり、共通点は特にないし……。なんで鈴なんか盗んだんだろう?

 

「異変があれば、警備システムに反応があるはず……私も確認してみましょう。皆さんも折角来たのですから、ぜひ、当博物館をご覧になってください」

 

「「もとより俺(私)はそれが目的だ(なワケだ)」」

 

「私も見たいのデース!」

 

「クルト。案内するんだぞ」

 

「はーい。じゃあ皆さん、早速案内しますので是非どうぞ」

 

そう言いながら、クルト君は博物館の扉を開ける。私たちはそれに期待を膨らませながらついていくのだった。

 

 

 

 

 

****************************

 

 

 

 

 

「うわぁ……!すごい……!」

 

「……大きい」

 

「で、でかい……」

 

扉をくぐるとそこにあったのはすごく大きな扉だった。

それだけじゃない。周りにはいくつもの大きな扉がたくさんある。

地球儀みたいな扉に豪華な装飾のある扉。どれも見たことないドアばかりだ。

それを見たクルト君は笑いながら説明してくれる。

 

「ここはエントランスホール。真ん中にある一番大きなドアが、記念すべき“ひみつ道具”の第一号。“初期型どこでもドア”さ」

 

ええ!?このでっかいのが“どこでもドア”なの!?

 

「……すごい」

 

「今と全然違うんだね」

 

「……ということは、周りにあるのは……」

 

「そう、お察しの通り、周りを囲んでいるのは歴代の“どこでもドア”さ。ここから、管内の色々なブースを回ることができるんだ」

 

クルト君の説明を聞きながら、私たちは初期型の巨大どこでもドアへと近づいていく。

改めてみてもすごく大きいや……。もしかしたら、レイアさんの妹もすっぽりと入れるかもしれない。

 

「随分と無駄にでかいですね~。ここまでのサイズになる必要あったんですか~」

 

「ああ。この初期型は錬金術師の“テレポートジェム”を参考にしたらしいんだ。あれはあらかじめ位置情報を決めておく必要があるけど、このドアはそれを拡張し、地球上のすべての場所……どころか、宇宙空間にまでつながれる。ただ、その莫大な範囲の情報を処理するには当時の技術だとこの大きさにまでするしかなかったみたいなんだ」

 

ガリィちゃんの言葉にクルト君は苦笑しながら答えた。

それを聞いたガリィちゃんは一応の納得はしたのか引き下がり、キャロルちゃんやサンジェルマンさんたちは興味深そうに聞き入っている。

 

「ねえクルト君。この人は誰なの?」

 

未来の言葉に振り向くと、どこでもドアの隣には誰かの石像があった。掲げている右手にはオレンジ色の綺麗な意思がふわふわと浮いている。

 

「この人こそ、“初期型どこでもドア”の開発者にして、“ひみつ道具”を大きく発展させた偉人────“ハルトマン博士”だよ」

 

「ハルトマン博士……すごい人なんですね」

 

「うん。この人は化学や錬金術といったあらゆる分野をおさめ、それを世界平和や貢献に役立てようとしたれっきとした天才発明家だからね。お人好しとしても有名だったんだよ」

 

へえ~。すごい人なんだな。

……あれ?ハルトマン?

ここで私は一つだけ疑問に思ったことができたので、思い切って聞いてみることにした。

 

「ねえ。クルト君。クルト君はさっき“クルト・ハルトマン”って……」

 

「ああ。お察しの通り、ハルトマン博士は僕のおじいちゃんなんだ」

 

「ええ!?そうなの!?」

 

これはびっくり!クルト君のおじいさんがそんなすごい人だなんて……。

それを聞いたガリィちゃんはおかしそうに笑いだした。

 

「アヒャヒャ!おじいさんはそんなすごい発明家なのに、お孫さんのあなたはあんなへっぽこ道具創ってるんですか~?」

 

「ちょっと!あなた!」

 

「はあ……。やめんかガリィ」

 

それを聞いた皆はガリィちゃんをにらみつけ、クルト君も顔を真っ赤にして叫び出す。

 

「へっぽこじゃない!ボクもいつか、この博物館に飾られるほどのすごいひみつ道具を発明するんだから!」

 

クルト君が叫び出すと同時に、蟲みたいな何かが飛んできた。

 

「うわあ!?ナニコレ!?」

 

「や~ん、気持ち悪い~」

 

「落ち着け。害意はなさそうだが……」

 

「にゃご!にゃご!」

 

「ああ!食べちゃダメ!」

 

蟲みたいなのは小さい機械だった。機械は私たちの胸元あたりに留まるとブローチみたいになって服に止まった。

これ、なんなんだろう?

 

「クルトさん、これは?」

 

「これは発信機だよ。博物館内はとても広くてね、昔は遭難者が続出したんだ」

 

「はあ!?遭難者だぁ!?」

 

「うん。四次元空間を通じてるから広さに限界なんてないし、空間拡張の結果、少なくともこの島丸々を覆いつくせるくらいには広くなっちゃったんだって」

 

「どんだけだよ!超常にもほどがあんだろうが!?」

 

クリスちゃんの驚く言葉に私も少し青ざめる。博物館で遭難者って……ここどれだけ広いの?

 

「大丈夫。そのための発信機なんだから。これがあれば、誰がどこにいるのかが詳細にわかるんだ」

 

そう言いながら、クルト君は私に画面を見せてくれた。

そこには確かにみんなの名前が書いてある。これなら安心だね。

 

ブッブー

 

画面を見ていると、いきなり大きなブザーみたいな音が響いてきた。なんだろう?クルト君に聞こうとすると、クルト君は慌ててタブレットをしまっていた。

 

「あ、そろそろドアが開くよ!みんな!早くドアの前に!」

 

クルト君の言葉に私たちは急いで階段を上り、ドアの目の前に立つ。

すると、ドアは蒸気を発し、歯車を回しながらゆっくりと開かれ、あたり一面が光でおおわれる。

 

「うわっ」

 

「……眩しい」

 

その日アリに私たちは思わず目をつぶる。光が徐々に弱くなっていき、私たちはそれに合わせて恐る恐ると瞳を開けた。

────するとそこには。

 

 

「「「「「「うわぁ!」」」」」」

 

 

そこに広がっていたのはたくさんのロボットたちが浮かぶ大きな広場だった。

その光景に、私たちはもちろん、サンジェルマンさんやキャロルちゃん達も感嘆の声を上げて目を見開いていた。

それを見たクルト君はクスリと笑い、手を広げてた。

 

「ようこそ!“ひみつ道具ミュージアム”へ!!」

 

私たちはその光景に魅入りながら、クルト君の言葉に耳を傾けた。

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